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すきもの主婦が選ぶ2015年ベスト110 (49~30位の巻)

2016年06月29日

なんとか・・・! 2016年の半分が終わる前に・・・! 終らせたい・・・! その一心でがんばっております・・・!!!


前回書いたシロモノ・・・
すきもの主婦が選ぶ2015年ベスト110 (110~90位の巻)
すきもの主婦が選ぶ2015年ベスト110 (89~70位の巻)
すきもの主婦が選ぶ2015年ベスト110 (69~50位の巻)




49位 『REDリターンズ』
あらすじ・・・
引退したロートルCIAたちが核爆発を阻止します。

元すご腕CIAのおじいちゃんやおばあちゃんたちが、「若いもんにはまけへんで~」とばかりに巨悪に立ち向かう人気作の第2弾。
最後は間違いなく勝つんだろうなぁという絶対的な安心感があるので、大人からお年寄りまで存分に楽しめる娯楽作となっております。
今まで気にはなっていたものの未見だったわたしにDVDを貸してくれたのも、他ならぬ実家の母でしたし。(←買う程気に入ったのか、という驚き)
スパイアクションというのは、とかく「どれだけ相手の裏がかけるか」大会になってしまっているきらいがありますが、本作もバッチリ例外ではなく、「・・と、思わせて~?」のつるべうち。 それはもう、ハラハラドキドキ感を阻害してしまうレベルとも言えます。 まぁ、そこが言い換えれば「安心感」でもあるのですが。

今回ラスボスとして登場するサー・アンソニー・ホプキンスさんの博士が、「気がふれていると見せかけてどっこいおつむは正常です・・という設定だけど企んでいる内容がロンドン核爆破なので結局ぜんぜん正常じゃない」トコとかが、なんかもうヒドかったです。
かわいいからってなんでも許されると思ったら大間違いだゾ!
Anthony-Hopkins-Red-2.jpg
(ぎゃんかわ!!)

博士とマルコヴィッチさんのかわいいおじいちゃん対決も見ものです。


48位 『RED/レッド』
あらすじ・・・
引退したロートルCIAたちが副大統領の陰謀を阻止します。

やはり2作めよりもこちらの方がシンプルにおもしろかったですね!
悪だくみをするのはおじいちゃん(リチャード・ドレイファスさん)、やっつけるのもおじいちゃん(マルコヴィッチさんやモーガン・フリーマンさんやブルース・ウィリスさん)、加勢に入るのがおばあちゃん(デイム・ヘレン・ミレン)、そして振り回されるカルアバさん(カール・アーバン)というバランスの良さ! 
「経験豊富なベテランから知識の浅い若者が学んで成長する」というおとぎ話のようなライトな説教臭さを、ユーモアたっぷりな単純明快ストーリーでコーティング。 さらにアーネスト・ボーグナインさんのような伝説の名優までサラリと登場させて、大人からお年寄りまで多くの映画ファンの心をくすぐるのですから、そりゃもううちの実家の母もDVD買いますよね。(←2作セットで買ったそうです)

作ろうと思えばなんぼでも作れると思いますので、今後も魅力的なシニア俳優の皆さんをジャンジャン加入させて、最終的には「REDはつらいよ 第48作クレムリン慕情」ぐらいまで行き着けばいいのではないでしょうか。 すみません、適当なこと言ってすみません。



47位 『ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画』
あらすじ・・・
地球の未来を憂いた若者たちがダムを壊します。

意識が高すぎて成層圏まで行っちゃった! みたいな若者たちの青春サスペンスでしたが、これがめっぽうおもしろかった!
「マザーアースの悲鳴が聞こえる・・・! なんとか地球を助けなきゃ!」 って思いついたのが「ダムの破壊」という脈絡のなさ。
そもそも、彼らには明確かつ具体的な目的があったとも、崇高な志があったとも思えないのですよね。 
しかし、ただエコな生活を送っているだけでは物足りなくなった結果、なんとなく身近にあったダムに目を向けた。
ダムを壊したらどうなるか、普通に考えれば「わーい水が大地に戻ってゆくー」だけじゃないことなんて明らかじゃないですか。 
そんなことも考えが及ばないような先走りエコ野郎たちが、テロを企んだらどうなるか。 
まぁ、綻びますよね。 
予想外の出来事に対処できず、ボロボロボロボロ綻んでゆく計画と仲間のつながり。

「肥料がすんなり買えない」「準備しておいてくれるって言ってたのに出来てない」「人がいないと思ったら結構いた」「時間が押して、かからないと思っていた検問に引っかかった」「人的被害はないと思っていたのに民間人に犠牲を出してしまった」「会わない約束だったのに会いにいってしまった」「信頼していたはずができなくなった」etc...
縦の糸のあなたと横の糸のわたしがほつれ、開いた隙間から大事なものがどんどんこぼれ出てしまう。
なんのための活動だったのか。 
誰のための活動だったのか。 
わからなかったものがさらにわからなくなり、最後は疑心暗鬼の矛先を互いに向け合い自滅するしかなかった若者たち。
ものすごくやるせなかったです。
ジェシー・アイゼンバーグさんとダコタ・ファニングさん、ちょっと年長のピーター・サースガードさんの間にピンと張り詰めた緊張感が心地よく、邦題で連想させるようなド派手な展開はないものの、とてもおもしろく鑑賞しました。 というか、ホントこの邦題どうかと思うなぁ。



46位 『96時間/リベンジ』
あらすじ・・・
要人のボディガードのため海外に出かけたお父さんが、せっかくだからと元嫁と娘を誘ってみたら、そこに以前殺した悪人のお父さんがやってきて大変なことになります。

頭がおかしいお父さんが家族のために頭がおかしいぐらい人を殺す人気シリーズ第2弾! なんと今回は頭がおかしいお父さんがもう一人増えますよ!やったねリーアム!頭がおかしいオヤジ連盟結成だ!

1作目では、海外旅行中に人身売買組織にさらわれた娘を助けたリーアム父ちゃんですが、今回はその組織のリーダーの父ちゃんがリーアムに仕返しを企てるというお話なのですよね。 いわゆる復讐の連鎖ってやつですが、スタート地点が「人身売買」とか「若い女性旅行者をヤク漬けに」とかなので、あまりの頭のおかしさに眩暈必至です。 
おかしいやろ。 人間のクズが因果応報で報いを受けただけなのに、逆恨むっておかしいやろ。 
まぁ、そんなおかしいお父さんだからこそ、子どももクズに育つのかもしれませんけども。

「お前の息子がさんざんさらって売ってきた一般女性は、その親の気持ちはどうなんだよ?」とリーアムに問われた組織の父ちゃんが「理由など知るか」って吐き捨てるシーンこそが、この世の不条理な暴力のすべてを表しているようで、ゾッとしました。 
そうなんですよね。 
彼らにとって相手の人生なんてどうでもいいんですよ。 自分たちがやりたいように生きるだけで。
正義の側にいるようにみえるリーアム父ちゃんも、実は「オレの家族さえ守れれば何人死んでもどれだけ被害が出てもしょうがない」というかなりアレな思想の持主なので、ダブル狂気がぶつかり合うクライマックスは自分の中の良識が試される気がしました。
えっと、とはいってもわたし自身「うちの娘になんかしたやつは、全員生まれてきたことを後悔させてやる」ぐらいなアレな思想の持主なので、圧倒的にリーアム父ちゃんに超共感だったのですが。

「今からお父さんとお母さんはさらわれる」と電話越しに娘に伝える、1作目の名場面を踏襲したシーンや、ものすごく理解の早い娘さんの活躍シーン、「それかここで死ね」という胸のすく名セリフなど、今回も見せ場のてんこ盛りでとてもおもしろかったです。
あーあ・・・1作目と2作目は、ホントおもしろかった(のに)なぁ・・・!



