『X-MEN:フューチャー&パスト』
2014年06月06日

あらすじ・・・
時は2023年。 人類は死に絶えようとしていた。
対ミュータント用に開発された粛清ロボット・センチネルが、その刃の矛先をミュータントだけではなく、ミュータントを生み出す人類そのものへと向けた時既に、滅亡へのカウントダウンは始まっていたのだ。
地上最強のテレパスにしてミュータントたちの指導者であるプロフェッサーXにも、世界で最も強力なミュータントであるマグニートーにも、もはやセンチネルに対抗する手は残されていなかった。
ただひとつの、あまりに危険で、あまりに困難な方法を除いては・・・
前作の感想・・・『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』
(※ 以下、過去のシリーズ作品込みでネタバレしています)
■ 前回のラストおさらい!
宿敵・ショウに、ミュータント仲間と手に手を取り合い立ち向かったチャールズ(プロフェッサーX)が、キューバ近海での過酷な闘いを終え、エリック(マグニートー)やレイヴン(ミスティーク)と袂を分かつに至った前作のクライマックス。
ミュータントの将来に関して、チャールズとは考え方が異なっていたエリック。
しかし、本当はチャールズと引き続き行動をともにしたがっていたのは明白で、すがるような眼差しで立ちすくんでいたのですよね。
えりっくが なかまになりたそうに じっとりとこちらをみている! なかまに してあげますか?
そこでチャールズの答え!
はい
▶ いいえ
その毛、ぜんぶ毟り取ってやろうか!(※わたしの心の声)
■ チャールズ、いじけ虫になる!
わたしはそんな前作のラストに、若干のいらだちを隠せなかったのですが、でも、でも、地上最強のテレパスであるチャールズなら、きっと若さゆえの早計さを悔いているはずだと思っていたわけですよ。 悔いてくれているはずだと。
ところがどっこい、2023年の危機を救おうと1973年にタイムスリップしてきたウルヴァリン(正確にいうと意識だけ)の目の前に現れたのは、脱法ドラッグでキメキメの状態になっていた、超アレな感じのチャールズではありませんか!
わたしもね、今までまぁ散々と、「マーベルの2大うっかりハゲ」とか「人事不省ハゲ」とか「使えないハゲはただのハゲ」とかね、いろいろ失礼なことを言ってきましたよ。
でも、まさか毛が残っているほうのチャールズまでもが、これほどまでにアレなテレパスだったとは・・・
いや、テレパスだからこそ、ベトナム戦争に突入し、混乱の一途をたどっていたアメリカ国内から聞こえてくる、無数の叫び声に心を壊されてしまったというのはわかりますよ。
そのうえ、大切な生徒や仲間たちも徴兵され、今まで自分がやってきたことが何もかも無意味になってゆく。
人々の痛みをそのまま共有してしまったチャールズは、さぞや苦しかったことでしょう。
みんないなくなってしまった・・・たいせつな人もたいせつな居場所も・・・ エリックとレイヴンにも捨てられたし・・・オレちょうかわいそうじゃね・・・・
うん・・うん・・・わかるよチャールズ・・ ・・みんないなくなって・・・みんな・・・・
・・・ん・・? ・・・前半はわかるけど、後半おかしくね?! エリックとレイヴンちゃんを捨てたの、あなたですよね!
その毛、ぜんぶ毟り取ってやろうか!(※わたしの心の声)
■ チャールズ、みなの心を手の上で転がす!
そんな風に怒っていたのは、わたしだけではありませんでした。
チャールズに捨てられたのち、迷走に迷走を重ねケネディ暗殺にもいっちょ噛んでしまったエリックもまた、目の前でいじけまくるチャールズに対し激昂します。
「おまえがオレたちを見捨てたんじゃねーかよ!ふざけんなよ!」
揺れるエリックの心。 (金属製なので)揺れる飛行機。
怒りと哀しみに拳を振り上げるエリックのせいで、『X-MEN:フューチャー&パスト』はあわや墜落事故で全員死亡というバッドエンディングを迎えるところでしたが、そもそも、11年ぶりの再会の際いきなり殴りかかってきたのはチャールズの方でしたからね。 あくまで「おかえし」の域ですから。 チャールズは生意気言ってないでもう2・3発頂いときなさい!
で、普通ならば、この流れの先にあるのはチャールズからエリックに対する謝罪じゃないですか。
「見捨てちゃってごめんなさい」「自分から誘ったのに突き放しちゃってごめんなさい」「レイヴンちゃんの面倒まで押し付けちゃってごめんなさい」「なにはともあれごめんなさい」
言葉はなんでもいいんですよ。
とにかく今からもう一度、協力して未来を変える努力をしなければならないんだから、胸襟開いて話しかければいいんですよ。
胸襟開いて。
胸襟を。

