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『南極日誌』

2006年10月20日
真っ白な銀世界。
たった6人の冒険家達。
目指すのは“南極到達不能点”その一点。
しかし、歩き・食べ・寝る事の繰り返しは、予想を上回る過酷さで彼らに襲い掛かってきます。

「俺さぁ・・・ 何だか眠くなってきたよ・・・」
「寝るな! 寝るんじゃない!!
寝たら終わりだぞ!!」


スミマセン。寝てました。

一瞬ですが、ばっちり寝てました。
一面の銀世界が悪かったのか、延々と続く過酷な探検が悪かったのか・・・。

いやさ、私が悪いのか?!

南極を舞台に、人間の奥底に潜む狂気と恐怖を、ミニマムな演出で淡々と描いて行く 『南極日誌』。
ミニマム過ぎて、こちらの頭の中もホワイトアウト。(←オヤジギャグ)
張り詰めた緊張感を楽しむ映画なので、決して夜中とか疲れが溜まっている時に観るべきではありませんね。

ストーリーをざっくり紹介しますと、
違いがわかるアルピニスト・チェ隊長率いる韓国南極探検隊が、人類史上2組目の“到達不能点”到達を目指して過酷な旅を続けていました。
ナイフみたいに尖っていた頃に、テレビでチェ隊長の勇姿を見たミンジュは、それがきっかけで冒険家を志し、今回見事メンバーに抜擢されてウキウキです。
そんなミンジュを、訳ありな表情で見つめる他の隊員達。
ハッキリは言いませんが、チェ隊長には余り美しくない過去があるようです。


「お前は外国にいたから知らないんだよなぁ・・・アノ事を・・」
アレって?!
そして、そこまで言われてるのに続きを聞こうとしないミンジュとはこれいかに。
他の隊員も、すごい記録に挑戦しようとしているチームにしては、なんだか寄せ集め感が強い。
「俺さぁ、普段は町役場に勤めてるんだよね」
て、地方公務員が何故南極探検?!
とても危険な香りがプンプンして来るミッションです。

過酷な旅を続ける一行は、ある日80年前にイギリスの探検隊が残したらしい、一冊の日誌(南極日誌)を拾います。
そして、それ以来、不可解な現象が隊員たちを襲う事に。
まずは突然、風邪の様な症状で寝込むジェギョンさん(町役場勤務)。
最高に不調な健康状態にも関わらず、チェ隊長は全然探検を辞める気配もなく、無理やり旅を続けさせられた結果、ジェギョンさんはいつの間にか一行からはぐれてしまいました。
一応捜索をするものの、見つかる気配の無いジェギョンさん。
修羅のような隊長は、強引に隊員たちを説き伏せて旅が続行される事になります。
しかし今度は、通信係のソンフンが副隊長のヨンミンさんにいちゃもんを付けて、雪上でいきなりの殴り合い。
「やるな!お前!!」
「お前だってなかなかのモンじゃないか!!」

と言ったかどうか定かではありませんが、2人でもみ合ううちに雪穴が抜けて、ソンフンさんは谷底に真っ逆さま。
即座にロープを投げ救出を図る隊員達でしたが、なんと隊長がさりげなくロープを放すと言う暴挙に。
哀れソンフンは氷河の奥底に消えて行ったのでした。


「ウィルスさえも生息できない極寒の地で、風邪を引くなんておかしいじゃないか!」
と、劇中で誰かが言っていましたが、

・・・寒いからじゃないんですか?
私の一般常識レベルなんてこんなもの。

それはさて置き、明らかに胡散臭い目つきになってきた隊長が、隊員たちを見捨てるわ無線機の基盤を外して食べちゃうわ、やりたい放題になって来ました。
居酒屋で、アテの柿ピーでも頂くように、ボリボリと基盤を喰らう男・チェ隊長。
君もどうだね?
イケる味だよ。

