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2021年上半期ベスト10をえらんでみましたよ

2021年06月30日
新型ウィルスにおびえ、偉い人に翻弄されている間に2020年が終わったと思っていたのに気づいたらもうすでに2021年も折り返し地点という今日この頃ですが、みなさまいかがおすごしでしょうか。
毎日毎日うんざりするようなニュースばかりを突きつけられて、とっくにメンタルの容れ物はひびだらけで、隙間から「まともさ」がこぼれ落ちているような状況ですが、とにかくわたしたちは生きているわけで、なにかに生かされているわけで、せめてすきなもので心をつなぎとめながら状況が改善する日を待つしかないのかなぁなどと思っている次第です。
すきなもの。
そう、映画ですよ!

と、いうわけで、今年も感染には重々注意を払いながら自己責任の上、あっちこっちで映画を観てきましたので、今回はその中からとくに印象に残っている作品を上半期ベスト10というかたちでご紹介しますんでひとつよしなに!



1位 『すばらしき世界』
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観る人によって、肯定的にも否定的にもとらえることのできるタイトルが秀逸な本作。
この世界はすばらしい。厭なものから目を背ければ。
この世界はすばらしい。本音を噛み殺し周囲に溶け込めば。
本当にこの世界はすばらしいよね。 と真綿で喉元を締め上げながら問いかけてくるような、厳しくも誠実な映画でした。
傑作。 完璧といっていいのではないでしょうか。
犯してきた罪を償い人生を再生しようとする主人公を本気で支えようとする人たちと、その人たちが最後に浮かべる表情がとどめをさしに来るぞ・・・ 気をつけろ!


2位 『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』
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MCUでアメコミ映画に魅了されたみんなが期待していたものの、MCUのアメコミ映画メソッドを取り入れた製作者が弄りまわしたせいで中途半端な内容になってしまい、MCUとの間に超えられない壁を築いてしまったと評判だった『ジャスティス・リーグ』が4年の時を超えついに復活!
本来指揮をとるはずだったものの諸事情で降板せざるを得なかったザック・スナイダー監督が、MCUどこ吹く風とばかりに盛大な夢小説をぶちあげた結果、これだよこれ!なジャスティス・リーグが出来上がりました。
饒舌だけど言葉足らず、かゆいところに手は届くが深堀りしすぎて出血、伏線回収完全放棄といういつものザック節が存分に味わえてオレ悶絶。
劇場公開版では省かれていたみんなの事情や見せ場が大盤振る舞いされるため、強い子はちゃんとつよく、速い子はもっとはやく、優しい子はとことんやさしく、賢い子はさらにかしこく、バットマンはすごくバットマンになっていまして控えめにいって最の高。
っていうか、フラッシュちゃんめちゃくちゃ活躍するじゃん!劇場版どころの騒ぎじゃないじゃん!なんだったらスーパーマン以上に活躍するじゃん!これスクリーンで観たかったなぁー!!!
正直、上半期2位に選ぶほどなのか?と聞かれたらそうでもないのかもしれませんが、空腹時にたべるラーメンって史上最もおいしい食事じゃないですか。 そういうことです。
待った甲斐があった、そう思える「きれい」なジャスティス・リーグでした。
欲をいえば、フラッシュちゃんとスーパーマンの徒競走はカットしないでほしかったなぁ。


3位 『燃ゆる女の肖像』
燃ゆる
今までの映画では観たことなかったような自然な女の姿。
腹が減れば勝手にガツガツ食い、股をチェックして月経に気づき、その痛さに苛立ち、走りたいときに走る。
あったようでなかった姿。そして残酷なまでに生と死が混在する闇医者シーン。すごい。


4位 『ザ・ライダー』
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めまいがするほど果てのない草原と荒々しい岩肌。
どうやって撮ったのかわからないハードなロデオ、そしてしなやかな馬。
広すぎるけれど生きてゆくにはあまりに狭い、この世界は困難で優しい。
その境遇の役は同じ境遇にある人に演じさせるべき、という、最近よくいわれる言葉に心の底から納得してしまったエンドクレジット。
リアルな人たちが出演しているけどドキュメンタリーではない。
本当にそれがわかる人たちがその物語を演じているだけなのだ、という説得力。
紛れもない「映画」であることに胸をうたれました。


5位 『パーム・スプリングス』
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時空の切れ目に迷い込み、永遠に同じ一日を繰り返すことになってしまった主人公ナイルズと、恐怖心を好奇心が上回ってしまったせいで彼と運命をともにすることになってしまったサラの物語。
何度死んでも同じ朝に戻るお話は珍しくないものの、この作品にあふれる圧倒的な陽気さと底なしの絶望感は今までのループものとは違った感覚を与えてくれます。 
なんでもできる(許される)自由な毎日、ただひとつ許されないのは死ぬこと。 
誰と生きるか、どうやって生きるか、生きるってなんなのか。 ループにとらわれた三人の登場人物が選ぶそれぞれの道に、ふと自分の人生を重ねて考え込んでしまいました。
ところで最後のあれ、J・K・シモンズさんにも教えてあげてるよね?メモかなんか渡してあげてるよね?渡してあげていておくれ~!


