ブログパーツ

『ゴーン・ガール』

2014年12月12日
gone_girl_ver2_convert_20141212130035.jpg


あらすじ・・・
2012年7月5日。 
5回目の結婚記念日の朝、妻は消えた。
わたしを死刑へと導く3つのヒントを残して・・・。


青みがかかった画面に、「GONE GIRL」というタイトルが浮かぶ。
冷え冷えとした空に溶け込んでゆく白い文字。
しかしそれは、ただ消えていったのではなかった。
純粋さを表すような白から、曖昧な灰色に変わって雲間にうつろい、そしてわからなくなったのだ。
それはまるで、「いなくなった彼女」の本当の姿を象徴するかのように。

ああ、これはもう当たりだな。
間違いなく傑作だな。
何の保証もないままではあるものの、そう確信せずにはいられない、超クールなオープニングタイトルでした。
・・と、いうことで、とりあえず今すぐ劇場へ!

ダメですか!よっしゃわかった、じゃあもうちょっと続けますね!

ニックとエイミーの結婚生活は、とうに破綻していました。
毎年行っていた「宝さがし形式」という手の込んだ結婚記念祝いも、エイミーがニックに用意するヒントがここ数年難解を極め、というか、ニック自身に本気でエイミーの言葉に取り組む気力がなかったため、儀式化した記念日を粛々とこなすのみ。
5年目にあたる今年も、記念日の朝だというのにまだプレゼントすら用意していないニック。
そんな離婚待ったなし状態だった夫婦の一方が、突然姿を消してしまったら・・・
しかも、ある一点をまっしぐらに指さす山のような状況証拠を残して・・。
その一点とは、夫の第1級殺人罪。
すべての疑念がニックに向けられる中、彼の唯一の救いは、エイミーの死体が見つかっていないということだけ。
果たしてニックは殺人という愚かな手段で、愛のない結婚生活を強引に終わらせようとしたのか?
エイミーの死体はどこに隠されているのか?
・・・その答えは劇場で!

えー?まだダメ?いいじゃん!もう観とけばいいじゃん! わかった、じゃあもうひと押し!

妻のことをあまりに知らなすぎる夫・ニックはとことんでくのぼうで、その上、妻殺しの疑惑をかけられマスコミに追われる最中、自分を匿ってくれている双子の妹・マーゴにすら内緒で若い愛人と密会する始末。
しかし、ニックには妻と別れて愛人と一緒になりたいという動機はあるものの、妻を殺すほどの根性があるとは思えない。
なぜならそれぐらいバカっぽいから。 
常に口が半開きなイメージ。
いや、開いてなかったかもしれないけども。 あくまでイメージで。
一方、夫に秘密を抱えていた妻・エイミーが綴っていた日記の内容はというと、「好きで一緒になったものの、職を失ったあたりから夫がクズっぷりを発揮しはじめてつらい。わたしはがんばっているのに夫がゴミでしんどい。文句も言わず支えようとしてきたわたしに対し、働きもせずクレジットカードで借金こさえるカス野郎、それがうちの夫」と、全身全霊で憐れな妻をアピール。アンド夫dis。
同情する余地はある。  というか、同情の余地しかない、完璧すぎる「かわいそうな妻」。
これは本当に起こったことなのか? だとしたら、彼女の脳裏を「離婚」の二文字がよぎったこともあるのではないのか?
しかし、日記に書かれていたのは、「いい加減夫と別れたい」ではなく、「わたしは夫に殺されるかもしれない」という不穏な言葉。
怪しすぎる夫婦の姿に、観客の心は問答無用でぐらぐらと揺さぶられます。
本当のことを言っているのは誰なのか? ニックもまた、数多の妻殺しと同じような道を辿ってしまうのか?
・・・世界仰天ニュースで見たことないようなあるような痴情のもつれのその先にあるものとは一体? さあみなさんも是非、劇場でお確かめください!

ダメか!そうなのか!これでもダメなのか!っていうか世界仰天ニュースのくだりは逆効果だったのか! ちがうから!あんなチープじゃないから!再現ドラマでお馴染みマークさんも出てこないから!
仰天_convert_20141212150845
(※ 主に刑事役で活躍中)
いや仰天ニュースもおもしろいですけど、こっちは映像美とかもスゴいから! ようし!じゃあこれでどうだ!

