ブログパーツ

『アイアンマン3』

2013年04月27日
iron-man-3-poster_convert_20130426145133.jpg

あらすじ・・・
飛んできたアイアンマンをペッパー・ポッツがドーン!!!



(※ 以下ネバタレ感想となっております。)




XBooC48fEUzpOj21366958788_1366961202_convert_20130426162921.jpg
(※ ペッパー・ポッツ、小町に降臨!)


いやぁ、さいこうにおもしろかったですね!

予告篇やテレビCMで繰り返し流される「さらば アイアンマン」という謳い文句やトニー・スタークさんの辛気臭いモノローグ、そして監督が語ったといわれる「最終章となります」という言葉から、待ちに待った最新作は、一体どれだけいんきなおはなしになってしまっているのだろうか・・・と心が千々に乱れていたわたしなのですが、観終わった瞬間(もちろん、エンドクレジット後のアレも含めて、ですよ!言うまでもないことですが!)立ち上がって拍手喝采を贈りたい気持ちになりました!

『アベンジャーズ』として、地球(というかニューヨーク)をわるい宇宙人から守って1年。
ひどいPTSDに苦しんでいた、アイアンマンことスタークさん。
目を閉じるたび瞼にうかぶ、死闘の数々。
神さまとか興奮したらおっきくなる人とかご長寿じいさんといった特殊な人たちを前に、とめどなく押し寄せる無力感。
確かに闘いには勝った。 
しかし、一度宇宙人相手にガチンコ勝負をキメてしまった以上、いつなんどき、新たな強敵が現れるとも限らない。 
その日が来たとき、愛する人を守り抜くことはできるのか。
スーツがなければ空すら飛べない自分に、・・いや、まぁ、正確に言うと、じいさんも空は飛べないんだけど、果たしてそんな「ちっぽけな自分」に勝算はあるのか。 
えげつないストレスを紛らわせる為、パワードスーツの開発・改良に没頭するしかないスタークさん。

そんな中、無差別テロがアメリカ全土で多発し・・・  というのが、おおまかなあらすじなのですが、今回スタークさんは「アメリカ」を守ろうとはしていないのですよね。
なぜなら、「アメリカ」には前作で軍に寄贈された「ウォーマシーン」があるから。
中に入る人さえいれば、トニー・スタークは必要ない。 パワードスーツさえあれば、アイアンマンはいらない。
あれ?じゃあ、オレの存在理由って何なの・・?
闘いによるPTSDのみならず、アイデンティティーの危機にまで陥ってしまうスタークさん。

どうですか。
ジメっとした内容に寄せてきたなぁ・・と思いませんか。
過去の「ドカーン!ボカーン!イエーイ!」な路線から外れ、ダークなアメコミ路線に方向展開したのかなぁ・・・と不安になりませんか。
全然なってないんですよ!これが! おっさん(トニー・スタークさん)今回もめちゃくちゃ陽気やで!

さまざまな迷いはあるものの、ちょっと悩んだら「ま、いっか!」とポジティブになるのがスタークさんのいいところであり、『アイアンマン』という作品が多くのファンを惹きつける理由なのではないか、とわたしは思うのですよね。
そして、なんだかんだありながらも、きちんといつものスタークさんらしさを魅せてくれた本作。
落ち込むこともある、だけど常に自分を信じて前に進もう。
オレなら出来るさ。
だってオレは天才だから。
アイアンマンはスーツではない。 オレ自身がアイアンマンなのだから。
どうですかこの圧倒的なまでの「オレだいすき」オーラ! わかったよ!わしらこれからもずっと前・社長についてくよ!

スタークさんが住む海辺の豪邸が、テロ組織によって爆破されるダイナミックなシーン。
エアフォースワンから放り出された乗務員たちを、アイアンマンが得意のとんちで救出する爽快なシーン。
スタークさんの無責任な一言によって人生を狂わされたガイ・ピアースさんの、劇的ビフォーアフター。
遺伝子レベルで改造を施され、スーパーパワーを身につけた兵士たちとの船上バトル。
・・ん・・? ・・スーパーパワーソルジャー・・? ちょっと!キャップ!出番ですよ!!(残念ながら出てきませんでした。おじいちゃん、寝てたのかな・・)

矢継ぎ早に繰り出されるアクションに目を奪われ、ネガティブ思考をガシーンと跳ね返すスターク節に酔いしれた『アイアンマン3』。
非常に満足度の高い、すばらしい娯楽作だったわけですが、そんな本作を盛り上げていたもう一人の立役者がいたことにも、触れないわけには参りますまい。

1作目では有能秘書としてキビキビとスターク社長のお世話をし、
2作目ではその(秘書の)座を若くてプリっとしたケツのチャンネーに脅かされそうになり気を揉んだものの、一発逆転で社長に大抜擢され、
『アベンジャーズ』ではすっかり「本妻の座」を勝ち取ったみたいなドヤ顔全開で、スタークさんの身を案じてみせていたあの女性。
シリーズ3作目となった今回、スカ子(スカーレット・ヨハンソン)の陰でくすみがちだったお肌の輝きを再び取り戻すことはできたのか。キャリアとプライベート両方において、思う存分成り上がることはできたのか。
関係者各位の心配を笑い飛ばすかのように、我らがペッパー・ポッツことケロヨンは、スクリーンに舞い戻ってきました。
今までのシリーズにはなかった「強さ」を身につけて・・・!

そう、実は『アイアンマン3』はケロヨンがアイアンマンばりに活躍していたのですよ! 
というか、もうケロヨンがアイアンマンって言っても過言ではないんでねえの!


ケロヨン
(※ 眠れる獅子が・・目を覚ます・・・!)

