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『屋敷女』

2008年08月05日
屋敷女
肯定は出来ないが、否定も出来なかった。 (アガサ談)


※ 以下の文章はすべてネタバレ大全開ですので、未見の方はご注意下さい。




あらすじ・・・
女はもうずっと昔から、子供を欲していた。
誰よりも子供を愛する自信があった。
世界で一番優しい母になれると思っていた。
しかし、彼女は子供を授かる事が出来なかった。

長い年月が過ぎ、女は歳をとり、子供の事を諦め始めていた。
そんな時、彼女は自身の胎内に、待ち望んでいた命が宿っている事を知った。
生まれて初めて、人生の喜びを知った。
彼女は幸せだった。

その事故に遭うまでは。

そして今、彼女は為すべき事を為し遂げる為に、一軒の家の扉を叩く。
当然の事が、行われようとしているのだ、と。 彼女は考える。
彼女はきっと、素晴らしい母親になる筈なのだ。
何故なら、子供は彼女の人生のすべてだから・・・。


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あの“切株映画の夢先案内人☆ナマニクさん”でさえ、「嫌悪感を抱いた」と仰る程の残酷映画 『屋敷女』 を、大都会に行った際に鑑賞して参りました。

噂に違わぬ後味の悪さ。
期待を上回る切株行為。
とにかく何せ、ターゲットが妊婦さんですから。

ゴメンなさい。 ホントもう堪忍して下さい。
と、鑑賞しているだけでも、ものすご~くいけない事に加担している様な気持ちにさせられる、その非道な設定。

どれをとっても、鑑賞後に爽快になれる要素が全く見当たらない、凄まじい破壊力を持った映画です。

短評にも書きましたが、鑑賞後の体感重力は 『ミスト』 を越えたかもしれません。
あちらはまぁ、若干自業自得的な部分もありましたが、こちらには何の非もありませんので。
ただ、不幸な事故が起き、激しく傷ついた女が2人残され、その2人が一つの命の為に命懸けで闘う。
この闘いの不毛さ、醜さ、救いの無さに、きっと誰もが打ちのめされる筈。

しかし、この作品は決して“後味が悪”く“無意味に残酷”で“人道に反した”行為だけを売り物にした映画では無いと、アガサは思うのです。

妊娠6ヶ月の時交通事故に遭い、愛する夫を失ったサラ。
生きる事への情熱を見失い、亡き夫の思い出に浸り、今はもうすぐ産まれる子供と言う存在の為だけに惰性で生きながらえているサラは、翌日に迫った赤ちゃんの誕生を、決して喜んでいるようには見えません。
むしろ、“一人で赤ちゃんを迎える”という事に対し、漠然とした不安で一杯の状態で、自分の母や、好意を寄せてくれる上司の心配をよそに、とにかく無気力&やさぐれ番長。

いますよねぇ、こういう「世界で一番不幸な私・・・どう?!」みたいなタイプ。
いや、勿論そうあって然るべき境遇にあるとは思いますよ、思いますけど・・ねぇ・・・。


そんなやる気のないサラが、物語が進むにつれて生気を増してゆくのが、実に興味深いです。
死を前にして、人は初めて生を感じるのだ、という『SAW』っぽい嫌味教訓がサラリと描かれていて、好感が持てますね。

そして一方、その同じ事故によって、待望の胎児を失った女。
何よりも大切だった赤ちゃんを流産してしまった女は、ひたすらに衝突相手のサラを憎み、失ったものを取り返そうと決意する。
どう考えても常軌を逸した行動ですが、女にとっては、人生を取り戻す唯一つの方法だったに違いありません。

こちらの彼女はと言うと、とにかく生きる事に貪欲です。
正確に言うと、「子供と共に」生きる事に。
当面の目的は、サラのお腹の子供を頂戴する事、ただそれだけ。
邪魔する奴は皆殺し。 例えそれが警官だろうと一般人だろうとお構いなし。
そんな彼女のブレていない姿勢がステキです。 ・・と書くと人格を疑われそうですので、撤回します。

撤回はするのですが、彼女は本当にただただ、子供が欲しいだけなので、サラがピンチに陥った時には、サラを助ける側に回ったりします。
先程まで、血まみれでぶった切り合いをしていた女達が、“子供”という共通の守るべきものの為に一致団結する姿は、不謹慎ながら美しい・・・。
うん、やっぱりステキです。

