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「閉店時間」 ジャック・ケッチャム中篇集

2008年08月13日
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ご無沙汰いたしております。
なんだか最近、立て続けに長距離移動する事が多く、忙しさが常にクライマックス状態なのですが、お陰さまで読書の方がこってり捗って嬉しい悲鳴のアガサです。
とは言っても、2冊しか読めていないのですが。(←ダメぢゃん)

そして、その2冊ともがケッチャムという。

自殺行為とはまさにこの事なり。

と言う訳で(どういう)、先日の京都道中で読んだ、ケッチャムの最新刊 「閉店時間」 の読感など。

・「閉店時間」
男と女は心の底から愛し合っていた。
厚い友情と深い愛情に裏打ちされたそれは、まさに人生最初で最後の、本物の恋愛だった。
しかしその恋愛は、周囲から祝福されるべきものではなかった。
心の底から求めないながらも、離れるしかなかった男と女。

そしてそんな彼らの人生に襲い掛かろうとする、悲劇の瞬間・・・。


ケッチャムの小説とは思えないような、胸が痛くなる恋愛模様で幕を開ける表題作。
好きなんだけど好きでいてはいけない。
結ばれたいんだけど犠牲なしでは結ばれない。
そんな苦しい恋愛にもがく、男と女の胸のうちを、ついさっきそこで見てきた様にリアルに表現するケッチャム。

あんた・・・、いつの間にそういうジャンルの人にならはったんや・・゚・(ノД`;)・゚・ウワアアン

と、思っていたら、どうやらこれはケッチャムさんの実体験に基づいたお話だったようですね。(あとがきによると)
これは彼なりの、別れた彼女宛てのラブレターだったのですね、わかります。
まぁ、・・アレだ・・・
がんばれよ、ケッチャム!!
(「すきなものだけでいいです」は、NY在住ジャック・ケッチャムさんの私生活を応援します!)


と、思っていたら、終盤から否応なしに押し寄せる救いの無い展開にのまれて、男と女は最も悲劇的な人生の結末を迎える事に。
やっぱケッチャムはケッチャムだったか。

うん、やっぱさっきの応援は取り消しの方向で。

しかし、考えようによっては、もしかしたらハッピーエンドだったのかもしれないと。
現実的には結ばれない彼らが永遠に結ばれる方法としては。
・・・考えようによっては、ですけどね。 (アガサはこんな終わり方イヤですけど)

イヤなんですけど、何度も読み返したくなってしまう、不思議な透明感をもった傑作です。




・「ヒッチハイク」
極悪非道な殺人犯を弁護中の女弁護士が、車の故障からヒッチハイクを試みる。
ところが通りかかったのは、ガイキチっぽいトラック。
命の危険を感じ、怯える彼女を助けたのは、そこに偶然通りかかった一台の車。
なんとその車を運転していたのは、十数年ぶりに再会した同級生だった。

「やだぁ、久しぶり~!」
「今なにしてんの~? 彼氏とかいんの~?」
と、ガールズトークに花が咲くかに見えた車内だったが、なんとその同級生そのものが、ウルトラど級のガイキチだったからさあ大変。
さらにそこに、新たなガイキチ(男3人組)まで加わり、女弁護士は人生最悪の夜を体験する事に・・・。


只今、ケッチャムの本領発揮祭り開催中!

