ブログパーツ

『クイーン』

2007年05月17日
20070516205637.jpg 第79回アカデミー賞・主演女優賞受賞


世の中には、知りたい情報や、知らなくていい情報や、知りたくもない情報や、様々な情報が溢れかえっています。
明らかに供給過多なそれらの情報は、私たちになにを与えてくれるのでしょうか。
どんな有益な情報が、そこにあるというのでしょうか。

有名人の交際相手が誰だろうが、不倫してようがしていまいが、豪邸を購入しようが売り払おうが、それが私たちになんの関係があるというのでしょうか。
関係はなくとも、どんなくだらない情報であろうとも、とりあえず知っておきたい・・・と言うのが、人間の原始的な本能だという事は判っています。
だからこそマスコミと言う職業が成り立っているという事も。
まぁそれでも、
ジャガー横田の夫婦円満の秘訣なんかは、正直どうでもいいのではないかと思いますが。

そういうどうでもいい事を、「さぁさぁ皆さん、大ニュースですよ!だ・い・に・う・す!!」とばかりに、情報の大盤振る舞いをしてくれるマスコミに散々クイモノにされ、死に至ってしまった20世紀最大の悲劇のヒロイン・ダイアナ元妃に散々振り回され、これまた踏んだり蹴ったりな目にあった20世紀最強の君主・エリザベス女王の映画を観て参りました。

あらすじ・・・
息子・チャールズ皇太子とその嫁ダイアナの離婚から1年。
イギリスの首相はトニー・ブレアに変わり、女王はと言うと、いつもと変わりない公務に追われていました。
そんなある日、パリから飛び込んできたのは、「元嫁・ダイアナ 事故死」の一報。
動揺するチャールズを尻目に、至って冷静な女王。
しかし、そんな冷静な女王に対して、日に日に高まってくる国民感情。
激しさを増す「女王バッシング」の中で、女王が下した決断とは・・。


アガサの中のダイアナ元妃の記憶と言ったら、なんと言っても小学生の頃テレビにかぶりつきで見た、チャールズとの結婚式。
あとは、来日した時に着ていた水玉のワンピース。
その後のなんだかんだは、殆ど知りません。(なにせ興味がなかったのもので)

気が付いた時は、パリでの衝突事故が起きていました。
そして、その後に巻き起こった一連の大騒ぎ。
パパラッチが無闇に追い回したから亡くなったのか、ダイアナ元妃が自ら招いた災いなのか、それともフリーメイソンの陰謀なのか。
いまだに謎に包まれた事件の真相はさておき、当時「何も悪くないのに悪者扱い」された、ある意味では一番の悲劇のヒロインだったのがエリザベス女王だったのではないでしょうか。

そもそも、息子・チャールズとはとっくに離婚済みだったダイアナは、既に民間人であり王族とはなんら無関係無い存在。
一国の女王が、ただの民間人女性の死に反応する必要など無いでしょう。
それは、普通に考えればそんなにおかしくは無い理論なのですが、いかんせんダイアナフィーバーで少々頭のネジが緩みかけていたイギリス人が相手なものですから、エリザベス女王は一気に窮地に立たされてしまいます。
私たちのダイアナが亡くなったってのに、冷たい女だわねぇ!」
「そうそう、いくら気に喰わない嫁だからってねぇ」
「涙の一つも流さないなんて、あの女の中に赤い血は流れていないのかしらねぇ」

などと、国民総出で言いたい放題。

女王の冷静さは、王家の伝統やしきたりを曲げる事無く、元・家族(現・民間人)の葬儀を終えたい、ただそれだけから来ているのであって、「嫁VS姑バトル」のような下世話な下心から来ているのでは無いのです。
皆さん、橋田壽賀子に毒されすぎですよ。と、その頃のイギリス国民に会えたら言い聞かせてやりたかったですね。

だいたい、ダイアナを喪ったショックが大きいのは判りますが、どうして彼女を追い詰めたパパラッチに対するのと同レベルで、女王陛下までバッシングするのでしょうか。
理解に苦しみます。
「誰かを責めないと気が済まない」なんて、第3者が言う事では無いでしょう。
気が済もうが済まなかろうが、第3者はただ見守るしかない。
それが家族の問題と言うモノなのではないのでしょうか。
自分の気持ちが納まらないから、一番判り易い所に怒りの矛先を向ける。
それは誰がどうみたって、ただのエゴです。

確かに、目の上のたんこぶだった元嫁亡きあとのエリザベス女王は、身内を亡くした遺族と言う感じではありませんでした。
その夫・フィリップ殿下にも哀悼の念はこれっぽっちも無く、妻(女王)相手に「ボクの可愛いキャベツちゃん」等とバカトーク全開です。

・・・よりにもよって 「キャベツちゃん」 て・・。

頭か?
それは頭(髪型)の事なのか?

