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『追憶』

2006年09月28日
泣かせて下さい・・・!

どうか泣かせて下さい、小一時間・・・!

学生時代は、連続失恋記録の自己レコードを更新し続けてきた私・・。
パッと見、田中真紀子と五十歩百歩のバーバラ・ストライサンドが、全盛期のブラピ並みのビジュアルで世界中の女性の憧れの的だったロバート・レッドフォードを射止めて、大恋愛の果てに引き裂かれてゆくこの物語を観て、どうして泣かずにいられましょうか!

こっち側の女性では、誰にも成し得なかったであろう快挙を成し遂げ、尚且つ夢と希望と共感を与えてくれたバーバラ・ストライサンドに、盛大な拍手を!!

そして、私に小一時間休憩を!(ゼェゼェ

大昔にこの作品を初めて観た時は、バーバラの奮闘とレッドフォードの美しさ、それに切なすぎる別離に、とめどない涙が流れたものでした。
秋の夜長に、恋愛映画シリーズ。
10数年ぶりに観直す、 『追憶』 です。

1940年代、ニューヨーク。
放送局で働くケイティは、同僚と立ち寄ったバーで、偶然の再会をします。
その相手とは海軍大尉のハベル。
久しぶりの再会に、ケイティの心はお互いが学生だった、大学時代に遡ります・・・。

バリバリキャリアウーマンのケイティが、ハベルの姿を見た瞬間に表情がパッと和らぐ事で、ケイティの想いは全て伝わってきます。
(器用な事に)座ったまま寝ているハベルの前髪を、愛しそうに撫ぜるケイティ。
寝ている筈のハベルの瞼がピクピクしているのですが、気付かなかった事にしておきましょう。

時は遡り、1937年、大学のキャンパス。
野暮ったい容姿のケイティは、反戦活動に情熱を捧げる、志し高い学生活動家。
それに対し、ハベルは容姿端麗でスポーツ万能な学園のヒーローでした。
正反対な二人でしたが、自分の信念を貫くケイティにハベルは尊敬の念を抱いており、ケイティもまた、見た目だけの軟派男とは一味違うハベルの優しさに、密かに心惹かれていました。
少しずつ言葉を交わすようになる二人でしたが、所詮貧乏でユダヤ人で共産党員のケイティと、裕福な家庭で白人で学園の人気者のハベルではつりあう筈も無く、大学卒業と同時に繋がりは切れてしまったのでした・・。

とにかく、ケイティの目が口ほどにモノを言う事といったら!
饒舌すぎるほど、ハベルへの想いを語るケイティの視線。
わかる! わかるよ!
あなたの気持ちは痛いほどよく判る!

必要以上に感情移入してしまう、ケイティの学生時代のエピソードの数々。
かっこよすぎるハベルに、冷たい眼差しを向けざるを得ないケイティ。
だって、モロに熱い眼差しを向けても、相手にされないに決まっているから・・。
だからワザと、「あたしはあんたなんかアウト・オブ・眼中なのさ!」と言わざるを得ないのです!
これぞ、非モテ系のみがマスター出来る、究極の自己防護策!
しかし、博愛主義者のハベルは、そんな頑ななケイティにすら親しげに話しかけ、他のキャピキャピ女学生には見せないような表情を見せたりするのです。
・・なんと言う罪作り!
二人の心が、微妙に惹かれつつある中、一度目の別れが容赦なく二人に訪れます。

時は戻って、40年代のニューヨーク。
偶然の再会から、すっかりハベルの事で頭が一杯のケイティ。
そんな彼女に、最初は特別な感情を抱いていなかったハベルでしたが、ある日ケイティが差し出した1冊の本に、心が動かされます。
それは、過去にハベルが出した小説でした。
決してベストセラーではなかったその小説を手に、ハベルの才能を力説するケイティに、ハベルは親しい感情を抱くようになり、いつしか二人は付き合うようになります。
ハベルの文才を信じ、執筆を促すケイティ。
そんなケイティの献身的な愛に、すっかり身を任せるハベル。
しかし、ケイティの信条である政治思想が二人の愛の妨げになる事も多く、次第に二人の溝は深まって行っていました。
自分を曲げないケイティに耐え切れなくなったハベルは、彼女に別れを切り出します。
しかし結局、ケイティの押しの一手に根負けし、ケイティもまた、自分の政治的信念よりもハベルへの愛を優先させる事を誓い、二人はめでたくゴールイン。

問題です。
自分のベッドで、ずーーーっと片思いしてきた憧れの人が、酔いつぶれて裸で寝入ってしまいました。
さあ! あなたならどうする?!
1.とりあえず記念写真
2.紳士らしく、傍のソファーで寝顔の鑑賞
3. チャンスとばかりに既成事実を作る