余りにもかぐわしくなって来た、隊長の一連の奇行に、絶対服従の姿勢を貫いてきた副隊長さえも、ついに反旗を翻し始めます。

奇妙な事に、イギリスの探検隊が残した南極日誌と同じような運命を辿ってゆく一向。
すっかりメンバーも減って、残った隊員は僅かに4人。
そんなある日、ミンジュは隊長についてのアノ事をついに教えられます。
なんでも隊長は、幼い息子が寂しくて電話をかけて来た時、かえってきつい言葉をかけ、その揚句息子が自殺してしまった事がある。と言うのです。
・・・微妙。
そんな微妙な暴露話を胸にしまいつつ、頑張って旅を続けていたミンジュとその他の皆さんでしたが、一週間前通った場所と同じ場所を歩いている事に気付き、ついに限界に達します。
緊急時用の通信装置(通称ELT)を使うよう、隊長に詰め寄る隊員達と、逆ギレをかます隊長。
話し合いは平行線のままですが、たまたま近くに小屋を見つけた一行は一時休憩を取る事にします。
しかし、その小屋が一行の運命の場所になろうとは、誰が予想したでしょうか。
果たして隊長の真の狙いは?
到達不能点に辿り着く事は出来るのでしょうか?


き○がい隊長の逆ギレっぷりは、観ていて清々しささえ感じます。

「お前は何故南極に来たのか忘れたのか?嗚呼忘れるがいいさ!忘れちまいな!」
「雪にのまれたら、溶かして飲んじまえ!」

と言う不条理ネタから、
「それにしても不思議だ・・・ この場所は、前にも来た事があるような気がする・・・」
と言う天然ネタまで多種多様なキレ具合。

だから一週間前と同じ場所なんですってば。

当然の事ながら、隊員たちはドン引きです。
そして揚句、
「到達不能点に辿り着ければ、きっと素敵な奇跡が起こるはず」
と、最後はファンタジーなネタで締めくくり。

それ、どこのロード・オブ・ザ・リング?

終始ホラーとSFとサスペンスの間を行ったりきたりの本作が、どこを目指していたのかはよく判りませんが、結局チェ隊長は本気で狂っていたと言うよりは、本気で“到達不能点”の特別な力を信じていただけなんでしょうね。
息子に対し、仲間達に対し、自分の人生そのものに対しての贖罪の意味で、ひたすらに到達を目指していた隊長。
仲間を殆ど失い、やっとの思いで辿り着いたその場所は、ボロボロの木片が目印に立ててあるだけの、ただの銀世界。
当たり前ですが、奇跡なんてものも存在しません。
そして、隊長にミンジュがとどめの一言。

「“到達不能点”も、この広い大地の中の一点に過ぎないんだ」

そうそう、ヘリで行けちゃうしね!

ロマンもへったくれもない、殺伐とした30代が観たら、そう言っちゃうんだよ。
イム・ピルソン(監督)、よく覚えときな!

極限の地が、人の精神にもたらす影響。
疲労と不安と疑心暗鬼によって、人はなんと脆く狂気の淵から滑り落ちてゆくものでしょうか。
特別な場所には、特別な力が宿る
という考えは数多く存在しますが、結局特別な力を生み出すのもその人自身な訳で、何でもかんでも周りの責任にしてきたチェ隊長に、奇跡なんて起こるはずがなかったんじゃないでしょうか。
南極到達不能点すら、彼を受け入れてくれる場所ではなかった以上、この先チェ隊長に待ち受けているのは、雪と氷に閉ざされた中での無間地獄しかないのかもしれません。
中途半端なホラー色(氷河の中の目玉や黒い影など)を排除して、心理ドラマだけに絞った方が、もっとジリジリとした恐怖を感じられたように思います。

どうでもいいですが、終盤に登場する、到達不能点に程近い場所に立つ小屋の施主が誰なのか、気になりました。
イギリス探検隊なのでしょうか?
それとも過去に到達したソ連の探検隊?
どっちにしても、よくあそこまで木材運んだなぁ。
到達するより偉いんじゃないのでしょうか?
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南極日誌いぁ、これって、ただのサイコサスペンスなんですよね。ちょいパニックもの?あたしはまた、記録映画とか、ドキュメンタリーかな?とか思っていたのですが、、、なんと!はじめの方で、心霊??って感じのシーンが!で、あ!そんな映画だったんだ!と思って、急に..

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