冒頭の「殺人犯の公判うんぬん・・・」が、正直ちょっとかったるかったものの、タイトルの“ヒッチハイク”がなされた瞬間からはもうノンストップ非道祭り。
拾ってくれたのが女の人でヨカッタね~!
という読者の安心感を、鋲付きのウェスタンブーツで踏みにじり、その上にプラスチック爆弾をてんこ盛りにして木っ端微塵に爆破するような、ケッチャムの文章力に脱帽です。

とにかくケッチャムの小説は、
ここでなんとか助かって欲しい・・・
この仕打ちだけは逃れて欲しい・・・

という読者の想い(願い)を、ことごとく裏切る非情な展開がチャームポイント。
普通のお話なら、すんでの所でヒーローが飛び込んで来るシーンには誰も来ず、登場人物はひたすら屈辱され、傷を負い、最悪の場合命をおとす。

それがケッチャム!
というか、それが現実。


ところが、今までのケッチャム作品にはなかった展開が、最後の最後に待ち受けているので吃驚(←るしはさん風)です。
ケッチャムには最も程遠い単語だった「カタルシス」で、思う存分読者の溜飲を下げてくれるラストは、ケッチャム新時代の到来を示唆しているのでしょうか・・・。
(※「襲撃者の夜」にもある程度の“逆襲”はありましたが、あんなのの比ではないくらいスッキリします)

アガサがかったるいと思っていた冒頭のくだりも、当然かったるいだけで終わる筈もなく、クライマックスのヒロインの逆襲にキレイに絡んで来ます。
この逆襲に一役買う事になる、残酷非道なアンチヒーローがまた痺れる程のかっこよさ。

作中で行われる最も非道で許せない犯罪も、それのせいで犯罪者達が報いを受ける展開に繋がるので、若干マシに思えますし。(許せない事には変わりないのですが)

ともなくコレは、ケッチャムがその(狭い顧客獲得の)間口を広げるいいきっかけになりそうな予感がしますよ!
中篇ですし、悪い評判(特に「隣の家の少女」に関しての)のせいで、ケッチャムを敬遠されていた方にはオススメの一本です♪




・「雑草」
異常なカップルの鬼畜な犯罪。
そして穏やかにもたらされる天罰。


って、さっきせっかくオススメしたのに次がこれか!
こんなん薦めれんわ――! 
ケッチャムのアホ―――!!ヾ(*`Д´*)ノ"


ケッチャムの多くの作品と同じく、本作のカップルも、なぜこんな異常な性格になってしまったのかさっぱり説明されません。
幼少期に何がしかの虐待行為があったのか?
大きな影響を受けるような存在があったのか?
日常にのっぴきならないストレスがあったのか?
理由はまったく判りません。
もしかしたら、理由などないのかもしれません。

ケッチャムが描く殺人犯は、生まれながらの“純粋悪”に見える事が多く、それはまた、
鬼畜な犯罪を犯すガイキチの深層心理なんて、正常な人間に理解出来る訳が無い
という、ケッチャムの持論の様な気がしてなりません。 (アガサの持論はまさにソレ)

犯罪心理学だとか、精神鑑定士だとか、色んな専門家の方が、日夜犯罪者の心の中を読み解く為に勉強されている事は理解します。
しかし、誰かに屈辱されても、カっとなっても、殆どの人が怒りを堪えたり飲み込んだりして我慢出来るのが普通なのです。
抑え込む事が出来ず
誰でもいいから殺してやろう
などと言う結論に辿り着くなんて人間は、完全に狂っているとしか言いようがない。

そして、そんな狂った人間の心理状態を
「あぁ、なるほどね~。 わかるわかる、その気持ち」
と理解出来るとしたら、その時点でその人も狂っているのではないかと思うのです。
極論でしょうけどね。

話がちょっと逸れましたが、とにかく本編の鬼畜カップルの所業は、全く理解する事も、無論同情する事も出来ず、読者はただひたすらに腸を煮えくり返らせつつ、鈍痛をともなった様な憤りをのみ込み続けるしかありません。
というか、ケッチャッムが何を思ってこんな胸クソの悪い(言葉が汚くてすみません)小説を書いたのか、理解に苦しみます。
なんでもご本人曰く「これまでに書いたうちでもっとも不快な作品」との事なのですがだったら無理に書かんでもええんやで!なぁケッチャムさんよ!