6位 『ザ・スイッチ』
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身内に不幸があって以来殻に閉じこもり、家族ともギクシャクしている女子高生と、マイケル・マイヤーズ+ジェイソン的中年殺人鬼の魂が揉み合った拍子に入れ替わっちゃった!さあどうなる学園祭!というドタバタハートウォーミングホラー。
登場人物みんなかわいいけど、特に中年殺人鬼ヴィンス・ヴォーンが激烈にあざとかわいい! 
片思い中のアメフト部員と車の中でふたりっきりになるシーンは、近年稀にみる緊張感 ・・・いい意味でキュンです!
ホラー描写と青春全力投球の緩急バランスがとてもいいので、どなたにも楽しんでいただけるのではないでしょうか。


7位 『バクラウ 地図から消された村』
バクラウ
なるほど、これが全裸中年男性か!
富めるものが貧する者を蹂躙する物語であり、窮鼠が猫を原型なくなるまで噛みつぶす物語でもある。
観たままを信じれば裏切られ、見えないものを期待すれば報われるという点では予想の範囲内でもあるけれど、ふとした瞬間流れる奇妙な空気がとても魅力的だったので上半期ベストに入れたくなりました。 
ウド・キアの安定感よ・・・!


8位 『ビバリウム』
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以前書いた感想


9位 『JUNK HEAD』
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いつか訪れるかもしれない未来の話。 
生殖機能をうしない絶滅の危機に瀕した人類の代表として、地下に住む人口生命体の調査に向かった主人公が、記憶をなくしたりはじめてのおつかいに出かけたり崇め奉られたりする摩訶不思議アドベンチャー。
デヴィッド・リンチのなまめかしさとクライヴ・バーカーの造形美とデルトロのいたいけな少女観がミックスされた、NHK教育夕方枠ハイブリッド人形アニメという感じでめちゃくちゃすきなやつでした!
自費出版だというパンフレットは製作資料としてとても有能。
ほぼ予備知識なしで観たので、ラストは「ここで終わるんかい!」とひっくり返りました。 続編、観たいなぁ。


10位 『サンドラの小さな家』
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DV夫と別れてふたりの娘と新生活を始める母親の物語。
しかし、始めようとした生活はそう簡単ではなく、常に貧困と元夫の問題が歩みを妨げる。
行き詰りそうになるたび彼女の前に現れる、「やさしい」人々の存在は、あまりに見返りのないやさしさゆえに不安になるほど。
悪意ある人間と手を差し伸べる人間の配分がほどよいので、ハードな物語なわりに安心して観ていられたものの、終盤に向けての追い込み方とまさかのクライマックスに打ちのめされました。
ひとつ言うならば、裁判描写を盛り上げるためとはいえ、「あの時」起こっていたことを打ち明けるタイミング遅すぎじゃないか?まっさきに言っとくことじゃないの?
離婚すれば他人になる親も、子どもにとっては一生家族であるという現実を受け入れたうえで、互いを「ひとでなし」にすることなく且つ子どもを傷つけないよう育てるにはどうすればいいのか、という点が実はもっとも重く難しい問題なのかもしれないなぁと思いました。



以上が現6月末日時点での上半期ベスト10です。
いちおう鑑賞した数字だけあげておくと、劇場公開新作映画は41本、動画配信新作が2本、スナイダーカットが1本、旧作は27本あったうちの10本です。


ほんとはね、簡単でいいから観たすべての感想を書きたかったんですよ。
まぁ、毎回「今月こそはやるぞ!」と意気込みながらずるずると暮らした結果がこれなんですけどね・・・ せめて月単位でまとめたい・・・ あとあと(ベストを決めるとき)困るのは自分なのだから・・・

