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『死ぬまでにしたい10のこと』

2006年03月22日
突然ですが、映画とは『夢物語』であると、私は思います。


所詮は絵空事、と言うのは余りにも愛の無い言い方なので、こう言うのです。
観ていて不愉快になる『夢物語』もあれば、幸せな気持ちに包まれるものもある。
この作品も、そんな『夢物語』でした。

主人公が直面する『現実』(末期ガン)は、容赦なく彼女の人生に終止符を打とうとします。
そこで、彼女が残された人生に課した10の命題。


「娘に毎日愛していると言う」「娘が18歳を迎えるまでの全ての誕生日用にメッセージを残しておく」「自分の後釜(夫の再婚相手)を見つける」と言った、ハートウォーミングなものから、「お酒とタバコを思う存分楽しむ」「疎遠にしていた父親に会いに行く」と言う余命幾ばくもない故的なもの。
そして、青春真っ只中で初めて付き合った人と出来ちゃった結婚して、そのまま“愛はあるけど貧乏”な生活を送ってきた彼女ならではな、「夫以外の人と付き合ってみる」「誰かを自分に夢中にさせてみせる」と言う、煩悩丸出しなものまで、様々な課題。


映画はその過程を綴っていくのですが、その目線はあくまで冷静です。
病に倒れるくだりも、末期ガンを宣告されるくだりも、残された時間の描き方も、決して煽情的になる事無く、淡々と描かれて行きます。


私は『さあ泣け泣け』的な映画が好きではないので、ここは好感がもてました。


しかし反面、あまりにも淡々としすぎて、もっと伝わるべきモノが薄れてしまっている感がしてならないのです。


現実は、きびしい。


不本意な死の宣告を受け、人生を思い通りにならないまま終えるしかない人は、少なくない筈です。 
取り乱してしまうでしょうし・・・。  
『死』というものを受け入れるのには、どれくらいの時間と覚悟が必要なんでしょうか?


この作品の主人公は、そのハードルをわりと軽く越えてしまっている感じを受けるのです。 
そんな簡単に割り切れるのでしょうか?


容赦ない『死』というものを。


そして、この上なく恵まれた環境。
夫は優しく、主人公だけに惜しみない愛情を注いでくれる。
主治医はガンの告知をためらうほど、情の深い人です。
母親は、ぶっきらぼうですが面倒見がいい。
そして、新たにゲットする恋の相手は、これまた主人公に初めて会ったその日から彼女にゾッコン状態で、「僕を選んでくれなくても、君が幸せになってくれるなら、僕はそれでいい(涙交じり)」なんて、不倫したい主婦にとって理想的な台詞を捧げてくれます。


自分の後釜(後妻)候補も、偶然隣に引っ越してきた独身女性(美人・性格よし・手に職あり・子供好き)でばっちり。


『死ぬまでにしたい10のこと』は、いとも簡単に、そして完璧に達成されます。
話の合間合間に、主人公の死後らしきシーンが挟み込まれているのですが、そこに映し出される登場人物のすがすがしい表情も、何だか引っかかってしまいます。


彼らの顔には悲しみはなく、「あの人、いい人だったね」くらいの、いい想い出でしかないように思えてしまうのです。
別に末期の状態を映し出して、悲しみにくれる人々や、死に逝く主人公の姿で「さあ泣け」をやってくれる必要は無いんですが、もう少し死の影を濃く表現してくれたら、もっと彼女の残された『生』が引き立つのではないでしょうか。


とはいえ、この作品の中にははっとする台詞も出てきます。
人は誰しも、今ある『生』を当たり前に捉えている。
だからそこに『死』を突きつけられた時、初めて見えるものも多いはずです。
『死の影』があって、初めて引き立つ『生の光』、と言うのも変な話ですが、実際そうなのかもしれません。


冒頭、全身に雨粒を受けて、素足で芝生に立っている主人公に、溢れんばかりの『生』を感じました。
もうちょっとこの感じが、本編にも現れていたら、もっと深い感動があったかもしれません。


それにしても、一番可哀想なのは最後の恋の相手に選ばれてしまった、測量技師のリーさん・29歳(推定)です。


泣いちゃうくらい好きなのに、 旦那がいるから結ばれないと思ってたのに、 実は相手は「私、余命少ないんだけどなー」って思ったなんて・・・。


夢中にならせるだけならせといて、死別ですか。


先立つ方は、そらいいですわなー。    
残された方の身にもなってみい!!


って、怒ってもいいんだよ。
でも、意外とさっぱりした顔の後日談みたいなシーンがあったので、実はただの惚れやすい男だったのかもしれません。


って、どっかで見た顔だと思ったら、『ハッピー・フライト』の“たわし君”だったーーーー!!


あの映画でも「理想の相手」役だったなー・・・。


アメリカではこんな顔がイイ男なのか・・・?


やっぱり、あそこの国のハンサム規定はわかりません。


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(↑ たわし・ふたたび)
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