ブログパーツ

『デビルズ・リジェクト』 (マーダー・ライド・ショー2)

2007年02月10日
20070131225354.jpg  こんなシーンなかったじゃん・・


バカな若者グループが、忠告を無視した揚句酷い目に遭う。

というシンプルこの上ないストーリーを、悪趣味なギャグ満載でお届けした『マーダー・ライド・ショー』から僅か2年。
その総責任者であったロック界の巨匠ロブ・ゾンビさんが、再びあの悪魔のような一家の物語を紡ぎ出しました。

しかも、今回は前作のような中途半端なギャグは無し!
すっかりマニアの人気者になった、“キャプテン・スポールディング”のドーランべったり顔はそのままに、とことんイカレた奴らのとことん非情な逃亡劇が、血糊満載で描かれていました。

あらすじ・・
ネチネチとした人殺しが大好きな、悪魔的な一家がおりました。
父・スポールディング、母・ファイアフライ、息子・オーティス、娘・ベイビー、他数名。
悪事の限りを尽くしてきた一家でしたが、警察はついにその住居をまるっと包囲し、事件の収拾を図ります。
家に居たのはオーティスとベイビーとファイアフライとその他でしたが、そんな事もあろうかと用意周到だった一家は、警察相手に一大銃撃戦を展開。
警察の銃弾に倒れた息子の為、現場に残る事を選んだ母は置いておいて、オーティスとベイビーは地下の隠れ穴から逃亡してしまいました。

捜査の責任者であるワイデル保安官の兄は、実は1作目で一家に惨殺されてたりします。(あんまり記憶に残っていませんが)
その為、尋常でない程の熱意を持って、捜査に当たるワイデル保安官。
しかし、遅々として進まない捜査に業を煮やし、亡き兄の亡霊に無力さを責められたワイデル保安官は、徐々に精神を病んで行くのでした。

そんな警察を尻目に、まんまと逃げ延びたオーティスとベイビーは別の場所に居た父スポールディングと合流し、行く先々で気の向くままに殺戮を繰り広げながら、ちょっとした家族旅行モードです。
仕舞いには、辿り着いたスポールディングの弟・チャーリーのモーテルをねぐらにし、乱痴気騒ぎに興じる一家。

母ちゃんの事は、もうどうでもいいんですか?
そうなんですか?
母ちゃんとは、哀しいものなのですね・・。


一方ワイデル保安官は、餅は餅屋とばかりに保釈中の極悪人を使い一家を捜索。
もちろん違法捜査ですが。
そしてあっさり見つかった一家を、その極悪人に捕まえさせます。
これまた違法捜査ですが。

ついに対決の運びとなった、悪魔な一家と頭がイカレ気味の保安官・・。
勝利の軍配は、一体どちらに挙がるのでしょうか・・?


前作とは打って変わって、非情に乾いた感じの仕上がりになっていた今作。

いちおう続編ですので、悪魔な一家はそのまま続投ですが、キャラの性質的は殆ど別人です。
面白みの欠片も無いオーティスは、前作であんなにイケメンだったのに、何故か髭ボーボーだわ頭も白髪だわで、オッサン臭が一挙に増しています。
スポールディングも、さすがに続編でまで全編ドーランべったりは嫌だったのか、途中からはばっちり素顔で、キレやすく涙もろいチョイ悪池中玄太80キロと化していました。
ベイビーだけは前作の狂気と陽気さをそのまま残し、可愛いけれどとっても性悪な悪魔な天使を好演しており、監督であるロブ・ゾンビさんの変わらぬ愛を感じました。(ベイビー役はロブさんの嫁)


とにかく、風の吹くまま気の向くままに、いとも簡単に人の命を奪う彼ら。
ベイビーの中では、悲鳴と笑い声は同じ物なのでしょうか。
オーティスにとって、慈悲を請う犠牲者の声は家畜の鳴き声程度でしかないのでしょうか。

あまりに情け容赦ない人殺しの描写に、観ているコチラは嫌悪感たっぷりで、当然ながら一家を追い詰める保安官にエールを送り続けていました。
しかし、その保安官もまた、あまりに復讐心を強く持ちすぎた為常軌を逸した行動に出始めて、なんだかもうどっちがどっちでき●がいなのか判りません。

いえ、どっちもき●がいですね。

ゴメン、ゴメン。

あんたら全員頭おかしいよ。


結局、保安官との死闘でかなりの痛手を被った一家は、車で逃走するものの行く手を警官隊に封鎖され、死と引き換えの最後の銃撃戦に挑み、警官の銃弾に蜂の巣にされる事になります。

