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『プロデューサーズ』

2006年10月14日
母さん・・・
マシュー・ブロデリックが歌が上手いのは良く判った訳で・・・。
ネイサン・レインが芸達者なのも、良く判った訳で・・・。

・・・なのに何故・・

なぜこんなに胸が苦しいんでしょう・・・。



A. 胸焼け


『シカゴ』 『オペラ座の怪人』 ・・・。
近年のミュージカル・ブーム再来に拍車をかけるが如く、ブロードウェイの大ヒットミュージカル 『プロデューサーズ』 が、満を持して映画化!
ミュージカル界のアカデミー賞、トニー賞12部門制覇の実力をしかと観よ!!

と、プロデューサーズのプロデューサーが言ったかどうかは判りませんが、しかと観させて頂きました。
もともとは、1968年に作られたコメディ映画『プロデューサーズ』がまずあって、それをミュージカル化して舞台で上映されたものが大ヒット。
舞台のオリジナルキャストをほぼ再現して、舞台の演出・振り付けをしたスーザン・ストローマンが、そのままメガフォンを執った。
と言えば、面白くないわけが無い!!  のでしょう。

いえ、実際面白かったです。
脱力系コメディ作りでは右に出るもののいない、巨匠メル・ブルックスならではの、ゆるーいギャグの数々。
モンティパイソン好きの私には、お婆ちゃんの軍団が街を闊歩するシーンなどは“グレバッパ族”に見えてしまって、胸がキュンキュンです。
そして、楽しい音楽の洪水。
煌びやかなライト。
軽やかなステップ。

・・ただねぇ・・・。
オリジナルを重視した、そのオリジナルメンバーが、どうにも濃すぎて胸焼け必至なんですよねぇ・・・。

あらすじは、
落ち目のブロードウェイ・プロデューサー ビアリストックが、たまたま知り合った真面目な会計士 レオを唆して、大金を手に入れる算段を立てます。
その方法とは・・ 打ち切りになるような大コケするミュージカルを作って、集めた資金をこっそり持ち逃げしよう。
と言うモノです。
理論はよく判りませんが、要するにサギです。
マルチです。

ヒトラーを賛美するような、非常識極まりない脚本を選び、悪趣味炸裂のゲイの演出家(とその仲間達)を雇い入れ、ネオナチを主役にキャスティングして、大コケする要素はバッチリです。
いよいよ幕が上がり、始まったヒトラー万歳ソングを観た観客たちは、余りの不謹慎さに席を立ち始めますが・・。
主役のヒトラーが登場した途端、場内は爆笑の渦。

それもその筈、幕が開く直前に骨折したネオナチの替わりに、舞台に立ったヒトラーの代役は、なんとゲイの演出家だったのです。

あまりにリアルなゲイの、面白おかしい仕草や歌で、不謹慎なはずだった舞台はたちまち風刺の効いたブラックコメディに早変わり。
大ヒットしてしまった舞台のせいで二重帳簿が警察にバレ、ビアリストックは逮捕されます。
上手くその場から隠れる事が出来たレオは、大金をまんまとせしめブラジルに高飛び。
金髪美女をも手に入れて、この世の春のレオと、留置所で裁判を待つ身のビアリストック。

しかし、裁判の日、有罪確実と見られていたビアリストックの前に現れたのは、高飛びした筈のレオ。
そのまま逃げればいいのに・・・。と誰もが思う中、レオはビアリストックとの友情によって、自分の人生が救われたと語り、ビアリストックもまた、レオとの出会いで初めて真の友情に目覚めた事を認識します。
二人仲良く刑務所に送られたビアリストックとレオ。
一足先に刑務所に入っていたネオナチの脚本家と共に、新たなミュージカル作りに励み、そのお陰で恩赦が与えられた三人。

晴れて自由の身になったプロデューサー達は、改めてブロードウェイに新作ミュージカルを掛けるのでした。


とまぁ、文字にすると面白くもなんとも無い(←暴言)物語が、マッタリと続く事2時間14分。
舞台で観ればサービス満点だったのであろう歌の数々も、映画で観ると何故だかサービス過剰に見えてくる。

これぞムービーマジック!!

いりませんか? そんなマジック?

普通、ミュージカルを観ていると、「もっと歌を!」とか「もっと踊りを!」と、ミュージカルシーンがいくらあってもまだ欲しいくらいの気持ちになるものなんですが、この作品のミュージカルシーンは「なんだったら削ってくれてもいいよ」くらいの気持ちになってしまいました。

きっとそれは、主役の二人の濃さなのでしょう。
舞台そのまま(に見える)オーバーな演技で、冒頭から飛ばしまくりなのは、体積を7割り増しにした川平慈英のようなネイサン・レイン。
ただでさえ八の字の眉毛が、ヘタしたら5時35分の眉毛になりそうな勢いの熱演です。
そして登場した瞬間は、熱すぎるネイサンに対して抑えの役割なんだろう、と思わせるような真面目な面持ちだったマシュー・ブロデリックまでもが、慈英に対抗するかのように飛んだり撥ねたり奇声を発したり白目を剥いたりと、お前はアッシュ※か?!と言いたくなる様な壊れっぷり。
※アッシュ・・・『死霊のはらわた』のヒーロー。

慈英×アッシュの、時代を先取るコレボレート。

ムチャクチャ暑苦しいですが


しかし、そんな真夏日更新のような主役2人の独演会が長らく続き、かなりキツイ感じになってきたその時、この作品の真の主役・真の救い主が現れたのです。

それがこのお二人。
20061014015000.jpg  向かって左・カルメン 右・ロジャー


生粋のゲイである、悪趣味全開の舞台演出家(とその助手)である、ロジャーとカルメン
二人が画面に現れた瞬間、私の脳内麻薬がどっと放出され、謎の胸焼けはどこかに吹き飛んでしまいました。

もう、何から何まで全て最高!!
おすぎが試写室で狂喜乱舞した様子が目に浮かびます。
生きてて良かったね、おすぎ。

基本的に、映画に陽気なゲイが登場すると、それだけで気分が和むものですが、
ここまで素敵なゲイには、今までお目にかかった事がない!
ロジャー役のゲイリー・ビーチと、カルメン役のロジャー・バートは、どちらも舞台でのオリジナルキャストらしいですが、どっからみても本物のゲイにしか見えません。
ロジャー・バートは、見覚えがあると思ったら 『ステップフォード・ワイフ』 でもゲイの建築家で出てましたね。

ひょっとしたらホンモノなのかもしれません。

このゲイカップルが、ゲイの舞台職人チームを引き連れて華やかなレビューを披露するシーンは、本作で一番楽しいシーンでした。
その後も、ロジャーとカルメンが出てくるたびに、私は大爆笑!
この二人を主役にして、ずっと観ていたい・・・。
そう思ったのは私だけではない筈です。(少なくともおすぎは・・)

『シカゴ』で「あら、ミュージカルって結構カッコいいわね」と思った方には、余りハマらないかも知れないこの作品。
しかし、史上最高のゲイカップルを堪能できる、それだけでも、充分観る価値はあったと思います。

何でも、同じく映画の舞台化の再映画化(あぁややこしい)で、ジョン・ウォーターズの『ヘアスプレー』も撮影中(?)だとか。
こちらも、舞台はだいぶんと濃い内容になっていそうですので、映画化が吉と出るか凶と出るか、若干心配です。
まぁ、トラボルタが“巨漢の母親役”という情報だけで、充分キワモノとして成立しているとは思いますが。

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 エンドロールが終わるまでじっくり楽しめます。最後に脚本のメル・ブルックスまでちゃっかり登場♪

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