『パラノーマル・アクティビティ5』
2016年06月07日

(※ 以下、過去のシリーズを含めすべてネタバレしています。)
あらすじ・・・
1988年8月9日カリフォルニア州サンタローザ。
ケイティとクリスティ姉妹の母ジュリーとその恋人デニスが魔女ばあさんに殺され、姉妹は魔女コミュに保護される。
2013年11月29日カリフォルニア州サンタローザ。
ライアンとエミリー夫妻の家にライアンの弟・マイクがやってくる。
2013年某月某日。
クリスマスの飾りつけをしていたライアンとマイク、彼らの家に以前住んでいた一家が残していったであろうダンボール箱の中から、古いビデオカメラとVHSテープを発掘する。
そのカメラで自宅を撮影すると、空中にもやのようなものが映る。
2013年某月某日。
ライアンとマイク、VHSに映っていた前住民のハ〇撮り映像に大興奮。
2013年某月某日。
カメラに黒い影が映る。 庭のシーソーがギーギー動く。 プールの水が揺れる。
2013年某月某日。
一人娘のリーラが鏡の前でブラッディメアリーのおまじないを唱える。
それがご丁寧にも逆さ言葉だったため、不安になったライアンとマイクが家中に監視カメラを仕掛ける。
2013年12月12日(第一夜)。
リーラの部屋に『アズガバンの囚人』に出てきた吸魂鬼(ディメンター)と『ホビット』に出てきた死人遣い(ネクロマンサー)を足して2で割ったような黒い影が現れる。
リーラ、黒い影と会話する。
様子を見に来た母・エミリーが黒い影にどつかれる。
2013年12月14日(第三夜)。
リーラ、黒い影に命令されるがまま、暖炉に聖書をくべようとする。
様子を見に来た母・エミリーの周りを黒い影がウロウロする。
2013年12月15日(第四夜)。
発掘した1992年のVHSを観ていたライアン、そこに現在の一家の姿を透視しているケイティが映っていることに気づく。
2013年某月某日。
リーラが黒い影っていうか要するにトビーに命令され、自分のベッドの上に例の死の秘宝みたいなマークを落書きする。
リコーダーをピューと吹くリーラ、何者かと何がしかの交信を始める。
様子を見に来た母・エミリーが窓の外から飛び込んできたトビーにどつかれる。
2013年某月某日。
ヘルプにやってきた神父さんがリーラに聖水アタックを試みるも、噛みつき攻撃で返り討ちにされる。
ライアンとマイク、VHSの中から、自分たちがこの家に引っ越してくる3日前の2010年5月8日に邸内で撮影された映像を発見する。
家を紹介してくれた不動産業者のケイティ・ハバートに連絡をとろうとするも、名刺に書いてあった情報はすべて嘘で、ケイティの素性も現在の居場所もわからないことを知る。
2013年12月17日(第6夜)。
「よっ、おやじ、やってる?」ぐらいな気軽さでしょっちゅう天井からやってくるトビー、調子こいた挙句ライアンやマイクをキッチンに追い詰め、『ジュラシック・パーク』のラプターのシーンを彷彿とさせるようなアプローチで大の大人をおおいにビビらせる。
2013年某月某日。
リーラがベッドサイドに落書きしていた「ハンター」という名前を調べていたライアンとマイク、リーラと同じ生年月日のハンターという少年が2011年から行方不明になっていることと、1992年のVHSにそのハンターくんが映っていることに気づく。
2013年12月18日(第7夜)。
リーラがベッドの脇に時空の抜け道を開く。
様子を見に来た母・エミリー、とりあえずみんなで家から逃げ出すことを決意する。
2013年某月某日。
荷物を取りに来たマイクとスカイラー、なんとなくトビーの魂胆に気づく。
10キロ先のホテルに逃げていたはずのリーラが単身自室に戻り、壁を素手でガリガリやる。
2013年某月某日。
再びやってきた神父が悪魔退治を提案するも、姿を現したトビーにどつかれあえなく死亡。
口から悪魔的なゲロを吐いたスカイラーと、悪魔的なゲロをモロに浴びたマイクも死亡。
脱兎のごとく走り出したリーラを追っていたライアン、胸を悪魔的な触手に貫かれ死亡。
リーラを探して時空の抜け道を通ったエミリー、行き着いた先でケイティとクリスティ姉妹に遭遇し、おそろしい事実を知る・・・。
【今回ひどい目にあう人】