アメリカ国民が憧れる世紀のヒーロー・アイアンマンことスタークさんの姿を、砂かぶりで眺めることを許された唯一の女性・ケロヨン。
シリーズ2作目で引き継いだ社長職もすっかり板につき、巨大企業の舵取りというハードなワークをなんなくこなす彼女は、だいたいの男が、いつの間にだか判らないもののいつの間にだか恋焦がれてしまっている、という謎フェロモンの持ち主なのであります。
今回も、スタークさんの昔の知り合いであるガイ・ピアースさんと、いつの間にか知り合いになっており、しかも理不尽なほど強く求愛を迫られるという、「ヒロイン」に相応しい役どころとなっており、さすがは世界で最も美しいケロヨンと呼ばれただけのことはあるな・・・!としか言いようがないんですよね!もう、ぼくにはそれ以外言葉がない!

gdhwbfKNHfY1TDK1366967637_1366967875.jpg
(※ 米ピープル誌「2013年最も美しい人」にグウィネス・パルトロウを選出! - ABC振興会★海外セレブ・ゴシップ課

そんなケロヨンは、スタークさんの体調不良を知ってか知らずか、はたまた、「ストレスにはもっとすごいストレスをあてがう事で色々有耶無耶にできる」という毒を持って毒を制する作戦に出てみたのか、夜中に悪夢を見てうなされるスタークさんにパンチの効いた毒を吐いてみせます。
そりゃまあね、寝起きざまに遠隔操作式のパワードスーツから急襲されれば、動転もするでしょうね、まあね。
もともとスタークさんのスーツ作り自体も、あまり快く思っていなかったこともありますしね、「あたしとパワードスーツ、どっちが大事なのよ!」つって怒った夜も、ケロヨンにはありました。(たぶん)
しかし、PTSDに苦しみ、常に緊張状態から抜け出せずにいる恋人に対し、「こんな部屋出てってやるから、一晩中ケチなフィギュアでもいじってろよ!このタコスケ!(意訳)」はあんまりなのではないか。
「わたしは大丈夫だから安心してね」の一言がなぜ言えないのか。 ホント、ケロヨンは当たりが強いよねー!
たとえ、一日当たり数万円分の高級食材を使ったヘルシーフードでもてなしたところで、肝心の愛情がこもっていなければ、心の平穏を手にすることは出来ないのと同じで、平素からどれだけ「あなたのことが心配なんですよーマジでー」と唱えていても、いざ苦しむ恋人に毒を吐いていては元も子もないですよ。

あとね、余談なのですけれども、アヒルの卵とか岡山のスーパーには売っていないので、次にレシピ本を出される時は、うずらか鶏卵の二択でおたのもうします!

JnXVmABnw05WJPi1366967900_1366968180.jpg
(※ グウィネス・パルトローの新料理本 お金持ちでないと作れないレシピだらけ - シネマトゥデイ

13年前にかった恨みから、命を狙われることとなったスタークさん。
そして、またもや騒動に巻き込まれることとなったケロヨン。
というか、自由に動き回って、田舎の子どもと仲良く共同戦線を張るスタークさんの代わりに、がっつり敵に捕まり、ごっさ拷問されるケロヨン。
今までなら、泣くか助けを待つかしかなかった彼女の中の獅子が目を覚ますきっかけとなったのは、皮肉にも敵が拷問に使用した「遺伝子組み換え点滴」でした。
オーガニック食材にこだわり、マクロビオティックな食生活を心がけてきた身体に、こともあろうに「遺伝子組み換え点滴」・・ガイ・ピアースよ・・おまえは今・・決してやってはならないことをした・・・。

というわけで、図らずも不死身の身体を手にしてしまったケロヨンは、炎の中から不死鳥のごとく舞い戻り、飛んできたアイアンマンをグーパンチでドーン! 
にっくきガイ・ピアースを掌底でダーン! 
とどめに小型ミサイルを撃ち込んでバーン! 

いけすかないヤツは完膚なきまでに叩きのめす・・・ それがケロヨンの流儀・・・!

げきおこ
(※ ケロおこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム状態)

そして、すべての闘いが終わった時、スタークさんはひとつの決断を下します。
正気に戻ったケロヨンへ捨て身のプレゼント。
我が子同然だったフィギュアパワードスーツを、全て焼却処分したのです。
スクリーンの前のおともだちが(心の中で)悲鳴を上げる中、スタークさんに抱かれほくそえむケロヨン。

あのね・・ そこに至るまでのね・・自らもスーツを使って闘ってみたり、誰かを守るということについて見つめ直してみたりとかのね、経験から照らし合わせればね、「もうそんなことしなくていいのよ!トニー!」って言ってもいいと思うの・・闇雲に「フィギュア捨てろ!」って怒ってた頃とは、もう状況が変わってるはずじゃないスか・・・ ところがどっこいケロヨンはちがうんですよね・・してやったりみたいな顔なんですよ・・・

・・おそろしい・・・わしはケロヨンが心底おそろしいぞ・・!

QLlcAzLqFVSt8eU1367047972_1367048094.jpg
(※ 一度でいいからみてみたい、小町にトピを立てるとこ)(ケロヨンが)

ケロヨンによる、時に厳しく、時にハードで、時に世知辛い後押しの甲斐あり、大きな(個人的)闘いを終えたスタークさんは、物語の最後にパワードスーツを捨てさり、アークリアクターをも取り除き、「普通の人」へと戻って行きました。
はたして彼は、目論見通りの展開不安から解放され幸せそうな笑顔をうかべるケロヨンと共に、いち社長としての人生を歩んでゆくのでしょうか。
一度も映されなかったその胸元に願いをこめつつ、2014年春公開予定の『アベンジャーズ2』に期待したいと思います!
そう、『アベンジャーズ2』があるんだもんね!

「パワードスーツは繭だった。」 
そのスタークさんの言葉が示すとおり、さらなる成長を遂げ、華麗に羽ばたいてくれるであろう新生アイアンマンの活躍が、早くも楽しみでなりません!



― 追記 ―

・ “サー”ベン・キングスレー、マジきゃわたん!

・ とにかく、初登場シーンから退場シーンまでぶっ通しで萌えちぎりました。 大仰な衣装だなぁ・・とは思ったのですが、まさかこんなに愛らしいキャラクターだったとは・・・ 偉大な役者としてのイメージを逆手にとったマンダリンさんのゆるきゃわ具合に、ときめきがとまりません。

・ 今後はベンきゅんとお呼びしたい。

・ ウォーマシンの中の人ことドン・チードルさんも、力の抜けた感じでとてもよかったですね。 今回の闘いを観ていて、ああ、本当の意味での「相棒」になったのだなぁ・・・とうれしくなりました。 コメディリリーフとしても大活躍だったと思います。

・ ウォーマシンはともかく、なんだかケロヨンもこのままパワードスーツを着る方向に進んで行きそうで、震えた。

・ どうしてスタークさんがケロヨンに夢中なのか、どうしてもわからないままここまで来てしまったわたしです。(と嘆いていたら、世帯主さまに「オレはおまえがどうしてそこまでケロヨンに牙をむくのかがわからんよ・・」と言われました。ごめんねミスター。)

・ いや、きらいなわけじゃないのですよ。なんつうか、一周まわってすきって言うか、マジリスペクトなんスよ。

・ 歴代アイアンマンスーツが大集合・・という画を観た時は、正直「やりすぎじゃね・・」と思ったのですが、なるほど、そういう使い方になるとはね! もったいないけどおもしろかったです!もったいないけど!