疑われるニックと、見つからないエイミー。 狭まるニック包囲網。
この辺りまでは、予告から想像出来得る範囲内のお話なのですが、本作はここから一気に、全く思いもよらない方向へと転がり始めます。
誰が犯人なのか? 誰が誰を罠にはめたのか? 誰がいいやつで、誰が悪いやつなのか?
そんな表面的な物語の仮面が外された後半、登場人物の本性はえぐり出され、容赦なくスクリーンの上に晒されてゆく。
その加速の凄まじさ、その非情さ、その激しさに息をのみました。
だってそれは、エイミーとニックだけの本性ではないから。
わたしたちの誰もが持っているであろう、自己防衛本能であり、自己愛だから。
誰かに好かれたいという気持ちが自分を救い、自分を苦しめる。
愛ってなんなの? 結婚ってなんなの? 誰かと生きてゆくことって、何の意味があるの?
1分先の展開すら見えない極上のミステリーかつ、人間の本質をも鋭く追及する濃密なドラマ。
縁遠いはずなのに、なぜかとても身近に感じられる殺伐とした世界に、あなたもはまってみませんか。
マジで! 超おもしろかったから!!さあ躊躇わないで!サービスデーをどんどん狙って!もしくは休日のお供に!一目散に劇場へ!






(※ 以下ネタバレしていますので、必ず鑑賞後にご覧ください。)







【夫は怯えろ! 妻は備えよ!
結婚生活に完全勝利する10の方法!】


■ その1・相手をよく見定める
そりゃもう一も二もなくこれですよね! 一時の気の迷いは自分にも相手も不幸を招くだけ! 見た目に惑わされることなく、共通の話題の有る無しや、お金の使い方、外食した際の店員さんへの態度もよく観察しよう! あと、自分がどの程度操縦できそうな相手なのかも、客観的に判断しよう!

■ その2・譲れるところは潔く引く
逆に返せば、譲れないところは絶対に引かないとも言う! その代わり、譲っても死なないレベルの内容なら適度に許容しよう! たとえば、映画についてくるなって言うとか、メールの返信しなくても許せとか、1ヵ月半会話なしでも我慢しろとか。 だいじょうぶ!年がら年中一緒にいなくても家族は家族! 束縛だけが人生じゃない! ただし、趣味が高じて夫婦の総年収600万なのに車のパーツに300万とか費やしはじめたら、そこは正直死活問題だから、まずは銀行に連絡してカードを利用停止にしてしまおう!

■ その3・自分の時間を持つ
自分の時間は大事だよ! なんかあった時対処しやすいですし! なんかってほら、先述の死活問題とか、あとは夫にコケにされた時とか、いろいろだよ!

■ その4・余裕をもって計画する
 「愛」を手に入れるため、相手が望む通りのお人形になってあげるのはとても屈辱的ではあるけれど、身を守るためなら致し方ない場合もあるんじゃないか。人間なんて弱いもの。時には流されるままの方が楽な時もある。 けれど、塵はいずれ山となるし、堰き止められたままだとダムは決壊してしまう。 自分という人間を否定された時、先述のように「コケに」され続け我慢の限界がきた時には、じっくりと穴のない計画を立てるところから始めましょう! だいじょうぶ!時間ならある!

■ その5・準備は念入りに
夫を抹殺するのにナイフはいらぬ。不利な証拠さえあればいい。
体型的に敵わない男(夫)を肉体的にやりこめるのは困難です。
しかし、頭の使い方ひとつで、精神的・社会的に引導を渡すことならか弱い女の手でも充分可能。
まずはこちらがいかに苦痛を味あわされていたかの根拠となる日記をつける所から始めましょう。
最低300日分あれば、「つらい結婚生活」の裏付けになるはず。
もちろん、時々ペンの色や筆圧を変えて、「いっぺんに書いた」感を無くすことも忘れずに!
DVの痕を捏造して写真にとり、スマホやパソコンに保存しておくのも効果的です!

■ その6・ママ友を味方につける
近所に妊婦さんがいる場合、なるべくお近づきになっておきましょう。
世の中でもっとも邪念がないと思われている生き物の1位は赤ちゃん、2位は幼児、3位は小学生、そして4位が妊婦です。 根拠はありません。 ありませんが、なんか幸せそうな雰囲気を醸し出している妊婦さんを味方につけて、いざという時カメラの前で「いっつも旦那さんにひどいことされたみたいで~」と涙ながらに証言してもらえれば、世間の同情はこっちのものなんじゃないですかね。 ええ、根拠はありませんよ。 詳しくはフィンチャーさんに聞いてください。

■ その7・地域掲示板を活用する
逃走用の車とか、身の危険を感じていたことの証明となる銃の入手方法とか、アシがついたら困ること全般はインターネッツの裏掲示板で聞け!