リーラちゃん8さい。 2005年6月6日生まれ。 天真爛漫。 マジ天使。
【今回のカメラマン】

おとうさんのライアンさん。 職業不詳。 たぶん映像関係。 パラアクシリーズには欠かせない「おまえ家にいったい何台カメラあんだよ」系男子。

ライアンさんのおとうとさんのマイクさん。 彼女にフラれたショックでライアンさんちに絶賛居候中。 これまたパラアクシリーズには必須の「何があってもカメラは手放さない」系男子。
【今回の思い出の一枚】

『パラノーマル・アクティビティ3』に出てきたケイティ&クリスティのおかあさんとその恋人が夜中にこっそり試していた恥ずかしいハ○撮り映像が、時を越えて見ず知らずのライアン兄弟に鑑賞されるというこの無差別リベンジポルノ感な・・・
【今回のかぶりつき】

うさんくさいおじちゃんはたべちゃうぞ!!
【例のあの人】

これまでシリーズ皆勤賞だった元祖ぶん投げ王・ケイティさんが、ついに名前だけの登場に。 ちなみにライアンさんが持っているのはそんなケイティさんの名刺です。
【今回の吸引力】

なんと今回もぶん投げなし! シリーズの冠から通し番号が消えた『呪いの印』から投げなくなったのですが、製作陣にはなにか特別な意図でもあるのでしょうか。 たぶん無いんだろうけど。 投げないかわりといってはなんですが、何人か画面奥に吸い込まれます。 画像はライアンさん。 わかりづらいですが、『地獄先生ぬ~べ~』に出てくる鬼の手みたいなゴッツイ手にグサーってやられています。


【どやさ!】

パラアクの申し子ケイティ、おおよそ12さい。 うしろのクリスティはたぶん9さい。 魔女ばあさんに育てられ、魔女コミュの平均年齢引き下げに一役買っています。
衝撃! トビーは全裸中年男性だった!
・ 一時はレンタル屋さんの棚で大繁殖していた「雨後のパラノーマル」シリーズも今やすっかり影を潜め、もはや誰の得のために続けられているのかすらわからなくなってきた「パラアクシリーズ」最新作。 ひとくちでいうと、つまんなかったです。 もしかしたら製作元自体も、長く作り続け過ぎて何がしたいのかわからなくなっているんじゃないでしょうか。 ホラーとしての怖いさもなければ新鮮な驚きもない。 なんでこんなことになったんや・・・。 そもそもこんなに引っ張る話でもなかろうに・・・
・ 過去のシリーズを見返す気力も追っかけるつもりも無い方に簡単に説明しますと、「パラアク」というのはケイティという若い女性が悪魔に取り憑かれ、恋人を殺すところから始まりまして、その後妹一家を殺してその彼らの赤ちゃんだけをさらい、なぜかさらった赤ちゃんを別の家に里子に出し、赤ちゃんが6歳になった頃べつの男の子にその子をさらいに行かせ、18歳まで育てながら悪魔に取り憑かせるというゴール目指してひた走る物語なのですけどね、もうこのあらましの時点で訳がわからないと思うんですよね。 「最終的に男の子を悪魔に取り憑かせるため、誰かに活きのいい赤ちゃんを産ませ、さらったり預けたりもう一回さらったりしつつ18歳まで待つ」ってどういう工程やねん、と。 ずっとひとりの人が保護者として育てたらアカンのかい、と。 その回りくどさはなんやねん、と。
・ で、「なんやねん」と聞かれたら「シリーズを無駄に延命させ、後付けに後付けを重ねた結果がこのありさまなんだよ!」と答えるしかないのが哀しいところで。 以前あった「ソウ」という逆恨みサスペンスもそうでした(ダジャレじゃないですよ)が、シリーズを長引かせるため「もっと謎を」「もっと大がかりな設定を」ってやっていると、どうしても関わる人も増え、徐々に整合性が欠けてくるのですよね。 わたしなんかは素人なので、「どうせあとから作るんだから、前回までの話をきちんと反映させて辻褄合わせればいいのに・・・」って思いますけどね。 そうもいかない何かがあるのでしょう。 きっとそうなのでしょう。 まさか「見切り発車だから」なんていう無責任な理由ではないでしょうとも。
・ 回を重ねるごとにコロコロ変わる設定の中で非常に謎なものとして、三角形に○が入った死の秘宝ことパラアクマークがありまして。