・ とはいえ、出来れば一体一体をもうちょっとじっくり見せて欲しかったですよね。 暗闇でビュンビュン動き回られた日には動体視力も追いつきませんて!
ironman3_convert_20130427174645.jpg
(※ この人とかすごいかっこいいじゃないか!名前わからないケド!)

・ アイアンマンのスーツって、防水加工してなかったの・・・?

・ アイアンマンのスーツって、意外と脆かったの・・・?(遺伝子組み換え人間はともかく、子どもに指部分をメキって折られちゃうのはマズイのではなかろうか)

・ あれかな、間接の内側に曲がる方向なら強いけど、外に向けて、逆関節とかキメられちゃったらアウトなのかな、そうなのかな。

・ エンドクレジット後のおまけもすばらしかったですね! いねむりバナーさんかわいいなぁ・・・。


― 追記その2―

・ スタン・リーさん、今回もきっちり顔出ししてましたね! 「10点!」

・ そういえば、鑑賞前にTwitterで 「アイアンマン3に『SPL 狼よ静かに死ね』のウー・ジンさんや『孫文の義士団』のファン・ビンビンさんやワン・シュエチーさんが出ているらしい」 という情報を目にしていたのですが、ワン・シュエチーさん以外全くわかりませんでしたよ・・・ ホントに出てたの・・・?

・ モブキャラ程度の扱いだったのでしょうかねぇ・・・。 もしもウー・ジンさんを出しておきながらアクションの絡みなしだったりしたのなら、それはもう正気を疑う一大事だと思うのですが・・。 DVDが出たら、もう一度コマ送りしながらチェックしてみたいと思います。 




関連作品の感想・・・『アイアンマン2』
          ・・・『アベンジャーズ』


     ♪♪どちらのバナーでもどうぞご遠慮なく♪♪ →   にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

『Chronicle(クロニクル)』 (原題)

2013年04月22日
Chronicle-poster2_convert_20130419090850.jpg

あらすじ・・・
病気の母親と飲んだくれの父親と共に暮らす少年・アンドリューは、その内向的な性格から、いじめの格好のターゲットとなっていた。
クラスメイトの暴力、女の子の嘲笑、遠巻きに眺める生徒たち。
つらい日常と自分の間にハンディカメラという「壁」を作ることで、なんとか現実を乗り越えるしかなかったアンドリュー。
しかし、従兄弟のマットから強引に誘われ参加したパーティで、学校の人気者スティーヴから声を掛けられた瞬間から、彼の人生は大きく変わってゆくことになり・・・。


これは、わたしの映画だ。 これは、わたしたちの映画だ。

ある日突然超能力が使えるようになったらいいのに・・ と、夢見たことのあるわたしたちの映画だ。
この机の上にある鉛筆を、教科書のページを、ほんの数ミリでもいいから動かせないものだろうか・・ と、手をかざしながら必死に睨みつけたことのあるわたしたちの映画だ。
湯船に浸かりながら、目の前の水面をさざなみ程度でいいから揺らしてみたい・・ と、茹だる寸前まで願い続け、挙句の果てに少しだけ鼻息を吹きかけ「波立った・・・! ・・ってことにしておいてつかあさい・・・!」と誰に向けるでもない言い訳を思い浮かべたことのあるわたしたちの映画だ。
テレキネシスの開発に余念がなく、暇さえあれば頭の奥がツーンとするほど練習して、しかし結局動くことはなく、そんな結末に対し「人間の脳というのはですね、所詮その能力の1割程度しか使われていないわけで・・」 と、残りの9割説に望みを託していたわたしたちの映画だ。

そして同時に、気軽に「周りの人たち」に馴染むことのできなかったわたしたちの映画でもある。
クラスメイトが賑やかに笑い合う中、机に突っ伏し、寝たふりをして行間休みをやり過ごすしかなかったわたしたちの。
温かい声をかけてくれた人たちと、晴れて“友達”になれたものの、心のどこかで「自分はここにいていいのだろうか・・」という「場違い」な思いに苛まれてしまったわたしたちの。
“友達”に、自分の弱さを素直に打ち明けられず、勝手に期待し、勝手に失望し、勝手に孤独という毛布にくるまって震えていた、わたしたちの映画でもあるのだ。

たとえば部活とか趣味とか生い立ちとか。
何がしかの共通点があるから友達なのか。
だったら、その共通点を除いた瞬間自分と彼らをつなぐものは消滅してしまうのか。
友達だから甘えていいのか。友達なら理解してくれるのか。 いや、どうせわかってはもらえない。もらえるなんて思い上がってはいけない。自分の痛みは、しょせん自分にしかわかりっこないのだから。 

たった16歳や17歳なのに、誰にも助けを求めることが出来ない。この絶望的なまでに大きな世界に、自分一人で立ち向かわなければならない。

まだ、たった16歳や17歳だからこそ、そんな風に思い込んでしまったアンドリュー。

わかる!わかるよ! 話してしまえば楽になるのに、意外となんてことはない悩みだったりするのに、ひとりで抱え込んでしまって、周りとの間に壁を作って、目に見えない何かと闘うしかない気持ち! 若さってそういうことなんだよ! 世界中がオレの敵・・・!みたいになっちゃう時期があるんだよ! 残念ながら、大人になってからも実は結構あるんだよ! あのね、そういうもんなんだよ!
そして、そんな鬱屈とした日々に突然もたらされた「力」。
心の中で願うだけで、レゴブロックからアメ車まで軽々と宙に浮かべることが出来る「力」。
そりゃ調子にのりますよ! ああ、のるにきまってるよ!
そして「力」を酷使しすぎたアンドリューたちの鼻からは、真っ赤な血がたらりと流れ落ちるに決まってるんですよ! いや、出なければならないんですよ!もちろんそうなんです! 超能力といえば鼻血、鼻血といえば超能力。 ああ・・・わかりすぎてつらい! ジョシュ・トランク監督、あなたはオレか!