「ごめん・・・オレが悪かった・・・・ぜんぶオレが悪かったんや・・・ゆるしてつかあさい・・・」
こっちが開いちゃった!
あんなにカチンときていたエリックも、同じく見捨てられてがむしゃらに生きてきたレイヴンちゃんも、都合のいいおとこ扱いされてきたハンク(ビースト)も、命がけで未来から飛ばされてきたウルヴァリンも、なんだかんだでチャールズの意のままになっているような・・・・さ・・さすがは地球最強のテレパス・・・・チャールズ・・こわい子…
いや・・チャールズにテレパスなんて必要ない・・・ 無造作な前髪の隙間からのぞく物憂げな眼差しだけで、みんな
■ ストライカーさん、その歩み!

1975年、ウルヴァリンとお兄ちゃんのビクターさんをスカウトするストライカー少佐。 その後ウルヴァリンの恋人の死を偽装し、アダマンチウムの移植をそそのかしまんまと成功した頃の一枚。 ←わかる

2006年、ミュータントである自分の息子・ジェイソンくんを利用して、チャールズの脳をコントロールするストライカー大佐。 その後マグニートーにおしおきされ、ダムの底に沈むちょっと前の頃の一枚。 ←まぁわかる

1973年、対ミュータント用ロボットの開発に闘志を燃やすトラスクさんのボディガード役として活躍するストライカー少佐。 ちょいちょいミュータントを舐めまわすような目で見ているところが若干気になる一枚。 ←誰やねん!
1973年から75年の2年間に何があったのか・・・ おしえてシンガーさん!
■ 本物をさがせ!




