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『アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ2』

2015年04月14日
スオイッツ

「レイプリベンジもの」というジャンルを代表する不朽の胸クソ映画『発情アニマル』。
その現代リメイク版『アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ』に、なんと続編が作られていたということで、今さらながら粛々と鑑賞。 いや、続編の存在は随分前から知っていたのですが、なんとなくもうこの手のヤツはいいかな・・という気持ちがね、無くもなかったというかね、反撃は観たいけど前フリ部分がしんどいというか・・・まぁ結局観ちゃうんですけども。

あらすじ・・・
NYで女優を目指すうら若き女性が、自分を凌辱した卑劣極まりない外国人男性にそれ相応のお返しをします。



スゲエよく出来てたコレー!

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こんなかわいらしい人が

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こうなって

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こう!

レイプリベンジ映画を「おもしろい」と言ってしまうことには躊躇いを感じてしまいます。
なぜならレイプはまったくもって「おもしろく」なんてないし、何の非もない女性が(もちろん女性だけでなく男性も)何者かの一方的な快楽のため体や心を踏みにじられ、ズタズタに引き裂かれるなんて、絶対にあってはならないことだと思うから。
だから本作のことも、「おもしろい」だなんてとても言えません。
おもしろくはない。
ただ、すごく、すごくよく出来ている!

大都会でカフェの店員をしながら女優を目指す美しい女性・ケイティ。
宣材用の写真が欲しいものの、プロのカメラマンを雇うお金がなかった彼女が、たまたま見かけたフリーの撮影サービスを利用するところから物語は始まります。
単身訪れたスタジオには、外国人らしき訛りの3兄弟。
ケイティに対し下心満載な目線をおくる三男と、撮影に関わる気ゼロの次男、そしてカメラマンの長男から、それぞれにものすごく失礼な態度をとられた彼女は撮影をキャンセルし、なんとか穏便かつ俊敏にその場から退散するのですが、時すでに遅し。
クズ野郎にロックオンされてしまったケイティは、ちょっとゴミを捨てに部屋を空けたほんの少しの間が命取りとなり、深夜スマホのシャッター音で目を覚ます羽目に・・・。

このあと延々、いや、ホントもうクドイぐらいの凌辱シーンが続いてゆくのですが、まずこのスタートがすごい!すごいイヤ!
防犯意識が決して低くないケイティが、何重にも鍵をつけ足したドアの、その内側で繰り広げられる醜くも残虐な行為。
何も自分を守ってくれない。 安全な場所などどこにもなかった。
家の外でヒドイ目に遭うのも相当イヤですが、自宅内で襲われる方がずっとずっとキツいですよね。
ほんでまた、すぐ襲うでもなく、寝ている自分の姿をじーっと見ているんですよ! ネットリしてる!なんかもう物凄くネットリしてる! 図々しいのか遠慮がちなのかどっちやねん!! っていうかどっちにせよイヤ!

その後、彼女の部屋の異変に気づきドアをこじ開けて助けに入ってくれた友人が三男の返り討ちに遭い憤死してしまったり、身勝手な本懐を遂げた三男が兄に泣きの電話を入れたり、悪知恵の働く兄が殺人の罪をケイティに擦り付けるべく偽装をはたらいたりなんかしてもう絶体絶命!というところで舞台は暗転。
大きな箱に入れられ、なにやら激しく揺れ動かされたケイティが目を覚ますと、そこは小汚い地下室でした。
そしてまたぞろ始まる下劣で醜悪な行為。

けっこうね、長いんですよね。 「第一幕・ケイティの部屋」「第二幕・謎の地下室」となるのですが、この第二幕が長いの。
で、もうそろそろ勘弁してくれ・・・ とわたしが音をあげるかあげないかという絶妙なタイミングで、ケイティが相手の隙を突き、なんとか地下室からの脱出を果たしてくれるのですが、半裸のような状態で街頭に飛び出したケイティの目に飛び込んでくるのは、全く見覚えのない文字の看板。
そう、なんと眠らされている間にケイティが連れてこられた場所は、アメリカから遠く離れた東欧の地・ブルガリア共和国だったのです!
そしてここから再度始まる「第三幕・ゆきて帰りし地下室」の陰惨なことといったら・・・!

そりゃね、反撃を際立たせるには前フリが凄惨であればあるほど効果的ですよ!
でもホントにクドいの! なんどもなんども絶望させられるの!ケイティが!
望みを抱きかけたら裏切られ、救われると思いきや見捨てられるという有り様で、ぜんぜん気が抜けないから、観ているこちらもめちゃくちゃ疲弊するの! 
この監督さんはわかってるわー!(いい意味とひどい意味の両方で)

拉致監禁からの脱出をありきたりな展開では終わらせないぞ、という気概の感じられるストーリー。
文字通り「体を張った」渾身の演技で、そんなストーリーに血の匂いと肉の重みを与えるジェマ・ダーレンダーさんがすばらしい。
レイプという、残酷な犯罪行為に対し、きっちり熨斗をつけてお返しする方法を選んだ女性と、想定を超えた全く別な方法を選んだ女性という真逆な二人を登場させることにより、観客はこの犯罪の恐ろしさと、その爪痕の計り知れない深さを、今一度見つめなおさせられるのではないかと思います。
やり返して終り。ではないのですよね。
命は助かっても、心は死んでしまう。 死んでしまうこともあるのです。
ホント、もっと重い処罰を与えられるべき犯罪だと思うなぁ。
以前も書きましたけど、わたしは性犯罪は殺人と同等に裁かれればいいと思いますね。 でなければ去勢でいいですよ。 ええ、極論ですよ。 気に入らない人は気に入ってくれなくていいです。

前作同様、「目には目を、歯には歯を」一直線な本作ですが、前作のようなスタイリッシュさもなければ「作家志望の女性が突然ピタゴラスイッチを作り出す」といった不自然さもありません。
前フリはとことん不快に描かれ、冒頭張られた伏線は後半工業系女子へと変ぼうを遂げることによりきちんと活かされます。
箱に入れられたぐらいで人一人がやすやすと空輸されてしまうという謎システムや、人権団体を名乗る女性がノーチェックで警察に信用されているという謎システムや、どれだけ大声を出しても誰にも通報されない地下廃墟という謎システムや、言葉が通じなかったはずのケイティが相手の罵り言葉だけは完璧に覚えて発音もバッチリになっているという謎システムなどなど、謎の多い物語ではあったのですが、もっとも大切な「ケイティが生まれ変わる過程」は疎かにされることなく丁寧に描かれており、わたしはとても胸を打たれました。
万力の正しい使い方もよかった! 弾けたのちにドロリと流れだすアレなんかもう、さいこうですね!殿方は直視できないかもだけど!

ラストシーン。 達成感のような、虚しさのような、新たな本能の目覚めのような、複雑な表情を浮かべるケイティですが、彼女の闘いはまだ終わっていません。
本国(アメリカ)に帰り、友人の死の真相を明らかにすることができてはじめて、彼女は「今までとは全く違ってしまった」人生を歩み直すこととなるのでしょう。 それはまた新たな、気の遠くなるような闘いのはじまりなのではないかと思います。

そう、やり返して終り、ではないのです。

無音の中、真っ暗闇に淡々と文字が浮かぶエンドクレジットを観ながら、内臓がズシリと重みを増すような、なんとも鬱々とした気持ちになったのでした。





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