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『インブレッド』

2013年06月19日
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たぶん政治的に正しいあらすじ・・・
社会奉仕活動の一環として、イギリスはヨークシャー地域へとやってきた保護観察官2名と、社会適応力が不自由な少年3名と少女1名。
その人たちは、まずは宿泊先となる、使われなくなり数十年は経過していると思しき家屋を掃除し、その後、夕餉をとる為近所にあった飲食物を提供することで生計を立てている者が所有する建物へ向かいました。
屋内に入ると、そこには先客として、歯列的にチャレンジされた人々や、ビジュアル的にチャレンジされた人々、はたまた頭脳的にチャレンジされた人々など、異なった能力を持つ人々が多数おり、社会適応力が不自由な少年少女たちをじっと見つめています。
保護監察官たちも屋内の雰囲気に戸惑うものの、なにはともかくも、飲食物を提供することを生業としている水平方向にチャレンジ中の人に、お腹を満たす為の物体を要求しました。
数分の後テーブルに運ばれたレモネードという飲み物は、どこかしら腎臓により生産される液体状の排泄物の匂いがして、人々の満腹中枢を反対方向へと刺激するのでした。
経済的にはじき出された人たちが醸し出す、一種独特の雰囲気に気詰まりした少女は、途中でたまらず屋外へと飛び出しましたが、飲食物提供者の子どもが性的なジョークを披露してきた為、慌てて屋内へと戻るのでした。

一夜明け、2名の保護監察官と4名の社会適応力が不自由な少年少女たちは、宿泊先から少し離れた場所にあるという、廃棄列車置き場へと向かいました。
なぜならその人たちには、使えそうな銅線などを回収しリサイクル業者と呼ばれたがっている人たちが持つ財産と交換することで、経済的に搾取され続けている状況から抜け出したい、という願望があったからです。
まだ勤労から得られる達成感に対し意欲的ではない2人の少年たちは、注意深く見守ることにあまり意欲的ではない保護監察官から離れた廃棄車両の中で、無機物が備えていた本来の形を斬新なスタイルに変えることに熱心になっていました。
そして、もう2人の少年と少女は、列車置き場の近くの民家から黒い煙が立ち上っていることに気づきます。
近くまで行ってみると、なんと燃やされていたのは偶蹄目類の動物伴侶でした。
モウモウとアグレッシブな声をあげる、垂直的にチャレンジされた偶蹄目類の動物伴侶を救い出した2人は、保護監察官へ一部始終を報告する為、廃棄列車へと向かうのですが、そこでは昨晩、カロテンやビタミンAが豊富な緑黄色野菜と自らの性器を関連付けたジョークを披露してきた若齢の市民が、知的にチャレンジされている友人たちと共に、自らの不自由な礼儀作法を公開しようとしていたのでした・・・。


ほんで後は、奇蹄目類の動物の蹄で頭蓋骨が粉砕されたり、固形状の排泄物を限界まで流し込まれることで膨張を続けた消化器の内壁に裂け目が生じ、破裂したのち重力に従い内容物が流れ落ちたり、弾丸と呼ばれる小型の飛翔体を高速で発射する武器より頭頂部が開放的になったりする様子が、歯列的にチャレンジされた人々や、ビジュアル的にチャレンジされた人々、はたまた頭脳的にチャレンジされた人々など、異なった能力を持つ人々によって繰り広げられる訳ですね! まぁ、いつものアレですよ!いつものアレ!!

というわけで、モンティ・パイソンのスケッチを彷彿とさせるような、とことん不謹慎で、めっぽう非常識なドロドログチャグチャコメディ『インブレッド』を観ましたよ。
「イギリス」だからモンティ・パイソンって言っとけばいいや、なんて思っている訳ではないですよ。
こじ付けでもなんでもなく、どこからどうみてもモンティ・パイソンだったのですよ。
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(※ 元祖・裸オルガン奏者のテリー・ジョーンズさん。きゃわたん。)