・・やるか・・・
やってみるか・・・



では、以下記録用に全鑑賞リスト(と、ひとこと感想)。


『ヤクザと家族 The Family』 ヤクザの北村有起哉がすごくいい
『すばらしき世界』 保健福祉局の北村有起哉がすごくいい
『さんかく窓の外側は夜』 令和版「にいさん頭が痛いよ」
『燃ゆる女の肖像』 突然のミッドサマー感
『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』 ドニーさんからのファンサービス詰め合わせ
『新感染半島 ファイナル・ステージ』 作らなくてもよかった続編
『花束みたいな恋をした』 鼻持ちならないサブカルカップルが自滅するお話
『樹海村』 おもしろいし樹海だけど村じゃなくてもいい。以前書いた感想
『KCIA 南山の部長たち』 上級管理職ながら中間管理職ばりの悲哀をにじませるイ・ビョンホン
『太陽は動かない』 藤原竜也映画としては100点満点だしアクション映画としても80点だけどスパイ映画としては3点
『バクラウ 地図から消された村』 村の資料館がすごくいい
『ストレイ・ドッグ』 円環がすごい
『まともじゃないのは君も一緒』 タイトルどおりのことしか起こらないけどそれがいい
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』 ありがとう、すべてのエヴァンゲリオン
『ミナリ』 おばあちゃんがすごい
『野球少女』 以前書いた感想
『ビバリウム』 そこめくる?!以前書いた感想
『モンスターハンター』 おれたちのたたかいはこれからだ!
『騙し絵の牙』 怒ったり笑ったりと史郎が忙しい。そしてもちろんかわいい
『ノマドランド』 ハウスはないけどホームはある
『ザ・スイッチ』 理解のあるおかあさん映画
『21ブリッジ』 とことんまじめ
『ホムンクルス』 成田凌の天才っぷりがよくわかる
『サンドラの小さな家』 工務店のおじさん、とてもいい
『パーム・スプリングス』 恐竜は何千万年あれを繰り返しているのだろうか
『茜色に焼かれる』 不幸ゲージがいっぱいに!
『AVA/エヴァ』 俳優も豪華でプロットも魅力的なのに凡庸な仕上がり
『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』 前作ほど過激ではなく前作よりも(全員)かわいい
『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』 たのむから靴履いてくれ
『モータルコンバット』 「この世界では魔物と人間が対決していて、10勝した方が征服できるんですよ」「あ、はい」
『JUNK HEAD』 あなた六角精児ですよね?
『アオラレ』 ラッセル・クロウの体形がリアル・プーさん
『ジェントルメン』 良質で贅沢なクライムサスペンス
『ファーザー』 他人事とは思えない、待ったなしの介護問題
『Mr.ノーバディ』 暴力をふるうほど活き活きとしてくる異常者の痛快アクション
『グリーンランド-地球最後の2日間-』 スキルは普通だけど運は全く普通じゃないお父さんが家族を救う
『るろうに剣心 最終章 The Final』 前フリ2時間、本編20分
『るろうに剣心 最終章 The Beginning』 本気で削れば90分でいけるはず
『キャラクター』 小栗旬が容量用法を正しく守られて使用された例
『SNS-少女たちの10日間-』 心の底からうんざりするいい映画。全国の小中高生に見せよう
『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』 前作よりも断然おもしろい。足場を使ったアクションシーンはどうかしすぎているので日本映画史に残されるべき
『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』 やいザック!責任取って続き作れよな!
『アーミー・オブ・ザ・デッド(Netflixオリジナル)』 やいザック!責任取って続き作れよな!!以前書いた感想
『彼女(Netflixオリジナル)』 意欲は伝わるものの、演出が返す返すもダサい
『ロミオ&ジュリエット』 ニューヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵されるべき芸術作品
『ザ・ロック』 安定の海ぶどう
『ティファニーで朝食を』 今観るといろいろきつい
『アンタッチャブル』 音楽を聴くだけで泣きます
『カルメン故郷に帰る』 R・高峰秀子。ストーリーはなかなかしんどい
『探偵はBARにいる』 松田龍平はかわいく、大泉さんはかっこいい
『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』 前作と同じようなオチになるかとヒヤヒヤした
『探偵はBARにいる3』 前前作と同じようなオチになるかとまたもやヒヤヒヤした
『サンキュー・スモーキング』 誰にだって才能はある
『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』 最後まで主人公の魅力がわからなかった
『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』 主人公の魅力に最後まで魅せられた
『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』 若手俳優青田買い映画
『Red』 陳腐
『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』 池松壮亮は唯一無二の俳優なんだなぁと再認識
『徳川女系図』 
『徳川セックス禁止令 色情大名』
『残酷異常虐待物語 元禄女系図』 以前書いた感想
『mellow』 みーんな田中圭をすきになるんだよ!
『15年後のラブソング』 みーんなイーサン・ホークをすきになるんだよ!
『ザ・ライダー』 生きるということ
『スケアリーストーリーズ 怖い本』 因果応報だったりそんなこともなかったり。クリーチャーが豊作
『THAT/ザット ジ・エンド』 想像通りのクソホラー、またの名を時間泥棒
『凪待ち』 絶対に改心しないゴミクズヒモ男の香取慎吾を堪能できるのは凪待ちだけ!
『BEYOND BLOOD』 2000年代初頭に作られた4大フレンチホラーを、監督や評論家へのインタビューで紐解くドキュメンタリー
『デッド・オア・リベンジ』 ありえない状況でありえない変態に遭遇してしまう恐怖を描く胸糞ホラー
『弥生、三月 君を愛した30年』 成田凌をもってしてもどうにも出来ないほどのクソ脚本
『モンスターズ 悪魔の復讐』 邦題のせいで9割ぐらい損している良作

(※敬称略)




それではみなさん、下半期もたのしい映画生活を!!


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