45位 『エベレスト 3D』
あらすじ・・・
プロクライマーや素人登山家が入り混じってエベレストに挑戦し、大混乱します。

近年、エベレストが、登山家が夢にチャレンジする場だけではなく、富裕層の「ちょっとした」アドベンチャーの場になっているのは有名な話だと思います。 
その結果、神聖な山にはゴミが散乱し、ただでさえ危険なルートは大渋滞でさらに極悪ルートに。

エベレストが大渋滞。そのうち初心者は登れなくなる? エベレストが大渋滞。そのうち初心者は登れなくなる?



(今にもおちそう・・)

で、それは最近だけの話なのかと思っていたら大間違いだよ、1990年代には既に同じような状況が始まっていたんだよ、ということを容赦ない描写でビシビシ突き付けてくれるのが本作でありまして。
実力ある登山家だけが挑戦を許された聖地だったはずの場所が、札束で頬を叩く系の富裕者層とそれに応える専門家によって、シノギの場に変わってしまう。 
未知なる冒険への門戸が広く開かれるのはいいことなのかもしれない。 
ただ、相手は世界で最も危険な山。 
平均温度は氷点下27度、常に時速320キロの強風にさらされ、酸素も地上の3分の1。 
プロであっても長居不可能ですし、たとえ遭難しても酸素が薄すぎてヘリすら飛んで来られないデスゾーンなわけですよ。 
そんな場所にガイト&シェルパ頼りの素人が観光気分でフラフラやってきたらどうなることか・・・。 
わかりますよね。 いや、わからないのか。

1996年に実際に起きた遭難事故を元にした『エベレスト3D』は、そこいらへんのモヤモヤを見事に再現しています。
高すぎる参加費用をせっせと貯めて、長年の夢にチャレンジするアマチュア登山家や、金に物言わす西洋人、プライドをかけて彼らを山頂へ連れてゆこうとするガイドたちが、大自然を前に無残に散ってゆくさまは、非情すぎて悲しみすらわかないほど。 
けっこうな豪華キャストが、呆然としてしまうほどあっけなく亡くなりますからねぇ。 
感傷に浸る暇もないですよ。 そしてそれが、エベレストというものなのです。

お金さえ積めばエベレストには行ける。 
なんだったら、登頂だって出来る。 
しかし、その「冒険」の裏には、常に命を支える誰かの行動がある。 
自分ひとりのエゴが、何人もの命を奪うことになるかもしれないということを、忘れてはいけない。 
そんな当たり前のことが、もしかしたらエベレスト(に限らず七大陸最高峰のような場所)を訪れる人たちの中には、未だに浸透していないのかもしれないなぁ・・と、先に貼った記事を読みながら思いました。
死んでもおかしくない場所に行くのは自分の自由ですが、その生き死にに他人を巻き込む可能性がある時は、自重しなければいけないですよね。 
「自分はやりたいから」「自分は死に物狂いでがんばれば出来るから」って、下手したら美談になりかねませんが、実際超危険な考え方ですからね。

アメリカ様による、現地の人たちの危険をものともしない横柄なヘリ召喚シーンに、「さすがワールドポリスアメリカさまやで・・・」と凍えました。


44位 『ミケランジェロ・プロジェクト』
あらすじ・・・
枢軸国と連合国との闘いがまだまだ続いていた1943年のヨーロッパで、ナチスが強奪していった膨大な数の美術品を取り戻すべく非戦闘員のおじさんたちが立ち上がります。

アーティスト志望だったヒトラーが、占領した国から美術品や調度品を巻き上げていたのは有名な話ですが、それを密かに奪い返していた人たちがいたことを、この作品で知りました。 
いやぁ、映画は勉強になるなぁ。
しかも、その作戦を実行していたのは終戦前だったというではありませんか。 
よくそんな恐ろしいこと出来たなぁ。 まさに命がけのミッションですよ。 おじさんというか、ほぼおじいちゃんなのに。 
その勇気、その信念に、目頭が熱くなりました。
仲間を失いながらも、不屈の姿勢で多くの美術品を救い出したおじいちゃんたち。 
そこに「守る価値」はあったのか? 
もちろんあった。
なぜなら彼らが守ろうとしていたのは、ただの美術品ではなかったのだから。
それらが見守ってきた、人々の穏やかな生活。 
それらに込められた、人々の平和への願い。 
それらの存在が物語る、文化の発展。 
おじいちゃんたちは、美術品を、人間の尊厳を守るために、ナチスに立ち向かったのですよね。
かっこいいなぁ。 しびれるなぁ。

派手さはありませんが、行く先々でドイツ軍と鉢合わせしたりそれをかわしたりといった、静かな緊張感に満ちたシーンがあり、戦時下における命のあっけなさや残酷さもしっかりと伝わってきて、とても良質な作品だなぁと思いました。
サントラ(音楽)もよかったです。

余談ですが、本作でフラれたケイト・ブランシェットさまが悪落ちしてナチスの将校になり、インディをしばき倒すんだな、と思うと、スピルバーグ先生のアレも微笑ましい気持ちで観られるのではないかと思いますので、今後クリスタル・スカルのアレを鑑賞する時は、直前に『ミケランジェロ・プロジェクト』を観るといいのではないでしょうか。 
  
 
43位 『ピッチ・パーフェクト2』
あらすじ・・・
伝統ある大学生アカペラグループ「バーデン・ベラーズ」が、一度落ちるところまで落ちてから再びトップを目指します。

1作目は国内大会、というわけで、もちろん2作目はスケールアップして世界大会なわけですよね。
「ダメ」人間の寄せ集めが思わぬ実力を発揮し、一致団結してトップを取りに行く、という鉄板ネタに聴きごたえのある歌声を重ねることで、ヒット間違いなしな内容にはなっているのですが、すごいのは、ここに下品すぎるユーモアを散りばめてもマイナスになっていないという点ですよね。 むしろウケてる。 圧倒的にウケてる。 アメリカ、度量が大きい。


42位 『ピッチ・パーフェクト』
あらすじ・・・
伝統ある大学生アカペラグループ「バーデン・ベラーズ」が、一度落ちるとこまで落ちてから再びトップを目指します。

で、1作目のこちらは全米優勝への軌跡なわけですね。
お下劣ギャグに差別ネタ、全方向につばを吐くサウスパーク方式の毒っ気たっぷりなミュージカルコメディ。
鳥肌必至な歌唱シーンも、落ちこぼれ集団のサクセスストーリーもほんとにたのしくて、鑑賞中めちゃくちゃ幸せな気分になりました。
このシリーズでアダム・ディヴァインさんに出会えたのも大きな収穫でしたよ。


41位 『探検隊の栄光』
あらすじ・・・
藤原竜也さんがジャングル(というか田舎の山中)を冒険します。

当たり役はあったものの、その後ヒットに恵まれず落ちぶれる一方だった俳優・藤原竜也・・・じゃなかった杉崎が、バラエティ番組のホストに抜擢され、意気揚々と海外ロケに挑んではみたものの、そこで彼を待ち受けていたのは超ユルーいヤラセドキュメンタリーの撮影現場だった! というお話。
小学生の頃、「川口浩探検隊」を一度でも見たことがある方はまあまあ楽しめると思いますが、くだんの番組が大好きだった方の場合は超興奮してだいすきになってしまうのではないでしょうか。 ちなみにわたしは圧倒的に後者です。
明らかに作り物だったり仕込みだったりしていた、ジャングルのアレコレ。 
子ども心にもわかっていましたよ、それがうそっぱちだって。 ホントに起きていたら事件として新聞に載るだろうって。
でも、わたしを含め、多くの人たちがその茶番を純粋に楽しんでいたのが、昭和50年代のあの頃だった。