人間の体がありえないほどブチャーっと爆発したり、いかにもマネキンな手足が車に引かれてペチャンコになったり、おなかが風船のように膨れてパチンとはじけたり、その拍子に目玉がポコンと飛び出したり、というあっけらかんとした人体破壊。
汚い・臭い・金がないという、あからさますぎるカッペdis。
そして、身体的・精神的な疾患を抱えているであろう人々を快楽殺人鬼にしてしまう、という超きわどいキャスティング。
ありとあらゆるタブーを破り、ペッペッと唾を吐いてその上でポルカを踊るような罪深い姿勢が、とってもモンティ・パイソンだったのですよ。
あ、あと動物虐待ネタもきっちり盛り込まれていましたし! 

ただ、姿勢は通ずるものがあるものの、愉快さに於いては全くモンティ・パイソンの比ではなかった、というトコロがちょっと残念でもありまして。
ホントにね、バカな映画なのですよ。
「見世物以上風刺画以下」みたいな、すきものの皆さんがキャッホーと手をたたきながら観るだけの映画なのです。
誰も成長しないし、そもそもろくな人間が出てきませんし、であるからして当然押し付けがましい教訓もない。
主人公である不良少年(と彼らを監督するソーシャルワーカー)なんて、わざわざ田舎にやってきて何をするのかと思ったら、「列車から銅線くすねて小金に換金」ですからね!
どこの元EE JUMPメンバーだよ! おっととっとサツなのか!

物語の冒頭、田舎へと向かう車の中で不良少年が観ているハードゴアな動画。
足首やら生首やらを斧でポンポン飛ばす、その「B級スプラッター」自体が、他ならぬ『インブレッド』そのものを表しているのですよね。
「このあとの人体破壊がおもしれーんだよなー!」と無邪気によろこぶ少年は、私たち、そして製作者自身なのであると。
それはわかっているのです。
「深淵をのぞく時は・・」っていうアレはもう、がってん承知の助なのですよ。
そういう真面目なメッセージはもうさておいちゃっていいから、もっとふざけてくれよ! ・・と思ってしまったのですよね。 
「さあさあ皆の衆!ショーのはじまりだよ!」とさんざん勿体をつけて登場しておきながら、鼻にアスパラを入れて、口ににんじんをつっこんでおしまい!あとは馬にまる投げ!ってなんやねん! ・・と。
にんじんを入れるんなら、口じゃないだろ!
口は口でも、下のお口だr(略)

後半、草原を舞台に繰り広げられた「死にっぷりコンテスト」のようなほがらかさが中盤にも感じられたら、もっとばかばかしくておもしろかったのではないかなぁ、と思いました。
あとね、バーのマスターのメイクがね、夢に出るレベルなのですよね。
なんですか!なんなんですかあなた! ちょっとこわすぎじゃないですか!
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(※ 地獄の黙示録かと思ったよ!)

とまぁ、とても好感の持てる内容&姿勢だったがゆえに、少し物足りなさを感じてしまったりもしたのですが、ともかく、ここまで刺激的な映画が無事日本でリリースされたことは何より嬉しいことですし、まだ44歳だという若き俊英アレックス・チャンドン監督の次回作にも、大いに期待したいものだなぁ・・と思いました。
ごちそうさまでした!



同じ匂いがする映画の感想
『マニアック2000』 ・・・ハーシェル・ゴードン・ルイス監督によるかっぺ殺人モノ。 超ゆかいです。
『変態村』 ・・・ベルギーのユリオカ超特急ことファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督によるかっぺ殺人モノ。 ユーモア度ゼロです。
『2001人の狂宴』 ・・・『マニアック2000』の現代版リメイク。 ロバート・イングランドさんのワンマンショーです。



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『REC/レック3 ジェネシス』

2013年06月11日
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(※正確にいうと、シェリー・デュヴァルたん系の女の子)

前作までのあらすじ
『REC』 (シリーズ1作目感想)
『REC/レック 2』 (シリーズ2作目感想)

