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『そして、ひと粒のひかり』

2007年02月17日
20070217232035.jpg 第77回アカデミー賞・主演女優賞ノミネート


子が親を殺したり、親が子を殺したり。
そんな事件が、日本に限らずどこの国でも珍しくない今日この頃ですが、本当は親は、子を命懸けで守る生き物なのです。

特に、母親は。
(別に父親と比較してどうこう言いたいのでは無いですよ、念の為)

母親という生き物は、子と文字通り一心同体の期間を過ごす為、子に対して並々ならぬ感情を抱いてしまうのです。
それは愛情であり、所有権の様であり、嫉妬のようでもあり・・。
とにかく、その“一つの生を分かち合った”感は、何物にも例え難い貴重な体験で、だからこそ生まれ来た子を、自分の分身のように、自分以上に大切にしたいと思うのだと思うのです。

本来は。

この作品の主人公・マリアも、行き当たりばったり&無計画の様な人生を過ごしていたのですが、自分のお腹に宿る子供の存在をハッキリ自認した事で、初めて自分自身の人生を自分の足で歩み始める決意をしたようです。

あらすじ・・
南米コロンビアの田舎町に住むマリアは、まだ17歳ながらバラ園で出荷作業の職に付き、一人で家族を養っていました。
しかし、惰性で付き合っていたボーイフレンドの子を身篭ってしまい、つわりが酷くて仕事も退職してしまったマリア。
家族に妊娠の事を言い出せない為、お金を稼ぐ手段を考えなくてはいけないマリアは、ひょんな事から知り合った男に麻薬の運び屋の仕事を紹介されます。

それはとても危険な仕事。
しかしマリアは、それを引き受けるしかなかったのです。

初めての海外旅行。
お腹いっぱいに飲み込んだ、小さな麻薬の粒と小さな赤ちゃんと共に、アメリカ行きの飛行機に乗り込んだマリア。
彼女は無事、仕事を終える事が出来るのでしょうか・・。


南米には、若い女性が麻薬の粒を飲み込んでアメリカに運ぶ闇の仕事がある。と言う話は、聞いた事がありました。

この作品は、監督のジョシュア・マーストンさんの綿密なリサーチの下作られているそうですので、運び屋稼業の細かい描写がとてもリアルです。
きっと、こんな風に何人もの(何百人?)人間が、お腹に麻薬を詰め込み、海を渡っているのでしょう。
確かにバレっこ無い仕事でしょうが、そぶりがチョットでも怪しく、税関に呼び止められでもしたら、速攻アウトですね。
そんな危険な仕事を、引き受けてしまうマリア。
べらぼうな大金をちらつかされたら、引き受けるしかないマリア。
彼女の生き方が、あまりに適当(と言うか行き当たりばったりと言うか)で、ちょっと引いてしまいました。

もっとよく考えようよ。
他に何か仕事があるでしょうよ。
もっとお母さんにぶっちゃけて相談した方がいいよ。
それより何より
きちんと避妊しようよ! ねぇ!

そうツッコミたくなる、おばちゃん体質なアガサです。(いや、まんまおばちゃんか?)

マリアはまだ17歳なのに、母親もシングルマザーの姉も彼女におんぶに抱っこ状態で、養ってもらって当たり前!と言う、どうにもこうにも頼りにならない存在です。
ボーイフレンドもまだまだただのガキ。
という訳で、どいつもこいつも当てにならないガラクタばっかりなマリアの周辺。
若さに任せての勢い勝負だろうが、考え無しの行き当たりばったりな行動だろうが、マリアにはそれしかないから仕方ないのです。

同じく運び屋に転職した、マリアの親友・ブランカや、運び屋の先輩たちと共に、アメリカに渡ったマリアでしたが、その先輩・ルーシーの体内で麻薬が溶け出してしまい、ルーシーは死んでしまいます。

そこから物語は一気に急転し、売人に運び出されるルーシーの死体を見てしまったマリアは、「次に殺られるのは自分たちだ!」と、安直に考え、嫌がるブランカを誘ってモーテルから脱走。
以前にルーシーから聞いていた、NYに住むルーシーの姉の元に泣きつきます。

動転したとは言え、普通に考えたら絶対ヤバイと思われる「売人から逃げる」行為に、友達まで誘ってしまうマリアはとことん浅はかで、ちょっぴり腹が立ってしまいました。
ドリフ大爆笑88´風に言う所の、志村!後ろ後ろ!状態です。
もう、間違いなく消されますね。
郷の家族共々抹殺されます。

しかし、巡り巡って結局売人の元に帰って来たマリアとブランカを、売人たちはあっさり釈放。
その上、約束通りの報酬まで払ってくれます。
電波少年風に言うと、売人・・好感触といった感じでしょうか。

数々のラッキーに恵まれて、無事仕事を終えたマリアとブランカ。
しかし、ふと立ち寄った産婦人科で、体内の赤ちゃんのエコー写真を見たマリアの中では、何かが変わり始めていました。
空港でブランカを見送り、一人アメリカに残る決意をしたマリアの表情は、とても大人で凛としたいい表情で、これから先に彼女を待ち受けるものがどれだけ過酷であっても、お腹の子と共に生きてゆく覚悟を決めた彼女なら乗り越えてゆくんじゃないか・・、と思いました。

やはり、母は強し。
もしくは、母としての覚悟を受け入れたものは強し、と言うべきでしょうか。

色々考えさせられて、なんだか心に残る作品です。

あと、麻薬が詰められた白い粒を見て、『ごっつえぇかんじ』の「産ませてよ・・」を思い出した事は、野暮すぎるので胸の中にしまっておこうと思います。
(↑しまえてないし)

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