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『ランボー 最後の戦場』

2008年05月31日
ランボー
史上最高の鬱映画。 (アガサ調べ)

我が家の世帯主さまは、ジレンマに陥っていました。
大好きな 『ランボー』 シリーズの、実に20年ぶりの最新作の予告篇を観てしまったからです。
そしてそれが、あんまりな切株予告だったからです。

グロやゴアが大嫌いな世帯主さま。
でもランボーの新作だぜ?
揺れる男心。

そんな世帯主さまに、今ここにハッキリ断言しよう。

・・・うん、無理だと思うよ。 てか、止めとけ。

あらすじ・・・
神に仕える人道支援家のグループが、非道な民族虐殺が行われているミャンマーの山奥に行きました。
武力から逃れて精一杯生きている人々に、救援物資を届ける為です。
しかしそれは、その行為は、新たな犠牲者を出す事が誰の目にも明らかな、非常に危険な行為でした。
大方の予想通り、彼らの殆どはミャンマー軍に殺され、残りの数人も捕虜として連れ去られてしまいます。
船頭として、彼らを現地へと送り届けていたランボーは、彼らを助け出す為教会に雇われた傭兵たちと共に、再び虐殺の地へと戻るのでしたが・・・。


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まさか、こんなに早く 『ミスト』 を超える映画に出会うとは思いませんでした。
この ランボー 最後の戦場』 が、アガサの今年観た映画ナンバー1です。

しかしこの作品には、なんのカタルシスもありません。
なぜならここに描かれているのは、ただの人殺しだからです。
残酷で、情け容赦ない、醜い人殺しだったからです。

人殺しから罪の無い人々を助ける為に、違う人殺しがやって来て、その人殺しを殺す為にまた違う人殺しがやって来て、その人殺しを殺す為に、また違う人殺しがやって来る。
どこまで行っても終わる事の無い非道な行為。
1時間30分に渡って映し出される血と肉片と叫び声に、気持ちの高揚などありません。
ただただ苦しく、虚しく、受け入れがたい現実に打ちのめされるだけなのです。

“凄い切株” 。
確かに凄かったです。
でも、切株というよりはもう、細切れの残骸です。
そんな人間の残骸を見せ付けられる事によって、どんな饒舌な反戦映画にも勝る、強いメッセージのこもった作品になっているのですからアガサ困っちゃう。(←カワイクナイorz)

もしもこの残酷描写の数々が、半分以下(もしくは直接描写ナシ)になっていたら・・・。
そこには
悪いミャンマー軍をランボーがやっつけてよかったよかった
と言う映画的カタルシスが生まれてしまうかもしれません。
このおぞましい切株描写があるお陰で、観客は絶望のどん底に叩き込まれ、人殺しという行為の恐ろしさをイヤと言うほど思い知らせれるのです。

でも、ここまでの描写のせいで、我が家の世帯主さまの様に「鑑賞する事が出来ない」人も出てきてしまう訳です。

ほんと困った。

ただひとつ、アガサが確信を持てるのは、
この作品を観て、人殺しをしようと思える人はいないだろう
と言うことです。
(普通の人で、ですよ?)

鑑賞後、先日観た 『ノーカントリ』 の1シーンが頭を過ぎりました。
“世界を変えられるなんて考えは、ただの思いあがりだ”
実は本作でも、騒動の元となる人道活動家の女性が、ランボーに同じような事を言われます。
“人は人を救えない”

世界の行った事の無い土地で行われている虐殺や理不尽な暴力を、私たちに止める事など出来ません。
私達が募金をして、届けられるかもしれない物資の傍で、それを上回る数の人殺しの道具もまた、どこかからか届けられているからです。(違いますか?)
負の力は、善の力よりも早く広がるのではないかと、そう思わずにはいられない現実。

困っている人たちの力になりたい、救いたい、と、希望や使命感に燃えて戦地へ赴く民間人。
しかし、彼らが困難に陥った時は、誰かに助けて貰わないといけない(もしくは貰う事になる)し、その為に新たな犠牲者が出てしまったら、その行為は果たして正しいと言えるのか?
現実世界に、ランボーはいません。
都合よく助けてくれる神様もいません。
誰かを救いたい、と言う純粋な思いは、もしかしたらただのエゴではないのでしょうか?

映画のラストに、そんなアガサの考えにひとつの答えを示してくれるシーンがありました。
奇跡的に一命を取り留めた人道支援家たちが、感動の再会を果たすシーン。
しかしその直後、支援家のメンバーは感動に浸る事をせずすぐさま怪我人の下に駆け寄り、医療活動を再開するのです。
確かに、人一人には世界を救う事も戦争を止める事も出来ない。
でも、目の前で苦しんでいる誰かの力になる事は出来る。
エゴだ売名だと言ってる暇があるのなら、どうしたら自分の近くにいる人の力になれるかを考えればいい。
それの積み重ねは、いつか何かを変えるかも知れないのではないでしょうか。

・・・うーん・・・(またもや)長文ですねぇ。
そして説教くさい。
どうもすみません><

とにかく、これを(切株だと言う理由だけで)観ないのは、非常に惜しい気がしますし、こんなに説得力のある反戦映画を撮ったスタローンは、背中にチャックが付いてるんじゃないかと言う様なモコモコボディのようで、実は天才監督なのかもしれません。(←ボディは関係ない)
決して気持ちのいい作品ではありません。
正直、アガサにとっては最高の鬱映画でした。
が、これは是非沢山の方に観て頂きたいのです。
遠い何処かで現実に行われている、非人間的な所業から、目を逸らさない為に。

さて、そんな救いの無い闘いの果てにランボーが採った結末は、実に救いのあるものでした。
物語は、巡りめぐって原点へ。
ランボーの罪が全て赦されて、幸せな余生が過ごせるとは思いません。
あまりに多くの命を(正義の名の下に)奪ってしまいましたし。
しかし、あのランボーが“殺人兵器としての人生を捨てる勇気を持てた”と言う事は、大きな意味を持つ事だと思うのです。
その選択は、きっと他の人間にも出来る選択のはずだから。

どうかランボーが、その特技を再び発揮する様な機会がきませんように。
間違っても、メキシコで行方不明になっている女性たちの救出に立ち上がる様な事がありませんように。

てか、お願いだから止めとけ。 (←スタローンへの要望)
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