本作は、当時の雰囲気をさらにバカバカしく誇張し、トンデモナイ探検を堂々と展開させます。
小汚い沼の中で、上半身裸になりぬいぐるみのワニと格闘する藤原隊長。 
天井につけた滑車を使い、むき出しのワイヤーをそのままに三つ首のヤーガを出現させる神経の図太いスタッフ。 
バカなことを全力でやりきる彼らの姿は、気づくとうっすらとした感動すら生み出してしまっている。
真剣なことだけが大事なんじゃないし、真面目なことだけが美しいんじゃない。 
ふざけたことや常識から外れたようなこともまた、観ている人の人生にちょっとした楽しさを与えることが出来るんですよね。 
それって、とても大切なことなんじゃないでしょうか。 
バカなことかどうかを決めるのは他人じゃない、自分自身なんだ。
自分が誇りをもってやれば、それはバカなことなんかじゃないんだ。
やる気を失っていたADや、暴力を交渉の道具に使おうとしていた現地の住民や、俳優として行き詰っていた藤原隊長、はては適当な態度で番組作りにあたっていた撮影クルーたちまでが、自らが放出する謎の熱気にまかれ意識を変化させてゆく。
そして訪れる最高の奇跡。 メガハッピーエンドと言えるクライマックスに、わたしの満足度は最高潮!
ホントにおもしろかったです!
藤原さんは言うまでもなく、ユースケさんや小澤征悦さん、ななめ45°の岡安章介さんなど、役者さんが本来もっているイメージを上手に生かしたキャスティングも見事にはまっていましたよ。
続編も観たいなぁ!



40位 『バクマン。』
あらすじ・・・
絵が得意な高校生と物語を考えるのが得意な高校生がコンビを組んでジャンプでデビューします。

今をときめく役者さんがわんさか登場して、ジャンプの人気漫画が原作で、サブカルロックの雄・サカナクションが音楽を担当して、あのヒット作『モテキ』の監督さんで、と世の若者がだいすきそうな要素がギュギュっと詰め込まれていました。 の、わりにはお客さん少なかったなぁ。 
キラキラとしたサクセスストーリーかと思いきや、青春の甘さや、勤労の辛さ、週刊連載の地獄さもしっかりと描かれており、とても真面目な作品だなぁと思いました。
原稿用紙に鉛筆とペンで絵を描く、というアナログな作業を最新の技術と融合させた原稿作成シーンもワクワクしましたよね。 
少年ジャンプだけではなく、すべての漫画家さん(作り手)に対する尊敬や愛情が全面から伝わってきて、ホント気持ちのいい作品でしたよ。



39位 『ファンタスティック・フォー』(2015年版)
あらすじ・・・
天才少年リードくんが親友ベンちゃんと一緒にすごい機械を発明します。

ファンタスティックな仲間を紹介するぜ! (※画像はイメージです)

リード_convert_20151022001458
小学生の段階で次元転送装置の原型を作っちゃう天才少年、リード・リチャードくん。 のちに体がのびるようになります。

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リードくんのマブダチ、ベン・グリムくん。 のちに体がかたくなります。

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リードに研究環境を与えてくれた財団のご令嬢、スー・ストームさん。 のちに体が透明になります。

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リードに研究環境を与えてくれた財団のご子息、ジョニー・ストームさん。 のちに体が燃えます。

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寂しがりやでヒガミ屋さんの天才青年、ヴィクター・フォン・ドゥームくん。 のちに機械(っぽい)の体を手に入れます。

映画の冒頭、20世紀フォックスマークのFだけがうっすら残るオープニングに高まる期待。 いいんじゃないの・・なんかおもしろそうなんじゃないの・・・ そんな想いがいい意味で裏切られる一大青春エンターテイメントでした! ぼかぁすきですよ! 時間が経てば経つほどに愛おしく思えてくる!

『クロニクル』を世に送り出した若手のホープ、ジョシュ・トランク監督がメガフォンを執るということで、世の映画ファンは大いにワクワクしたものでしたが、いざ蓋を開けてみれば、ジョシュ監督の恨み節と、それをよく思わない勢力か何かからの監督に対するネガティブキャンペーンで前評判は散々。 
実際鑑賞してみると、「地球を救うヒーロー」のお話としては致命的とも言える、圧倒的セット感とそこから漂うこじんまりとした雰囲気や、はしょりすぎて訳がわからなくなっているストーリー、同じくはしょりすぎて共感しずらくなっているキャラクター陣など、マイナス要素のオンパレードでした。 
よくもここまで嫌われるなぁ・・・と感心するレベルの酷評の嵐・・・!

たしかにね、たしかに後半のはしょりかたはすごかったですよ。いや、「前半もだろ」という声は敢えてスルーして、後半のはしょりかた。
岩石化したベンちゃんをどうすることも出来ず、見捨てるような形で(というか実際見捨てて)リードくんがトンズラするトコまではしょうがないとしても、そのあと1年間音沙汰なしとかありえんだろ、と。
せめてリードくんの隠れ家を探し当てたベンちゃんが、彼が実は心配のあまり自分(ベンちゃん)の近況をチェックし続けていたこととか、なんとか岩石化を直そうと様々な研究に打ち込んできたこととかを知るシーンがあれば、この「そして1年後」のショックは少しは薄れたと思うのですよ。 
まぁ、もしかしたら撮影したもののカットされたもかもしれませんけどね。

「信頼していた親友に裏切られた」という思いを抱えたまま、とりあえず目の前にめんどくさいヤツが現れたからと一緒に闘うことを強いられ、ワーワー言うてるうちになんとなくうやむやにされちゃうベンちゃん超かわいそう。
あと、それを言うならそもそも友達から真夜中に「ちょっとこいよー」って呼び出されて、一般人なのに得体のしれないマシンに乗せられて、挙句転送に失敗して岩石化しちゃうベンちゃん鬼かわいそう。
過去シリーズの時にもきちんと描かれていましたし、『F4』以外でもハルクだったりハンク・マッコイだったりが同じ悩みを抱えていましたが、「ヒーローとしての自分を受け入れようぜ!」とポジティブに受け止めるには、あまりにもあんまりなビジュアル。 
ほんといたたまれない。 ベンちゃんのお肌に毎晩ニベアを塗り込んであげたい。

頭はいいのに、もっと頭がいい少年がそばにいたせいで全くちやほやされず、気になっている女の子にも拒絶され(ていると思い込んで)、どこにも自分の居場所を見つけることのできなかったヴィクターさんも相当かわいそうですし。
異次元の惑星に一人残されても生きる希望を捨てず、一年間助けが来る保障もない中コツコツ荒れ地を整地していたヴィクターさんの姿を想像するとキュンってなりますね。
マット・デイモンとやってることはほぼ同じなのに、なんでヴィクターさんはこんなに嫌われるのでしょうか。 ジャガイモを育てなかったのが敗因なのか。
妬み嫉み僻みのの権化となったヴィクターさんは、異次元惑星こそに自分の居場所を見出したのではないか。
ここでなら誰からも冷たくされない。 
ちやほやもされないけど、自分はこの星でいちばんえらいのだからそれでいいではないか。

よかれと思ったメンバーによって、一旦地球に連れ戻されたヴィクターさんが、
「家(星)に帰らせろ」
「ここがおまえの家だろ」
「地球はヤなんだよ」
「何言ってんの地球にいた方がいいって」
「だからヤなんだってば」と押し問答した末の激オコ&ブチ切れ騒動とか、超胸アツですよ。
行く手を阻む人々の頭をポンポンと弾けさせながら、廊下をノッシノッシと闊歩するヴィクターさん。 めちゃくちゃかっこよかったよ!