あらすじ・・・
きょうはだいすきなクララおねえちゃんのけっこんしき!
だんなさまになるコルドさんはとってもやさしいナイスガイなので、おとうさんもおかあさんもあんしん!
あったことのあるしんせきはおねえちゃんたちをしゅくふくするために、あったことのないしんせきはタダめしをくらうために、やたらとノリのいいおともだちのみなさんは、あわよくばけっこんあいてをゲットしてやろうともくろんだりして、とにかくいっぱいおきゃくさんがきてくれて、えんもたけなわ!
おねえちゃんてば、コルドにいさん(キャっ!にいさんていっちゃった!)にはまだあのことこくはくしてないらしいけど、どのタイミングでいうつもりなんだろ!
もしかしたら、ひろうえんのさいごにつきものの「おなみだちょうだいコーナー」こと「りょうしんへのおてがみコーナー」で、なしくずしてきなかんじではっぴょうするつもりなのかしら!
ああ、それにしても、さっきからしんせきのおじさんがヘドロみたいなかおいろをしてゲボをはいてるのがきになるわ! よっぱらうにもほどがあるでしょ!
けさ「さっきいぬにてをかまれたんだけどたいしたことないよ!」っていきまいてたけど、ホントにだいじょうぶなのかなぁ!
ほらほら、そんなこというてるうちに、しんださかなのようなめつきになってきちゃって・・・
・・・しんださかな・・・
・・しんだ・・
・・・・ギョギョッ!? マジでしんでない?あれ!?


というわけで、スペイン生まれのPOVゾンビパニックムービー『REC』の第3弾、『レック3 ジェネシス』を観てみましたよ!
ポスターのビジュアルが非常に魅力的だった為、期待に胸を躍らせていたら全く違ったニュアンスの美女が出て来て戸惑ったりもしましたが、まぁ、とにかく観てみましたよ!

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(※ ポスターではこんな感じだったのが)
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(※ 蓋を開けてみるとこんなことに。)

まあね、まあね、ポスターと映画の本編が異なることなんて、そんなに珍しいことではないですからね!

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(※ トトロの初期ポスターなんてこの有様。さつきでもメイでない・・きさまッ・・・一体何者だッ!)


(※ 以下ネタバレ)


「とあるアパート」という限られた空間の中、ゾンビと一般人とSWAT隊員と神父さんが食うか食われるかの死闘を繰り広げ、その一部始終を偶然居合たカメラが撮りまくるという奇跡のシリーズ『REC』。
いや、ゾンビと書きましたが、実はその正体は過去2作において依然不明のままでありまして。
「感染者なのかゾンビなのか悪魔憑きなのか、って? ・・・それはですね・・・なんと言いますかね・・・つまりその・・・ ・・じゃあ逆に聞きますけど、どっちだと思うんですか?!え?!えぇ?!!」
という、理不尽なキレ方で終わってしまった過去2作品のオチは、今回バシッとついていたのでしょうか。
そんなこんなで、「アパートとは別の場所で起きた事件」という最低限の情報だけを頭に入れ鑑賞した本作は、オチこそついていないものの、ある意味期待どおりの、ある意味潔い、正統派ゾンビ映画だったのでした。

・ 潔さその1「POVじゃない」
「バッテリー問題」や「どうしてこんな状況下でまで撮影を?」などなど、何かとツッコミを受けやすいPOV方式を開始約20分で潔く放棄。 
導入部は今までどおりの家庭用ハンディカメラ目線ですし、POVをやめてからも突然ハンディカメラ映像になったりしますので、いちおう過去2作のニュアンスというか思い出は大切にしている、ということなのかもしれません。
まぁ、ややこしいだけだけどな!

・ 潔さその2「アンヘラたんじゃない」
過去2作のヒロイン・アンヘラたんがまさかの戦力外通告。
しかも前作のラストで悪魔っ子覚醒し、お客さんをドギー&マギーさせたにも関わらず。
どないやねん。
ただし、物語の中盤で、件のアパートがテレビで報道されているシーンがありましたので、アンヘラたんを投げっぱなしにしているのではなく、あくまで「あの一件と同時進行でこんなことも起きていたのですよ~」というテイなのですね。
まぁ、ややこしいだけだけどな!