と、いうことで、ちょっと興奮しすぎてよくわからなくなってしまいましたが、人気ブログ「メモリの藻屑、記憶領域のゴミ」暗黒皇帝さまからお借りした『Chronicle』を鑑賞させて頂きましたよ。
ちょい悪、人気者、いじめられっ子というタイプの異なる3人の少年が超能力を手に入れ、キャッキャウフフしたり暴走したりする物語。
理解者に恵まれなかった(ホントは恵まれてたのに気付けなかった)超能力少年がクズい親やいじめっこたちによって追い込まれてゆくというあらすじは『キャリー』を、ルサンチマンの塊のような主人公が自らの力に溺れ崩壊してゆくさまは『AKIRA』を思い起こさせますが、決してそれらの模倣というのでははなく、今までに観たことのない、ありそうでなかった青春映画となっております。
甘酸っぱいです。
そして、かなり胸をえぐります。


アガサが観たのは海外輸入盤だったのですが、どうやら長らく未定のままだった日本公開予定日が今年9月に決まった模様(※あくまで予定)ですので、もし無事お近くの劇場で上映された暁には是非!
有名な俳優さんが出演されているわけではなく、監督さんも今回長編デビュー・・というこじんまりとした印象の作品な為、全国規模での公開は期待できませんが、その場合はDVDでもBlu-rayでもなんでもいいので、発売され次第是非!
というか、アガサがお借りした海外盤は、なんと日本語字幕から日本語吹き替えバージョンまで収められているという、親切にも程がある仕様だったのですよねぇ・・・ これもう、このまんま日本で発売しちゃえばいいんじゃないの?!出せない理由があるの?!なんで出さないの?! おせーて偉いひと!

ああ、本作のおもしろさ、痛々しさを伝えきれないことがもどかしくてなりません。
自分の文章力のなさを、今日ほどいまいましくおもったことはない。
確実に言えるのは、紛うことなき傑作であるということ。本当に。本当に。

ひとりでも多くの方に観ていただけたら、と切に願います。
そしてどうか、「あなたの映画」にもなってくれますように。


- 追記 -

・ 本作は、不自然さを指摘されることの多いPOV視点で撮影されているのですが、「その手があったか・・・!」と目からウロコというか、ニヤニヤしながら叫びたくなるような方法が用意されている為、鑑賞中の不快感は全くありませんでしたよ! 

・ そして、その「アンフェア」と言えなくもない方法によって、主人公の性格であったり、孤独であったりを雄弁に語らせてしまうという。 「カメラの揺れが心境を・・」なんつうのはよくある表現だと思いますが、「揺れ」というかなんかもう「居場所がない感じ」なんですよね、ものすごく。 どこにいても、どこにも居られない感じ。

・ 主人公と共にさ迷うカメラは、彼を守る壁であり、彼の人生の証人であると同時に、彼の唯一の親友でもある。 これもね、すごくわかるんですよね!ぼくには! なにせ幼稚園の遠足の時、周りのおかあさん方に声をかける勇気がなく、当然のことながらママ友も作れなかったぼくは、ひたすらハンディカメラを回していましたからね! カメラを回しとけば話しかけずに済むし、目も合わせなくていいから! そういう人間ですよぼかぁ!

・ 主人公・アンドリューを演じていたデイン・デハーンさんがとにかく超さいこう! 『バスケットボール・ダイアリーズ』や『太陽と月に背いて』の頃のディカプリオさんのような、繊細さと脆さと美しさを持った、すばらしい俳優さんだと思います。 もしもアンドリュー役がデハーンさんじゃなかったら、本作はここまでグっとこなかったのではなかろうか。 『アメイジング・スパイダーマン2』にも出演予定だそうで、当分の間目が離せそうにありませんね!

・ 本国では大ヒット御礼でパート2の製作も噂されているようなのですが、「そいつはどうかなぁ・・」と思いますね。 たしかに設定からいうとまだまだ続きが作れそうな余地はたっぷりあるのですが、「高校生の日常」という狭い世界の中に絞ったからこそ、本作はここまで心を揺さぶる物語になったのではないでしょうか。 当たったからといって、ヘンに大きな話にしないでほしいなぁ・・・(ま、勝手な願望ですけどね!)

・ 暗黒皇帝さま、ありがとうございました!


関連記事
・ そんな暗黒皇帝さまの『クロニクル(Chronicle)』レビュー。ネタバレなしです。

・ そんな暗黒皇帝さまが『クロニクル(Chronicle)』を知るきっかけとなったカトキチさんのレビュー。 「童夢」もこんど読んでみたいとおもいます。




     ♪♪どちらのバナーでもどうぞご遠慮なく♪♪ →   にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

『エイリアン・ビキニの侵略』

2013年04月17日
ビキニ ポスター_convert_20130415131830
ひょうきんな顔してるだろ・・・コメディみたいだろ・・・ ハードバイオレンス映画なんだぜ、これ。

あらすじ・・・
わたしの名前はモニカ。宇宙の遠い遠いところから、ここ、地球へやって来ました。 
一族の血を絶えさせる訳にはいかない。その一心でした。 
しかし、地球のオスたちは不親切でした。 
種の保存の為、受精させてほしい・・・。そんな願いは一蹴され、一緒に来たなかまたちは、「地球防衛軍隊」という名のグループに属するオスたちによって、次々と命を奪われていきました。 
残ったのはわたし一人。 受精のチャンスはたった一日。  
そんなある日、「地球防衛隊」に襲われ窮地に立たされたわたしの前に、颯爽とあらわれた単体のオス。
オスの名はヨンゴン。 
「都市防衛隊」を名乗るヨンゴンは、得意のテコンドーであっという間に「地球防衛隊」を叩きのめしました。
そのまま自分の住処へとわたしを連れ帰ったヨンゴン。 
聞くところによると、健康に並々ならぬ関心があり、貞操観念にもかなりのこだわりがあるとのこと。
「正義感」「格闘スキル」「健康オタク」「童貞」。 ここまで完璧なオスに出会ったのは、初めてです。
もうこのオスしかいない。 
幸い、ヨンゴンはわたしの外見に魅力を感じているらしく、まっすぐ目を合わせられない程緊張している様子。 これならすぐにでも受精に至らせることが出来そうだ。
わたしはそう思いました。
しかし、その時、わたしはまだ気づいていなかったのです。
何を隠そうヨンゴンは、暴力によって覚醒する、アレなタイプのオスだったということに・・・。