ヴィクターさんに限らず、このリブート版『F4』は誰かに認められたいという必死な想いや、誰にも受け入れられないという疎外感、コミュニティに属しているのにどこまでもつきまという孤独感が、少ない描写ながらも充分伝わってくるところがすごくよかったと思います。
特別な能力のあるなし関係なく、そういったつらさって常にそこいらじゅうに転がっているじゃないですか。 いつもは見て見ぬふり(気づかぬふり)をしていても、うっかり踏んでしまったらめちゃくちゃ落ち込むし、「自分は本当に必要な存在なのか・・?」と抉らなくていい穴をグリグリしてしまう。
いつでも傷つく用意のできている繊細な青年たちが、きっかけはともあれ、理解し合える仲間を見つけるまでの序章とも言える本作。
そう、これはまだ序章なのですよ。 グっとくるラストシーンの続きは、残念ながら作られることがないかもしれないけれど、わたしはこの序章を大いに気に入りましたし、なんだったら悪評高いリードくんとベンちゃんの7年間パートを、今の倍ぐらいの尺にして今の倍ぐらいの濃度にしてくれてもいいと思っていますよ。 下手したらとんでもねえ傑作になりうるんじゃないかとまで思っている。(※あくまで当社比)
出来ることならいつの日か、ジョシュ監督が思い描いていたままの完成版も観てみたいですね。

余談ですが、念願の異次元世界に転送されたシーンで、5年生の時に転送してしまったミニカーを見つけるシーンも入れて欲しかったなぁ。

ben.png
(すったもんだの結果、「まぁこれがオレたちのリアルだし、この姿を受け入れてがんばろうぜ~」みたいなことを言われて「おまえそれマジで言ってんの・・?」ってなってるベンちゃん。 ベンちゃんはもっとリードくんに怒っていいと思う。 やさしすぎるのよね・・・)


38位 『カンフー・ジャングル』
あらすじ・・・
カンフーで天下一を目指す男の前に、宇宙一強いドニーさんが立ちはだかります。

昔のカンフー映画って、やたらと道場破りをしたがる悪役、いましたよね。
「わしが一番つよいんじゃー」ってことを証明するためなら、人殺しだって厭わないような悪いカンフーの達人。
本作では、そんなダークサイドな達人が現代で同じように腕試しをしたらどうなるか、ということをサスペンスフルに描いています。
ちなみに、どうなるかというと、ドニーさんにボッコボコにされますので、よいこのみんなは真似しないようにね!

悪役とはいえ、昔のように長いひげをたくわえてカンラカンラと高笑いするようなヤツではなく、身体の障害のせいで就労が困難、愛する妻も不治の病を抱えていて先が見えない、というとてもかなしい人。 
しかし、いくらかなしい人だからといって、自分の欠けた何かを埋めるために人を殺していい訳はなく、同じくカンフーで人を殺した過去を持つドニーさんが、「お前の気持ち、わかるから」と彼を止めるべく奔走することになります。
いろいろなカンフーの技のスペシャリストを次々と倒してゆく犯人。 しかし、その闘いは決して圧勝ではなく、それぞれの相手からくらった技は、犯人の身体をじわじわと壊してゆく。 
妻の死で壊れた心、カンフーで壊れた肉体。 
犯人は、決して勝てない相手であるドニーさんに、とどめを刺してほしかったのだろうと思います。 でも、ドニーさんもドニーさんで、そんな彼の苦しみがわかるからなんとか彼を救ってやりたかった。 自分がそうしたように、過ちを償って、強さを別のことに使ってほしかったのではないか。

香港映画のレジェンドたちにこれでもかとオマージュを捧げられた、カンフーファンの、カンフーファンによる、カンフーファンの為の作品。
カンフーファン以外の人も、クライマックスのドニーさんとワン・バオチャンさん(犯人)が高速道路で繰り広げる死闘は、息をするのを忘れるほど興奮すること間違いなしだと思うので、騙されたと思って一度ご覧いただければと思います。


37位 『96時間』
あらすじ・・・
海外旅行先で人身売買組織に拉致されてしまった娘を、元CIAのお父さんが助けに行きます。

「そして殺すおじさん」、ここに爆誕・・・!
とにかくつよい、とにかく非情、とにかくあたまがおかしいお父さんが、「危ないからやめとけ」っつったのに聞く耳持たず出かけたパリでまんまとさらわれた娘を取り戻すため、法の壁とか常識とか友情とかをバンバンぶっ壊しながら犯罪組織を壊滅させるお話。
あたまがおかしいお父さんが、あたまがおかしいくせにあまりにかっこよく見えるため、観ているわたしたちも若干あたまがおかしくなっていき、最終的には「あたまがおかしいことなんて、娘を思う気持ちの前には些細な事よのう・・!」みたいな気分になるというファンタスティックな映画でした。 
わたしも、娘たちのためなら自分の命なんてこれっぽっちも惜しくないと思っていますし、なんだったら娘たちさえ助かるならなんでもいいと思っている部分も多々ありますので、本作のリーアム父ちゃんを観て「人命軽視」とかそんな偉そうなこと、全く言えないですし、わたしもここまで出来るような能力が欲しいなぁというか、むしろウェルカムです。 いいぞ、もっとやれ。 
情報を聞き出すためなら、友人の嫁の腕を撃つことにも何の躊躇もないリーアム父ちゃんの姿には、「親バカを極めるってこういうことなのか・・・」と畏敬の念すら覚えるほどでした。
普通はね、普通の親は自分の子どもたちがどんなに目に遭っても、ここまでは出来ないんですよ。 しないんじゃなく、やりたくても出来ないんです。 
だからこそ、映画の中でぐらい、ここまで振り切った「親バカ」があってもいいと思うなぁ。



36位 『名探偵ゴッド・アイ』
あらすじ・・・
盲目の名探偵と武闘派の女刑事がおいしいものを食べ歩きます。(色んな謎も解きます)

疾走した幼馴染の謎といくつかの殺人事件と一途な横恋慕をコミカルに描く超娯楽作!
とにかくメシがうまそう! バリバリムシャムシャ食うメシがどれもめちゃくちゃうまそう!
自由奔放でスリル満点でほんのりダークネスなラブコメディ。
魅力的な俳優さんが勢ぞろいだったのですが、中でも女刑事を演じていた女優さんがめっちゃキュートで、改めて映画を観る喜びを感じさせてくれた作品でもありました。


35位 『ザ・ベイ』
あらすじ・・・
小さな港町が寄生虫で大パニックになります。

「小さな町」+「大きなお祭り」+「専門家の警告を無視」=「地獄絵図」 というありがちなアレを、さらに最近食傷気味のPOVで撮る・・・と聞くとゲンナリするじゃないですか。 話半分な感じで臨みそうになるじゃないですか。
ところがすっげえおもしろいヤツだったんです! いやぁ、映画って無限の可能性を秘めているんだなぁ。
カメラと名の付くものならなんでもオッケーというPOV縛りのもと、素人さんのスマホ動画から救急隊の車載カメラなどありとあらゆる「素材」を繋ぎ合わせて緊張感を高めてゆく演出が見事。
都合よく映りすぎないのがいいんですよね。 街中をとらえる監視カメラに小さく映る人影の、その不鮮明さが非常にリアルで、作り物だとはわかっていても思わず「志村後ろ・・・!」と叫びたくなってしまうようなおそろしさを醸し出していました。
メガフォンを執っているのはなんと大御所バリー・レビンソン監督。 
まだまだ若いもんには負けへんで~という勢いと確かな技術を満喫できる良い映画でした。
ゴアもきっちり盛り込んでくれてありがとう監督!


