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『変態村』

2007年03月01日
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ド変態のあらすじ・・・
老人ホームの慰問等で生計を立てている、売れない歌手のマルクは、次の営業先に向かう途中道に迷ってしまいます。
その上車も故障してしまったマルクは、偶然通りかかったボリスと言う若者に紹介された民宿に立ち寄る事に。
自分の事を元コメディアンだと言い放つ民宿のオヤジ・バルテルは、マルクをアーティスト仲間と認定し、親近感出しまくりです。
内心「お前なんかと一緒にすんなよ」と毒づいていたマルクでしたが、車を直してもらう為にバルテルにおもねってみたりなんかしてみたり。

結局車の修理に時間が掛かる為、一日民宿に足止めされる事になったマルクに、バルテルが一つだけ忠告を発します。
「村にだけは行っちゃなんねぇぞ」

・・・ここは村じゃないんですか?

住所に「字(あざ)」が付きそうな地にある民宿ですが、どうやら村はまた別の括りになるようです。
オヤジのありがたい忠告を頂戴したものの、それを守っていたらホラーにならないので、きっちり村に迷い込むマルク。
そこで彼が見たものは、臭そうで汚らしい朴訥な村民たちが家畜の牛を相手に、性欲の処理を行っている場面でした。

「さあさ、思う存分ドン引きして下さいな!」
と言う監督の雄叫びが聞こえて来そうな、凄まじく下品なシーン。
タイトルにある『変態』が、堂々と証明された瞬間です。


見てはいけないモノを見たマルクは、あわてて民宿に引き返すのですが、実はその民宿でも、もう一人の変態が覚醒しようとしていたのです。

変態村に迷い込んだマルクの、生死(と貞操)を懸けた闘いが、今始まる・・・。


こやつめ・・・やりおったで!

そうとしか言いようが無い、正真正銘・最低映画の誕生です。
最低映画なんですが、カメラワークや俳優さんの怪演や独特の後味を残すエンディングは、「時間のムダ」と切り捨てるには勿体無いと思ってしまう様な、深い余韻を残してくれます。
村人たちにしても、「変態」「変態」と言っていますが、要は純粋な愛の持ち主の集まりと言えなくも無い事も無いのかも・・・  ・・イヤやっぱり無いか。

冒頭の老人ホームの段階で、お年寄り相手にモテモテのマルク。
ついでにホームの年増の職員からもモテモテ。
民宿のもっさいオヤジからもモテモテ。
村の長老からも、村民全員からもモテモテ。
そんな登場人物の愛を一身に受け止めるマルクは、ある意味幸せなのかもしれませんし・・・・・イヤそれも無いか。

お年寄りにしても年増の職員にしても、変態村の愉快な仲間たちにしても、皆自分の愛を捧げる相手がおらず、モンモンとしているだけなのです。(村民に関しては、近隣の町に嫁探しに行けば済む事なんじゃないかとも思いますが)
そこにナイスタイミングで現れたマルクに皆の熱視線が集中するのは、言ってみれば “工業高校に4人だけの女子” とか “短大の幼児教育学科に1人だけの男子” と同じ原理のような気もします。

惚れたアンタが悪いのか・・
惚れさせたアタイが悪いのか・・・
・・・ちがうよ!マルクは悪くよ! あっぶねー!あやうく村人の策略にはまるトコだった!


村人が猟犬代わりに駆り出させるノブタの、「ピギャー!ピギャー!」という鳴き声が実に耳障りで、映画に対する不快感を煽りたてる事に大いに貢献していました。
また、『カノン』や『アレックス』や『ハイテンション』で、観客を不快感のどん底に追いやった実力派・フィリップ・ナオンがまたまた登場し、“変態村の長”、つまり“キング・オブ・変態”としてマルクを恐怖のどん底に叩き落している点も、ホラーファンにはたまらないポイントなのではないでしょうか。

そして、マルクが村民にレイプされるくだりがあるのですが、そこでカメラは俯瞰に切り替わります。
冷めた視線で悪辣な行為を撮るこのシーンは、ラース・フォン・トリアーの作品を彷彿させ、とても印象なシーンだったと思います。

・・・とまぁ色々言った所で、最低な事に変わりは無いのですけどね!アハハ・・アハハ・・

『変態村』というセンス抜群の邦題に釣られて、前々から借りたかった本作。
レンタル店に3本置いてあるうち、2本が貸し出し中(私を含めて)だった事を、観終わった刹那思い出し、
「岡山でこんな思いをしているのは、私だけじゃない・・」
と、不思議な安堵感を覚えました。
あと、そのもう一本を借りた方に対する、厚ーーい連帯感。
その方にも、出来ることなら伝えたいです。

あなただけじゃない・・!
あなただけじゃないんだよ・・・
と。

そんな、“鑑賞した者たちの心を一つにまとめる”と言う不思議な力を持つ「変態映画」を撮ったのは、ベルギーの新鋭ファブリス・ドゥ・ヴェルツ。
ユリオカ超特急みたいなご面相のこいつが、特典映像で本作について大いに語っていたのですが、
20070301213852.jpg  ←「・・この作品は、ルイス・ブニュエル、アンドレ・デルヴォー、アンジェイ・ワイダ、ロマン・ポランスキー等のヨーロッパ映画の影響を大きく受けているんだよね。意外だろうケド僕はデルヴォーが好きなんだ。彼は過小評価されていると思うね。


・・って知らんわい!!

何がどうなったら「意外」と言う印象が湧いてくるのか、さっぱり判りませんが、本人いわく「意外」なんだそうです。
あと、本作の一番の大爆笑シーン“村の居酒屋で村民☆ダンス☆レボリューション”は、そのデルヴォー監督作品『イヴ・モンタンの深夜列車』のワンシーンをイメージしているそうです。

『イヴ・モンタンの深夜列車』は観た事ありませんが、どうまかり間違っても、こんな最低映画では無い事だけは確かだろうと思います。

くれぐれも、「お下劣はいいけど下品は許せない」方や『花より男子』が一週間の楽しみになっているような、健全な生活を好む方は、絶対にご覧にならないようお奨めします。

でも、もしご覧になった方は、鑑賞後やり場の無い思いに駆られても大丈夫。

あなただけじゃない・・!
あなただけじゃないんだよ・・!!



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