・ ということで、前半セクシーコメディ&後半ドン底鬱映画というあしゅら男爵のような映画だった訳ですが。

・ だった訳ですが前半の時点で既に、「自衛」と呼ぶには度が過ぎている暴力行為に我を忘れて没頭するヨンゴンの姿が観られる為、どことなくイヤ~な感じと言いますか、「熱心に笑わそうとしているけれど、目の奥が笑っていない」ような感じを受けていたのですよね。 そして、その感覚はますます増してゆくことに。

・ かくして、後半のドン底鬱部分に突入してからは、虐待あり、親殺しあり、DVあり、死体相手のナニありというハードバイオレンスに早変わり!

・ 30年間貞操を守ってきたヨンゴン。 実は彼は幼い頃から実父から虐待を受けており、自らの手でその父を殺めたという過去を持っていたのです。 トラウマと罪悪感を打ち消すため、そして父への贖罪の念から、街の暴漢退治をなりわいとすることに決めたヨンゴン。 収入はどこから得ているのかヨンゴン。 贖罪と貞操はどう繋がるのかヨンゴン。 あ、もしかしたら性欲という名の内なる鬼と闘うって意味とか?ねぇねぇヨンゴン。

・ モニカからあの手この手で子種を摂取させられそうになるものの、鋼の意思でエレクチオンを阻止し続けるヨンゴン。 業を煮やしたモニカは最終手段に出ることに。 

・ 「地球の男の人って、首を絞められたら出すらしいわね」

・ モニカ、その情報はどこ経由の情報なのかモニカ。 そういうアレって無くはないらしいけど、けっこうニッチな層のアレなんじゃないのかモニカ。

・ まんまと裏目に出てしまったモニカの作戦。 首を絞められたことで、父親を殺めた瞬間の心境へと引き戻されたヨンゴンは、スーパーパワーで形成を逆転。父親(モニカ)の首を一心不乱に締め上げます。 

・ 意識をうしなったモニカに馬乗りになり、なおも滅多打ちにするヨンゴン。 ぐったりとしてピクリとも動かなくなってしまったモニカを見下ろし呆然としていたヨンゴンは、殴った感覚に対してなのか、それとも死んだような姿に対してなのか、気づくと激しくエレクチオンしていました。

・ 先程まではどんなサービスにも屈しなかったのに・・。 これぞ文字通り「タッチの差」ですね! まぁ、モニカさんは今回ノータッチでしたけども!

・ 恍惚とした表情のヨンゴンは、あろうことかそのまま物言わぬモニカさんの奥深くへとわけ入り、激しく腰を振ります。そしてそのままフィニッシュまで果たしてしまうというね。ちょっと言葉を無くしてしまいましたよね、ぼかぁ。

・ つまりアレですかね、ヨンゴンは「首を絞められて」フィニッシュするタイプではなく、「首を締めること」でフィニッシュを飾るタイプのアレだったということでしょうか。 まぁ、とりあえずクズですね、クズ。

・ そんなクズが、ハっと我に返った途端「彼女はオレが守る!」なんつって息巻くとかね・・・なんかもうね、「はぁ・・そーっスか・・・」としか思えませんでした。 はい、ヨンゴンさんいいですか、よく聞いてくださいね、モニカさんを殺したの、あなたですよー。

・ もちろん、そこに至るまでには、モニカさんのハードなおしおきがあったことを忘れてはいけません。 中でも、「ヨンゴンの口元と鼻を覆って唐辛子ドリンクを注入する」という字面だけはユーモラスなおしおきなんて、むせ方がえげつなさすぎて「うわー」ってなりましたもんね。 節子!これコメディやない!パク・チャヌク監督の復讐三部作とかで観るようなヤツや!
ビキニ_convert_20130415131846
(※ 見た目はコミカルですがやってることは相当ハードです。)

・ しかし、「地球防衛隊」からその真の正体を知らされるまでは、ヨンゴンにとってモニカさんは「やっと出会えた運命の人」であり、ただの「女性」であり、「なんかよく知らないけどめちゃくちゃ子種を欲しがっている人」でしかなかった筈なのですよ。 「地球を守る為殺さなければならない相手」などでは、なかった。 だからこそ、何も殺めなくても・・、と思えてならなかったのですよね。 凶暴な女性なのだったら、警察に通報するなり手足を拘束するなりすればよかったのではないか。 

・ で、いざ真相を聞かされたものの、モニカさんへの想いからなかなか「地球防衛隊」の言葉を信じず、暴力の上塗りをし、やっと状況を飲み込んだと思ったら今度は「わるい宇宙人め~!オレのモニカさんを殺してやがって~!ゆるさん~!」と愛の為に立ち上がるという。 はい、ヨンゴンさんいいですか、もう一回言いますからよく聞いてくださいね、モ ニ カ さ ん を 殺 し た の 、 あ な た で す よ ー 。

・ モニカ(エイリアン)との貞操をめぐる攻防戦は確かにおもしろかったですし、童貞ならではのドキドキ感もたのしかったです。 いい香りのする髪がふわりと鼻をかすめた時の童貞の固まり具合なんかも、とても真に迫っていましたしねぇ。 女性の純潔を大事に思っている割には、やたらと自分ち(見知らぬ男性の家)に引き止めておきたがる。という矛盾だらけな貞操観念もね、いかにも童貞って感じでよかったですよね。 妙なテンションになって墓穴を掘りまくる、それが童貞。

・ ただ、あっというまにハードな拷問に突入してしまうので、それらのコミカルな描写を楽しむ時間があまりに少なかった。 それが非常に残念でした。

・ 結局、ヨンゴンは何の為に自警活動をしていたのでしょうか。 第二、第三の父親(暴力的な男性)を阻止したかったのでしょうか。 わるいやつを叩きのめせば、父殺しの罪が消えると思っていたのでしょうか。 それとも、わるいやつに自分自身を重ねて、自らを退治しようとしていたのでしょうか。 ちょっと、わたしにはそこのトコロがよくわかりませんでした。 もしかしたら、ただ単に正当に暴力をふるいたかっただけなのかな。

・ モニカさんの死体にフィニッシュをかますのも、「どういう心境なんだ・・?」と全くもって解せませんでした。 ただ単に「興奮していた」からなのでしょうか。 Sなの? 受けじゃなく攻めなの?