もう少しひねりが無いと、いい芸人にはなれんぞ!(芸人になりたい訳ではない)

だってせいせいしたんだもん。 だって今は他人だもん。と言うサバサバ感が隠し切れない(隠してもいない)エリザベス女王夫妻が、ダイアナショックに盛り上がる国民の槍玉にあげられたのも、仕方が無いと言えばそうかもしれません。
でも、そのサバサバ感を「=冷酷無比」と印象付けたのは、エリザベス女王の固く引き締められた唇だけのせいでは無く、マスコミの力に寄るところが大きいのではないでしょうか。

報道のやり方一つで、大衆を右に向かせる事も左に向かせることも、はたまた盲目にする事すら朝飯前な、マスコミというもの。
結局、ダイアナ元妃もエリザベス女王も大衆も、マスコミの撒き散らす「報道の自由」とやらにまんまと踊らされていただけなのかもしれませんね。
私たちももっと目を開いて、目に飛び込んでくる情報を吟味、選別して行かないと、知らない間にとんでもない所へと導かれてしまっているかもしれませんよ。

“オスカー作品賞ノミネート”と言う事で、かなり格調高い一本なのだろうと思っていましたが、鑑賞してみると意外に近寄りやすい作品で、取り扱っている内容はとことんハードなクセに、要所要所にコミカルな部分もあり、その垣根は決して高くありませんでした。
かといって、「皇室スキャンダル」と言う下世話な裏話の再現フィルムと言う訳でも勿論無く、女王役のヘレン・ミレンはさることながら、
マブレア首相(マイケル・シーン)の純粋な情熱、
ブレア夫人(ヘレン・マックロリー)の女王に対する微妙な敵対心、
フィリップ殿下(ジェームズ・クロムウェル)の妻に対する不器用で昔気質な愛情、
チャールズ皇太子(アレックス・ジェニングス)の狡すっからさ加減など、
確かな演技力を持った俳優たちの説得力に溢れた見事な演技のお陰で、『プロジェクトX ~イギリス王室が直面した危機とその回避への道のり~』と言う感じの真面目な娯楽作に仕上がっていたのではないでしょうか。

結果、おいしい役どころだった実際のエリザベス女王が、この作品を評価しているらしい、というのは判りますが、実際のイメージ通りな小ズルイ中年男だったチャールズ皇太子までが、そこそこ評価しているらしい、と言うのが・・・どうもねぇ・・・

・・・チャールズ?  ・・ホントに内容判ってる?

最後に、鑑賞した劇場は本日女性サービス・デーだったのですが、女性(中高年)でひしめき合ってほぼ満員状態だった中、なんと果敢に入場していた若い男性の方が・・・。
同性のアガサでさえ、むせ返るような熟女パワーの巣窟に、たった一人で飛び込んでいた勇気ある君。
そんな君に幸あれ!
     ♪♪どちらのバナーでもどうぞご遠慮なく♪♪ →   にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

Trackback
ホモだからといってエルトン・ジョンを馬鹿にするな!あんただってスカート穿いてるゾッ!
ノンフィクション系の映画も流行ですが、これは前代未聞!こんな映画が作られること自体すごいです。女王はすごい!ブレアはすごい!...ってことで絶妙に面目を保ったことで映画化に成功しえたわけでしょう。
"彼女だって望んで女王になったわけじゃないのに50年もその職務をはたして来た人なんだ"劇中、まずは職務優先、個人は二の次、といった台詞もあったけれど、ダイアナの死後一週間にフォーカスして、エリザベス女王が国民と王室の間で板ばさみとなり、激しく葛藤
イギリス人は大袈裟に感情を出さない国民性があるとか。その辺は日本とちょっと似てる部分あるのかな。ダイアナ妃の事故死という、かつてないほどマスコミが大騒ぎする時、沈着冷静な絶対君主であるべき彼女はどこまでクールでいられるものなのか。映画では...

※当ブログで使用しているイラスト等の著作権は、全てはアガサにありますので、転載、二次加工、再配布の際は一言ご連絡下さいませ。