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『ブロークン・フラワーズ』

2007年01月25日
20070123212938.jpg  2005年カンヌ映画祭・グランプリ受賞作品


ジム・ジャームッシュ
・・・それは映画界のオシャレ番長である。

街のオサレな雑貨屋やカフェに行けば、かなりの高確率で飾れている、彼の作品のポスター。
『ストレンジャー・ザン・パラダイス』、 『ダウン・バイ・ロー』、 『ミステリー・トレイン』、 『ナイト・オン・ザ・プラネット』、 『デッドマン』・・・。
どれも、作品を観たことは無くても一度は聞いた事があるであろう、オサレなタイトルばかり。
オスカーに縁遠い変わりに、カンヌでは常連さんという所も、とってもオサレ。
もはや、表参道や代官山付近では“ジム・ジャームッシュ”はオサレの代名詞。
合コンで最近観たDVDの話題になったら、「俺はジム・ジャームッシュの『コーヒー&シガレッツ 』が良かったな」なんてさりげなく映画通をアピールすれば、“センスいい男子”の称号は勝ち得たも同然です。
(※すべてアガサの独断と偏見による

ところがですね、ところがですよ。
私は映画人生で2度、映画館で意識を失った経験がありまして、その一本は『アベンジャーズ』なのですが、なんともう一本が、他ならぬジム・ジャームッシュの『デッドマン』なのであります。

上映時間と目が開いていた時間とを比較すれば、もう一つの夢の世界に迷い込んでいた時間の方が長かったのは火を見るより明らか。
つまり私は、
1800円払って昼寝をしに行っていた
と言う訳なんですね。

どれだけセレブやねん。

まぁ、ありがたいことにアート系の映画のパンフには、大概の場合“シナリオ採録”と言う物がついていまして、あとでそれを読む事で作品の流れは掴めたんですが、

世の中ではそれを映画鑑賞とは呼びませんね。

しいて言うなら読書です

私の映画人生の黒歴史をさらけ出すのはコレくらいにして置いて、本題に入りましょう。(ここまでが前置きなのか?!)

『ブロークン・フラワーズ』のあらすじ・・・
コンピュータ関係の事業で一山当てたドン・ジョンストンは、若いお姉ちゃんをはべらかして悠々自適な日々です。
しかし、“ちょい悪オヤジ”と言う流行語が飽きられてきたのか、はたまた結婚に対して逃げ腰なドンに嫌気が差したのか、若き恋人は家を出て行ってしまいました。
そんなしょんぼりしていた(でも追いかけもしない)ドンの元に届いた、一通の手紙。
ピンクのレターセットに、赤いインクで書かれた手紙には、
「あなたと別れて20年が経ちますね。
私の息子も、もう19歳。
ホントの父親を探しに、旅立ってしまいました。
ちなみにあなたの子です。
てな訳で、あとはヨロシク!」


にゃ・にゃにおう?!

その手紙を隣人で悪友のウィンストンに見せたところ、「手紙の主を突き止めようぜ!」と言う事になり、早速20年前に付き合いがあった元恋人をリストアップ。
5人の候補者のうち1人は既に他界していた為、残りの4人の元を訪ねて、“息子情報”を探る事に。
ピンクの花束を携えて、1軒づつ訪ねるドン。

1人目のローラは、20年ぶりの再会を大歓迎。
露出狂の可愛い娘も出てきて、家中フェロモンで窒息状態です。

2人目のドーラは、20年ぶりの再会に戸惑い気味。
愛妻家の旦那も交えて、この世で最高に気まずいディナーの幕が、今あがります。

3人目のカルメンは、20年ぶりの再会に淡々と応じます。
動物セラピストとして大忙しの日々を送るカルメンは、ドンの花束も、夕食の誘いにも応じるつもりはなさそうです。