・ 潔さその3「縦割り」
なにしろ、今回は「結婚式から一転、阿鼻叫喚の地獄絵図に」というシンプルストーリーですので、もっさりとした披露宴の最中におじさんがゾンビ化して以降は延々お肉の祭典状態な訳でして。
二手に分かれた花嫁チームと花婿チームが、式場の中、ゾンビをかいくぐりつつ再会目指して移動する。
そんな、今すぐXboxのソフトが出せそうな物語に華を添えようと、少なくない量のゴア表現が盛り込まれております。
チェーンソーを振り回す花嫁が、一度ならず2度までも気持ちのいい縦割りを披露してくれたことは、何かと締め付けの多いホラー映画に差し込む一筋の光のようで、私の心に活力を与えてくれたのでした。
まぁ、劇場公開時はどうだったのかしらないけどな!

・ 潔さその4「解決法が雑」
なんらかのウィルスに感染しているのか、はたまたピュアな悪魔憑きなのか、その真相は明らかとなっていないものの、ひとつだけ前作でハッキリしていたことがありました。
それは「やつらは聖書の一節を聞かされるとしおらしくなる」ということ。
正当な続編である本作でもその特徴はフルに活かされ、なんと式場の放送室から神父さんがありがたい説教を生ライブ! 即座にげっそりするゾンビ! まさに青菜に塩状態!
ちなみに前作の感想を読み返したトコロ、【いっそのこと、アパートの上空からゴスペルでも流してればいいんじゃねえの?】と書いていたので、わしの発想は間違ってなかった!ていうかそのまんまだった! やだーもー!パコ(パコ・プラサ監督)ったらー!うちのブログ見たでしょー!もー!

スピーカー完備の建物内はともかく、ほとんど音の聞こえてこない庭や駐車場のゾンビまでもがしょんぼりしているのですが、まあそこはご愛嬌ってことで! ささやく程度でいいんです! 要は気持ちの問題なんです! イワシの頭も信心からって言うじゃないですか!ちがうか!
まぁ、耳の遠いお年寄りゾンビには効果無いんだけどな!

・ 潔さその5「主人公も助からない」
最も潔いポイントは、主人公が迎える悲劇的な結末。
親切な友達を巻き添えにし、すべての招待客がゾンビ化する中、ミラクル連続で生き延びてきた新婚カップル。
何を隠そう、花嫁・クララのお腹には、授かったばかりの赤ん坊がいるのです。こんなトコロでくたばるわけにはいかんのです。
新婚かつ新米パパ&ママは大奮闘。
しかし、脱出途中で花嫁が感染してしまい、やっとたどり着いた玄関は政府によって完全封鎖されていました。
刻一刻と変化してゆく花嫁を前に、夫がとった行動は、観る者の胸を打つことでしょう。
「もしも愛する人がゾンビ化したら・・・」
『REC3』のラストは、そんな問いに対するひとつの答えであり、もちろん異論はあるでしょうが、わたしはだいすきですよ、この選択。
まぁ、ベタすぎるっちゃあベタすぎるんだけどな!
だが、そこがいい!


ということで、良質なゾンビ映画であり、尚且つ究極の純愛ドラマでもあった本作。
ところどころに散りばめられたスベり気味のギャグ(スポンジボブとか中世の騎士コスとか)に真顔になってしまった瞬間もありましたが、雨の中のシーンや宴会場に佇むゾンビ群など、ハッするほど美しい映像たちで、充分お釣りがくるのではないかと思いました。

あと、POVを放棄した為「もうREC(録画中)というタイトルの意味ないじゃん!」とツッコミたくなってしまったのですが、作中、結婚式の撮影をしているカメラマン(※プロの業者)さんが「どうも~!フィルマックス社です!」と自己紹介するくだりがあるのですよね。
そして、何を隠そう『REC』シリーズを制作している会社の名前はFilmax (フィルマックス)。
要するに今回の作品は、フィルマックスのいちカメラマンによって「REC」されたフッテージであるのだと。
「現実世界に存在しているフィルマックスと映画の中のフィルマックスは同じフィルマックスだと思う? あのシーンはあのフィルマックス社員だけど、このシーンはどのフィルマックス社員だと思う?全部こっちのフィルマックス社員だと思ってる?ねえ?ねえ?」という、虚構と現実がないまぜになったオチが隠されていたことに気づいて、ツッコもうと上げた右手をそっと下ろした私だったのでした。

まぁ、ややこしいだけだけどな!