34位 『アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ2』
あらすじ・・・
クソ野郎どもにクソみたいな目に遭わされた女性が、ワールドワイドに仕返しをします。

余談ですが、最近このシリーズの3作目を観たら、本作のラストで感じた苦痛をそのまま具体的に描いたようなすごい作品で、めちゃくちゃ心をえぐられました。

以前書いた感想



33位 『ピクセル』
あらすじ・・・
大人になってからパッとしなかったゲーム少年が地球を救います。


以前書いた感想



32位 『カリフォルニア・ダウン』
あらすじ・・・
離婚してからパッとしなかったお父さんが嫁と娘を救います。


以前書いた感想



31位 『マーサ、あるいはマーシー・メイ』
あらすじ・・・
カルト集団から逃げ出した女性が、別の意味でカルト的な家に匿われ、ますます追い詰められてゆきます。

話さないと助けてもらえない。 でも、話したところで助けてはもらえない。 そんな絶望を描いた静かな秀作。

両親はいない、姉ともそりが合わない、自分の人生の中に愛を感じられる場所を見つけられなかった主人公マーサは、山奥で生活を共にしている、とあるコミュニティに心酔するも、徐々にその暴力性に疑問を感じるようになり、意を決して脱走します。
追手に怯えつつも、唯一の肉親である姉に救いを求めたマーサ。
しかし、もともと上手くいっていなかった姉に心を開けるはずもなく、また、「ハイソ」な生活に骨まで馴染んでいる姉の夫にも違和感をぬぐえず、結局苦しみは増す一方。
居た場所への恐怖と、今いる場所への恐怖が、ジワジワとマーサの心を侵食していく。 

なにものにも満たされず、カラカラに乾ききった末に救いを求めて辿り着いたのが山奥のコミュニティで、少なくとも最初のうちマーサはそこで「必要」とされていたのだから、そりゃもうスポンジが水を吸うように「愛」や「信頼」をむさぼりますよね。 たとえそれが偽りでもね。
あっという間にマーサの身体を浸していった「価値観」。
一度すみずみまでしみ込んでしまったそれを絞り切るのは、簡単ではないでしょう。
マーサが悲鳴をあげるほど心をねじり上げても、最後の一滴まで排出させることなんて不可能。
もっと大きな、もっと安らかな愛で満たしてあげなければ、そして少しづつ少しづつ、毒素が薄れて抜けてゆくのを待つしかないのではないか。 でも、じゃあそれをどこで、誰がマーサにしてあげられるのかというと、姉でないことだけは確かなわけで。

これは決して、「どこかのおそろしいカルト集団」だけの話ではないのですよね。
属する集団から「正しい」と信じ込まされた価値観は、やすやすと書き換えられるものではない。 
自分が悪いと思い込み、あるいは他人が悪いと信じ込み、痛ましい人生を送り続けるしかない人はたくさんいるはず。
マーサが弱いとか、姉夫婦がえらそうとか、カルトが怖いとか、そんな単純な話ではない、誰にでもありえる恐怖を描いている、とても優れた作品だったと思います。
ラストまで一瞬たりとも気が抜けない!




30位 『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』
あらすじ・・・
つらい現実から逃避しようとしたら、現実の方から逃避してくれました。

高校時代が人生の頂点だった男。 
酒に逃げ、酒に救いを求めようとし、酒ですべてを片付けようとしていたら、予想外に人類の危機な出来事が発覚してしまいます。
さあ、男はどうするのか。 飲むんですよね。 依然飲むんです。
なんというか、このブレなさというか、異様な自己評価の低さというか。
きっと彼は自分はとっくに終わった人間だと思っていて、何か出来るとも、何かの価値があるとも思っていないんですよね。
そこにあるのは、「どうせ終りなんだからやりたいことだけやってやる」という捨て鉢な気持ちだけで。

で、人類を危機に陥れようとしていた存在、ハッキリ言うと宇宙人なんですが、彼らは争うなんて時間も労力も無駄だからなるべく平和的に地球を侵略しようと思っている。
もしかしたら、支配に抗うよりも、支配下に置かれる方が生きていくのは楽なのかもしれない。
だって、誰かにコントロールされながら、人と揉めないように程度に関わり合い、きちんと生産し、着実に消費し、生活を積み重ねていくのって、同じことを自分で考えながらやるよりも楽じゃないですか。 心も身体も疲れなさそうだし。 

結局、男も支配されることを選んだ人々も、自分に大層なことなんて出来ないと思っているからこそ、酒に逃げたり支配されたりした訳ですが、そこから「そうじゃないんじゃないの」と。 大層かどうかなんて問題じゃなく、小さくたっていい、自分からアクションを起こすかどうかが重要なんだ、と問いかけてくるような終盤の畳みかけが、すごくグっときました。 また、それが全然説教臭くないのがいい!
「支配されている側が圧倒的に悪いのではなく、支配されていたって幸せに暮らす権利はあるし、暮らしていけばいいんだよね」、ということも同時に描いていたトコロもステキでしたよね。
酒にすがらず、過去に縛られなくなった男は、支配されている者とそうでない者を区別せず、やりたいことを自分の責任においてやる。 
彼の中で、とっくに世界は終わっていた。 
そしてこれからも彼は、一度終った世界の中で自由に生きる。 前抱いていた絶望とは正反対な、新たな希望をまとって。

しかし、ここまでだらしない人間なのに、なんだかんだいって決して見放さずどこまでもつきあってくれる友達が4人もいる彼は、実はすごく恵まれているんじゃないかと思いますよね。 
人徳のなせる業なのか・・・ また演じているのがサイモン・ペッグさんなものだから、余計に説得力があるんですよね。 他の3人はさておきく、ニックさんは絶対にペッグさんを見捨てないもん!そんなのわかってるもん!




残り29作品・・・!
次回いよいよ最終回です・・!!(たぶん近日更新します)(あくまで予定)





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『パラノーマル・アクティビティ5』

2016年06月07日
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(※ 以下、過去のシリーズを含めすべてネタバレしています。)



あらすじ・・・
1988年8月9日カリフォルニア州サンタローザ。 
ケイティとクリスティ姉妹の母ジュリーとその恋人デニスが魔女ばあさんに殺され、姉妹は魔女コミュに保護される。

2013年11月29日カリフォルニア州サンタローザ。 
ライアンとエミリー夫妻の家にライアンの弟・マイクがやってくる。

2013年某月某日。 
クリスマスの飾りつけをしていたライアンとマイク、彼らの家に以前住んでいた一家が残していったであろうダンボール箱の中から、古いビデオカメラとVHSテープを発掘する。
そのカメラで自宅を撮影すると、空中にもやのようなものが映る。

2013年某月某日。 
ライアンとマイク、VHSに映っていた前住民のハ〇撮り映像に大興奮。

2013年某月某日。 
カメラに黒い影が映る。 庭のシーソーがギーギー動く。 プールの水が揺れる。

2013年某月某日。 
一人娘のリーラが鏡の前でブラッディメアリーのおまじないを唱える。 
それがご丁寧にも逆さ言葉だったため、不安になったライアンとマイクが家中に監視カメラを仕掛ける。

2013年12月12日(第一夜)。 
リーラの部屋に『アズガバンの囚人』に出てきた吸魂鬼(ディメンター)と『ホビット』に出てきた死人遣い(ネクロマンサー)を足して2で割ったような黒い影が現れる。 
リーラ、黒い影と会話する。 
様子を見に来た母・エミリーが黒い影にどつかれる。

2013年12月14日(第三夜)。 
リーラ、黒い影に命令されるがまま、暖炉に聖書をくべようとする。 
様子を見に来た母・エミリーの周りを黒い影がウロウロする。

2013年12月15日(第四夜)。 
発掘した1992年のVHSを観ていたライアン、そこに現在の一家の姿を透視しているケイティが映っていることに気づく。

2013年某月某日。 
リーラが黒い影っていうか要するにトビーに命令され、自分のベッドの上に例の死の秘宝みたいなマークを落書きする。
リコーダーをピューと吹くリーラ、何者かと何がしかの交信を始める。 
様子を見に来た母・エミリーが窓の外から飛び込んできたトビーにどつかれる。

