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9月に観た映画詰め合わせ 『カリフォルニア・ダウン』『アントマン』『ピクセル』

2015年10月14日
『カルフォルニア・ダウン』
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あらすじ・・・
妻から三行半を叩きつけられたお父さんが娘への想いだけを原動力に不可能を可能にします。


・ 小難しい説明や状況説明は極力省き、ひたすらにアメリカ西海岸を破壊する鬼畜ストーリー。

・ わたしはいわゆる「ディザスタームービー」がとても好きで、エメリッヒ監督の『2012』なんかはそれをおかずに白飯がパクパク頂けちゃうようなタイプなのですが、やはり東日本大震災以降にこの手のパニック映画を観る時は、なんとなく心がざわつくというか、もちろん虚構と現実は別物なのですが、映像がリアルであればあるほど、心臓を冷たい手で触られたような感覚になることがありまして、本作でもあまりにすさまじい崩壊の描写に喉が詰まってしまった瞬間がありました。

・ まぁ、最後まで観てみると、そんな気持ちが吹き飛んでしまう・・というか意味なく思えるほど荒唐無稽な「父ちゃんSUGEE」伝説のてんこ盛りムービーでもあったのですけどね。

・ 妻と二人の娘に囲まれ幸せいっぱいの生活を送っていたすご腕レスキュー隊員の父ちゃん(ザ・ロック様)は、数年前自分が誘った急流下りの最中に起きた水難事故で娘のひとりを亡くしてしまい、それ以来罪悪感から妻に対し心を閉ざしてしまっていました。 妻はそんな父ちゃんと一緒にいることに耐えられなくなり、離婚を決意。 今は大手ゼネコンの社長と絶賛同棲中です。

・ 残されたもう一人の娘はというと、いまだに父ちゃん大好きっ子で両親の復縁を密かに願い続けているのですが、新しい彼氏との新生活にワクワクしている母にも、毎日救助活動で忙しくしている父にも無茶な要求は出来ず、大人たちの微妙なやりとりを静観する日々。 子の心親知らず。

・ そんな中、ロサンゼルスから東に約400キロのフーバーダム付近で巨大地震が発生します。 早速ヘリで救助に向かおうとする父ちゃん。 一方娘と母ちゃんは彼氏が経営する会社のビルがあるサンフランシスコにお出かけ中。  

・ まずは父ちゃんがラスベガスでじゃんじゃん人助けに奔走するんだろうなぁ・・・ と思いきや、移動の途中で新たな巨大地震が発生し、なんと娘と母ちゃんが絶体絶命の状態に陥ってしまいます。 

・ 思ってた。 たぶんそんなこったろうと思ってた。

・ で、それぞれが父ちゃんの携帯にSOSの電話をかけてくるもんだから、父ちゃんは職場放棄して華麗に家族の救出へGO! 物わかりのいい上司でよかったね!

・ この、父ちゃんが家族と自分の人生を再生させるに至るための装置が「地震」であり「津波」なので、他の人の人生なんて塵ほどの重みもない! 潔い! この切り捨て方、逆に潔い!

・ とにかく父ちゃんも母ちゃんも娘さんも娘さんのお友達もみんなSUGEEE! 彼らが選ぶ道は全て「解放」と「救済」というゴールへと続き、彼ら以外の人間が選ぶ道はだいたいビルに押しつぶされるか津波に流されますからね! こわい!この一家、逆にこわい!

・ 母ちゃんが指し示す方角とは逆のドアを開けた女性(恋人のお姉さん)は、崩壊しかけていたビルから転落死。 母ちゃんが誘導しようとしたのとは逆の方向に逃げた店員は、たぶんビルのがれきに押しつぶされて圧死。 娘さんが閉じ込められていた地下駐車場の天井は、崩落しそうでしなさそうで結局しないので、脱出後はビルから逃げてきた人たちに悠々合流。 で、どれだけビルが崩れてきても娘さんとそのお連れの方々には直撃しない代わりに、じゃんじゃん潰される群衆。 ヘリが墜落しても、次から次へと代わりの乗り物をゲットする父ちゃんと母ちゃん。 超でっかい津波が来てもボートで波のてっぺんまで登っちゃいます。 馬力どんだけやねん。 もちろん、その他のボート班のみなさんは登っている途中で続々落下ですよ。 避難所目指してサンフランシスコの街中を進んでいた人たちも、いちいち描かれすらしませんでしたが、あの津波だったらひとたまりもないと思います。 どうですか。 鬼畜でしょう。 もう一度言いますが、なにせ塵ほどの重みもないですからね! 