今度ケッチャムさんに会ったら、そこらへんを小一時間問い詰めたい気持ちでいっぱいです。
ある意味、「隣の家の少女」を越えたような気がする、最低小説だと思いました。

しかし、一番反吐が出そうなのは、 こういう犯罪者は、現実にバッチリ存在する。 という点なのですけどね。




・「川を渡って」
1848年・アリゾナ。
貧困者層の家庭から女子供を奪っては、人身売買を繰り返す鬼畜ども。
命からがらその巣窟から脱出を計り、奇跡的に助けられたメキシコ人の若き女性。
彼女を救った凄腕のガンマンたちは、まだ捕らえられているままの妹を救出に向う彼女を、援護する事を決意する。
たとえそこに、生きても戻れる可能性が見出せなかったとしても・・・。


ああ・・・! 漢(おとこ)臭い!!・゚・(´Д⊂)・゚・(←褒め言葉)

3本目の鬼畜カップルに続き、またもや登場するは鬼畜一族。
見てくれからして、マクベスの荒野の魔女の遠慮がないバージョンみたいな老女3人組と、その手下のムサい野郎ども。
ホントきらい! (←小学生の感想かよ)

アガサが世の中で最も許せない犯罪に、性犯罪というものがあります。
見も蓋もない書き方をすると、ずばり“レイプ”ってやつですね。
やっている事は、殺人と同じくらい非道い事なのに、軽犯罪として扱われるトコが特に許せません。
もうアレですね、世の中の性犯罪者は、みんな去勢でいいと思いますよ。
あと、映像としてそういう内容のモノを楽しむ人も信じられませんし、アダルティな夜のお供として陵辱モノとかを選ぶ人も、この際思い切って去勢でいいと思います。

・・・ええ、ちょっと眠いので発言が極端ですね。仰るとおりです。
あと、「切株」とか「臓物バシャー」とか言ってるヤツに言われたかねぇよ!ですよね、わかります。

でも、やはり許せません。
女を、人を、人として扱う事なく踏みにじり、体だけでなく心までも深く傷付け、精神的に殺してしまうも同然のこの犯罪は、どんな媒体で描かれるにせよ、全く同調できる事のない(できたら問題か)胸のムカつく最低の行為だと思うのです。

で、本編でもこの鬼畜一族の蛮行が延々と描かれる訳ですが、その殆どがレイプとなっており、またもやアガサの怒り爆発。
バーカ! ケッチャムのバーカ! (←小学生並の感想・その2)

しかし、これまた今までのケッチャム作品とは異なり、本作ではそんな胃もたれ必至のゲス野郎どもに正義の鉄槌を下す漢(おとこ)どもが登場!

明らかにもやしっ子臭のたちこめる新聞記者と、彼が同行する事になった鋼のガンマンたち。
多くを語らず、しかし多くの武勇伝をもつ漢どもが、命を散らすに等しい行為に挑もうとしていた女を助け、たった3人で邪悪な巣窟に殴りこむ姿のなんと気高き事か・・・!
痺れるったらありません!

もちろんケッチャムですから、そこにハッピーエンドなどは用意されてはおりません。
胸がすく様な思いにもほど遠い、激しい痛みを伴う報復劇があるだけです。
しかし、ケッチャムが描くむせ返る様な漢(おとこ)臭は、そこに至るまでの鬼畜な蛮行を覆い尽くし、読後にほんのちょっとだけの救いを感じさせてくれるに違いないでしょう。

これは紛う事なき傑作です!

読み終わったら、みんなで大いに漢(おとこ)泣きしようではありませんか!





あぁ・・・長い。 (※読感)
それにしても、今月の更新回数は絶望的ですね。
「すきなものだけでいいです」、存続の危機なのかもしれません。

・・・がんばります (;´・ω・)ゝ
あと、コメントのお返しも遅くなってしまい、どうも申し訳ありません。
・・・ホントすみません・゜・(つД`)・゜・

宜しかったら、気長に見守って頂けると小嬉しいアガサでございます。


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