ブログパーツ

『トゥモロー・ワールド』

2007年03月25日
20070322230138.jpg  あと20年。



気が付いた時にはアメリカ映画中毒でした。

派手なガンアクション、勧善懲悪のストーリー。
悪い奴は死に、正しい奴が生き残る・・・デカイ銃を片手に。
そんな、アメリカ映画の世界にどっぷり使って育った私が、生まれて初めての海外旅行(グアム)先で、実弾の射撃体験が出来ると聞き、それを断る理由など微塵もありませんでした。

「ダーティーハリーやアクセル・フォーリーの気分を味わいたい」、それだけの浮かれた気持ちで銃を握った、アガサ20代の夏。

数発の銃声の後、私は完全に打ちのめされました。

この世にこんな恐ろしい物がある事が、理解出来なかったのです。

こんなに小さな鉄の塊から、こんなに重たい鉛の粒が、とんなに凄い勢いで飛んで来て、それが体に当たれば、そりゃ死ぬわなぁ・・・。
映画の中でバタバタと倒れて行っていた人の姿を、初めてリアルな“人間の死”として実感した瞬間でした。

とにかくもう、私は2度と銃なんて持つ気にはなりませんでした。
ここは日本ですが、とにかくそう思ったのです。

あの兵器は、恐ろしすぎます。
そして、手軽すぎます。


いきなり、映画『トゥモロー・ワールド』とかけ離れた文章から書き始めてしまいましたが、私がこの映画を観て、一番真っ先に感じたのが正にこの銃の恐ろしさだったのです。

2008年、世界中でインフルエンザが大流行し、子供の大半が死亡。
2009年、世界中の妊婦が次々に流産し、出生率0%時代へと突入。
2027年、女性の不妊の理由が解明されないままに、世界は混乱と破滅への道を突き進んでおり、すでにイギリスを除いた各国は内戦やテロで壊滅状態。
そのイギリスもまた最期の秩序を保とうと、外国からの入国をシャットアウトし、不法入国者は強制収用所に収監して、人間以下の扱いを強いていました。

そんな中、惰性で生きていたイギリス人男性セオの元に、反政府運動を行っている元妻ジュリアンが現れて、一人の少女を託します。

なんとその少女・キーは妊娠8ヶ月だったのです。

キーは不法入国者の為、政府にバレたら子供は取上げられるに違いない。
実は世界には、奇跡的に生まれてきた子供たちを政府から隠して平和に育てられる為の秘密の島があり、キーとその子供も秘密裏にその島に送り届けたい・・・と言うのが、ジュリアンの一味の目的だったのです。

滅びる道しか残されていない筈の人類に差し込んだ、一筋の光。
たった一筋の儚い光を守る為、セオは命懸けの逃避行に挑むのですが・・。


「インフルエンザで子供の大半が死滅・・」だなんて・・。

なんというか、なんといったらいいのか・・、

・・ノンフィクションですか? これは?!

先日、“タミフルは10代の子供に使用不可”というニュースが流れたばかりで、そのニュースを見ながら
アガサ「新型インフルエンザはタミフルしか効かないらしいのに、もしそれが流行ったら子供に何を投薬すればいいんだろうね」
世帯主「暴れるんだったら、監禁しといて投薬すればいいじゃん」
と言う、ユルさ全開の会話を繰り広げていた私には、全く持ってシャレにならないストーリー。

タミフルという薬が、本当にどれくらい危険を秘めているのか、もしくは秘めていないのか。
その危険性は飛び降りるだけなのか、もしくは他にもあるのか。
もしそれが、飲んだ事で死に至らしめるような副作用を発揮してしまったら・・。
そしてそんな時、新型インフルエンザが大流行したら・・。