長年、非モテ人生を歩んできたケイティが取った行動とは、なんと3番!
奥手のように様に見えたのに・・・。
やる時ゃやるんですね!
勝負師の眼差しを垣間見たようなきがします。
しかし、そんな猛烈アタックが功を奏して、めでたくハベルを射止めたケイティでしたが、所詮は政治思想の強い非モテ系女子。
空気なんぞは読める筈も無く、ハベルのセレブな集まりで、ノンポリな友人達を猛烈批判。
“口は禍の元”の見本の様なケイティに、ハベルがお手上げになるのも、仕方のない事です。
別れを切り出すハバルに、取り乱したケイティは、
「あたしが貧乏だからでしょ!」
「あたしがブサイクだからなんでしょ!」

と、的外れな逆ギレをします。
そうじゃない・・  そうじゃないんだよ・・ケイティ・・。
しかし、非モテが振られる時は、これ以外に理由を見つけられないものなんです・・。
そんな全国の非モテ系に、愛の手を!!
一度はハベルを諦めかけたケイティでしたが、学生運動で培った不屈の行動力でハベルを説き伏せ、何とか2人は復縁します。
この辺の行動力が、ただの非モテとケイティの決定的な違いなんでしょうね。
あやかりたい、あやかりたい・・。


ハリウッドに渡り、脚本家として再出発するハベルをサポートするケイティ。
子供も授かり、幸せ一杯に見えた二人でしたが、ハリウッドは赤狩りの恐怖に侵されつつありました。
持ち前の政治思想が、抑えきれなくなったケイティは、デモ活動を再開します。
しかし、ハリウッドの一員であるハベルにとって、妻の政治的活動は命取りであり、全てを失う危険を孕んでいました。
すっかりハリウッドに染まっていたハベルは、その地位を捨てるつもりは無く、ケイティもまた、長らく潜めていた自分の信念を再び眠らせる事は出来ませんでした。
どうしても相容れない、二人の考え方の違い・・。
ケイティはハベルに最後のお願いをします。
それは、間もなく産まれて来る赤ちゃんの出産のその日まで、傍にいて欲しい・・と言う事。
そして、二人はその日を迎えます。


アホー!!

おまえら二人とも、

ドアホー!!

こんなにお互いを理解しているのに、こんなにお互い愛し合っているのに、それでも続ける事の出来ない愛があるなんて・・・。
切な過ぎるじゃないですか・・。
愛よりも大事な信念って、何なのさ?!
私なら曲げるよ、信念。
さあさあ信念の大安売りだい!
今なら30年保障つきだよお立会い!

って、そんな女じゃなかったケイティだからこそ、ハベルは強く惹かれたんでしょうね。
「私はただ、ずっと愛し合いたかっただけなのに・・」
と言う、ケイティのセリフ・・。
二人はもう二度と、同じ道を歩む事が出来ないのでしょうか・・?

時は流れて、50年代のニューヨーク。
街を颯爽と歩いてゆくケイティの視線が、通りの向こうに釘付けになります。
その先にいたのは、ハベル。
ハベルもまたケイティに気付き、偶然の再会を果たす2人。
心の底にあった想いが溢れかえりそうになるケイティでしたが、完全に別々の種類の道を歩んでゆく2人の人生は、もう2度と交わる事はないのです。
忘れられない想いを胸に、二人はまた自分の人生に戻ってゆくのでした・・。

ラスト、2人の再会のシーンを飾るのは、バーバーラ・ストライサンドの名曲 『The Way We Were』 です。
この曲を聴きながら、観客は2人の今までの人生に思いを馳せ、偶然の再会に奇跡を願います。
もしかして、もしかしてもう一度、同じ人生を選択してくれないだろうか・・と。
「やっぱりあなた(きみ)無しの人生なんて、考えられない。」
どちらかがそう言ってくれる事を祈りながら、でもその言葉が口に出される筈はない事も判ってしまう。
再会のシーンで2人が見せる表情は、セリフ以上に全てを表していて、バーバラとレッドフォードの見事な演技力に圧倒されます。

ともすれば、判官びいきな意味もあり、バーバラよりの見方になってしまいそうな本作。
頑張れバーバラ!
負けんなバーバラ!
なんとかしてやれよレッドフォード!

そんな風になってしまいがちなストーリーを、どちら側にも共感できるような作品にさせているのこそ、2人の繊細な演技力以外の何ものでもありません。
心を打つ音楽、素敵な台詞の数々、そして確かな演技力に支えられて、 『追憶』 は今でも多くの人に愛される名作となったのですね。

愛ってこんなに苦しいものなんですね・・。
・・痛い・・・
・・胸が痛いよ母さーん!!


非モテのみならず、全ての恋する大人たちに観て頂きたい素敵な作品でした。

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