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『輪廻』

2007年01月20日
20070119221838.jpg  みんなまとめて、江原啓之に視て貰いなよ!



『呪怨』シリーズで、日本はおろか世界をも制してしまった清水崇監督が、今度は“前世”をキーワードに新たな恐怖を創り出しました。
その名も『輪廻』
今、恐怖が生まれ変わろうとしている・・・!。

関係者でもないのに、どうしてこんな売り文句を並び立てているのか、自分でも皆目見当が付きません。
でも、ちょっと「うまいこと言ったなぁ」と悦に入っている自分も居たりします。
そんな自分が大好きです。

自己完結は、寂しさを倍増させますのでそれくらいにして置いて、前から気になっていた『輪廻』を鑑賞しましたので、そのレビューを書いてみたいと思います。

あらすじ(主人公・渚編)・・・
“35年前に起きた大量殺人事件”を題材にした映画のオーディションを受けた頃から、渚の周りでは奇妙な現象が起こり始めていました。
ブサイクな人形を抱えた、謎の少女が視界の端をウロチョロし、夢の中には不気味な赤い屋根のホテルが度々登場するのです。
そして、映画のリハーサルが始まると、彼女の怪現象は益々エスカレート。
知らないはずの現場の情景や、鮮明な事件の詳細が浮かぶ事から、ついに渚はある結論に達します。
「あたしはあの少女の生まれ変わりで、あの事件の被害者だったんだわ・・・!」
記憶の謎が解けた頃、映画の撮影は佳境に差し掛かっていました。
撮影所内に再現されたホテルのセットの通路を死に物狂いで逃げ惑う渚は、いつしか35年前のホテルの通路に迷い込んでいくのでした・・。
追い詰められた渚が見た、衝撃の“その瞬間”とは・・?


あらすじ(女子大生・弥生編)・・・
幼い頃から、弥生は同じホテルの夢を見ていました。
赤い屋根のそのホテルは、弥生にとって楽しくもあり、得体の知れない恐怖の根源でもあったのでした。
ある日、その夢を恋人に相談した所、前世に詳しいという“不思議ちゃん”を紹介してくれました。
「あたし前世で殺されてるから~」とイタイ衝撃告白を軽くかます“不思議ちゃん”は、弥生に自分が殺された前世の舞台となった新聞記事を見せます。
なんとそこに写っていたのは、弥生が夢に見ていたホテルだったのでした。
「あたしの前世は、このホテルに絡んでいるに違いない・・・!」 
弥生は、単身前世の記憶を探る為、問題のホテルを訪れます。
しかし、そこには恐ろしい姿をした怨念たちが、“その瞬間”を待ち構えていたのです・・・。


あらすじ(映画監督・松村編)・・・
恐怖映画を得意としてきた松村が、新たに題材に選んだのは、35年前にあるホテルで起きた大量殺人事件。
「ある大学教授が、発狂の末自分の娘と息子を殺し、同じくホテルにいた宿泊客や従業員11人を次々に殺害し、最後に自ら命を絶つ」と言う、『シャイニング』と『八つ墓村』のうまいトコ取りしたような事件です。
綿密な取材の末脚本を完成させた松村は、配役のオーディションで見かけた渚に強く惹かれます。
彼女を主役に大抜擢し、映画の製作を開始した松村でしたが、その作品に懸ける情熱は少し度を越えており、周りのスタッフやキャストは困惑を隠せません。
「どうして監督は、この事件を題材に選んだんですか・・・?」
そう渚に聞かれても、答える事が出来ない松村。
なぜなら、松村自身にも、この事件に惹かれる理由が判らなかったから。
そして、撮影が佳境に入った時、松村は“その瞬間”に引きずり込まれ、自らの恐ろしい真実を知る事になるのでした・・・。


あらすじ(渚のマネージャー・村川編)・・・
新人女優・渚を売り出そうと、日夜頑張っている村川。
しかし、当の本人は村川の話を聞いているのかいないのか・・。
いつもボンヤリ顔で、夢の世界に片足を突っ込んだ状態でした。
そんなある日、ダメモトで参加させた映画のオーディションに、渚が奇跡的に合格。
ついに舞い込んだチャンスに浮かれ小坊主気味の村川でしたが、肝心の渚は日に日に憔悴して行くばかり。
「幻聴」だの「幻覚」だの、果てには「前世がどう・・」だのと、怪電波を飛ばしまくっています。
「こりゃあ女優で売り出すより、FBI超能力捜査官マクモニーグルの特番で、霊視でもさせる方がブレイクするかもな・・・」
そんな営業方針の転換を考えていた村川でしたが、渚に現像を頼まれていた8mmフィルムを何の気もなしに観て、背筋の凍る思いをしました。
そこには、村川の想像を絶するような光景が映し出されていたのです。
どこかのホテルで繰り広げられる、容赦ない殺戮の数々。
その全てが、加害者によってカメラに収められていたのでした。
そしてフィルムの最後。
“その瞬間”にカメラに映った加害者の顔は、村川が予想だにしなかった人物だったのでした・・・。


いわくつきの廃屋から一旦離れ、清水崇監督が次の舞台に選んだのは、やっぱり廃屋でした。
廃屋は廃屋でも、とってもビッグサイズ!
ジャジャーン!
今回の舞台は廃ホテルでーす!!