・ ビルを越え、津波を登り、やっとこさ娘の居場所に辿り着く父ちゃんでしたが、彼女は水の中に閉じ込められておりどうしても助け出すことができない。  父ちゃんの脳裏に、以前娘を亡くした時のつらい光景がよみがえる・・・。

・ その後、なんとか娘を救出できたものの、懸命の人工呼吸もむなしく呼びかけに応えてくれない娘の身体。 しかし安心してください、結局はいていますよ。(水を)

・ 一度は救えなかった命を救った父ちゃん。 アメリカを訪れていた外国(イギリス)人の命も救う父ちゃん。 壊滅的な被害を受けた街を前に、「壊れたなら、もう一度作ればいい」と復活を宣言する父ちゃん。 父ちゃんの姿はなんど苦境に突き落されても立ち上がるアメリカそのものなのかもしれない・・・!

・ しょうじき、ぼかぁもうおなかいっぱいです!

・ ちなみに母ちゃんの恋人で役職は高いけど人としては下の下というダニエル氏を演じていたのは2005年版『ファンタスティック・フォー』で伸びる人に扮していたヨアン・グリフィズさん。 意外と伸びなかった!(色んな意味で)

・ ジアマッティかわいいよジアマッティ!

・ おそろしいほどスピード重視の展開だったのですが、「データー取りにフーバーダムいくで!」 からの 「地震前に起きる周波出たで!」 → 「こりゃ地震予知出来るで!」 ← 「予知もなにもすぐ震度7きたで!」 までの無駄のなさが特にすばらしかったですね。 ストーリーがむちゃくちゃであればあるほど、有無を言わさぬ勢いって大事なんだなぁ。



『アントマン』
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あらすじ・・・
妻から三行半を叩きつけられたお父さんが娘への想いだけを原動力に不可能を可能にします。 あと、負け組のレッテルを貼られた人たちが特技を活かしてでっかい敵に立ち向かいます。


・ この博士がひどい!

・ 【ひどさ その1】 娘と会話しない

・ 若かりし頃、妻と共にシールドのメンバーだったピム博士。 活躍中のある日、なんやかんやでソビエト連邦がアメリカに向け大陸弾道ミサイルを発射してしまいました。 博士は自ら開発したアントマンスーツを着込み、ミサイルを墜落させようとしましたが、アリサイズのスーツではミサイルの内部に入り込むことができません。 このままではミサイルがアメリカに到達してしまう・・・ その時、妻は自らのサイズ調節つまみを壊し、体を量子サイズまで縮小させることでミサイル内へ潜入。 第三次世界大戦の危機は回避できたものの、彼女の身体は永久に縮み続けることを余儀なくされ、ついにはそのまま宇宙の藻屑となってしまったのでした。

・ つまり、「お母さんはアメリカを救うため、大規模な戦争が起こるのを防ぐため、自らを犠牲にした」んですよね。 英雄ですよ。 二度と会えないことは哀しいけれど、無駄な死って訳でもないし、そこは教えてあげればいいじゃない。 きちんと説明してあげればいいじゃない。

・ ところが博士は一番大事なそこを省いちゃうんですよね。 「お母さんは飛行機事故で死んじゃった」ってモロバレな嘘をついてしまうんです。 なぜなら、本当のことを話すことでたったひとりの愛娘まで「かあちゃんスゲーうちもそれやるー」ってなったら困るから。 なにせ自分たちに似て正義感も我も強いタイプだし。

・ で、省かれた娘はというと、かなり早い段階で父親のウソを見抜き、「結局のところなぜ母は死んだのか」「なぜ父は本当のことを自分に教えてくれないのか」「父にとって自分は信用ならない存在なのか」「頼りにもならない存在なのか」「父にとってたいせつなのは研究(スーツ)だけなのではないか」などなど各種猜疑心にさいなまれつつ育つ羽目に。 

・ 娘にまでスーツを着させて危険なミッションをさせたくない、という親心はわかりますが、会話は省いちゃいけませんよね。そこ省いてもなんもいいことないですよ。 娘の「知る権利」や「将来を選択する権利」より、自分が再び傷つきたくないって願望だけ優先しちゃう父ちゃんを、同じ親として是非反面教師に採用したい!

