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『ROOM237』

2015年01月18日
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「本編中引用した映像や写真は、キューブリック監督を含むいかなる関係者の承認も受けておりません!」という、もしかしたらもしかしなくても各方面からばっちり怒られるかも宣言と共に、『シャイニング』の独自解釈が熱っぽく語られるドキュメンタリー。 

登場する5人の「語り部」の偏愛っぷりに眩暈!
ジャック・ニコルソンの背後に映った缶のメーカーは「カルメット」。 インディアンの言葉で「和平」。 つまり、シャイニングは先住民の虐殺を描いた映画なのだ! 
とか、
オーバールック・ホテルの駐車場に留められている車の数は42台。つまり、ホロコーストの象徴だからシャイニングはナチスドイツの蛮行を描いた映画なのだ! 
とか、
ダニーが座っているカーペットの模様がカットが変わった瞬間逆向きになるのはアポロ計画の真相を表している! 
などなど、「そう言われればそうかもしれんな」レベルの解釈から、壁に出来たシミを人間の顔だと言い張るのに似たトンデモ説まで、考察の内容が多種多様で実におもしろかったです。

とにかく解説がいちいちふるっていて、心くすぐられるのなんのと。
「タイトルバックの雲の中にキューブリックの顔が描き込まれているんですよ!エアブラシでね!ええ、ほんの一瞬ですけどね!フォトショで強調しないと見えないぐらいのギリギリの描き込みなんでね!少しわかりづらいかもしれませんけども!」という主張の、少しどころじゃないわかりづらさときたらどうですか。
おわかり、いただけないですよね。残念ですけどね。
っていうか、わたしもなんとか百歩譲ろうと努力したのですけども、そもそもキューブリックがシャニングのオープニングに自分の似顔絵を忍ばせる理由が全く浮かばないんですよね。 原作者のキング先生だったらやりそうですけどね。(←あくまで印象) 

「この背後のポスターを見て下さい。 スキーヤーが写っているように見えるでしょ?スキーヤーだと思うでしょ?でもこれね、ミノタウロスなんですよ!なぜなら私にはどっからどう見てもミノタウロスにしか見えないから! えっ?スキーのストック持ってるじゃないか? それはあなたのただの思い込みです!(キリッ)」という主張なんかもね。
世が世なら「モルダーあなた疲れてるのよ」物件ですよね、完全に。
わたしにはスキーヤーに見えたのですけども、ここまで前のめりでミノタウロスだって言われたら、もう「じゃあそっちの方向で」としか言えなかったですもん。
あるいは、「ジャックの後ろに椅子があるじゃないですか。 でも、次のシーンでは消えてるんですよね。 これはね、きっとキューブリックが何かのホラー映画を真似たんだと思う次第です。 これはただのホラー映画ではなんだ、というキューブリックからのメッセージなんです!」という、もはや願いにも近いような主張とか。
それもう、遠まわしにキューブリックさんdisってないか。 っていう。
褒め殺しし過ぎなんじゃないか。
さすがにキューブリックさん赤面してはるんじゃないのか。 「それぐらいミスるよ勘弁しておくれよ」って頭かきむしってはるんじゃないのか。 っていう。
こんな感じの奇抜なオモシロ考察とデータに裏打ちされた大真面目な考察が交互に語られてゆくものですから、ホント飽きる暇がないというか、笑ったり唸ったりしながら夢中で見入ってしまったのでした。

なぜこの映画は、これほどまでに人々の探求心を掻き立てるのでしょう。 
見えないものを、必死に見つけださせようとするのでしょう。
それは間違いなく、キューブリック監督が天才だからなのですよね。
であるがゆえに人々は、「キューブリック監督なら、どんなことだってありうる」と信じてしまう。
静止したり、コマ送りしたり、逆再生したり、再生と逆再生を重ね合わせたりしてまで、映画の中に隠されているものを解き明かそうとしてしまう。
解析のバリエーションの豊富さは、そのままキューブリック監督の才能の証明になっているのかもしれない。
改めておそろしい監督だなぁ・・と思いました。
 
ちなみにわたしが一番すきだった説は「アポロ計画捏造」説と、103分の上映時間を全否定する「この映画に深い意味なんて何もない」説です。  
映画を観ることの楽しさを痛烈に感じた逸品でした。


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