なんでも、ホントのホントの続編である『REC4/アポカリプス』が来年公開予定だそうですよ。
今回は2作目のラストから後のお話になっているので、みんなだいすきアンヘラたんも再登板!
サブタイトルが、「ジェネシス」「アポカリプス」とめちゃくちゃバイオハザード寄りになってきている点が若干気がかりではありますが、無事日本公開されることを心より願っております。


(※ ほとんど前作までの映像です)






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『レッド・ステイト』

2013年06月10日
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世の中で何が一番恐ろしいって、「自分が正しいと信じきっている人」ほど恐ろしいものはないと思うのですよね。

「こう言っておけばウケる」とか「こう訴えかけておけばチヤホヤされる」とか「この路線で行けばおぜぜが転がり込む」とか、そういった「損得勘定」があればまだマシで。
そうではなく、利害関係も妙な色気も一切なしで、「自分は世の中を変えたい!いや、変えられる!だって自分は正しい事しか言っていないのだから!」と揺るぎない信念を披露する人にはもう、太刀打ち出来ない。
「彼ら」の耳に、「彼ら以外」の人からの言葉は届かない。
たって「彼ら」は100%「正しい」のだから。


あらすじ・・・
高校の友達が出会い系サイトで女性をゲットしたので、ほんじゃぁまぁご相伴にあずかりましょうか!っつって3人で自宅訪問したら一服盛られて、目が覚めたらキリスト教原理主義者に囲まれててさあ大変。

『クラークス』や『チェイシング・エイミー 』『ドグマ』『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』などでお馴染みのケヴィン・スミス監督が、今までの作品とは雰囲気の異なる「攻めてる」映画を作ったと聞いて以来、ずっと楽しみにしていた『レッド・ステイト』を鑑賞しました。
内容はというと、「狂信的なキリスト教徒がATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)と銃撃戦を繰り広げる」という、ぞっとするようなストーリーだった訳なのですが、鑑賞後ちょこっと調べてみると、アメリカでは実際1993年に「ブランチ ダビィディアン」という宗教団体による痛ましい事件が起こっていたようで、事実は小説より奇なり・・というか、ただ映画を観ながら「ひゃー!おっかねー!」と無邪気にはしゃいでいればよかった時代は遠くなりにけり・・というか、なんだか胃の奥のほうがずうんと重くなってしまったのでした。

いや、本当はずっとずっと昔から、常に現実は想像の一歩先を進んでいたのでしょうけれども。

で、「狂信的な宗教団体も実際いるし、KKKなんかも有名だし、いやぁ、アメリカってこわいなー」と「現実」は「現実」でも「海の向こうの現実」として片付けようと思いつつふと周りを見ると、容赦ない「今ここにある現実」として日本の政治家さんの発言が目に飛び込んできたりして。
たとえば本作において、「カリスマ指導者」として熱弁を奮っていたクーパー牧師のありがたい説教の中に、「ゲイは悪だ!なぜならあいつらは子どもをうまないから!」「スマトラ島沖地震とそれによる津波はゲイにたいする天罰だ!」「神は人を殺すなと言ったけど、ゲイは人じゃなくて悪魔だから殺してもオッケー!」などというギョっとするような一節があったのですが、わーなんだろう!この既視感!
なんかね、誰かが同性愛者に対する蔑視発言を繰り返したり、「東日本大震災の津波は我欲を洗い流すための天罰だ」って言ってたような気がする!元都知事が言ってたような気がするよ!しかも今は現役国会議員だったような気がする!