結局、彼女達は互いに致命傷と言える程の痛手を負い、サラには陣痛までが襲い掛かり、体に負った傷と初産の苦しみに喘ぐサラを女が励ます、という世にも地獄絵図な展開に落とし込まれます。
そして、なかなか子宮口が開かないサラに、女が施す最後の手段・・・。
嗚呼、これ以上はさすがの私も書けません><
まぁ、ギリギリヒントを出すとすれば「おおかみと七匹のこやぎ」って実は、すげぇ残虐非道なオチじゃね?といったトコロでしょうか。(←充分です)

ホントにもう、胸がムカムカして、胃が鉛を飲み込んだように重くて、脳細胞がグラグラと揺さぶられる様な人として絶対に許せない行為を、最後まで躊躇することなく描ききったスタッフは、色んな意味でかなりの逸材だと思います。
これから彼らは一生、
「あぁ、あの非道い映画を撮った人ね・・・妊婦がアレでアレされるヤツね・・」
と言われ続けるに違いありませんがね。 

・・・ま、頑張ってくれ! それ(非道いって部分)、半分くらいは褒め言葉だと思うから!

結局、多くの無関係な人々同様サラは死に、女は子供を手に入れ、その手に抱き、一人満足気に佇むシーンで本編は終了します。
一見、何の救いも無いラストの様ですが、アガサはこう思いました。
彼女は望みを果たした。 しかし、彼女もまた体中傷だらけだ。
もしかしたらあくる朝までは、彼女の命は持たないかもしれない・・、と。
朝になれば、子供は怪物の手から逃れ、保護を受ける事が出来るだろう。
憐れで物騒な彼女はと言うと、短い時間だろうが子供を抱く喜びを実感し、事切れるだろう。

少なくとも、これは(女にとっては)救いと呼べる範疇に収まるのではないでしょうか。

・・・いや、勿論サラとその関係者にとっちゃ迷惑極まりない話ですけどね!
要するに逆恨みですもんね!コレ!


ただ、漠然と、ラストシーンを観ながら
「結局、子供は収まるべき所に収まったんだなぁ・・・」
という思いが浮かんでしまったアガサは、実は物凄く鬼畜なのかもしれません・・・。

この映画は、是非女性の方の感想がお聞きしたいものですね。(早くDVDになあれ☆)

主演のベアトリス・(ベティ)・ダルは、その怨念溢れる演技で「すきっ歯と鋏に敵うモノ無し」と言う都市伝説を見事に証明。
最強すきっ歯に対抗するサラを演じていたのは、あのジョニデの嫁ことヴァネッサ・パラディの実妹さんだそうなのですが、出演時間の約8割が顔面血まみれだったので、正直よくわかりませんでした。
しかし、初主演作にコレをチョイスすると言う気骨溢れる選択眼をお持ちの様で、なかなか将来有望なのではないかと思いました。

いやぁ、本当に凄まじい作品でした。(←褒め言葉)
この監督さんの新作が、早く観たいモノですね!



最後に余談ですが、巷で散々酷評されている本作の邦題の件。
実はアガサは、その元ネタの 「座敷女」 を全く知りません。
と言う訳ですので、巷の大ブーイングからは完全に取り残された感があります。(我ながら)
本編を観て、改めて 『屋敷女』 という邦題を見ても、さして違和感も感じませんし・・・。(←屋敷に2人の女が居るんだから、それでいいじゃないか)

でも、皆さんからはかなり顰蹙をかっているようですので、それなりに納得のいかない事態なのでしょうね。きっと。
そうですねぇ・・・、もしも自分が思い入れのある名作のタイトルが、全く似て非なる作品にパクリっぽく使われていたら・・・。

何かあるかなぁ・・・


・・・タイトル・・


・・タイトル・・ねぇ・・・


・・そうねぇ、「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」に被って、「世紀末リーダー伝たけし!」が始まったみたいなモノなのかしら・・・


・・・うわぁ・・なんだコレすごいムカついてきたぞ、オイ。(-_-#")


(※違ってたらどうもずみません)




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