2013年某月某日。 
ヘルプにやってきた神父さんがリーラに聖水アタックを試みるも、噛みつき攻撃で返り討ちにされる。
ライアンとマイク、VHSの中から、自分たちがこの家に引っ越してくる3日前の2010年5月8日に邸内で撮影された映像を発見する。
家を紹介してくれた不動産業者のケイティ・ハバートに連絡をとろうとするも、名刺に書いてあった情報はすべて嘘で、ケイティの素性も現在の居場所もわからないことを知る。

2013年12月17日(第6夜)。
「よっ、おやじ、やってる?」ぐらいな気軽さでしょっちゅう天井からやってくるトビー、調子こいた挙句ライアンやマイクをキッチンに追い詰め、『ジュラシック・パーク』のラプターのシーンを彷彿とさせるようなアプローチで大の大人をおおいにビビらせる。

2013年某月某日。
リーラがベッドサイドに落書きしていた「ハンター」という名前を調べていたライアンとマイク、リーラと同じ生年月日のハンターという少年が2011年から行方不明になっていることと、1992年のVHSにそのハンターくんが映っていることに気づく。

2013年12月18日(第7夜)。
リーラがベッドの脇に時空の抜け道を開く。
様子を見に来た母・エミリー、とりあえずみんなで家から逃げ出すことを決意する。

2013年某月某日。
荷物を取りに来たマイクとスカイラー、なんとなくトビーの魂胆に気づく。
10キロ先のホテルに逃げていたはずのリーラが単身自室に戻り、壁を素手でガリガリやる。

2013年某月某日。
再びやってきた神父が悪魔退治を提案するも、姿を現したトビーにどつかれあえなく死亡。
口から悪魔的なゲロを吐いたスカイラーと、悪魔的なゲロをモロに浴びたマイクも死亡。
脱兎のごとく走り出したリーラを追っていたライアン、胸を悪魔的な触手に貫かれ死亡。
リーラを探して時空の抜け道を通ったエミリー、行き着いた先でケイティとクリスティ姉妹に遭遇し、おそろしい事実を知る・・・。





【今回ひどい目にあう人】
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リーラちゃん8さい。 2005年6月6日生まれ。 天真爛漫。 マジ天使。

【今回のカメラマン】
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おとうさんのライアンさん。 職業不詳。 たぶん映像関係。 パラアクシリーズには欠かせない「おまえ家にいったい何台カメラあんだよ」系男子。

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ライアンさんのおとうとさんのマイクさん。 彼女にフラれたショックでライアンさんちに絶賛居候中。 これまたパラアクシリーズには必須の「何があってもカメラは手放さない」系男子。

【今回の思い出の一枚】
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『パラノーマル・アクティビティ3』に出てきたケイティ&クリスティのおかあさんとその恋人が夜中にこっそり試していた恥ずかしいハ○撮り映像が、時を越えて見ず知らずのライアン兄弟に鑑賞されるというこの無差別リベンジポルノ感な・・・

【今回のかぶりつき】
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うさんくさいおじちゃんはたべちゃうぞ!!

【例のあの人】
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これまでシリーズ皆勤賞だった元祖ぶん投げ王・ケイティさんが、ついに名前だけの登場に。 ちなみにライアンさんが持っているのはそんなケイティさんの名刺です。

【今回の吸引力】
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なんと今回もぶん投げなし! シリーズの冠から通し番号が消えた『呪いの印』から投げなくなったのですが、製作陣にはなにか特別な意図でもあるのでしょうか。 たぶん無いんだろうけど。 投げないかわりといってはなんですが、何人か画面奥に吸い込まれます。 画像はライアンさん。 わかりづらいですが、『地獄先生ぬ~べ~』に出てくる鬼の手みたいなゴッツイ手にグサーってやられています。
266670_615_convert_20160607144010.jpg ぬ~べ~
PDVD_026_convert_20160607144254.jpg ライアンさん

【どやさ!】
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パラアクの申し子ケイティ、おおよそ12さい。 うしろのクリスティはたぶん9さい。 魔女ばあさんに育てられ、魔女コミュの平均年齢引き下げに一役買っています。


衝撃! トビーは全裸中年男性だった!


・ 一時はレンタル屋さんの棚で大繁殖していた「雨後のパラノーマル」シリーズも今やすっかり影を潜め、もはや誰の得のために続けられているのかすらわからなくなってきた「パラアクシリーズ」最新作。 ひとくちでいうと、つまんなかったです。 もしかしたら製作元自体も、長く作り続け過ぎて何がしたいのかわからなくなっているんじゃないでしょうか。 ホラーとしての怖いさもなければ新鮮な驚きもない。 なんでこんなことになったんや・・・。 そもそもこんなに引っ張る話でもなかろうに・・・

・ 過去のシリーズを見返す気力も追っかけるつもりも無い方に簡単に説明しますと、「パラアク」というのはケイティという若い女性が悪魔に取り憑かれ、恋人を殺すところから始まりまして、その後妹一家を殺してその彼らの赤ちゃんだけをさらい、なぜかさらった赤ちゃんを別の家に里子に出し、赤ちゃんが6歳になった頃べつの男の子にその子をさらいに行かせ、18歳まで育てながら悪魔に取り憑かせるというゴール目指してひた走る物語なのですけどね、もうこのあらましの時点で訳がわからないと思うんですよね。 「最終的に男の子を悪魔に取り憑かせるため、誰かに活きのいい赤ちゃんを産ませ、さらったり預けたりもう一回さらったりしつつ18歳まで待つ」ってどういう工程やねん、と。 ずっとひとりの人が保護者として育てたらアカンのかい、と。 その回りくどさはなんやねん、と。

・ で、「なんやねん」と聞かれたら「シリーズを無駄に延命させ、後付けに後付けを重ねた結果がこのありさまなんだよ!」と答えるしかないのが哀しいところで。 以前あった「ソウ」という逆恨みサスペンスもそうでした(ダジャレじゃないですよ)が、シリーズを長引かせるため「もっと謎を」「もっと大がかりな設定を」ってやっていると、どうしても関わる人も増え、徐々に整合性が欠けてくるのですよね。 わたしなんかは素人なので、「どうせあとから作るんだから、前回までの話をきちんと反映させて辻褄合わせればいいのに・・・」って思いますけどね。 そうもいかない何かがあるのでしょう。 きっとそうなのでしょう。 まさか「見切り発車だから」なんていう無責任な理由ではないでしょうとも。

・ 回を重ねるごとにコロコロ変わる設定の中で非常に謎なものとして、三角形に○が入った死の秘宝ことパラアクマークがありまして。
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(ハリポタ関係者からのつっこみ待ち状態)

『パラアク3』で初登場して以来、毎回どこかに描き込まれてきたこのマーク。 『パラアク4』で「古代ハットゥシャの豊穣の印」と説明されたと思えば、『呪いの印』では「ミッドワイブズ(助産師)の印」であると、さらに本作では「時空を超えるためのマーク」だっていうんですからね。 その場しのぎもたいがいにしろよと言いたくなりますよね。 ちょっとまってよ魔女ばあさん! こないだまでは「妊婦のお腹に描くんじゃ」って言ってたじゃない! 妊婦に描いたり少年の背中に描いたり物置の壁に描いたり、好き勝手落書きされても困るんですよ! 消す方の身にもなってくださいよ! 

・ まあね、百歩譲ってミッドワイブズのマークはもういいですよ。 色んなトコに描きたくなる魔法のマークってことでいいですよ。 魔女コミュのシンボルマークみたいなものでしょ。 形もシンプルだから、お年寄りでも簡単に覚えられますもんね。 それはしょうがないとして、問題は今回ついに復活を果たした悪魔・トビーなのです!