_人人人 人人人人人人人_
> センチネルはどーれだ! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
■ 正義の人、レイヴン!
エリックと一緒に過ごす間、レイヴンちゃんは何を見、何を考えていたのでしょうね。
間違いなく言えることは、チャールズのことを片時も忘れたことなどなかったであろうこと。
そして、人間のおぞましさをうんざりするほど目にしたであろうことだと思います。
わずか1年ほどで、(暗殺者として逮捕された)エリックと離れることになったレイヴンちゃんは、ひとりで自分が信じる道を突き進んできました。
ミュータントを守る、という道を。
絶望の未来へのきっかけとなった「殺人」も、動悸となったのは「これ以上ミュータントを傷つけさせない」という強い気持ちだったのではないでしょうか。 犠牲となった仲間と、まだ残っている仲間への気持ちが。
レイヴンちゃんは、エリックの頑なさと、チャールズの博愛精神を受け継いでいた。
ミュータントを守るためなら世界を敵に回してもいい。 だけれど、「しょせん世界とは分かり合えない」と絶望してしまうこともできない。
どちらを選べばいい? どちらも選べない?
もう少し、大人がしっかりしてくれてさえいれば、レイヴンちゃんがここまで苦しむこともなかったのになぁ・・と、エリックとチャールズの罪深さに憤慨しそうになりましたねぇ。
そして、そんなレイヴンちゃんが、どちらもを救うことを選択したラスト。
だいすきなエリックを「人類の敵」にさせないため、引き金を引くレイヴンちゃん。
だいすきなチャールズの想いに応えるため、銃を下すレイヴンちゃん。
誰よりも誠実で、強い心を持つレイヴンちゃんの姿に、目頭があつくなったのでした。
ふたりを救い、ふたりから離れて、新しい人生への一歩を踏み出す彼女こそが、ミュータントにとっての希望になるのではないか。
ていうか、もうインヴンちゃんがセンターでいいんじゃないか。
おっさんふたりは、あの、アレだ、サポートがんばって!
■ 展開も映像もすごい!
この1973年がすごい!
文化やファッション、街の風景に至るすみずみまでが微に入り細を穿つ描写となっており、ステキすぎてクラクラしました。
そして何といっても、そこで出会った若きミュータント・クイックシルバーが超さいこう!!
超絶的なスピードで移動することのできるクイックシルバーは、本作において、もしかしたら一番強力なミュータントなのではないでしょうか。
前半で主な出演シーンが終わっていることは示唆されているにも関わず、「ここいらでクイックシルバーたんが・・・」「・・もう出ない・・・と思わせつつ、もっかいクイックシルバーたんが・・・」と、最後の最後まで再登板を期待せずにはいられなかった、それぐらい猛烈な印象を残していったクイックシルバーの美技の数々は、明らかにえこひいきの域に達しているのではないか。
あと、シンガー監督はクイックシルバーに惚れ込みすぎなのではないか。いろんな意味で。
そんなゲスな勘繰りが頭をよぎるほどの、愛されキャラ・クイックシルバーたん。
来年公開予定の『アベンジャーズ2』にも、別の監督&キャストによる同名キャラが登場するそうですが、これほどまでにかっこいいシーンを作られてしまって、アベンジャーズ組のみなさんは頭を抱えているのではないか、と、それこそゲスにも程がある勘繰りをしてしまいますよね。
ともかく、クイックシルバーが厨房でハッスルするシーンは、それだけでもお金を払う価値ありだと思います!
首をもぎられ、胴を引き千切られ、無残に散ってゆくX-MENメンバーたちの姿に、絶望とか悲嘆とかとはまた違う、なんというか、頭が真っ白になるような衝撃を受けたり、懐かしい顔ぶれに涙腺が緩んだり、がんばるおじいちゃんにハラハラしたり、と、あらゆる感情を総動員して物語にのめり込んだ2時間強。
シンガー監督の、これでもかというサービス精神と、ミュータント(X-MENという世界)への溢れんばかりの愛に包まれた、最高のひとときでした!
なにはともあれ、わしゃこれであの憎き3作目(ミスティークがボロ雑巾のように捨てられたり、その腹いせに政府の犬になったりする超腹立たしい映画)がなかったことにされたので、大満足ですよ!
使えないリーダーとしてぞんざいな扱いを受けた挙句、婚約者に爆発させられた気の毒なミュータント・サイクロップスさんも、しれっとした顔で復活しましたし!マジよかったね、スコット! 今度は寝取られないようにね!
■ チャールズ・エグゼビア氏、イヤイヤ期を超えて・・!
今回、ウルヴァリンの懇願にも耳を貸さず、精神を解放することを拒んでいたチャールズを説得したのは、時空を超えてご対面を果たした、他ならぬチャールズ自身だったわけですが、忘れてはならないのは、もともと2023年に居たチャールズは、そんな己との対話などなしに、「もうテレパス無理!」な時代を乗り越えていた、という点なのですよね。
チャールズは一体どのようにして、イヤイヤ期を克服したのか。
あのままの流れならば、ウルヴァリンはいないし、レイヴンちゃんとは離れたままだし、エリックなどは言わずもがな。
ならばどうやって・・?
何がチャールズを立ち直らせたのか・・・?
・・もうね、そんなもんね、ハンクしかいないわけですよ!
ふたりっきりのお屋敷で、お薬の調合から家事全般に至るまで。
それこそ、おはようからおやすみまで、チャールズの生活のすべてを支えていたハンク。
彼の存在なしでは、チャールズは生きてさえいけなかったに違いない。
そう、チャールズの心の扉を叩いたのは、いつもハンクだったって考えるのが自然。
誰かにとって特別だったチャールズを、マークはずす飛び込みでハンクがさっと奪い去ったと考えるのが、ごく自然なことなのではないでしょうか。
・・・
・・
・・・・そっちはそっちでアリだな!(←どっちと比較しているんだ)
自分が何を言っているのかわからなくなってきましたが、ともかく、自力で立ち直ったチャールズはホント立派だと思いました。 ていうか、そのくだりが観てみたいなぁ。
さすが、地上最強のテレパス! よっ!プロフェッサー!
■ 待て次号!
あまりに美しい結末だったため、X-MENシリーズはこれにて完結なのかなぁ・・と思ったのですが、どっこい次回作のお話もしっかり進んでいるらしく、シリーズ第8弾となる『X-MEN:アポカリプス』は2016年5月に全米で公開予定なのだそうです。
ストライカーとの因縁がなくなった今、ウルヴァリンはどのようにしてアダマンチウムの骨格を手にするのか。
今度こそサイクロップスはリーダーとして大活躍できるのか。
クイックシルバーは出ずっぱりになるのか。
おじいちゃんはあと何作ワイヤーワークに耐えられるのか。
まだまだお楽しみは続きますね! ほんとにしあわせなことだなぁ!
あと、聞くところによると、このX-MENチームとアベンジャーズチームが映画会社の枠を超えて共闘したがっている・・というか共闘の意思がないわけでもないみたいな噂があるそうですが、そんな夢のような話、ぜひ実現していただきたいですよね!
あのね、ぼくね、ウルヴァリンとキャップはお年寄り同士気があうんじゃないかと思うの。
苦悩ポイントにも共通点がありそうですし。
観たいなぁ・・・・ 社長がマグニートーのおもちゃにされるトコ!
■ すきなものだけでいいです はどこまでも師匠についてゆきます!

次回作でもキティ・プライドさんの活躍が観られますように!