・ 【ひどさ その2】 息子の替わりを作る

・ 娘に本当のことを言えない博士は、そのモヤモヤを晴らすかのように、娘みたいに血が繋がって愛着のある子ではなく、自分が後腐れなく育てられる疑似息子のような存在を作ろうと思い立ちます。

・ そんな折、若い頃の自分を思い起こさせるような才能ある青年を見つけた博士。 渡りに船とばかりに、自社の跡継ぎとしてスカウトします。 これがのちにイエロージャケットを開発して謀反をこころみることになるダレンさんです。

・ 見立て通りメキメキと頭角を現してくるダレンさん。 会社の経営面でも技術の開発面でも超グイグイきて、博士なんだかちょっとダレンさんのことがウザくなってきちゃいます。 青年が胸に秘める野心は成長を促す燃料となるが、同時に功を焦って暴走してしまう危険性もある・・・。  ・・・かいつまんでいうと、青年の野心が暑苦しく思えてきた博士。 しょうじき嫉妬もあったんじゃねえの、とわしは思う。

・ そこで博士は自分の一番の発明であるピム粒子やアントマンスーツをなかったこととして、その存在をダレンさんにひた隠したり秘密にしたり蚊帳の外に置いたりないがしろにしたり、要するに知らぬ顔を決め込んでしまいます。

・ で、のけものにされたダレンさんはというと、かなり早い段階で博士のウソを見抜き、「結局のところ自分は博士から信用されていないのではないか」「なぜ博士は本当のことを自分に教えてくれないのか」「自分は博士から疎ましく思われているのではないか」「頼りにもならない存在なのか」「博士にとってたいせつなのは研究(スーツ)だけなのではないか」などなど各種猜疑心にさいなまれつつ育つ羽目に。

・ あれ・・これさっきもどっかで観たよ・・・!

・ 博士(父)に認められらたくて研究に打ち込み、博士(父)を越えるために悪党に魂を売り渡すことを決意したハゲかわいそう。

・ 【ひどさ その3】 ムシは使い捨て要員

・ だってムシだから。

・ 「小さくてパワフルで賢くて飛んだり浮いたりできるアリンコって、超便利な兵隊じゃね?」 ・・・ということで大量のアリンコを脳波でコントロールして任務を与える博士。

・ 最悪何匹か潰されても、なあに、代わりなら庭にいくらでもいるさ!(博士の心の声)

・ 謝れ!アントニーに謝れ!!

・ 【ひどさ その4】 娘以外なら犠牲にしてもいっか的なアレ

・ 大事な娘にスーツを与えて、みすみす危険なミッションに送り出す訳にはいかない。 そこで博士は、「理系の知識に優れて」いて、「義侠心」があって、「人の親だから情にも厚く」て、「フットワークが軽め」で、なおかつ「人生どんづまりであとがな」さそうなスコットをスカウト。 

・ スコットが自らの意志で博士の邸宅に盗みに入るよう、すべて先回りしてセッティング。 難解なセキュリティシステムをどのようにクリアするかを別室でモニタリングしつつ、最終的にはアントマンスーツを着るという選択肢以外選べないトコまで追い込む算段です。

・ この博士はかわいい顔してわりとやる博士やで・・! 

・ そもそも、博士が妻を亡くした時点で娘さんと真摯に向き合い、妻(母)の死について、自分にとって娘がどれだけ大切な存在かということについて、きっちり話し合っていればこんなややこしいことにはなっていなかったと思いますし、ダレンさんに関しても、スーツがはらむ可能性についてもっと早く共通理解をはかっていれば、暴走して物騒な機能のついた自己流スーツを開発することもなかったのではないでしょうか。

・ もっとハゲの能力を正当に評価してあげて・・・ 彼は褒められると伸びるタイプなんです・・たぶん・・・

・ 開発に関することもそうですけど、もっとこう、世の中のために出来ることというか、「自分たちが開発しうる技術は正義のために使えばいいものだけど、悪に手渡せば地球を滅ぼしかねない」っていう倫理観みたいなものも教えてあげればよかったんじゃないですかね。 ダレンさん、家族いなさそうだし、寂しかったんじゃないかな・・・。 やっと理想の父親的存在に出会え、しかも息子のようにかわいがられてその気にさせられたのに、さっさと梯子を外されるダレンさんかわいそう。

・ ブラックホールマシンみたいなのくっつけられてどっか消えちゃったダレンさんが、量子の世界で博士の奥さんに出会い一緒にこの世にカムバックしてまたひと悶着!みたいな話があっても、オレはいいと思う。

・ ということで、父ちゃん(博士)は毒親でしたが、ここのところ陰惨な空気になりがちだったMCU界に舞い降りた「とにかく明るいマーベルヒーロー」像はとても新鮮でたいへんおもしろかったです。

・ 前科持ちだけど義賊だからアリ!っていう居直り方もすごいし、そんなスコットを演じているポール・ラッドさんの全身から滲み出る「お人よし」感もすごい! あと、スコットのちょいワルな仲間たち! 再婚モノでは珍しい「いい義父」のおまわりさん! MCU作品は他のものもそうなんですけど、キャスティングやキャラクターの設定が本当に絶妙だと思います。

・ 子ども部屋を使った闘いも超たのしかった! 予告で使われていたトーマス脱線のシーンの膨らませ方もうまい! 細かいところまで手と気を抜かないってこういうことなんですよね!

