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『ハイテンション』

2007年01月31日
20070129212728.jpg  ← ある意味ネタバレ
 
先日、めざましテレビを見ていた時のことです。
エンターテイメントコーナーで、画面に映し出されたテロップに私は釘付けになりました。
「ゴア映画に噂のあの人が登場!」

ゴ・ゴ・ゴア映画ですか??!!

こんな朝っぱらから、いいんですか?こんな爽やかな情報番組で、いいんですか?どの程度見せちゃうんですか?今の時期って、何のゴア映画が公開されてたっけ・・?
もうドキドキムネムネで、テレビの前で一人妙なテンションになってしまいました。
最近の朝の情報番組は、意外と(規制が)大らかなのかしらねぇ・・。なんて、妄想特急を走らせていたら、次の瞬間画面に映ったのは『不都合な真実』のワンシーンでした。

そっちのゴアかよ・・・。
改めて自分のホラー好きを再確認した、朝のひとときでした。
先生!紛らわしいテロップは、よくないと思いまーす。
ちなみに“噂のあの人”は、試写会に参上した自称エコの女王・藤原紀香さんでした。

そんな、3度の飯よりホラーが好きな私ですが、おおっぴらに血糊バシャバシャ臓物ゾロゾロを観るのは、さすがに気が引ける。
と言うか、日に日に冷たさを増してくる世帯主様の視線が、あっちこっちに突き刺さったりしていたりします。
そこで今回、スゴイと評判のフランス産スプラッター『ハイテンション』を鑑賞するに当たり、事前に世帯主さまに避難勧告を発令しました。

アガサ「今日のはちょっとスゴイらしいので、私一人で観る方がいいかも・・・」
世帯主さま「どうして?」
ア「いや、こんなエグイの観てる・・・ってドン引きされたくないから・・」
世「“ヘルレイザー一挙鑑賞”の時点で、充分引いてる」

だ っ て さ !

と言う訳で、一人膝を抱えて鑑賞した『ハイテンション』のあらすじは・・・
マリーとアレックスは大の親友。
「静かな環境で試験勉強に集中しよう」と言う事で、アレックスの実家がある田舎に行く事になりました。
その家はまさしく田舎の一軒家で、周りにあるのはだだっ広いトウモロコシ畑だけ。
アレックスの家族に挨拶をし、自分用の部屋で物思いに耽っていたマリー。
しかしその時、家の前に怪しげなオンボロトラックが近づき、そこから降り立った一人の中年男性が、真夜中だと言うのに家のベルを鳴らし続けました。
慌てて玄関に駆けつけたアレックスの父親が、ドアの小窓から覗いてみると、そこには見知らぬ中年男性が。
そして、その中年男性の手に光るのは、鈍い光を放つカミソリが一本・・。
驚き、動揺するアレックスの父親に、男のカミソリが振り下ろされ、そこからマリーとアレックスの恐怖の一夜が始まるのでした・・。


もう、ハッキリと断言してしまいますが、

2006年度ホラーベストテン(アガサ版)、

堂々の第一位決定です! (涙)


これほど怖い映画が、この1年間にあったでしょうか?
いやさ、過去5年ほど振り返って見ても、これほど恐怖に満ちた映画はありませんでした。

根っからのホラー免疫体質な自分が、こんなに小さく丸まって画面に釘付けになる日が来ようとは・・・。
極限までに高まった緊張感で、私の心臓は押しつぶされそうになり、胃はグルグルとでんぐり返るような感覚。
手足を縮め、息までも潜めて主人公と恐怖を共にする・・。
ホントにもう、アッパレです。

監督のアレクサンドル・アジャは、若干25歳でコレを撮ったと言うじゃないですか。
ついに来たか・・。
ホラー界のスピルバーグが、血糊を撒き散らしながらやって来たか・・。

わしに出来なかった事を、ついにやり遂げおったわい・・。(←何者?)

この作品、前評判でさんざん「ガッチガチのスプラッター(しかもお笑い要素無し)」だと聞いており、実際本編を観て見ると確かに血はザーザー噴き出すわ、あっちこっちスパスパ斬られまくるわ、出てくる凶器も、カミソリ手斧鉄条網付きの棍棒チェーンソーと、ホラークオリティの高い品物ばかり。
まかり間違っても、めざましテレビで紹介出来るようなシロモノじゃありません。
大塚さんもコメントに困るでしょうし。

しかし、そんな派手な血糊に敬遠してこの作品を観ないというのは、余りに映画人生に於いて損をしているように思うのです。
それくらい、この作品は恐怖のレベルが高い!