(ハリポタ関係者からのつっこみ待ち状態)
『パラアク3』で初登場して以来、毎回どこかに描き込まれてきたこのマーク。 『パラアク4』で「古代ハットゥシャの豊穣の印」と説明されたと思えば、『呪いの印』では「ミッドワイブズ(助産師)の印」であると、さらに本作では「時空を超えるためのマーク」だっていうんですからね。 その場しのぎもたいがいにしろよと言いたくなりますよね。 ちょっとまってよ魔女ばあさん! こないだまでは「妊婦のお腹に描くんじゃ」って言ってたじゃない! 妊婦に描いたり少年の背中に描いたり物置の壁に描いたり、好き勝手落書きされても困るんですよ! 消す方の身にもなってくださいよ!
・ まあね、百歩譲ってミッドワイブズのマークはもういいですよ。 色んなトコに描きたくなる魔法のマークってことでいいですよ。 魔女コミュのシンボルマークみたいなものでしょ。 形もシンプルだから、お年寄りでも簡単に覚えられますもんね。 それはしょうがないとして、問題は今回ついに復活を果たした悪魔・トビーなのです!
・ 魔女コミュにベビーシッター代わりのような存在としてこき使われてきた悪魔・トビー。 1作目では三本指の獣系悪魔だったはずが、いつの間にやら痩せ型で背の高いおっさんってことになっていて、マジなんなの。おまえは一体なんなの、と。 悪魔とかそういうレベルじゃなく、「幼女とままごとをするのが異様に好きなおっさん」トビーとしての不安が普通に渦巻いていた今日この頃。 ついに満を持してトビーが、幼女の血を得てその実体を手に入れました。 それではご覧いただきましょう、悪魔族代表・トビーさんです!

(あれれ? ほんこんさんかな?)

(ほんこんさんみたいだけどほんこんさんじゃないのかな?)
・ 違うんですよ。 130Rのほんこんさんじゃなくて、れっきとしたトビーさんなんですよ、っていうかトビーさんのご尊顔なんですけども、一番衝撃的だったのは、大した特徴のないいかにも悪魔っぽいこの顔ではなく、肉付きも良くカムバックした際の全身像なんですよ!じゃあ行きますよ!さあお立会い!

マ ッ パ か よ ! !
・ この画像ではわかりづらいですし、うまい具合に股間と頭も隠していましたけど、どうみてもはだかんぼうですね。 全裸のおっさんが8歳の女の子とおままごと事案です。 はい、お疲れさまでした。 おまわりさんこちらです。
・ ホントにね、うそだろ・・・って思いましたよね。 満を持した悪魔がこともあろうに全裸とは・・・。 こんなあられもないおっさんを出してしまって、この先関係者はパラアクをどこへ導いてゆくつもりなのか。 これならばまだ山羊角系悪魔の方がよかったですし、なんだったらシーツを被らせたままでいいじゃない。それでいいじゃない。

(おばけだぞ~)
・ 関係者の迷走というと、今回突然参入してきた新規メンバーである「先生」の存在もかなりとってつけたような謎でしたね。 『パラアク3』のラストからそのまま続く本作の冒頭シーンで、魔女ばあさんがケイティとクリスティ姉妹に紹介する「先生」。 この先4年に渡り、姉妹に何かを教えていたようですが、正直魔術なのか自己啓発的ななのかなのかさっぱりわかりません。 そんなもんいいからちゃんとした教育を受けさせてあげなさいよ! っていうか、中途半端に「4年間の魔教育期間」という新設定を盛り込んだせいで、次作る時はシリーズ1作目(20歳ごろ)までの空白の期間をこじつけなくちゃいけなくなったんだぞ! おい!脚本家!わかってんのか! この教育とあのポルターガイストに怯えていたケイティをどう繋げるつもりなんだよ! ふざんけなよまったく! あと何本作るつもりなんだコンニャロー!

