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『トランスアメリカ』

2007年12月05日
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不幸で、とても幸せな親子の物語。

あらすじ・・・
LAに住む中年男スタンリー・シュパックは今、サブリナ・クレア・オズボーンとして生まれ変わろうとしていました。
完全なる性転換手術によって、長年苦しんできた性同一性障害にケリをつけようとしていたのです。
しかし、その手術を1週間後に控えたある日、サブリナ(ブリー)に一本の電話が掛かってきます。
それは昔、ブリーのたった一度の気の迷いから産まれた見知らぬ息子が、逮捕されたと言う知らせ。
手術で頭が一杯のブリーは、面識も親心も無い息子を無視しようとしますが、親友で手術保証人のマーガレットから
「自分の過去と向き合わないままで生まれ変わる事は出来ない」
と諭された為、迷いを抱えたまま、息子のいるNYへと向かう事に。

人生をかけた手術まであと数日。
初めて逢った息子と共に過ごすNYからLAまでの横断旅行で、彼女(彼)は捨ててきた多くの過去に直面し、心の整理をつける事が出来るのでしょうか・・・。


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「自分という人間の、入れ物と中身は違う」と、ある日気付いてしまったら・・・。
自分は気付いているのに、周りからは見た目のままの扱いを受け、しかし、否定も出来ずに過ごして行くのは、どんなにか辛い事でしょう・・・。

この作品の主人公・ブリー(旧スタンリー)も、辛い青春を送ってきました。
酒も飲んださ。 ハッパも吸ったさ。(←アガサ予想)
理解の無い親に無理やり病院に入れられ、自殺を図ったりもしたさ。

・・・ああ、そして女も抱いたさ。

で、そんな一夜の過ちの成果が、17歳・只今青春まっさかりのトビーとして、ブリーの前に突きつけられたのでした。

そしてそんなトビーもまた、父親を知らずに育ち、母親には自殺され、継父には性的虐待を受け家出の果てには、生きる為に男娼の道を選ぶと、実に悲惨な人生を歩んでいました。

まさに、親の因果が子に報い。状態。

ブリーはそんな不幸ど真ん中のトビーに、自分が親だなんて打ち明けられるはずもありません。
ましてや、トビーが見知らぬ父親に、
「おれの父ちゃんはハリウッドで成功して大豪邸でウハウハ状態に違いない」
などと、果てしない幻想を抱いていると知った日には、いやもう絶対無理っス。

と言う訳で、アメリカ横断を余儀なくされたブリーとトビーの旅は、不自然な事この上なし。
実の親子なのに、赤の他人。
自らの身の上を少しずつ明らかにするトビーとは裏腹に、ブリーは色んな事を隠さずにはいられない。
その対比が実にもどかしく、時に可笑しく、胸を締め付ける。
徐々に親心が芽生え始めるブリーと、ブリーが男性だと知ってからも何とかそれを受け入れ、ついには愛情めいたモノを抱き始めるトビー。

父親に結婚を申し込んでしまいました・・。 

・・・死のう。

と、全ての真相がわかった刹那、トビーが心の中で言ったとか言わないとか。
とにかく愛情と同情が混ざり合った感情の渦に飲まれて(いや、もしかするとそもそもソッチの気があったのか)、全裸で愛を告白するに至った息子を前に、これ以上ブリーが秘密を隠しとおせるハズもありません。
悔恨の念と共に、父親カミングアウトをしたブリーを、トビーは力いっぱいグーパンチわかる、わかるよトビー。

この映画で、アガサが一番救いを感じたシーンは、実はこのシーンでした。

“プロポーズ大作戦”時に二人が居たのはブリーの実家。
長年、ブリーの辛さを理解しようとせず、苦しみを与え続けてきた母親が支配する家です。
母親は、未だにブリーをスタンリーとしてしか扱おうとせず、密かに存在していた孫トビーを、息子の替わりに溺愛。
しかし、いざブリーがトビーに殴り飛ばされた瞬間、母が駆け寄ったのはブリーの元でした。
怪我を負った息子に寄り添い、優しく手を当てる。
やはり、どんなに横暴でどんなに無理解な母でも、息子を愛している事には違いは無いのです。
このシーン、この瞬間に、親子の深く途切れる事無い愛情を感じ、胸が熱くなりました。

そしてそれは、ブリーとトビーの間にも確かに存在している愛情なのです。
たとえ判り合えなくても、たとえ疎遠にしていても、血を洗い流す事など出来ないし、遺伝子レベルで愛というものは存在しているのではないでしょうか。

母親としての愛情を痛いほど感じ、息子を傷付けてしまった悲しみに、手術の成功の喜びなど消し飛んでしまったブリーと、
「おれの父ちゃんはイチモツを持つ母親」と言う衝撃の事実を知ってしまい、ショックのあまり家を飛び出してしまったトビー。

二人が再び一つの家に集うラストは、これ以上ないほどの希望に溢れ、そこに存在する確かな愛情を感じさせてくれる、とても温かいシーンでした。

やはり人と人は向き合わないといけないのですね。
そこにどんな見たくない事実が横たわっていても、しっかり目を逸らさずに向き合ってみないと。
でないと、大切な愛情を見逃してしまうかもしれませんね。

久しぶりにホッと出来た、ステキな作品でした。

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うぁ、モロ見えちゃってるよ・・・などと思ったほどトランス状態になっていた・・・
フェリシティ・ハフマンの圧倒的な演技力{/ee_1/}今年のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされて、リースウィザースプーンに持ってかれたけど、ゴールデングローブ賞は受賞☆賞に値する素晴らしい名演 {/hakushu/}海外ドラマ、「デスパレートな妻たち」は未見だけどフェ

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