・ バ・・・バッキーちゃん!!

・ まったく思いもよらないところからのバッキーちゃん登場に、本編以上に興奮してしまったことをご報告させて頂きます。 おお・・・なんという・・・・


『ピクセル』
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あらすじ・・・
負け組のレッテルを貼られた人たちが特技を活かしてでっかい敵に立ち向かいます。

・ 小学校の頃なら神のごとくチヤホヤされる「特技・ゲーム」も、大人になったら話のとっかりり程度にしかならないのか。 そんな「過去は輝いていたけど今はなんとなくくすぶってる」大人たちの大人たちによる大人たちの為のミラクルストーリー。 それが『ピクセル』です。

・ とにかくね、主人公はゲームしか能がないんですよ。 それも今のゲームではなく、もっぱら昭和のアーケードゲーム。 子どもに自慢しても「ふーん」と流されるような特技なんです。 それが世界を救うんだからもうさいこうですよ!

・ でも、実は本作でもっとさいこうなのは、ゲームにうつつをぬかし続け、女の子からも(ゲーセン以外では)見向きもされなったオタク三人衆の中の一人が、アメリカ大統領になっているというこの世界なんですよね!

・ 難しい単語が読めなくて記者にバカにされたり、世界の非常事態だってのに嫁とイチャイチャしている所をすっぱ抜かれたり、なんかっつったら友達をホワイトハウスに呼んじゃったり、一体どんな経歴をへてアメリカの最高権力者へ登りつめたのかさっぱりわからないへっぽこ大統領! いいなぁ!わしもこんな友達ほしい! 

・ 映画に登場する大統領って、たいがいいかにも「出来る人」が演じているじゃないですか。 まあね、ワールドポリスアメリカのリーダーですものね、そりゃピリっとしたキャスティングになりますよね。 でもこの映画の世界では、「オレら」と地続きの誰かがアメリカ大統領なんですよ。 特別じゃない、欠点だらけで、幼馴染とつるんでクダ巻くのがだいすきで、権力を手にしてもなにも変わらない男が大統領。 もうこの時点で、この世界は夢と希望に満ち溢れているではありませんか・・・!

・ てコトで、頭のてっぺんから尻尾の先まで超大甘なアンコがみっちり詰まった『ピクセル』。 わたしが好きにならないわけもなく、また、一緒に観に行ったちびっこたちもその毒気の無さを大いに気に入ったようで、とても愉快な1時間45分となったのでした。

・ ゲームがふんだんに使われていましたが、マニアックなネタを理解できる人たちだけではなく、登場するゲームの中では「パックマン」と「ドンキーコング」と「テトリス」ぐらいしか知らないようなわたしでも、何の問題もなく楽しめるような作りになっていたのもよかったと思いますねぇ。 もともとのゲームのルールのシンプルさもあるのでしょうが、素材の取り入れ方やストーリーの紡ぎ方が優れているからなんだろうなぁ・・。 大人から子どもまで。 ヘビーユーザーからライトユーザーまで。 

・ あと、異星人の侵略を扱っていながら、画面が常にしあわせな色をしていたのも印象的でした。 白昼の攻撃も、夜間に米軍基地が襲われているシーンも、とにかく色調が暗くない。 ピクセルと化す街並からは、悲壮感ではなく多幸感が溢れてきました。 製作者のゲーム愛を感じるとともに、これは「登場する異星人は本来危険性のない種族なのだ」という意味合いも込められているのだろうなぁ、と思いました。 だからあのオチなんですよね。 ほんと、やさしい映画だなぁ。

・ マーサ・スチュワート!

・ ショーン・ビーンさんなにしてはるんですか!

・ どのキャラクターもとても人間くさく、とても愉快で、とても愛らしい! 中でもラズロもかわゆさは異常! (ちびっこたちの間でも一番ウケていました)

・ ちなみに、わたしはゲームはからきしダメだったものの、鉄棒にスカートを巻きつけてグルグル回るのはメチャクチャ得意な小学生だったのですが、それが異星人をやっつける鍵になるような映画、出来ませんかねぇ。  クラスで一番回ってて、周りの子たちから「すげえ・・・あいつ風車みてえだ・・・」って言われてたんですけどね。 ダメですかね。  

・ 鉄棒にスカートを巻きつけて回るタイプの異星人からの挑戦求む・・・!




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