■ その8・行ったことのない場所を開拓する
人生一度きり! 今まで自分の趣味でなかったような土地にも果敢にチャレンジしてみよう! 知り合いが誰もいない場所なら身を隠すのにもピッタリ!気分転換と合わせて一石二鳥!

■ その9・身内に厳しくなろう
夫の家族と折り合いが悪いせいで、夫本人との関係までギクシャクしてしまうこと、多いですよね。 夫ですら結局は赤の他人で判りあうのが大変なのに、その身内がごちゃごちゃ口を出して来たら・・・たとえば小姑とか・・。 だからこそ、ここは敢えて「身内だから・・」という気遣いを無くしてみよう! 夫ひとりを葬るつもりが小姑まで芋づる式に炎上してしまったとしてもしょうがない!身内だもん!あっちの!

■ その10・隠し事をしない
夫がしっかり反省しているようなら、過去の過ちは思い切って水に流そう! そして自分がどんな人間か、どこまでやれる覚悟があるのか、改めて包み隠さず伝えよう! そうすれば、傀儡でいるべきなのはどちらなのか、どちらに従う方が結婚生活を円満に進められるのか、答えはおのずと出てくるであろう! そしてここから先は、ずっと妻のターン!



【今日のまとめ】

フィンチャーさんは「結婚」になんか恨みでもあるのか。




【その他いろいろ】

・ いくらなんでも警察無能すぎるだろ! バールのようなもの見つけたのはいいけど、頭に傷なんかないじゃん!1か月経ってたって、あれだけ「血が出た」設定なら痕ぐらい残ってるはずだろ! あと、監視カメラの映像も全部チェックすれば穴だらけだってわかるだろ!おい!真面目にやれ!

・ アメリカの人気犯罪ドラマ「ロー&オーダー」を引き合いに出していたけど、こちとら頭の中に「CSI」とか「リンカーン・ライムシリーズ」があるもんだから、証拠の扱い方にどきどきしちゃったよ! 頭殴って飛び散った飛沫血痕と、適当にペッペッてやった血痕の形の違いぐらい、わかるもんなんじゃないの?! 微罪証拠なめんな!ガスクロマトグラフちゃんと使ったか?

・ しかし、そんな捜査のアラが最後には気にならなくなっていた程、エイミーが行った犯罪(自己防衛)に見とれてしまったのも事実でありまして。 

・ 母が自分をモデルに描いた、自分とはかけはなれた完璧な女の子「エイミー」に縛られ続けたエイミーの人生。 母の期待を裏切らないよう、読者の期待を裏切らないよう、彼女は常に「感じのいい人」という仮面を被ってきた。 もしかしたらエイミーは、何が本当の自分なのかわからなくなっていたのではないでしょうか。

・ 誰かに好かれたいから、相手の理想に合わせる。 自分を型にねじ込んで出来た「自尊心」への傷と、型にねじ込まなかった時出来たであろう「孤独」という傷は、どちらの方が痛かったのでしょうね。 いずれにせよ傷つくなら、誰かと一緒の方がマシ、という気持ちはわかりますが、なんというか、つらいですよね。 決して珍しいことではないだけに、つらいです。

・ エイミーが少し他の人たちと違っていたのは、自分も相手に合わせるけれど、相手にも相応の努力をさせるところでした。 それを怠ったなら、充分な罰を与えなければならない。どんな手を使っても。 彼女は決して、やられっぱなしでは終わらない。

・ 自分の思い通りに交際を進めない元カレを相手に暴行罪をでっちあげたり、美しく聡明な自分を捨てて若い巨乳ギャルに走った夫に殺人罪を着せようとしたり、やることなすこと極端なエイミーですが、きっちり相手を見ている点がすごいのですよね。 あてつけで自殺未遂を試みたり、ストーカーに成り下がるような元カレからはさっさと身を引く見切りの良さ。 「こいつは訴えても勝てる・・・こいつは弁護士雇う金もない・・・こいつはめんどくさそうだから距離を置こう・・・」 エイミー・E・ダン夫人のこの慧眼がすごい2014!

・  自分の人格を否定されるということは、自分がいないものとされているのと同じこと。つまり、肉体ではなく、魂の死を宣告されたようなもの。 そこまで思いつめたエイミーが「死には死を!」とばかりに周到すぎる罠をしかける様は、天使のような悪魔の笑顔みたいでコワ美しくて、気づいたら応援していましたよね。 とことんやれー!って思ってましたよね。もうね。

・ ということで、今年一番グっときた復讐劇は『ゴーン・ガール』に決定!