4人目のペニーは、20年ぶりの再会に怒り爆発です。
ギャーギャー叫ぶわ、集まってきた男連中にタコ殴りにしてくるわ、取り付く島もありません。

5人目のはずだった彼女のお墓の前で、やっと心の平穏を取り戻すドン。
何の成果も得られず家に帰ったドンを待ち構えていたのは、新たに届いたピンクの手紙。
それを見たドンは、ウィンストンに「手紙の主探しを止める」宣言をします。
諦めきれないウィンストンを後にし、いつものカフェで寛ぐドンは、窓の外に一人の若い男性を見つけます。
何故だか胸騒ぎがして、表に出たドン。
声を掛けて話をするうちに、ドンの中に妙な確信が沸いてきます。
「こいつは俺の息子に違いない」
さあさあ、父ちゃんの胸に飛び込んで来な。
恥ずかしがる事は無いさ、母ちゃんから全部聞いてるんだ。
父ちゃんを探してたんだろう?俺こそがその父ちゃんさ。

妄想全開のドンでしたが、いかんせん根拠の無い確信だった為に、相手はドン引きです。
ドンなだけにドン引き。(←駄目押し)

ドンを「ゲイかキ●ガイ」と勘違いした男性は、スタコラサッサと逃げ出しました。
その時、途方に暮れるドンの前を一台の車が通りかかります。
車の窓から顔を覗けていた若い男性は・・・
「俺にクリソツじゃねぇか!!」

誰も彼もが疑わしい。
誰も彼もが俺の子なのか?
これは、ドンの人生に対するツケなのでしょうか?
それともステキな贈り物なのでしょうか?


予告編を観た時から、面白そうな雰囲気が漂っていました。
主演は“とことんダメ中年だけど、なんだか憎めない”男を演じさせたら天下一品のビル・マーレイ。
彼の(新旧)恋人たちを演じるのは、シャロン・ストーンにジェシカ・ラングにティルダ・スウィントンにジュリー・デルピー。
なんてゴージャスなキャスティングでしょう。
ダメ中年が人生を振り返る、ロード・ムービーかつヒューマンコメディは、私を大いに魅了し、出来れば劇場で観たかった。
お金と時間があれば、劇場に行きたかった。

行かなくてよかったー!!(鑑賞後の結論)

危うく、またもや映画館でセレブなお昼寝タイムを過ごす所でした。
そんなに疲れていた訳ではないのですが、気が付くと私は時間旅行へと旅立っていたのです。
「おかしいなぁ・・ さっき観始めたばっかりなのに、どうしてカウンターが1時間も過ぎているんだろう・・・?」
どこかの時間泥棒が、私の貴重な1時間を盗んでいったようです。

でも大丈夫。
DVDにはチャプター機能と言う物があるので、簡単頭出し。
その後も繰り返される、時間泥棒との戦いを制した私が、何とか辿り着いたラスト。

画面に映し出された、ドン(ビル・マーレイ)の長いアップは、何を語っていたのでしょうか。
そのうち自分を訪ねてくるかもしれない、実の息子。
ホントは存在しないかもしれない、実の息子。
そんな息子の存在は、これから先のドンの人生をどう変えていくのでしょうか。
ニコリともせず、しかし悲壮とも言えない表情で空を仰ぐドンは、もしかしたら家を出て行った若い恋人を、この後迎えに行くのかもしれませんね。
自分だけの気ままな生活を続けてきたドンでしたが、人生と言うのは常に誰かと交わっているものですし、そうする事で生まれる感情が、人生の醍醐味なのではないかと、私は思います。

ドンも、息子と言う存在の可能性を肌で感じたことで、他人と深く向き合うようになってくれるといいな・・・と、親戚のおばちゃんのように心配してしまいました。

ちなみに、エンドクレジットを観るとビル・マーレイにクリソツだった男性は、ホーマー・マーレイだと言う事が判りました。

リアル息子かぁ・・・
そりゃ似てるわなぁ。
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「リストを作れ」「いやだ」「ブランチを食べに来い」「いやだ」「計画を立てておいたから、後はカードを使って旅に出ろ」「いやだ」
コンピュータ関係でひと財産を築いたビル・マーレイ扮するドン・ジョンソンならぬ“ t ”付きのドン・ジョンストン。かつてはドン・ファンばりに女ったらしだった彼もいつしか人生の坂を下りつつある中、ある日突然『あなたには子供がいて、もうすぐ19歳になる』なーんて書
人生は思いがけない驚きを運んでくる ダメな人生も愛おしい!  見る人とその時の気分を選ぶんだよなぁ。。この監督・・・でもジム・ジャームッシュ監督の作品ではこれが一番好きだな

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