不思議な事に、あんなに胸くそ悪かった一家に対して、終盤から同情めいた感情が芽生え始めたりするんですね。
それは、汚らしく逃げ続ける彼らの姿が、とってもみすぼらしかったからなのか、追う保安官の暴走が目に余る為、追われる彼らが気の毒になったからなのか、ねちっこい拷問に耐えてお互い庇いあう彼らに、家族愛を感じたからなのか・・・?
ともかく、人間の心理と言うものの不安定さに、改めて気付かされました。

どんなに家族愛を発揮しようと、そんなに無様に逃げ惑おうと、彼らは根っからのき●がいであり、放って置けばいくらでも人殺しをする、どうしようもない犯罪者集団なのです。
そんな彼らに情け容赦など、必要ないのです。
それなのに私たちは、彼らの脆さを目にした途端に救いたくなってしまう・・。
そこ(赦すという感情)が人間のいい所でもあるのでしょうが・・。

この作品のメイキングを観ていると、プロデューサーがロブさんを指して「あいつは残酷な事がやりたいだけなのさ」とか何とか言っていましたが、私はそうではなく、この作品にとても深いものを感じてしまいました。
例えば、オーティスの風貌は、ただのヒッピーのようですが、見方を変えればまるでナザレのイエスです。
イカレ保安官の拷問されるシーンでは、手と足に杭まで打たれる念の入り様ですので、絶対確信犯だと思います。
そんなオーティスに命乞いをする被害者のおっちゃんは、ひたすら神に祈ります。
もちろんその願いに神が奇跡を起す筈も無く、被害者はあっけなく無残に殺されてしまうのですが、そのオーティス自身もまた、最後にはあっけなく殺されてしまいます。

“神”というやつは、罪の無い者も罪深い者も、同じように助けないのですね

ラストで、赦されざる一家が警官隊に銃殺されるのを観ても、私の胸は晴れませんでした。
「あんなに冷酷で残忍な一家だったもの。ざまーミロだな」
とは思えないのです。
そこに描かれたのは、ただの一つの家族の死。

被害者の死も加害者の死も、同じように客観的に冷静な目線で描いたロブさん。
全編通してエグい事を描いていますが、ロブさん自身はとても冷めているように感じたのです。

エンドクレジットで、流れるような美しい空撮を目にした時、その目線はもしかしたら神の目線だったんじゃないだろうか・・・とまで思いました。
どんなに残忍な連続殺人も、神にとっては地上で起きたいくつかの死。
私達の営みなど、なんてちっぽけで儚いものか・・。

・・・深読みしすぎでしょうか。

一作目で、阿鼻叫喚の殺掠シーンのバックでカントリー(?)の曲を流すという、抜群の音楽センスを披露していたロブさんですが、この2作目でも選曲のよさはピカイチです。
音楽と映像がハマルと、ここまでカッコいいモノなのか?! とつくづく感心してしまいました。
さすが、本業音楽家! (元本業?)

醜い殺人劇の中に、人生観までねじり込んで魅せてくれたロブさん。
ロブさんが居る限り、アメリカのホラーの未来は安泰なのではないでしょうか。

     ♪♪どちらのバナーでもどうぞご遠慮なく♪♪ →   にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

Trackback
監督 ロブ・ゾンビ 主演 シド・ヘイグ 2005年 アメリカ映画 108分 ホラー 採点★★★★ 今となってはビデオ屋を巡り歩いてもなかなか見つけることが出来なくなった『ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー』『グライド・イン・ブルー』ら、70年代アメリカンニューシネマ
デビルズリジェクト マーダーライドショー2(ネタバレ) (あらすじ)前作で残虐の限りを尽くしたファイアフライ一家。一家は兄を殺された復讐に燃える保安官によって、家を包囲され、絶対絶命の危機におちいる。からくもオーティスとベイビーの兄妹は逃げおおせ....
なんか最近ホラーな映画ネタばかりで、すいません(^_^;) やっぱり風邪が抜けなくってゲームとかヤル気が出なくって、積みDVD消化してるだけなんですけどね・・・ 寝込む程でない微妙な具合悪さだと、ただボ~っと見てればいいDVDは絶好の暇潰しなのです。 マーダー・ライド

※当ブログで使用しているイラスト等の著作権は、全てはアガサにありますので、転載、二次加工、再配布の際は一言ご連絡下さいませ。