・ 相手を死刑まで追い詰めるため、自分自身の死を決定打として用意するっつう、この腹の座り方ね! でもって寸前になったら命が惜しくなっちゃう!やだかわいい!人間臭いエイミーかわいい! 死を覚悟して初めて気づいた、命の尊さ・・・ もちろん自分のだよ!相手の命なんてどうでもいいよ!

・ 母が貯蓄してくれた印税によるセレブ生活を離れ、初めて訪れた下々の生活圏で、徐々に羽を伸ばし始めるエイミー。 まっずいビール、やっすい煙草、露出度の高い女性たち。 そして初めて襲われた押し込み強盗。 がんばれエイミー!まけるなエイミー! 志半ばで(家に)戻ったら元の木阿弥だぞ! 

・ 愛されるため相手に合わせよう。 結婚とは自分と相手の共同作業。 そんな風に自分を押さえつけていたエイミーが、数々の修羅場を潜り抜け辿り着いた、究極の答え。  両方が主導権を得ようとするから揉めるんだ。 だったら自分が指揮をとればいい。 ヘンに譲ろうとするからこじれるんじゃないか。 だいじょうぶ、時間ならある。

・ そんでまたスゴいのは、エイミーがもともとこの方針を推し進められる相手を選んでいたという点なんですよね。  エイミーが5年をかけ地道に教育してきた成果が、思わぬ状況で明らかとなった瞬間、彼女の脳裏に去来したのは「そうか、あの方向性でよかったのか!」という確信だったのか。 「この結婚は間違いじゃなかった!」という達成感だったのか。 このシーンのエイミーの表情には、セクシーさすら感じてしまいました。

・ 戻ってきたエイミーに、「外堀全部固められて刑務所まっしぐら」がいいか、「従順な夫として家族に尽くす」かの二択を迫られた兄・ニックの未来を悲観し、妹・マーゴはさめざめと泣きます。 しかし、「平穏な生活」を手に入れるため、相手が望む通りのお人形になってあげるのはとても屈辱的ではあるけれど、身を守るためなら致し方ない場合もあるんじゃないか。人間なんて弱いもの。時には流されるままの方が楽な時もある。ニックはそう考えたのではないでしょうかねぇ。

・ ていうか、シレっとした顔で帰宅したエイミーに歯向かうことも、尻尾を掴むことすらできず、言わるがまま素っ裸でシャンプーのボトル取ってあげているニックの情けなさスゴイな! あの1シーンだけで「ああ、もうこいつダメだな!」って思わせる名シーンですよね! 全編通して情けないけど、群を抜いてヒドイ! ベン・アフでないとこうはいかない!

・ まぁ、怒らせさえしなければいい奥さんなんじゃないですかね!キレイだし!(他人事だから投げやり) 

・ エイミーを演じていたロザムンド・パイクさんって、『タイタンの逆襲』の闘う姫ですよね。 マジかっけえ! あと、マーゴ役のキャリー・クーンさんもとてもステキでした。 アツすぎる展開と真逆のひんやりとした映像もすばらしく、穏やかな旋律に不協和音が忍び込んでくるスコアも映画にピッタリでよかったです。

・ ベン・アフが劇中、「アゴがうそくさい」と言われるシーンがあったのですが、まさにそのアゴをフューチャーした(っていうかほとんどアゴしか映らない)バットマンを演じる予定なので、超気持ちがざわざわしましたよ! ジョークか!フィンチャー流のブラックジョークなのか!

・ 謝罪のしかたひとつ、受け答えのしかたひとつで、他人の評価が決まってしまうこの世の中。 誰かに好かれるため、自分を型にはめ込む作業というのは、実はわたしたちが毎日のようにおこなっていることなのではないでしょうか。 他人の評価なんて関係ない、といくら自分を奮い立たせてみても、社会の中で生きてゆく以上、その呪縛からは一生逃れなれない。  自分が真摯に放ったつもりの言葉や態度は、相手によっていかようにも解釈され、恨まれたり褒め称えられたり正反対の評価を受けてしまうこともしばしば。

・ 結婚相手に支配されるのもおっかなかったのですが、実は、ニックを取り囲むマスコミや善意の市民といった「世間」の眼差しの方に、底の見えない恐怖を感じたわたしだったのでした。 






     ♪♪どちらのバナーでもどうぞご遠慮なく♪♪ →   にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

Trackback
管理人の承認後に表示されます

※当ブログで使用しているイラスト等の著作権は、全てはアガサにありますので、転載、二次加工、再配布の際は一言ご連絡下さいませ。