・ 魔女コミュにベビーシッター代わりのような存在としてこき使われてきた悪魔・トビー。 1作目では三本指の獣系悪魔だったはずが、いつの間にやら痩せ型で背の高いおっさんってことになっていて、マジなんなの。おまえは一体なんなの、と。 悪魔とかそういうレベルじゃなく、「幼女とままごとをするのが異様に好きなおっさん」トビーとしての不安が普通に渦巻いていた今日この頃。 ついに満を持してトビーが、幼女の血を得てその実体を手に入れました。 それではご覧いただきましょう、悪魔族代表・トビーさんです!
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(あれれ? ほんこんさんかな?)

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(ほんこんさんみたいだけどほんこんさんじゃないのかな?)

・ 違うんですよ。 130Rのほんこんさんじゃなくて、れっきとしたトビーさんなんですよ、っていうかトビーさんのご尊顔なんですけども、一番衝撃的だったのは、大した特徴のないいかにも悪魔っぽいこの顔ではなく、肉付きも良くカムバックした際の全身像なんですよ!じゃあ行きますよ!さあお立会い!
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マ ッ パ か よ ! !

・ この画像ではわかりづらいですし、うまい具合に股間と頭も隠していましたけど、どうみてもはだかんぼうですね。 全裸のおっさんが8歳の女の子とおままごと事案です。 はい、お疲れさまでした。 おまわりさんこちらです。

・ ホントにね、うそだろ・・・って思いましたよね。 満を持した悪魔がこともあろうに全裸とは・・・。 こんなあられもないおっさんを出してしまって、この先関係者はパラアクをどこへ導いてゆくつもりなのか。 これならばまだ山羊角系悪魔の方がよかったですし、なんだったらシーツを被らせたままでいいじゃない。それでいいじゃない。
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(おばけだぞ~)

・ 関係者の迷走というと、今回突然参入してきた新規メンバーである「先生」の存在もかなりとってつけたような謎でしたね。 『パラアク3』のラストからそのまま続く本作の冒頭シーンで、魔女ばあさんがケイティとクリスティ姉妹に紹介する「先生」。 この先4年に渡り、姉妹に何かを教えていたようですが、正直魔術なのか自己啓発的ななのかなのかさっぱりわかりません。 そんなもんいいからちゃんとした教育を受けさせてあげなさいよ! っていうか、中途半端に「4年間の魔教育期間」という新設定を盛り込んだせいで、次作る時はシリーズ1作目(20歳ごろ)までの空白の期間をこじつけなくちゃいけなくなったんだぞ! おい!脚本家!わかってんのか! この教育とあのポルターガイストに怯えていたケイティをどう繋げるつもりなんだよ! ふざんけなよまったく! あと何本作るつもりなんだコンニャロー!
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(謎のポニーテールおじさんも幼女がすきなのか!もういっそのこと全裸中年男性と刺し違えちゃえよ!)

・ 前作『呪いの印』において、悪魔が18歳にこだわる理由として「6の3倍が18だから」という小学生みたいな説明がなされていて、大いに脱力しましたが、今回も神父さんが悪魔退治をする理由として「リーラちゃんもハンターくんも誕生日は2005年の6月6日。 ってことは2000年からちょうど6年6か月6日後生まれってことでしょ。これって偶然じゃなく必然でしょ!」と力説していて、このおっさんだいじょうぶなのか・・・と思いました。 その2000年はどこからきたんだよ。 悪魔の沙汰もおまえのさじ加減ひとつなのかよ。

・ ちなみに神父さん、「悪魔祓いは無理だけど悪魔殺しは出来る!」っつって、聖水に浸したシーツで悪魔をぐるぐる巻きにして火で燃やす作戦も立てていましたが、その前にリーラちゃんを聖水で清めた時、まったく効果がないどころか噛み殺すぐらいの勢いでガブーっていかれてましたけど、それを経てもなお、どうして聖水でイケると思った神父よ・・・ なんでもかんでも水と塩でホーリークライスト戦法でなんとかなると思ったら大間違いだぞ・・・!

・ 結局、悪魔を復活させるにあたり最も重要とされていたハンター少年はどうなったのか。 「時空を超える穴」という飛び道具で1988年と1922年と2013年を交錯させたはいいけれど、それはタイムトラベル的な意味を持っているのか、それともちょっと覗き見る程度で、過去の歴史は変わらないのか。 ハンターくんとリーラちゃんの血を使い、晴れてトビーは実体を手に入れたけれど、『呪いの印』を観る限り、悪魔の入れ物候補である男児は他にも用意されているみたいで、そうなると悪魔はいったい何人単位で復活しようとしているのか。 っていうか、そもそも男児は18歳で悪魔覚醒するんじゃなかったのか。 なんでトビーは一足お先に復活出来ちゃったのか。 謎はさらに余計な謎を呼び、広げた風呂敷の生地が薄っぺら過ぎて今にも綻びそうなパラアクシリーズの明日はどっちだ! っていうか、時空うんぬんは前作でもやってたんだから、あの方向性でいけばよかったのに、なんでまた別の入り口開けちゃうかなぁ! おまえらはアレか! 水面に映った自分がくわえている肉が欲しくてワンって吠えるイソップ童話のわんこか!
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(娘が壁にこんな悪魔的な記号を描いたら、放置せずにまず消せよと小一時間)

・ 毎度おなじみ「ヨハネの黙示録」から第5章6節が引用されるのですが、ちょっとググってみたら劇中の説明とは全く違う事が書いてあり、パラアクのスタッフは色んな意味で呪われるんじゃないかと思いました。 まずは「製作費がどんどん削られる呪い」からだな!

・ 前作の感想に「いっそのこと次から魔女コミュ・映画部を立ち上げて魔女ばあさん自身が撮影すればいいのに」と書いたら、なんと今回本当にケイティ姉妹を引き取った魔女コミュが延々姉妹の日常を撮影していたというくだりが登場して、とても驚きました。 見たのか。ここを見たのか、ジェイソン・ブラムさん(シリーズのプロデューサー)・・・! ええんやで・・見たなら素直に見たと言ってもええんやで・・

・ ということで、冗談はさておき、もしかしたらテレパシー的ななにかはいつの日か誰かに届くかもしれませんので、海の向こうのジェイソン・ブラムさんへ「時空の扉という白石晃士監督作っぽいアイテムをもっと有効に活用すべく、次回は本家の白石監督と組んで『超パラノーマル・アクティビティ/TOKYO NIGHT新章』にチャレンジしてみてはいかがでしょうか」という念を送りつつ、今回の感想はおしまいにしたいと思います。 ほら・・ついに霊体ミミズみたいなのも出てきたし、絶対相性合うと思うんだ・・・。  ジェイソンさんへ届け・・・オレの想い・・・!