大きい事はいい事だ。 ・・と清水監督が言ったかどうかは判りませんが、ハリウッドで成功したお陰で、今回の作品では一億円のセット(廃ホテル)を建てて貰ったようです。
同じく、大枚はたいて豪華なセットを建てた『有頂天ホテル』に張り合うかの如く、湯水のように制作費を使ってやがりますね。
でもいいんです。東宝は只今バブルの真っ最中ですから。

ただ、そんな大規模なセットを作った割には、画面に映るシーンが同じような廊下ばっかりで、敷地の大きさがちっとも感じられなかったりしますが、そこはご愛嬌と言う事で。
さて、そんなゴージャスなセットで繰り広げられる恐怖の物語『輪廻』なのですが、私が常々J・ホラーに対して抱いていた
「貞子や伽椰子やその他の黒髪の怨霊達に殺された可哀想な被害者たちは、どうして霊体になった後に怨霊達に仕返ししないのか?」
すなわち
「立ち上がれ! その他大勢の犠牲者の霊よ!」
と言う想いに対し、
「ああ、そうだよ! やり返すよ!生まれ変わってね!!」
と、ズバっと答えてくれていたのでした。

清水監督、あんたやるね! 映画界のみのもんただね!(←特に意味は無い)

もう少し詳しく言うと、35年前にき●がいの手に掛かり、無念の死を遂げた犠牲者の方々が時を越えて生まれ変わり、同じく生まれ変わっていた加害者に仕返しすると言うお話です。

ただし、犠牲者の霊たちはそのままの状態では復讐出来なかったのか、はたまた回りくどいやり方が好きだったのか、「一度記憶を残さず普通に生まれ変わり、その後もう一度死んでゾンビ化する事でパワーアップし、加害者(の生まれ変わり)を追い回します」という念の入れ様。

・・・2度目の死亡って、必要あったんか?
恨みがあるんなら、生まれ変わらずに最初に霊になった時に、速攻で祟ってやればいいような気もしますが・・。
ところが、映画を最後まで観てみると、実は最初に殺された時バッチリ祟っていたようなので、要は「生まれ変わっても、もう一度祟りたい。いや、出来る事なら何度でも付きまといたい」と言う事なのかもしれません。

犠牲者も相手を選ばないととんでもない目に遭う、といういい例なのではないでしょうか。
伽椰子は、自分が呪った相手が粘着質な性格じゃなかった事を天に感謝すべきですね。

さて、そんな“鬼のようにしつこい犠牲者の復讐”を白目を剥いた優香のおののき顔と共に描いた今作。

「事件の加害者である、き●がい教授が根城にしていたホテルの部屋が227号室なのは、『シャイニング』に出てくる恐怖の象徴的部屋のナンバーが、原作版は217号室、映画は237号室なので間をとって227号室なんだろうなー。」
とか、
「激しく粘着体質な生まれ変わりさんたちの姿が、まるっきりゾンビそのもので、加害者の後を追いかけて太陽の降り注ぐ街中に佇む姿なんて、とっても『死霊のえじき』チックだよなー」
とか、清水監督のマニア心をヒシヒシと感じながら、とっても楽しめました。

中でも、一番今作で見所となった、呪いのブサ可愛人形。

犠牲者の中で最年少の少女が大切にしていたこの人形は、岡本真夜を髣髴させる眼差しとやな感じにリアルな黒髪が小憎たらしい、ステキなお人形さんです。
今回の作品で、『呪怨』のトシオと伽椰子の2人分の役割を果たす、重要人物(人形)。
可愛げのなさではチャッキーを軽く越えているのですが、ラストで怨念の塊と化して、加害者の生まれ変わりに迫るシーンでは、CGではなくストップモーション・アニメで大活躍。
軽やかなステップを披露しつつ、チャッキーばりの顔面七変化を魅せてくれます。

か・可愛いじゃねぇか・・

ずっと、「ブサ可愛」「ブサ可愛」と言ってしまってゴメンね。
あんた、意外と可愛いぜ・・!

ラストのお人形さんのショットが余りにも、小憎たらしいほど可愛くて、いつの間にかいなくなっていた松村監督(椎名桔平)の存在も気にならない程でした。

ともかく、フランス人形や日本人形が怖くない方ならどなたでも楽しめる怖がれる、とっても上手い恐怖映画だったと思います。
ただし、それらの人形系がバチーンと怖ツボにはまる方は、後々までトラウマになる可能性大ですので、避けて通った方が身の為かも知れません。


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ハリウッド版「呪怨」で、全米No.1を成し遂げた清水崇監督の輪廻転生をテーマとしたホラー映画。ちなみに「呪怨」の時に、マスコミがやたらと「日本人初全米No.1」を連呼してたが、日本人初の全米1位は1999年に全米興収8600万

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