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『チャッピー』

2015年06月04日
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(※ 以下ネタバレしています)



あらすじ・・・
人間に作られた人工知能が新しい「人間」を作ります。


大好きな映画 『第9地区』 とややウケ映画 『エリジウム』 のニール・ブロムカンプ監督最新作 『チャッピー』 を観てきましたよ。 わー!これすっごいわしの好きなやつやんけー! オロローンオロローン!

若き天才エンジニアによって生み出された「完璧」な人工知能。
どう完璧なのかというと、色んな面で完全に人間レベルなのだそうです。 
よくわかりませんが倫理観とか想像力とかそういうアレも含めて、ということなのでしょうか。 
で、そんな人工知能をインストールされた「子ども」が本作の主人公チャッピー。 
赤ちゃんからスタートするとはいえ、起動直後からがっつり動いたりするので、その姿はどちらかというと野生動物のよう。

湿気と埃にまみれた廃墟で誕生したチャッピーに、「ほら、こわくない・・こわくない・・・」とひとりの女性が優しく手を差し伸べます。 
女性の隣にいた若い男性も「そうだよ、だいじょうぶだよ」と微笑みました。
少し遠巻きに眺めていた男性は、銃を構えたままですが、しかし面白そうな表情を浮かべています。 
「銃を構えたまま」・・  銃を・・構えたまま・・・? 
そう、チャッピーが生まれたのは、世界で最も治安が悪いと言われる南アフリカはヨハネスブルグのスラム街一番地だったのです。

ということで、「人工知能がー」とか「SFアクションがー」とか色々な見どころのある本作ですが、実は物語の柱となっているのはズバリ「子育て」なんですよね。 グイグイくるわー! ぼくの心のやわらかい場所にグイグイくるわー!
子どもは生まれた時点ではみな天使であり、ただ、関わる人々や取り巻く環境によって、善良にもなるし悪人にもなるのだ、と。 
別に目新しくもなんともないお話ですが、その「子ども」がなんとも愛くるしいロボットなものですからもうかなわんですよ! 許されるならばうちに連れて帰りたい!今すぐに!

運悪くギャングのカップルの元に生まれてしまったチャッピー。
しかし、暴力とドラッグにまみれた極悪ロボットに育ってゆくのかというと、そうではありませんでした。
もしもチャッピーが生まれたのがもっと凶悪な環境、たとえばギャングの大元締めのアジトだったりしたら、きっとチャッピーは容赦なく人を殺すだけの道具として「しつけ」られていたでしょう。
確かに、チャッピーの「父」と「母」もギャングでした。
けれど、彼らはただの犯罪マシーンではない、愛を知っている「人間」だったのです。

パパ
スパルタ式の子育てにチャレンジする父的な人。 (ケチな強盗とヤクのしのぎで日銭を稼ぐチンピラ)

ママ_convert_20150527154233
見た目はエキセントリックだけど中身は情に厚い母的な人。 (パートナーのためなら犯罪行為も恐れない勇猛果敢なチンピラ)

おじさん_convert_20150527154249
お調子者の親戚のおじさん的な人。 (いつかアメリカに帰ることを夢見ているチンピラ)

先生_convert_20150527154301
チャッピーの可能性を信じ足繁く家庭訪問してくれる先生的な人。 (めちゃくちゃIQが高そうな開発担当者)

チャッピーに関わる彼らの教育方針は全く一致しません。
「暴力はいけない」と教えられたかと思えば、「いけない暴力とやむを得ない暴力がある」と正される。
「自由に生きればいい」と言われたかと思えば、「下品な言葉を使うな、芸術を嗜め」と生活をコントロールされる。
チャッピーはそのたび、目の前の「大人」の言いつけを理解しようと一生懸命頭を働かせます。
可哀想でたまらなかったのですが、もしかしたらこれもまた、成長には欠かせない「理不尽さ」なのかもしれないなぁと思いました。
だって、絶対的に正しい「大人」なんてこの世にいないのだから。 
たくさんの価値観に触れ、いいことと悪いことの両方を知って初めて、「自分の選択」に意味が生まれるのかもしれない。  まぁ、とは言っても振り回される方は迷惑極まりないですけども。

っていうかこのね、「すぐ染まるチャッピー」の健気で愛くるしいこと!
そうなんですよね・・・ 子どもって、いつだって一生懸命大人を信じようとしてくれるんです。 それはもう、申し訳ないほどに。
だからこそ、可能な限り正面から向き合ってあげたいんだよなぁ。
母的な役割を担うヨーランディさんがそうであったように。