話はインフルエンザとタミフルに限らず、今のこの世界は、どんな新型ウィルスがどんな猛威を振るおうと、全く不思議ではないと言う恐ろしさを秘めています。

そして、その恐ろしさを拱いて、見て見ぬ振りしているのは、私達人類でしかないのです。


さあ、どうしましょう。
どうしたらいいのでしょう。
これ以上環境を破壊しないような、水かなんかで走る車に全世界を統一するしかないのでしょうか?
京都議定書に水を差す、あの国の大統領とかその国の国家主席とかの名前は、とりあえずデスノートに書いておくべきなのでしょうか?
新型ウィルスに対抗出来る様な、画期的な新型ワクチンは、開発できないものなんでしょうか?
徹底的にゴミの出ない商品制度(詰め替え率先)にした方がいいんじゃないのでしょうか?
海水を100%真水に変える装置を、各海岸線に設置するべきなんじゃないのでしょうか?
それとも、もうどこか別の移住先(惑星)を探した方がいいんじゃないのでしょうか?

何でもいいから、早いとこ考えて(開発して)決めてくれ!!
ねぇ!ねぇ!!  世界中の頭のいい人!!
(↑とことん他力本願)

・・・そうですね。
私のような人間が、世界をジリジリと死に追いやっているのかもしれません。

結局、人間一人に出来る事果てしなく小さく、世界を動かす事など出来ないのかもしれません。
でも、私は、自分の家族だけは、何があっても守りたい。
自分の体一つで守れるだけのものを、何があっても守りたいです。

作品の後半で主人公セオとキーが、生まれたての赤ちゃんを抱いて逃げ惑う事になるのは、不法入国者の収容所。
そこでは一斉蜂起した不法入国者と反政府民が、抑圧に掛かった政府軍と激しい銃撃戦の真っ只中でした。
ピュンピュンと空を切って飛び交う銃弾。
その弾を体に受け、そこここで倒れ込む人・人・人・・。
人間の命の重みが、限りなく軽んじられている現場を、小さな小さな赤ちゃんの、しかし人類にとってはとても大きな一つの命を、体全体で包み込んだ幼い母・キーが逃げ回ります。

その時、画面に映っていた人間の殆どが、銃を手にしていました。
そして、「パン!パン!」という軽い音と共に、多くの命が吹き飛んでいたのです。

こんな恐ろしい兵器が、私達が生きていく上で、どうして必要なんでしょう?
彼らが一回引き金を引くだけで、どれだけの尊い命が二度と戻らなくなるのでしょう?
人を生んで、育ててゆくかなければならない世界で、どうしてこれだけ簡単に人の生が消されて行くのでしょう?

私は激しく困惑しました。きっと映画の中のキーと同じ様に。

映画の中の世界が、混乱と絶望の淵に立たされていたのは、2027年。
あと20年しかない、ちょっとだけ先の未来です。
この映画を観て「絵空事」だと言い切れる人が、果たしているのでしょうか?
私達の子供たちは、幸せな人生をまっとうする事が出来るのでしょうか?

人間を産み出すのも人間。
人間を消し去るのも人間。

私達に突きつけられた現実は厳しいけれど、そこに希望を見つけ出す事は不可能ではない筈なのではないでしょうか・・。
この映画のラストシーンの様に・・。










     ♪♪どちらのバナーでもどうぞご遠慮なく♪♪ →   にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

Trackback
監督 アルフォンソ・キュアロン 主演 クライヴ・オーウェン 2006年 アメリカ/イギリス映画 109分 SF 採点★★★ 赤ん坊ってのは、ホント不思議な生き物で。その顔を真っ赤にして泣き叫ぶ泣き声に一体どんな効力を秘めているのか分からないが、一旦その泣き声が響き渡れ
トモロヲ・ワールドってどんな所かな~
トゥモロー・ワールド CHILDREN OF MEN2006年 英  アルフォンソ・キュアロン 監督クライヴ・オーウェン  ジュリアン・ムーア  マイケル・ケイン  キウェテル・イジョフォー  クレア=ホープ・アシティ  チャーリー・ハナムう~ん、、、...

※当ブログで使用しているイラスト等の著作権は、全てはアガサにありますので、転載、二次加工、再配布の際は一言ご連絡下さいませ。