↓ ↓ ネタバレ100%の為、構わない方だけどうぞ ↓ ↓ (ちなみに、ネタが割れていますと本編の良さは半減します)

理由無き殺人を続ける中年男。
家族を殺されて、一人男に拉致されたアレックスと、男の隙をつき何とかアレックスを助けようとするマリー。
男が家族を襲った訳は何なのか?
アレックスだけを助けた訳は?


その答えが、クライマックスでついに一騎打ちを果たした、マリーと中年男のシーンで明らかになります。

なんと中年男とマリーは、一心同体だったのです!

一心同体! 少女隊!!


30代以上限定ネタで恐縮ですが、30年代以上は「一心同体!」と振られたら「少女隊!!」と答えずにはいられないので、そこんトコご容赦下さい。
なんでしたら、試しに身近な30代に「一心同体!」と軽くネタを振ってみて下さい。
「少女隊!」と帰って来なかったら、その人はきっと40代なのでしょう。(あくまでアガサ判定

マリーに、もともとスラッシャーの血が流れていたのか、はたまたアレックスへの叶わぬ恋心(マリーはレズなのです)が、歪んだ別人格を生み出してしまったのか・・・。
中年男(マリー)は、愛しいアレックスのみを我が物にしたいという、それだけの理由で、アレックスの家族を抹殺し、立ち寄ったガソリンスタンドの店員をも殺して、ひたすらトラックを走らせます。
目的地があったのか、それすらも不明な破滅的な恋の逃避行。(ただし片思い)

そしてマリーの正常な精神は、それ(中年男)からアレックスを守ろうとひたすらトラックを追いかけていたのです。
このオチが判った時は、思わず「オォー!」と唸ってしまいました。
どうりで、マリーだけは中年男に見つからなかった筈だ!
それに、アレックスのお母ちゃんも死に際に、マリーに向かって「何故なの・・・?」って言ってたしね!
で、そうなると、過去を思い返してその他の辻褄も合わせたくなるのが心情と言うもの。
フラッシュバックで、一家虐殺のシーンがマリーバージョンで再現されて、再び「オォー!」

・・でも、待てよ。
だったら冒頭で、中年男が生首放り投げてたのは、どういう事なのか?
アレックスの車で実家まで来たのに、トラックはどうやって運んできたんだ?
スタンドの兄ちゃんが殺された時、兄ちゃんはマリーと会話して、その後マリーが棚に隠れているのを横目で見ながら、中年男と会話してなかったか?
防犯ビデオの映像にも、ちゃんと中年男が映ってたし・・。
それに、マリーが盗んだ車で中年男のトラックを追うシーンはどうなるのでしょう?
追っていた筈のトラックに逆に回りこまれて、マリーの車はクラッシュしてしまうのですが・・。

どうなの?どうなの?

おせーて!アレクサンドル・アジャさん!

20070129235021.jpg「まぁその辺はすべてファンタジーと言う事で」(アジャ・25歳・推定独身)


この、“『アイデンティティー』オチ”とも言える、犯人=主人公同一人物オチ
意外と世間では貶されムード一色らしく、
「コレさえなければ立派なホラーだった」
とか
「こんなオチいらない」
とか、厳しい意見も多いようです。
実際、このオチのせいで先述のような辻褄が合わない点もゴロゴロ出て来ますし、そういう脚本の適当さを許せない方も多いと思います。
「同一人物でしたー!」「え゛ぇ゛ー?!」がやりたいだけじゃん」
そう思われても仕方の無いような、荒の目立つオチかもしれません。
でも、私はその荒さを差し引いても充分満足出来るレベルの作品だと思いますし、前半の「犯人に見つかるかも・・見つかりませんように・・こっち来んな!・・こっち見んな!・・」と言うキリキリとした緊張感があった後に、このオチを差し出される事で、観ているこちらは思う存分「オォー!!」と膝を打てるのではないかと思うのです。

あげてあげて・・・落とす!
このギャップが心地よい。
ホントにアジャは、若いのにホラー(とかその他映画とか)という物を、とてもよく判ってらっしゃる。

とにかく、ホラーが好きな方は絶対に見過ごす訳には行かない作品ですし、そうでない方にも是非観て頂きたい。
やってる事は100%スプラッターですが、根底にあるのは切ない純愛なのですし。

勿論、グロイのを受け付けない方には、全く以ってお勧めは出来ませんが・・。
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