自分が歩んできたギャングとしての人生を否定するつもりはないけれど、そのままチャッピーに踏襲させたくもない。
揺れる心に答えは出せないものの、チャッピーの戸惑いや哀しみや喜びにはまっすぐに向き合うヨーランディさんが本当にステキすぎる・・・!
傍から見たら、「子ども」を犯罪に巻き込むひどい親でしかないかもしれないけれど、ヨーランディさんとチャッピーの間にはたしかな信頼があって、そしてそれは、とても尊いものなんじゃないかと思うのですよね。

「ママ」や「パパ」とは違う外見であることから、幼ないながらもハッキリとした疎外感を抱いているチャッピーに、「見た目ではなく、大事なのは中身なのよ」とやさしく諭すシーンは、もうロボットがどうとか人間がどうとか肌の色がどうとか性別がどうとか、そういうこと全てどうでもよくなって、ひたすら涙がボロボロこぼれてしまいました。
直球ですよ。 ありふれた言葉ですよ。 でも、本当にうれしい気持ちになったのです。
それがただの言葉ではなく、ヨーランディさんの「愛する我が子(チャッピー)を安心させたい」というやさしい想いの結晶だったから。

ヨーランディさんほどの繊細さがない、父的ポジションのニンジャさんもまた、チャッピーの純粋さや生への懸命さに影響を受け、というか、もとから彼に備わっていたまっすぐさを刺激されたのかもしれませんが、チャッピーとヨーランディさんという「家族」の命を守るため自分の命を差し出そうとしますし、チャッピーの生みの親で、もともとは研究材料としかチャッピーを見ていなかったディオンも、自分とチャッピーの一方しか助からないと知ると迷わずチャッピーに命を譲ろうとします。 親戚のおじさんポジションのアメリカさんは・・えっと・・・なんつうかその・・ アレだ・・・がんばったよね!

愛を知りながら育ったチャッピーが、その潜在能力を最大限に活かし、大切な人たちの命を復元しようとするラスト。
機械の身体に植えつけられ育った人工知能が、人間の身体に宿る知能・記憶・感情などなどの総合体(意識)を機械の身体に転送させるという展開は、正直「そこまで行っちゃうか・・?!」という気持ちが湧かなくもなかったのですが、「見た目ではなく中身」というヨーランディさんの言葉を究極的に実らせちゃったんだなぁと、チャッピーのすこやかな成長に目を細めたくならなくもないので、わたしはアリだと思います。
あと、「意識(魂)は永遠に不滅です・・!」というキリスト教っぽい救済が、よりにもよってガチのキリスト教徒であるライバル科学者ではなく、その彼から異端者として敵視されていたチャッピー側に与えられた、というのも皮肉が効いていておもしろかったですし。

そう、そのライバル科学者を演じていたヒュー・ジャックマンさんもね! 
すさまじいガンギマリ演技がさいこうでしたよね!
改めて、引き出しの多い役者さんなんだなぁ、と思いました!
あと、腕太ぇー!! やーいやーい!ヒューさんの二の腕丸太ん棒!

ゲスト出演のリプリー(シガニー・ウィーヴァー)さんは空気でしたが、チャッピーを粉砕しにやってくる巨大ロボ・ムースちゃんのドデっとしたフォルムがかわゆすぎましたし、ディオンの身の回りをお手伝いするおさんどんロボット・デクスターちゃんも超キュートでしたので、もうわたしは充分満足です。 もちろん、チャッピーちゃんは言うまでもありません。

お金が欲しいギャング、お金を払わなければならないギャング、自分のロボットをもっと賢くしたい科学者、自分のロボットをもっと人気者にしたい科学者の4者が、まったく人の話を聞かず自分の独断だけで突っ走ることによって生まれるドタバタ劇。
シリアスになりすぎず、複雑な専門用語も飛び交わず、「好き!」とか「生きたい!」とか「褒められてうれしい!」とか「殴られて悲しい!」とか「大好きな人が撃たれた!」とか「ゆるさんぞー!」などなど、つべこべ言わされずひたすらシンプルな感情を掻き立てられる、とてもおもしろい作品だったと思います。

書き忘れていましたが、顔出しナシで「見た目は子供、頭脳は大人」なチャッピーを完璧に演じきったシャールト・コプリーさんもすばらしかったですよ!
演じる際、監督から参考として「8歳の天才チェスプレイヤーは、数学的なチェス理論では人生経験を積んだ50歳の大人を打ち負かせるけれど、感情面の成熟度ではその足元にも及ばない」ということを伝えられていたそうですが、まさにこの超いい喩えそのもののような、知的なひらめきと感情の幼さの絶妙なアンバランスさが表現されていて、演技の達者な人は姿を隠されていてもその実力が損なわれることはないのだなぁ、と感心しました。
将来シャールトさんが、「中の人」界の頂点 アンディ・サーキスさんの地位を脅かす事になるのか・・・要チェックやで!





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