・ アガサは思ったのですが、もしもヨンゴンが父親殺しの瞬間に射精していたら、どうだったろうか、と。 「耐えられないほどの苦痛」と「やってはならないこと」と間でぐちゃぐちゃになって、頭の中がまっしろになって、わーって、ブラックアウトして、気づいたら出ちゃってた。 ものすごく不快なんですけど、それなら腑に落ちるなぁ・・と。 つらい過去を持つヨンゴンだからこその現象として、解せるなぁ・・と。

・ なので、モニカさんの死体にわっせわっせしている姿と、過去の父親殺しのシーンが重ねった時、「ああ、ヨンゴンはこの時(お父さんを殺めた時)きっと射精しちゃったんだろうなー」と思ったのですよ。 というかむしろ、していて欲しいと。 なんだったら、その時がヨンゴンくんの精通であってもいいんじゃないかというぐらいに。

・ まぁ、そうなってしまうと今度はヨンゴンの「純潔」が成り立たないので、もうしょうがないのかなぁ・・と思うしかないのですけども。 というか、そもそもそこまで繋がりを考えなくてもいいのかなぁ・・なんつって思わなくもなかったりなんかして!

・ ともかく、モニカさんへの行為があまりに唐突で、尚且つ酷く、ヨンゴンくんの中の「正義」もいまひとつしっくりこなかったことから、観終わったあと苦虫を噛み潰したような顔になってしまったアガサだったのでした。 

・ 「おもしろいことやったるで!」という勢いはビュンビュンに感じられましたし、陰惨さとコミカルさのまざり具合に熱狂された方も多いと思いますよ。 あくまでわたしにははまらなかったというだけです。

・ なんでも、本作は超低予算映画だったそうで、制作費はたったの35万円とのこと。 なるほど、それでヨンゴン役の俳優さんが何世代もの役をひとりで演じていたのですね。 創意工夫の末の選択だったのかもしれませんが、「因果応報」というか「輪廻転生」というかネバーエンディングストーリーな内容に説得力を与える、ナイスなキャスティングだったと思います。 あと、やっぱり映画の出来はおぜぜのかけ方で決まるのではないのだなぁ・・ということも痛感しました。 映画製作を夢見る若者に、大いに勇気と希望を与えてくれる作品だったのではないでしょうか。

・ あと、とりあえず「エイリアン・ビキニ」のくせにビキニじゃないという事だけは、声を大にして糾弾してゆきたいですよね、ぼかぁ。 ブラと謎リボンがついたパンツのコンビネーションは、ビキニとちゃうのよ! ビキニっつうのはね、もっとこう、ロマンと夢がと遊び心がつまってるもんなのよ! わかっておくれよ!


     ♪♪どちらのバナーでもどうぞご遠慮なく♪♪ →   にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

『KOTOKO』

2013年04月12日
Kotoko-2011-Movie-Poster_convert_20130412084402.jpg

団地内に響き渡る絶叫! 血塗れたバスタブに全世界が戦慄! 
次に壊れるのは、あなたの隣にいる「母」かもしれない・・・!


というフレーズが脳裏を過ぎってしまった、一見「ホラー」よく見ると「お母さんあるある」な恐ろ哀しい映画『KOTOKO』を観ましたよ。


アガサが最初にその悪夢を見たのは、第一子を妊娠中でした。 

もう5ヶ月を過ぎ、安定期に入った頃だったでしょうか。
生まれて間もない我が子の首が、抱っこした拍子にポロンと落ちてしまう、という夢でした。
プールの更衣室のようなトコロで、わたしはなぜか赤ちゃんをロッカーに入れていて、着替えようと扉を開けると赤子は既に息をしておらず、わーっと慌てて抱き上げた瞬間ポロン、と。

首は床をコロコロと転がって行きました。
首はなぜか穏やかな表情をしていました。

わたしは叫びながら飛び起きました。


2人の子どもを授かり、かれこれ11年が経ちます。
一年のうちのほとんどは、朝起きて、ご飯食べて、笑ったり、叱ったり、いつもと変わらぬ毎日なんですよね。
でも、今でも時折、叫びながら悪夢から目覚める事があるのですよ。
事故や犯罪に巻き込まれたちびっこたちが無残な事になるのをなすすべなく呆然と見ている、という夢から。

coccoの『KOTOKO』は、そんな夢をギュギュっと凝縮したような映画でした。
夢と、夢を見て跳ね起きるわたしが、そこに詰め込まれていました。

死にたいからではなく、生きていることを確かめる為に手首を切るKOTOKO。
周りの人を攻撃したいからではなく、我が子を守る為に拳を振り上げるKOTOKO。
その姿はあまりに痛々しく、直視することが耐え難い。
だので、「メンヘラだなー」とか「彼女はアレですね、完全にアスペですね」とか「マジキチwww」という簡単な言葉で片付けてしまいたくなる人もいるかもしれません。
わかりますよ。 わからんでもないです。 だって、そういった言葉で自分の領域から遠ざけてしまえば楽ですもんね。
「これは自分とは関わりのない世界なんだ」って。 「あたまのおかしい人の話なんだ」って。
しかし、KOTOKOの世界はわたしたちの世界なのですよ。
表現こそ過激でショッキングだけれど、彼女が抱える不安は特別なものではない。
だから、遠ざけるのではなく、少しでいいから想像してみてほしい。
わからなくていい、同情してくれなくていいけれど、「危険厨」みたいなばかげた言葉で蓋をして、見なかった事にだけはしないでほしい。

