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『ぼくを葬る』

2008年01月10日
ぼくを
ほんまアレやなぁ、 オゾンくんは大物喰いやなぁ。(※喰ってはない)


遠方に住む姉とお正月に、久しぶりに再会しました。
で、このブログの話にもなったのですが、ごくたまにしか姉がコメントをつけてくれない事に関して、ご本人から一言。

「だってあのブログさぁ・・・ なんつーか、絡みづらいんだもん。

そうだね、なんつーかホラーばっかでホントごめん・゚・(ノД`;)・゚・

そういえば、以前登録させて頂いていたyahoo!カテゴリ
「評論・レビュー」の枠に登録した筈が、知らない間に「ホラー映画」枠に修正されていたのは、いわゆる一つの気配りってやつなのでしょうかねぇ?
yahoo! はきっと、いい奥さんになりますよ。 (誰の?)

それはともかく、そんな(非ホラーな)姉にも正々堂々とご紹介できる今回のレビューは、 フランソワ・オゾン監督の 『ぼくを葬る』 です。

あらすじ・・・
写真家としての人気はそこそこ出て来た。
最愛の男性(ひと)もいる。
心配してくれる家族も。
そんな恵まれた状況にいたロマンは、ある日医者からガンの告知を受けます。
治療の限りを尽くしても、生存率は5%以下。
治療をしなければ、余命は残り3ヶ月。

以前に知り合いが、化学治療で苦しむ姿をみていたロマンは、迷う事無く治療を拒否。
そして選んだのは、愛する者たちを密かにカメラに収めながら、最期の日々をたった一人で葬(おく)る事・・・。


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アガサが好きな曲に、 『遺書』 と言う曲があります。
cocco(こっこ)のアルバムに収録されている、自分の死期を悟った女性の最期の想いを綴ったその歌は、
私の最期を看取って欲しい。いや、なんだったら最期の止めはあなたに刺して貰いたい。目は逸らさないで私の死に顔を脳に焼き付けて欲しい。灰は海に撒いて頂戴。でもって、いつかは新しい恋をするでしょうけど、私たちの記念日にだけは私の為に泣いてよね。
と言う、凄まじい気迫と緊張感とプレッシャーに溢れる遺言書に仕上がっております。 (※アガサの意訳ですので実際はもっと素晴らしい歌です)

アガサがこの曲を好きな理由は、願いがとても正直なだからです。

自分が死んだら綺麗に忘れて、新しい人生を歩んで欲しい。
それも確かに願うでしょうが、しかし、やはり本音としては覚えていて欲しいのではないでしょうか。
私の為に悲しんで欲しい。
私の表情を思い出して、心を絞って泣いて欲しい。
新しく愛する人よりも、大事な存在であって欲しい。

とても利己的な考え方でしょうが、
自分の事を忘れて欲しくない。
と言うのは、誰もが抱く願いなのではないかと思うのです。

coccoの「遺書」は、そんな身勝手で一方的な願いを素直に表現している所が、死を前にした者のリアルな感情の様に感じられるのです。

で、本作の主人公・ロマンなのですが、彼もある意味とっても身勝手な男です。
余命3ヶ月を宣告された事を、彼は家族にも恋人にも打ち明けません。
いつもと様子が違う事を心配する周囲の人々に憎まれ口を叩き、一人で痛みに耐えるロマン。
ロマンが死んだら、勝手な理由で別れを告げられた恋人は、愛するロマンの末期に付き添って、痛みを分かち合えなかった事を悔やむでしょう。
何の相談も受けなかった家族は、その無力感から立ち直れないでしょう。
ロマンにしてみれば、余計な心配や負担を掛けたくないと言う思いから選択した最期でも、残された者たちにしてみればたまったもんじゃありません。

しかし、自分の意志とは関係なく、無理やり人生から退場させられるロマンが、周りの人の感情より自分の一番いいと思うやり方を貫いた事は、やはりとてもリアルな選択なのではないかと思います。

観ている方(観客)は相当やきもきさせられますが。
(もっと周りに甘えればいいのに・・・とか)

しかしそんなやきもきも、最後に浜辺で一人きりの死を迎えるロマンの姿に、不思議と消え去ってしまいます。
潮が引くように帰ってゆく周囲の海水浴客。
静かに沈んでゆく夕陽。
砂浜に一人横たわったロマンの横顔に、柔らかい最後の光が射している。

一日が終わるように一つの命が消えてゆくシーンは、それは美しく、そして穏やかです。

ロマンがカメラに残した写真は、残された者たちを悲しみから救ってくれる事でしょう。
それはきっと、ロマンの口に出せなかった愛に満ち溢れているだろうから・・・。

つくづく、オゾン監督の憎たらしい程の才能にひれ伏してしまいました。

もう一つ、特筆すべきはロマンの祖母役の御大ジャンヌ・モロー。
少しのシーンですが、ロマンが唯一余命を打ち明ける相手として、圧倒的な存在感と説得力を魅せつけてくれます。
ゲイのロマンに「もう少しぼくが若かったら結婚したかったよ」と言わしめる御大。
御大のフェロモンは性別をも越えた!

それにしても、シャーロット・ランプリングにカトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベアールにイザベル・ユペール、そしてファニー・アルダンなどなど、大物がこぞって出演するオゾン作品。
オゾンくんは大物女優に信頼されてるんやなぁ・・・。
さすがはゲイですね! (←そこは関係ない)
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