 
関連感想

8分くらいでわかる『パラノーマル・アクティビティ』のおはなし。 (シリーズまとめ)

『パラノーマル・アクティビティ/呪いの印』(シリーズ通算6作目)(日本版含む)



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『ヒメアノ~ル』

2016年06月03日
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あらすじ・・・
夢も目標も意欲も何もない無気力な若者たちが、コントロール不可な「愛情」という本能に振り回されて、求めても叶わぬものに執着したり、応えたら厄介になるであろうものを受け入れたり、腰を振ったり鉄パイプを振ったり髪を剃ったりします。

わたしは普段から割と簡単に、「絶望」という言葉を口にしてしまいがちなのだけれど、果たして本当の「絶望」を知っているのだろうかというと、自信はない。
もちろん、自信がないということは幸せなのだ。 というか、自信がない方がいいのだ。
「絶望」、つまり全ての望みが絶たれた状態。 
その言葉を受け入れた先には、どんな世界が広がっているのだろうか。
いや、広がってなどいないのかもしれない。
それでも生きてさえいればふとした瞬間ごくごく僅かにでも芽生えそうになる、はかない「光」をひたすら内へ内へと吸い込んで、自分やその周囲を真っ黒な色に塗りつぶしてしまう、ブラックホールのような虚ろな穴が口を開けているだけなのかもしれない。

本作の主人公・森田くんは、まさにブラックホールだった。
その目、その立ち姿、そのだらしなく開いた唇。 
彼を映し出すスクリーンには、「生」を包む眩い光が消されてしまったかのように、常にうすぼんやりとした影が漂っている。
彼がひとたび口を開くと、普通がふつうではなくなり、嘘がまこととなり、確かなものがふたしかなものになってしまう。
ゴウゴウと猛烈な勢いで、彼の内にぽっかりと開いている穴が、わたしやあなたや彼や彼女の「日常」を吸い込もうとしているのを感じる。
走っても逃げられない。 助けを求めても救われない。 なぜなら森田くんはブラックホールだから。
悪人でもない、サイコパスでもない、何者でもないからこそ何もかも飲み込んでしまう、ブラックホールなのだから。

森田くんと話をするのは、とても危険だ。 
さっきまで感じていた希望が一瞬で揺らいでしまう。
森田くんと目を合わせるのは、とても危険だ。
さっきまで身を置いていたはずの「日常」が一瞬で崩壊してしまう。
森田くんはモンスターなのか。
怖ろしいモンスターなのだろうか。 
チンピラにお金を巻き上げられ、おなかがすいたら人の家のカレーを平らげてしまい、寝る時はパジャマに着替える森田くんは、わたしたちと同じ人間ではないのだろうか。

本作中、森田くんに関して明かされる過去は、高校生の頃イジメに遭っていたという事実のみ。
いや、イジメという呼び名で甘ったるくコーティングされた、陰湿で凶暴なリンチというべきか。
親は助けてくれず、傍にいたクラスメイトたちは離れてゆき、唯一の友達は、あろうことかリンチの首謀者であるクラスメイトの言いなりになって自分をさらなる辱めの罠に陥れた。
森田くんの中にブラックホールが生まれたのはどのタイミングだったのだろうか。
家族に失望した時? 親友に裏切られた時? それとも、リンチの首謀者の身体に、初めて金属バットを降りおろした時?
はっきりとは描かれていなかったし、想像するしかないけれど、わたしは森田くんにその「時」が訪れたのは、親友だった岡田くんが自分を嘲っているのを見た瞬間だったのではないかと思ったのだ。

わたしは、そうだ、ハッキリ言おう。 わたしは本当の「絶望」を知らない。
死のうと思ったことはある。 というか、あるチャンスに賭けようとしていた時、もしそれが実らなければ躊躇なく死のうと決めていたことはある。
けれど、それはまだ、「絶望」ではなかった。 なぜなら、そこにはかけがえのない存在への「愛情」があったから。
誰かを愛したい、誰かを守りたい、誰かの助けになりたい。 
家族や友人やちょっとした知り合いや、自分が関わる色々な人たちに注がれるそれらは、全部ひっくるめて「愛情」と呼んでいいと思う。
そしてその「愛情」は、対象となる相手ではなく、自分を支える「望み」となっているのだと、わたしは強く思う。
注いだものが帰ってこなくていい。 ひたすら想うだけでもいい。
時に漠然とした「誰か」や「何か」という存在が、たとえ先が見えない不安や明日に対する恐怖や身を切り裂くような孤独の中に立たされた時も、自分を「絶望」から救ってくれる。 
「あの人に愛されたい」なんて大層なものでなくていい、「あの人元気にしているかな」というような、ごくごく些細な気持ちが、ここに踏みとどまらせてくれるのではないか。
わたしにはそれがあった。 今もある。 だから、これから先もわたしは「絶望」しない。 
けれど、森田くんにはそれがなかったのだ。

親友に売られたその日。 
もちろん、そこに至るまでにも、たとえば家族との間にも色々な行き違いはあっただろうが、森田くんが「望み」を預けていられた最後の防波堤である「友情」を、岡田くんが壊してしまったその日。
森田くんの人生は、「それ以前」と「それ以降」とに分裂してしまったのではないか。
「それ以降」の、何もなくなってしまった森田くん。
どれだけ光を吸い込んでも、森田くんのお腹は満たされない。 
ゆっくりと、ただゆっくりと、朝目覚めて夜寝るまで底なしの穴に落ち続けてゆくだけの人生。
たしかに、人をザクザクと切り刻んでゆく森田くんは怖ろしいモンスターかもしれない。
けれど、「それ以前」の森田くんをモンスターに変えてしまったのは、ごくごく「普通」の人たちなのだ。
森田くんだけを致命的に変えて、すべての望みを奪い去り、その後自分たちは何食わぬ顔で平凡な日々を送っている、「普通」の人たちなのだ。

たくさんの人を殺め、人生を壊していった森田くん。
しかし、彼自身も気づいていない間に、森田くんの中の本能は再び何かを求めようと手を伸ばし始めていた。
「それ以降」心から抹消していたはずの「愛情」。 
誰かの何かに触れて、自分の何かに触れられたいという欲求。
自分の中のブラックホールから這い出すかのように、暗闇の中車を駆る森田くんは、あっけなく壁にぶつかりその逃走劇を終わらせる。
おびただしい血を流し、むごたらしい傷を負ったことで、森田くんの分裂していた心の一部は解放され、「それ以前」の感情や記憶を取り戻すことができた。
高校生の頃の無邪気な笑顔。 親友とのたわいない会話。
ブラックホールに片足をもぎられた森田くんは、あとどれぐらい生きられるのだろう。
生きていられたとして、今度は森田くんの心は「絶望」ではなく、「それ以前」のたのしかった日々の中にとらわれたままなのかもしれない。
いずれにしても、自由にはなれなかった森田くん。
どうして彼はこんな目に遭わなければならなかったのか。
どうして彼は周囲の人間をこんな目に遭わせなければならなかったのか。
たのしそうにテレビゲームに興じる、森田くんの小さな肩を観ながら、とてつもなくかなしくなった。

凄惨で、非情で、虚しくて、もの悲しくて、おそろしくて、二度と観たくないけれど二度と忘れられない、とてもすさまじい作品でした。





クライマックス、連行される森田くんの笑顔がすごくよかったです。 
無邪気な子どもの笑顔。 なんという表情をするのだろう・・と感情をぐちゃぐちゃにかき回されました。
森田剛さんという人を、ひとりの役者として認識していなかった自分を恥じました。
いわゆる「サイコパス」な目つきをするでもなく、殺人に快楽を感じているようでもないけれど、目を開けているのか閉じているのかわからなくなるほどの真っ暗な闇を感じさせる演技。
すごい人だったんだなぁ。 本当に「こういう人」にしか見えないんだもんなぁ。

もちろん、ムロツヨシさんも濱田岳さんも佐津川愛美さんも、言うまでもないほど自然で素晴らしかったですし、役者の力と監督の技とその他製作に携わった人たちの能力がきちんと噛み合うと、こんな優れた作品が生まれるのか、と感動しました。
あと、よく「オープニングでその映画の出来がわかる」なんて言葉を聞きますが、本作のタイトルが出る瞬間は本当に鳥肌が立つほど美しくおそろしく、なるほど、たしかにこれはオープニング満点ですね。

目をそむけたくなるような現実と非現実。 
わたしが生きている、希望にあふれる世界のすぐ隣で口を開けているブラクッホール。
今観るべき映画があるとしたら、この作品なのではないか、と強く思いました。



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