枯れ枝のように細い腕を振り、KOTOKOがハラハラと舞う姿を観ながら、そう思いました。


「母はつよし」なんつって言いますが、母になったからといって「よっしゃーまかせとけー」と逞しくなる訳ではないのですよね。 
むしろ、圧倒的に弱くなるのではないかと思います。特にメンタル面で。
テレビから“登校途中の児童の列に車が・・”というニュースが流れれば「集団登校させててもいいのだろうか・・・」と惑い、“女の子をねらった性犯罪が・・”というニュースが流れば「えっとえっと、携帯持たせて、GPSで見守って、送り迎えもして、あと、何すればいいの?!いっそ外出すの禁止にするか?!」と思いあぐねる。
「子どもを守りたい! ああ、絶対に守るさ! でも、できないかもしれないよ! できなかったらこの子はどうなるの?!」
確固たる決心はあるものの、不安に打ち勝つだけの自信なんてない。
常に強くて弱い「母」。 

「だいじょうぶ。」 cocooさんやたくさんの「母」たちに向け、贈られた言葉で、映画は幕を閉じます。
その言葉の贈り主が彼女の子どもであった事がなにより嬉しく、心強く、救われたような気がしました。

鑑賞しつづける事は苦痛かもしれません。 けれど、ただ鬱気分を味わうだけの映画ではないと思います。
心にズシーンとくる、とても美しい映画でした。



― 追記 ―

・ 何よりビックリしたのは、こっこさんの演技力でして。 限りなくプライベートフィルムに近い映画ではあるものの、赤ちゃんと共に神経をすり減らしながら暮らすこっこさんは、あくまで「cocco」ではなく「KOTOKO」な訳で。 カメラの前であそこまで自然に神経を磨り減らせるこっこさん、ただもんじゃねえな・・・!

・ お姉さんに預けた我が子に、KOTOKOが久しぶりに会いに行くシーンで、すっかりお姉さんになついちゃった赤ちゃんが機嫌よくしているのをじっとりと眺めるトコなんかもうね! せつなさと嫉妬と哀しさが渾然一体となったあの表情! わかるわー! 出来れば人見知りしてほしい気持ち、わかるわー! 

・ 預けてのんびりしたい割には、なつきすぎてほしくないというね!相反するアレね! まあね、おかあさんなんて勝手なもんなんスよ!

・ こっこさん的には、「演技」というのではなく、当時の記憶を思い出して「感覚の再現」をしていたのかもしれませんが、それこそがまさに演技の真髄・・・! って月影先生が言ってた!

・ あと、火が付いたように泣く赤子を抱きかかえながらお昼ご飯を作るシーンでの、悲痛な叫び&フライパンぶん投げもね、非常に身につまされましたよね。 フライパン投げた事はありませんけど、ああいう気持ちになった事あるお母さん多いんじゃなかろうか・・・。 

・ アガサもね、離乳食時代にせっせこ作ったどろどろ飯をあまり食べてもらえず、裏ごしに使ったザルに詰まったカボチャの繊維をゴシゴシしながら泣いた事、ありますもんね。 いとも簡単に絶望する・・それが「お母さん」・・!

・ 毎日気にしなかったり気にしたりしながら、手探りで挑む子育てですが、実は子どもには「タイムワープ」という必殺技が備わっていまして、気づいたら大きくなってたりします。

・ 「こないだまでオムツだったのになぁ」「つい昨日入園したのに」「いつまでも小学生だと思ったたのに、もう中学校か・・」 なんて言葉をうっかりもらしてしまった事のない親御さんなどいないのではないでしょうか。 そう、それこそが子どもたちの秘技・タイムワープ・・・!

・ 本編のラストで、KOTOKOの息子さんが突然成長した姿で現れるのですが、その直前まで起こっていた事からあまりにかけ離れた展開だった為、実在するのかしないのか困惑してしまいました。 しかし、それもきっと、秘技・タイムワープだったのではないかなぁ・・と。 KOTOKOがどれぐらいの期間入院していたのかは定かではありませんが、息子さんの穏やかな表情とさりげない温かさから、KOTOKOに対する愛情がひしと伝わってきました。 なんかね、すごく嬉しかったです。

・ 子どもたちが秘技・タイムワープを使ってくれる事がどれだけありがたいことか、タイムワープを実感出来る事がどれだけすばらしいことか。 あっという間にすぎてゆく日々というのは、ちょっとした奇跡の積み重ねなのかもしれないなぁ・・と思います。

・ という訳で、おおむね「あるある」と共感しながら観ていたのですが。

・ 以前にも書いたことがありますが、私は子どもが酷い目に遭う映画がどうしても受け付けられなくてですね。 「出来事」としての死ならまだしも、その死に方をまざまざと見せつけたりなんかされたら、もうそれだけでゲンナリしてしまうのですよ。

・ 本作に関しても、直接見せなくてもいいんじゃないか・・・と思わずにはいられないシーンがバッチリありまして。 そこはね、銃声の音と、世界の崩壊を目にするKOTOKOの姿だけで、じゅうぶん伝わるんじゃないか、と思ってしまったのですよ。  もちろん、「子どもを失う」想像を時々してしまうのも事実なのですけどね。悪夢としてね。 ・・でも、やっぱり直接表現はしんどいなぁ・・。

・ そう思う一方、KOTOKOに一目惚れしてしま小説家・田中(塚本晋也監督)がフルボッコにされるダイレクトなシーンは大歓迎してしまうわたしですよ。

・ 塚本監督登場シーンは爆笑につぐ爆笑で、コメディになっちゃったのかと思う程おもしろかったです。 ちなみに田中(塚本監督)も「だいじょうぶ」を連呼するのですが、全然だいじょうぶじゃないわ、だいじょうぶになりかけたらトンズラするわで、ホントもう「おまえゲスいな!」と思いました。

・ 田中は現実する人物だったのか非現実だったのか。 あまりにKOTOKOに尽くしてくれるので、もしや彼も彼女が作り上げた幻だったのでは・・・という考え方もあるようですが、アガサは完全にモノホンだと思います。 田中はたぶんね・・・・ドMだったんだと思うよ!(※なのでKOTOKOが暴力を奮う必要がなくなった途端トンズラした)

・ 手首を切って、そこから流れてくる血のあたたかさに「生」を感じるこっこさん(KOTOKO)の姿は、私たちから見るととても異様だけど、彼女にとっては異常ではないのでしょうね。 そりゃあたたかさを感じて血にまみれて踊ってもみるわーおさげも切り落とすわーわかるわー。

・ たぶんですけど、たとえばわたしたちが、プールとか海とかでお手洗いに行った時にね、「あれ・・・身体は冷えてるのに出てくるモノは意外とあったかい・・・?」と「生」を実感するのと大して変わらないのではないでしょうか。 ほら、「生きてる」って、そういうことじゃん?ちがうか!ちがうのか!