この国会議員といい、「365日24時間死ぬまで働け」と檄を飛ばす会社会長といい、「弱者は守られなければならないけれど、私が(俺が)認める弱者以外はただのズルっこだから野垂れ死にしてもオッケー!」的な事を言うその他もろもろの偉い人たちといい、彼らの信念や主張は到底納得など出来ようはずもない内容です。ちょっとどうかしているとしか思えない。
もしもその発言の真意が、「支持者の囲い込み」であったり「ブラックさを愛社精神という言葉で誤魔化して儲けよう」という損得勘定からきているものだったら、交渉の余地は残っているでしょう。
だって、「それ言い続けてると損ですよ」と言えばいいのだから。
しかし、そうではないような気がしてならないのですよ。
彼らは「正しい」のです。
「正しい」という事を、微塵も疑っていないのです。
それが何よりも恐ろしい。

人を殺せる道具を手にしたクーパー牧師は、自分の信念を貫く為に、正しさを証明する為に、「人類の敵」を処刑し始めます。
しかし、人を殺せる道具は何も銃火器だけではない。
「権力」もまた、人を殺す事の出来る、しかも自らの手を汚さず、罪悪感にも苛まれず殺す事の出来る道具なのです。
それぞれがそれぞれの「正しさ」を振りかざし、人を殺してゆくストーリーは心底おぞましく、そしてものすごくおそろしかったです。
「正しい」と信じすぎている人に、「道具」を与えてはいけない。
本作を観て、改めて再確認させられました。

でもって、そんなこんなの殺伐とした展開や重いメッセージを全部ぶち壊すような最後の一言が超さいこうで、痺れまくった私ですよ。
あくまで想像ですけども、監督はあの一言を撮りたいが為にこの映画を作ったんだと思うな!
ああ!やっぱりケヴィン・スミス監督だいすき!!



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『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』

2013年06月05日
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「踊るシリーズって完結したんだよねーでも観るのダルいんだよねー」という全国のものぐさ太郎のみなさん、こんにちは。アガサです。そして朗報です。
なんと今回、みなさんのお気持ちを汲みに汲んで、126分間の本編をざっくり1分ぐらいにまとめてみましたよ。どうですか。こういう気配りどうですか。

忙しい方もそうでない方も、これさえ観れば「踊るファイナリスト」の仲間入りまちがいなし!いざ鎌倉!




(※ だいたいこんな感じだと思います)


と、いうわけで、最後の『踊る大捜査線』を(126分間ノーカットで)観ましたよ。
なんつうか、もうね、言う事なんてないのですよ。
いや!ありますよ! なんだったらこの話題だけで半日話せるぐらいあるのですけど、「もういっか・・・」って。
人間が持っている「立ち向かおう」という積極性みたいなものをダメにする何かが、この映画にはありました。
鑑賞中ふと隣を見ると、一緒に観ていた世帯主さまがとても悲しそうな眼をしていた事だけ、お伝えしておこうと思います。

・・・と、本当ならここで終わるつもりだったのですけども、たまさかインターネッツで見つけてしまったこの記事について、どうしても書かずにはいられない、という気持ちになってしまった為、以下思いの丈を綴らせて頂こうと思います。
聞いてください。
【すみれさんの人生とはなんだったのか】です。

(※ ↓この記事ですよ!)
踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 踊る大捜査線:本広克行監督「すみれさんが実体じゃなかったら…」 「THE FINAL」秘話語る - MANTANWEB(まんたんウェブ)

“実はあのすみれさんが実体じゃなかったらどうなるんだろうという思いで演出をしたんです。”
“あんなに大きなバスの事故で、生きていられるわけがない。”
“そのかわりに意識したのが、“本当に大切な人を、命を賭けて助けに来る女の人の最後”でした。”


・・す・・・すみれさん死んでた―――!!!