(謎のポニーテールおじさんも幼女がすきなのか!もういっそのこと全裸中年男性と刺し違えちゃえよ!)
・ 前作『呪いの印』において、悪魔が18歳にこだわる理由として「6の3倍が18だから」という小学生みたいな説明がなされていて、大いに脱力しましたが、今回も神父さんが悪魔退治をする理由として「リーラちゃんもハンターくんも誕生日は2005年の6月6日。 ってことは2000年からちょうど6年6か月6日後生まれってことでしょ。これって偶然じゃなく必然でしょ!」と力説していて、このおっさんだいじょうぶなのか・・・と思いました。 その2000年はどこからきたんだよ。 悪魔の沙汰もおまえのさじ加減ひとつなのかよ。
・ ちなみに神父さん、「悪魔祓いは無理だけど悪魔殺しは出来る!」っつって、聖水に浸したシーツで悪魔をぐるぐる巻きにして火で燃やす作戦も立てていましたが、その前にリーラちゃんを聖水で清めた時、まったく効果がないどころか噛み殺すぐらいの勢いでガブーっていかれてましたけど、それを経てもなお、どうして聖水でイケると思った神父よ・・・ なんでもかんでも水と塩でホーリークライスト戦法でなんとかなると思ったら大間違いだぞ・・・!
・ 結局、悪魔を復活させるにあたり最も重要とされていたハンター少年はどうなったのか。 「時空を超える穴」という飛び道具で1988年と1922年と2013年を交錯させたはいいけれど、それはタイムトラベル的な意味を持っているのか、それともちょっと覗き見る程度で、過去の歴史は変わらないのか。 ハンターくんとリーラちゃんの血を使い、晴れてトビーは実体を手に入れたけれど、『呪いの印』を観る限り、悪魔の入れ物候補である男児は他にも用意されているみたいで、そうなると悪魔はいったい何人単位で復活しようとしているのか。 っていうか、そもそも男児は18歳で悪魔覚醒するんじゃなかったのか。 なんでトビーは一足お先に復活出来ちゃったのか。 謎はさらに余計な謎を呼び、広げた風呂敷の生地が薄っぺら過ぎて今にも綻びそうなパラアクシリーズの明日はどっちだ! っていうか、時空うんぬんは前作でもやってたんだから、あの方向性でいけばよかったのに、なんでまた別の入り口開けちゃうかなぁ! おまえらはアレか! 水面に映った自分がくわえている肉が欲しくてワンって吠えるイソップ童話のわんこか!

(娘が壁にこんな悪魔的な記号を描いたら、放置せずにまず消せよと小一時間)
・ 毎度おなじみ「ヨハネの黙示録」から第5章6節が引用されるのですが、ちょっとググってみたら劇中の説明とは全く違う事が書いてあり、パラアクのスタッフは色んな意味で呪われるんじゃないかと思いました。 まずは「製作費がどんどん削られる呪い」からだな!
・ 前作の感想に「いっそのこと次から魔女コミュ・映画部を立ち上げて魔女ばあさん自身が撮影すればいいのに」と書いたら、なんと今回本当にケイティ姉妹を引き取った魔女コミュが延々姉妹の日常を撮影していたというくだりが登場して、とても驚きました。 見たのか。ここを見たのか、ジェイソン・ブラムさん(シリーズのプロデューサー)・・・! ええんやで・・見たなら素直に見たと言ってもええんやで・・
・ ということで、冗談はさておき、もしかしたらテレパシー的ななにかはいつの日か誰かに届くかもしれませんので、海の向こうのジェイソン・ブラムさんへ「時空の扉という白石晃士監督作っぽいアイテムをもっと有効に活用すべく、次回は本家の白石監督と組んで『超パラノーマル・アクティビティ/TOKYO NIGHT新章』にチャレンジしてみてはいかがでしょうか」という念を送りつつ、今回の感想はおしまいにしたいと思います。 ほら・・ついに霊体ミミズみたいなのも出てきたし、絶対相性合うと思うんだ・・・。 ジェイソンさんへ届け・・・オレの想い・・・!
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