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『インプリント/ぼっけえ、きょうてえ』

2007年03月29日
20070325232813.jpg  でーれーきょーてえで。 (←ネイティヴ講師による発音)


「あんたから岡山弁を取ったら、なんも残らんが」と、友人から言わしめた事がある、岡山在住アガサがお届けする誰の何の役にも立たない岡山弁講座。
最終回の今日は、色んな言葉を盛り立てる“形容詞”についてお送りします。

「すごい」

何かを強調したい時に使うこの言葉。
岡山では、
「ぼっけえ」 もしくは 「でえれえ」 
が最も一般的に使われます。
一部のネイティヴスピーカーの間では、
「もんげえ」 「ばんこ」も根強く使われていますが、今では滅多にそれが使用される場に遭遇する事は無く、ほぼ死語状態にあると思われます。
しかし1980年代当時では、
「ばんこはがえぇ」(すごく腹が立つ) 
「もんげぇしんでぇ」(すごく疲れた)
と言った、もはや何語かすら判らない様な表現が、ナウなヤングの間では頻繁に使われていたと言う事実もあり、当時をよく知るネイティヴの皆さんには、甘酸っぱい青春を甦らせる秘密のキーワードとなっている事は確実かと思います。

なお、「ぼっけえ」と言う表現が、とある有名小説家によってタイトルに使用された為、岡山弁で「すごい」は「ぼっけえ」だと認識されがちですが、実は現地では「ぼっけえ」より「でえれえ」の方がよりポピュラーでありますので、もし岡山の地でとてつもない状況に出くわした暁には是非、
「でえれえなぁ!」(すごいね!)
と発して頂けたらと思います。
また、「でえれえ」を発声の際は、「でーれー」と発音するのが、よりネイティヴ寄りですので、使用の際は充分お気をつけ下さい。

以上で、今回のレビューを終わろうかと思います。

・・と思ったのですが、それでは流石にあんまりな気もしますので、少し本編にも触れてみたいと思います。

意外と誇れる有名人が多い岡山県。
B‘Zの稲葉さん、オダギリジョー、甲本ヒロト、志保美悦子、フィギアスケートの高橋大輔などなど、岡山人はテレビを見る度に鼻をニョキニョキ高くしていたりします。
そんな鼻高々な有名人の中で、異色を放っている人が約一名。

変態エロ作家、岩井志麻子先生です。

痛い発言で、テレビや雑誌を賑わしている志麻子先生。
岡山人でさえ、いまだに字面だけ見ると「岩下志麻」と勘違いしてしまう、でも志麻姐さんとは180度違う属性を持つ変態作家・岩井志麻子先生。
そんな志麻子先生の代表作『ぼっけえ、きょうてえ』を、同じく映画界の変態作家・三池崇史が映像化したのが、本作『インプリント』です。

あらすじ・・・
アメリカ人記者のクリスは、とある遊郭に辿り着きます。
そこに、「アメリカに連れて帰る」約束をしていた、愛しい女郎の小桃が居ると聞いたからです。
しかし、誰に聞いても小桃の事など知らぬ存ぜぬ。
夜も更けてきた為、仕方無しに一夜の共にクリスが名指ししたのは、その歪んだ面相から不人気ナンバー1だった女郎でした。

しかしクリスと話すうち、その女郎が小桃の事を知っている事が判明。
問い詰めるクリスに女郎は、
「小桃は首をつって死んだ」
と話すのですが、それを信じられないクリスは逆上します。
さらに問いただすクリスに、女郎は重い口を開き、とある物語を話し始めるのでした・・。


以前、私が体調を悪くしてた時、この原作本を読みかけていた母に「読み終わったら貸してくれる?」と聞いたところ、「やめときなされ」と諭された事がありました。
この映画を観た今、その頃の母の英断に感謝の気持ちでいっぱいです。

・・・えげつないんじゃー! アホーー!!

原作はいまだに未読なのですが、本の方もこんなにえげつないのでしょうか?
いや、本だからこそ、もっとえげつないのかもしれませんね。

奇形・拷問・堕胎児の川流し・近親相姦・殺人・精神錯乱・・。
この世のタブーの全てを込めて!
持てる力を出し尽くして!!
地球のみんな!

オラにもう少しの勇気を分けてくれ!!

オッス! オラ悟・・
(以下自主規制)

やりたい事は全てやってやったぜ! と言う声が聞こえてきそうな、エグイ映像オンパレードは、三池崇史なら当たり前田のクラッカーなのですが(←昭和のネタですみません)、一番偉いのは工藤夕貴だと思います。
この作品で工藤夕貴は“女優の不到達地点”みたいなモノに到達してしまったんじゃないでしょうか。

やっぱり『ホステル』のカナ役は、工藤夕貴がよかったなぁ・・と悔やんでも悔やみきれません。(私が悔やんでもどうにもなりませんが)

そんな工藤夕貴が、家政婦は見た!状態で覗き見する“折檻シーン”。
ハッキリ言って、正視に耐えられない程の痛さ全開です。
『ホステル』よりも過激に、『TCB』より粘着質に。
いっその事殺してくれ!と叫びたくなるような、陰湿極まりない女郎の折檻。
しかもそれをやってる女郎が、原作者本人。(つまり志麻子先生)

さすがは変態エロ作家だね!!

東京フレンドパークに来園してる人でも、ここまで楽しそうじゃないと思いくらい、嬉々として折檻していました。

Q. 夢に出ますか?

A. 間違いなくね!!

そして、岩井“変態”志麻子先生にいいようにやられっぱなしの小桃(演じるのは美知枝という女優さん)がまた凄まじい!

Q. これも夢に出ますか?

A. 二夜連続でね!!

日本女性という設定ながら、赤い髪に透けるような白い肌の小桃は、妖艶であり、この世のモノでは無い様でもあり・・。
どことなく“世界の”菊池凛子に似ていた小桃だったのですが、実はその他の女郎も(工藤夕貴以外は)みんな菊池凛子似でした。
つまり、アメリカ人に受ける“妖しい日本人”のイメージは、“変テコな茶髪仕様の菊池凛子”でOKという事なのでしょうか。

・・・だからだったのか・・ オスカーノミネートは・・!(多分違う)

日本のようで日本でない、と言うと、ハリウッドでは御馴染みの「ヘンテコ日本描写」のようですが、この作品の中のヘンな遊郭は、三池崇史監督が作り出した悪夢の中の日本なので、観ていてなんの違和感も無く、存分に不快感を味わえます。
普通でない遊女たちと普通でないアメリカ人記者が体験する、おぞましき過去の物語は、観客をズルズルと出口の無い悪夢の中に引きずり込んで行く事でしょう。

申し分なく不快です。
そして、文句なしに傑作だと思います。

思う存分、居心地の悪い迷宮を彷徨い、その後は志麻子先生登場の悪夢にうなされる、と言うのが、この作品の正しい鑑賞法かと思います。
こなれて来たら、髪の生え際から手を覗かせて“インプリントごっこ”なんぞを楽しむのもまた一興。

ただし、その場合家族から凍りつくような視線を送られるかもしれませんが、アガサは一切責任を持てませんのでご了承下さい。



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