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『ゾンビ』

2006年04月30日
地獄の底から這い出して、ゾンビが食う、人間を食う! 
残酷映画史を真紅の血のりで塗り替えた驚異のスーパー残酷!
肉をくれ! もっと若い肉を!



・・・これ、公開時のキャッチコピーだったらしいのですが、全く意味が判りません。
「もっと若い肉」って・・・。
そんな事(ゾンビの中の)誰も言ってないし・・・。
ビデオのパッケージの裏にもしっかり書いてあって、借りる時ちょっと恥ずかしくなりました。


そんな訳で(どんな訳?)、ゾンビのオリジンに立ち返る第二弾、『ゾ
ンビ(ディレクターズカット完全版)』です。


1作目から10年の時を経て、画面はカラーになり特殊メイクもかなり向上して、見応えは充分です。
確かにゴアシーンも格段に増えて、嫌悪感を抱く人も(当時)格段に増えたのでしょうが、キャッチコピーから抱かれる“B級ホラー”臭に惑わされてはいけません。
やっぱりロメロは偉かった!
ここで描かれるのは、あくまで人間の本質。
ゾンビの恐ろしさではなく、生きた人間が持つサガやエゴや残酷さが、どこまでも深く、恐ろしいのでした。


ゾンビが地上を侵食し、都市が混乱を極める中、テレビ局員のスティーブと恋人のフランは友人のSWAT隊員ロジャーとピーターと共に、 へりコプターでカナダへの逃亡を計ります。
途中、郊外のショッピングモールで食糧補給の為に一時休息をする事にした一行は、全てのものが揃うショッピングモールに安住の地を見出すかに思えたのですが・・・。


冒頭、混乱した街中で、ゾンビや暴徒化した人々との虚しい戦闘に駆り出されたSWAT隊員コンビの表情は、ベトナム戦争のそれに似た、虚無感に溢れたやるせない表情です。
この時点で、二人の中の何かは弾けてしまっていたのかもしれません。
テレビ局のカップルは、一般人なので当たり前なのですが“使えない奴ら”で、ヘリコプターの給油に訪れたガソリンスタンドでも、足を引っ張る引っ張る。
一作目の『ナイト・オブ・・・』の主人公の女性も、かなりの“使えなさ”でしたが、ロメロ氏は何か女性に恨みでもあるのでしょうか?
“女性=いらん事をする” がまかり通っていた時代の作品なので仕方ないのかもしれませんが、この『ゾンビ』の紅一点フランもいいトコまるで無しです。


目を丸くしてガタガタ怯えるか、ヒステリーを起こすだけの要員フランをよそに、男性陣は大活躍です。
モールを施錠してゾンビの進入を防いだら、後はモール内に残ったゾンビを一掃して人間様の貸切状態。
衣類も食品も武器も家電も何でも盗りたい放題で、まさにこの世の楽園です。

しかし、食品が永遠にもつ訳ではなく電気だっていつ止まるか判らないし、おまけにフランは妊娠中。

冷静に考えれば、ここは楽園などではなくむしろ監獄に近い存在です。
そこから目をそらし、浮かれて見せる彼らが向う先は、ただの現実逃避への旅なのかもしれません。
所詮、人間なんて脆いもの・・・。
でも、自分ももし目の前にこんな絶望的な状況を突き付けられたら、選ぶのは“現実逃避”かもしれませんね。
現実に“リプリー(fromエイリアン)”になれる人なんて、いるとは思えませんし・・・。


(表面上の)楽園生活を満喫していた彼ら。
その生活を脅かす事になるのは、ゾンビではなく“生きた人間”です。
いわゆる火事場泥棒を続けて旅をして来たらしい、荒くれ者の一団がショッピングモールに目を付けるのです。
ゾンビだろうが生身の人間だろうが、お構いなく殺し、奪い去るのみの略奪者たち。
と言うか、こんな混乱の世で貴金属や宝飾品を盗んで、何の価値があるんだろう? と思ったのですが・・・。
どんな状況においても人の心を惑わすもの、それがお金なのでしょうか。
怖いですねぇ。  この作品で一番怖いところですね。


この荒くれ者達との死闘から一気にクライマックスを迎えて、最後はショッピングモールになだれ込んで来たゾンビとの決死の脱出劇になります。


ここで生き残ったところで、その後何が待っているのか?
世界は救われるのか?
助けは得られるのか?
未来はあるのか?
考え出すと、とことんきりが無く、その先には真っ暗な闇しか広がっていないように思えるのですが・・・。


いよいよその答えが得られるかもしれない、3部作最後の作品 『死霊のえじき』 が楽しみです。
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