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『マルホランド・ドライブ』

2006年12月03日
20061203193945.jpg    キャッチコピーは“わたしのあたまはどうかしている

・・・丸投げか? コムストック・・(←配給会社)


わけわからんぞー!!

なのにナゼだろう・・・。
そのわけわからなさを、至福の時と感じてしまうのは・・。


デヴィッド・リンチ渾身の一作、『マルホランド・ドライブ』。
振り落とされまいと頑張って頑張った2時間半でしたが、結局またしてもリンチ先生に煙に巻かれてしまいました。

しかし、確かに訳の判らない伏線や、訳の判らない登場人物、訳の判らないストーリー展開の本作なのですが、実の所は極めてシンプルなんじゃないかと思った訳です。

これは、ただ純粋に、狂おしいほどの、愛の物語なのです。

あらすじ
夜の闇に包まれた、マルホランド・ドライブ。
そこを走っていた車が事故に遭い、中から辛うじて脱出した女が一人。その女は記憶を無くし、ヨロヨロと逃げ込んだ場所は閑静な集合住宅。
その住宅にやって来たのは、家の持ち主の姪で女優を目指しているベティ。
誰も居ない筈の家にあがり込んでいた女に、大した警戒心も抱かずむしろ同情を持って接するベティ。
女の所持品から素性を探ろうとするが、持っていたバッグに入っていたのは大金と一本の鍵のみ。
少しずつ蘇る記憶を頼りに、女の正体に近づきつつある2人。
その友情は、いつしか愛情へと変わって行くのだった。

しかし、女がある重要な場所を思い出した事から、2人の運命は奇妙な迷路に迷い込む。

女は一体何者なのか・・?
ベティとの隠された関係は・・?


正体不明な美女の正体を探る、謎解きモノだと思って、一生懸命画面に喰らい付いていましたが、そんな私(観客)をあざ笑うかのように早速登場する、リンチ作品ではすっかりお馴染みの“小人”。

出た! 小人!!
でもって、今回は踊らないんですか。
そうですか。
でもやっぱり部屋は、紅く分厚いカーテンに囲われているんですか。

今にもドレープの隙間から、ローラがひょっこり顔を出しそうな部屋の中心で、偉そうにふんぞり返っている“小人”は、どうやらハリウッドを牛耳る大物のようです。

そして、その“小人”に、無理やり女優を主役に押し付けられて窮地に陥る、新進の映画監督・アダム。
腕は買われているようですが、かなり生意気なアダム。
監督を降板させられ、口座も凍結されて、嫁には浮気されて、絶体絶命のアダムに救いの手を差し伸べるのは、“カーボーイ”。
人なのか、悪魔なのか、それとも神なのか?
正体不明の“カーボーイ”。

他にも、占いが得意な、丸太おばさんならぬ電波おばさん。
やたらとメイクが濃い、集合住宅の管理人・ココ。
マヌケな殺し屋・ジョー。
めっさ怖い顔の浮浪者。

他にもチョコマカと登場しては、観ているものを煙に巻くべく、煙幕をモクモクと巻き上げてくれる沢山の登場人物。
何でも、本当はテレビシリーズの予定だったらしい本作。
なるほど、納得です。
出来ることなら、彼らのもっとディープな話が観てみたかった。
でも、映画に仕上がったからこそ味わえた濃密な時間。

リンチの作品を100%理解する事は、きっと誰にも出来ない事でしょう。
だって頭おかしい感性が特殊なんですもの。リンチさん。

ですから、画面から伝わって来るメッセージを、アンテナ最大限に伸ばして拾い集めるしかないのです。
そして、私が受信したメッセージが、最初に書いた
狂おしいほどの愛の物語だったのです。

裏あらすじ
女優になる夢を抱いて、ハリウッドにやって来たダイアン。
現実に直面し傷付き、夢を失いそうになった時に出会ったカミーラと、激しい恋に落ちます。
しかしカミーラは、新進気鋭の映画監督と交際し、ダイアンの目の前で彼との婚約を発表。
裏切られたダイアンは、殺し屋にカミーラの殺害を依頼します。
殺害が成功した証拠を殺し屋から突きつけられたダイアンは、絶望の果てに拳銃自殺をするのですが、その死の瞬間に死神から夢を見ることを許されます。
甘く美しくせつない夢を・・・。
その夢の中では、ダイアンはカミーラと運命の巡り会いを果たし、女優の夢も手に入れます。
しかしまた、その夢は自責の念から恐ろしい悪夢へと変わって行くのです。

心の奥底にしまいこんでいた、愛する者を殺してしまった悔やみが、謎解きと言う形で明らかになった時、死神が再び現れ、ダイアンに旅立ちの合図を告げるのでした。


意味ありげでさっぱりわからないキャッチコピーのせいで、不条理モノだと刷り込まれた観客が、動員数の21%を占めているのではないかと思いますので、配給会社のやつらに「どうかしているのはおまえのあたまなんじゃないか?」と言ってやりたい気分です。

リンチ先生の思いつきに任せて、モクモクと巻き上げられる煙幕の数々は、確かに理解不可能・深読み警報発令は必至なのですが、じっくり観ていれば意外にストレートなストーリーが浮かび上がってくる事に気付かされます。

歳を重ねても一向に衰える事を知らない、リンチ先生の怪しげで魅力的な世界観。
そこに迷い込む事は、なんと幸せな事なんでしょうか。

一本観終ってからフル稼働される脳細胞は、『アルマゲドン』の20倍はいきそうですから、“大人のDSトレーニング”をする為のDSliteを買う為に、トイザらスに並ぶ必要が無くなるのも魅力です。

どこまでもついて行きたい。
リンチ先生の魅力を再確認した一本でした。
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