脚本を担当された君塚良一さんには内緒の演出だったそうなので、もしかしたらこのインタビューのあと「オレそんなつもりで書いたんじゃないよ!」と本気の殴り合いが繰り広げられたのかもしれませんが、ともかく、本広監督としては、そういうつもりで撮ったのだ、と。
マジでか・・・ すみれさん、死んどったんか・・・あの事故っつうかむしろ自爆テロ級のアレのせいで・・・
_人人 人人 人人 人 人人 人人 人人人 人人 人人 人 人人 _
> 「となりのトトロにおけるメイ&さつき死亡説」を超える衝撃!!<
 ̄Y^Y^Y^Y^Y Y^Y^Y^Y^Y Y^Y^Y^^Y^Y^Y^Y ̄


いやね、実は大破したバスからすみれさんがしれっと這い出してくるシーンでね、すみれさんが透けていたのですよね。
「雑な合成しよってからに・・・!」とカチンコチンきていた(その直前のバス突入シーンのCGもめっぽう雑だったので)のですが、そうか・・・演出の一環だったという可能性もあるって事か・・・
_人人人 人 人人 人人人 人人人_
> ま、どっちにしてもひどいけどな!<
 ̄Y^Y^Y^Y^Y Y^Y^Y ^Y^Y^ ̄



すみれさんの人生とはなんだったのでしょうか。
「踊る大捜査線」という物語の中で踊らされ続けた「恩田すみれ」という女性の人生とは。
正義感にあふれ、気弱になる青島くんを励まし、女性や子どもが被害に遭う事を何より憎み、ユーモアもあり、常に湾岸署を照らすおひさまのような存在だったすみれさん。
しかし結局、「青島くんという主人公を殺すわけにはいかない」という都合だけで、「でもファイナルだから誰か殺したい」という都合だけで、普通なら乗るはずもないバス(そう、もちろん乗るはずなんてないのですよ。なぜならすみれさんは生き甲斐だった警察官の仕事を諦めざるを得ないほど体調を崩していたのだから。東京↔大分間を夜行バスで移動する必要なんて、まるでない。)に乗らされ、人質になっている子どもを轢き殺してしまうリスクを度外視してまで、バスごと倉庫に突っ込まされたすみれさん。
そんな事の為にうまれたのでしょうか。「恩田すみれ」という愛すべきキャラクターは。

仮に、脚本通り死んでいなかったとしても、その後のシーンに一切登場しないすみれさんからは「もう湾岸署には関係ない人」という印象しか感じられませんでした。
青島くんと室井さんが、テレビシリーズ当初のような関係を取り戻し、もういちど「自分の正義」を貫こうと志を新たにしていたその隣にこそ、彼女は居るべきだったと思うのですよ。
恋人とか奥さんとかそういうのではなく、強い心を持った、頼もしい同僚として。
だけど、すみれさんは居なかった。
なんだったんだ。
なんだったんだ、この「踊る大捜査線」という物語は。

わたしはテレビドラマのシリーズがだいすきで、期待を込めて劇場版1作目を観に行ったらそこそこ面白く、だったらってんで2作目も観てみたら返り討ちに遭い、その後は「期待をしない」ことを前提に生温かく見守ってきた1ファンなのですが、まさか最後のさいごに、今までの楽しかった思い出すらぶち壊しにするような作品を観る事になろうとは、予想だにしていませんでした。

唯一の救いは、もう、このシリーズが作られない事だな、と思いました。 
ありがとうファイナル。
そして、さようなら。



― 追記 ―

散々書きましたが、スタッフの方も俳優のみなさんも、決して「馬鹿げた駄作」を作るつもりでがんばった訳ではないと思っています。 
今までの作品に対する想い、お客さんを喜ばせたいという意志、長年愛されてきたシリーズに有終の美を飾らせたいという気持ちで、沢山のスポンサーを確保し、小ネタを散りばめ、どうにでも取れるようなサービスシーンを盛り込んだのだろう、と思っています。 
そしてそれは、わたしの心にこそ響かなかったものの、「踊るシリーズ」を見守ってきた多くの皆さんに、感動を与えたのではないかと。
なにはともあれ、15年間お疲れ様でした。



参考記事
『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望(ネタバレ)』三角締めでつかまえて ・・・痒いところに手が届きまくっていてとてもおもしろいレビューです。おすすめ!




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