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『ジャケット』

2007年01月14日
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「むかーしむかーし、ある所に・・・。」
現在のハリウッドで、最も常田富士男のナレーションが似合う男、エイドリアン・ブロディ。
実写でわらしべ長者を製作する際は、是非エイドリアン・ブロディにオファーして頂きたいモノです。
彼には、かすりの着物と山盛りの白飯が絶対似合う。そう思うのは私だけですか?
なぁ、おっかあ・・・!!

そんな“貧乏だけど村いちばんの正直もの”エイドリアン・ブロディが、今や若手女優のトップを行くキーラ・ナイトレイとお届けする『ジャケット』。
脇には何気に、ジェニファー・ジェイソン・リーやダニエル・クレイグやブラッド・レンフロまで出ていて、俳優のお得度120%のとても濃い作品だったのでした。

あらすじ・・・
1992年。
湾岸戦争で頭に傷を負い、記憶障害を抱えたジャックは、あての無い放浪の途中で1組の母娘に出会います。
アル中の母ジーンと、健気な娘ジャッキー。
故障して立ち往生していた彼らの車を直し、ジャッキーにせがまれて自分の認識票を差し出すジャックですが、ジーンに絡まれた為に慌ててその場を立ち去ります。
その直後、ジャックはヒッチハイクした車でカナダを目指すのですが、白バイに呼び止められた車の運転手がいきなり逆上。
警官は運転手に銃殺され、ジャックもまた頭に怪我をし意識を失ってしまいます。
目覚めたジャックは、状況証拠から警官殺しの罪を着せられ、精神状態が悪いという理由で、刑務所病院に収監される事に。

刑務所内では、ジャックの無実を訴える声はただの精神病患者の叫びとしか捉えられず、有無を言わさぬ矯正治療が施されます。
その治療とは、今では中止されている筈の荒療治。
拘束衣を着せられ、死体を入れる為の狭い保管棚に閉じ込められると言うモノです。

身動きも取れず、視界も確保出来ない真っ暗闇の中、ジャックは正気を失いそうになりながらも、ある風景を目にしていました・・。

2007年。
荒んだ生活を送るウェイトレス・ジャッキーは、店の前に佇んでいた男性がどうしても気になり、逆ナンして家に連れて帰ると言う暴挙に出てしまいます。
一歩間違ったら自殺行為ともなりうる、かなりハイリスクな逆ナンでしたが、男性はいたって紳士で、ジャッキーが風呂に入ろうがノゾキもせずに、冷蔵庫の残り物で夕食を作る気の利きようです。
ここまでソツの無い男は、木村拓哉以来かもしれません。

しかし、そんな紳士な男性でしたが、ある写真を目にした瞬間豹変します。
その写真は、亡くなった母・ジーンとジャッキーの幼い頃の写真。
「これは君なのか・・?」
そして、ジャッキーが昔親切なおじさんに貰ってから大切にしてきた認識票を手にし、
「これは僕がちっちゃい女の子にあげたものだ・・!」

狐につままれたような気持ちのジャッキー。
何故なら、それをくれたおじさんは、15年前に刑務所で死んだ筈だったからです。


1992年。
拘束衣を着せられて気絶している間に、自分が未来にタイムトラベルしていた事を悟ったジャック。
しかし、謎は膨らむばかりです。

何故自分は死ぬのか・・?
ジャッキーの言葉は本当なのか?
誰が自分を殺すのでしょうか?
それを解く為には、再び未来に行く必要がありました。

2007年。
変質者扱いして、酷寒の最中家から叩き出した男が、懲りずにジャッキーの店にやって来ました。
やっぱり、素性の判らない男を家に連れ込んだりするもんじゃありませんね。
そんな若干の後悔も頭を過ぎりますが、彼はジャッキーを妙にトキメかせてしまうのです。

その男・自称ジャックは、どこまでも「自分がジャッキーに認識票をあげたおじさんお兄さんだ」と言い張り、「仕組みは判らないが、自分の本体は今1992年の刑務所に居て、どうやら分身がタイムトラベルして2007年に来ているらしい」と、イタい発言を繰り返します。
最初は半信半疑だったジャッキーでしたが、徐々にジャックの言葉を信じるようになるのでした。
愛のなせる業なのでしょうか?
それとも少女時代に刷り込まれた、初恋のなせる業なのでしょうか?
ジャックがロリコンで、ジャッキーがファザコンだったのでしょうか?
ジャックの愛称がジャッキーだったとしたら、どっちもジャッキーになってしまってややこしいのではないでしょうか?


果たしてジャックは、自分の死の真相を掴む事が出来るのでしょうか・・?
ジャックとジャッキーの時を越えた愛情は、成就するのでしょうか・・?


観る前は、サイコサスペンスなのかと思っていました。
観始めた時は、記憶障害モノサスペンスなのかと思っていました。
しかし、観終わってみるとこれが、堂々たるSFラブロマンスだったのでした。

タイトルになっている“ジャケット=拘束衣”が、あまりにおどろおどろしい為、エイドリアン・ブロディはどんな酷い目に遭わされるのだろうか、と精一杯心配してあげていたのですが、予想に反して本人は嬉々としていました。
そりゃそうですよね。
その見た目とは裏腹に、“ジャケット”の役割は甘くせつないもの。
機能面で言うと、のび太の部屋の机の引き出しですから。

愛しい彼女に会う為、精神患者を装ってでも拘束衣(別名“現実逃避ジャケット”)を着せて貰おうとする・・・。
なんと健気な男心でしょう。

作品では、どうして拘束衣+監禁がタイムトラベルの入り口になるのか、説明付けはありません。
その為、
「もしや2007年の世界は、ジャックが監禁中に見ている夢なのかも・・・」
とも思いましたが、行く先々で出会う1992年にも存在する人々が、ばっちりジャックを認識するので、
「これはガッツリ時間旅行してやがんな」
と判りました。

そう確信してしまえば、あとは作品のロマンスに酔いしれるのみです。
年の離れた(でも離れていない)奇妙なカップルの悲恋が、どうか実りますように・・・!と、身を焦がしながら画面の前でハラハラする1時間40分。
それはとても濃密で、せつない1時間40分でした。
設定やストーリーは異なりますが、“愛する者の未来を守る為に、自分を犠牲にする”と言うところが『12モンキーズ』を思い起こさせるような気がします。

ところで、胡散臭い登場人物の中でも特に異彩を放っていた、精神病患者役のダニエル・クレイグが“新ジェームズ・ボンド”だった、と言うオチは、私の正月ボケを吹き飛ばすに余りあると思うのですが・・・。
同じく本作にひっそり出ていたブラッド・レンフロ(『依頼人』『ゴールデンボーイ』)が、『ゴーストワールド』に激デブ&ハゲ姿で登場したのを見た時以来の衝撃だったと思います。
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