・ まぁ、でもできれば身体を傷つけずに実感できるようになるに越したことはないですけどね。 こっこさんが今でもその確認方法を採用しているのか定かではありませんが・・。  

・ 願わくば、彼女と彼女の世界がずっとずっと「だいじょうぶ」であるように。



     ♪♪どちらのバナーでもどうぞご遠慮なく♪♪ →   にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

アルバム、の、ようなもの。(親方!空から40歳女性が!の巻)

2013年04月10日
「おっかあ!おらローラーコースターのりてえだ!」

カートゥーンネットワークの見すぎでアメリカナイズされているちびっこの一言が、乾いたリビングに響き渡った。


と、いうことで、先日岡山県が誇る老舗テーマパーク・鷲羽山ハイランドに行ってきました。
・・え? 何のテーマか・・ですか? テーマはずばり、ブラジルです。

鷲羽o_convert_20130406014654
ね! ブラジルでしょ!

鷲羽t_convert_20130408230548
ダンスフロアにはためくネズミ(チューピーくん)・ブラジル・山の3大アイコン!

鷲羽p_convert_20130406014719
身長制限を伝える看板すらもブラジルですよ!

鷲羽q_convert_20130406014739
一日2~3回開催されるサンバパーティには、ナイスバディのチャンネーが・・・

鷲羽r_convert_20130406014754
・・いると思った? ざんねん!おっさんでした!

おっさんの名前はバルジアさん。 聞くところによると、テレビ東京系列で放送されている「モヤモヤさまぁ〜ず2」という番組でいじられた事があり、その界隈ではちょっとした有名人のようです。どの界隈だよ。
サンバ中なんども「ワタシノナマエハ?!」とお客さんに向かって連呼し、うまく答えられた人には景品をプレゼントしてくれるという、謎の気前の良さを発揮する、とてもいいおっさんでした。

鷲羽h_convert_20130406014416
瀬戸内海が一望できます。

アガサが最後に鷲羽山ハイランドを訪れたのは、高校の遠足旅行。
その頃はもう少し「瀬戸大橋」推しだった気がするのですが、気づいたら主役の座はブラジルにとってかわられていました。
一体誰が、なぜ、ブラジル推しにGOサインを出したのか。
その方向転換にどんな勝算を見出したのか。
謎が謎を呼ぶ鷲羽山ハイランド。
ともあれ、辺鄙な場所に位置しているにも関わらず、長年に渡って岡山県民に愛され続けてきたのですから、ブラジル推しもバルジアさんのがんばりも無駄ではなかったという事なのでしょう。

がんばれハイランド! 不況に負けるなハイランド!

鷲羽l_convert_20130406014550
見てください。がんばってるコースターです。
その名もずばり「バックナンジャー」。 後ろ向きに走るジェットコースターです。
最近USJにバックドロップとかいう背面走行コースターが誕生し、話題を集めているようですが、鷲羽山ハイランドにだってずっとずっと前からあるんだかんね!
ちなみに「バックナンジャー」とは「バックなのですよ」を岡山弁に直したものです。

鷲羽s_convert_20130408230458
仰向けの状態で垂直に登ってゆき、一気に落下したのち2,3回ひねられるコースターだってありますよ。
どんな名前か気になりますか? 「ウルトラツイスター」です。 岡山弁じゃねえのかよ!

鷲羽山ハイランドにはこの他にも、バックナンジャーのレールに立ったまま乗るスタイルのカゴをすげ替えて走らせる「スタンディングコースター」という絶叫マシンもあり、なかなかどうして充実のラインナップとなっております。
しかし、実はハイランドの真のおそろしさは、各種絶叫乗り物でもくるおしいまでのブラジル推しでもない事を、あなたは知っているだろうか。
ハイランドの真の恐ろしさ・・・ それは老朽化と海抜です!

鷲羽f_convert_20130406014336
軒並みこんな感じ。

鷲羽u_convert_20130409094729
乗り物が見えなかったら完全に廃墟写真のそれ。

鷲羽k_convert_20130406014530
小さいお友達向け乗り物もこの有様。

雨ざらしになった安全バー。 劣化したスポンジからは水が滲み出し、身体に固定した瞬間別の意味でヒヤっとします。だってほら、服が濡れるから。
傾斜をゆっくりとのぼってゆくコースターからは、尋常ではない大きさの「ガタンコトン」という効果音が。
その旋律によって開かれるのは、破滅への扉なのか・・・? 『名探偵コナン・崩壊の前奏曲(プレリュード)』はこのあとすぐ!

鷲羽e_convert_20130406014241
グルコサミン&コンドロイチン!

いまここにあるもうひとつの恐怖、海抜。
標高133メートルの鷲羽山に建てられたハイランドは、山の起伏を有効活用し、おびただしい量の階段を設置。
のぼれどのぼれどアトラクションには辿り着けません。
これはもう、遊園地ではない。 ちょっとしたトレッキングである! 

そして、浴びるほどの階段を制圧した先には、海抜を最大限に活かした乗り物が待ち受けています。

鷲羽g_convert_20130406014356
「ターボドロップ」です。
いわゆるひとつのフリーフォールです。
どこの遊園地でも見かけそうな、ありふれた乗り物。
しかし、特筆すべきはその高さ。 なんとのぼりきった瞬間の海抜・200メートルからの自由落下なのです。

CxVc1zYdDZhwPhx1365481942_1365481981.jpg
頂きからの眺望。 ちょっとどうかと思うぐらいの高さ。

遥か眼下に見下ろすは瀬戸大橋。 そして雄大な瀬戸内海。
アガサもね、高いところはキライじゃないというか、むしろ俄然登っちゃうタイプなのですけどね、さすがに上昇している途中で「そろそろ止まるだろ・・」と思ってタワーを見上げましたよね。 
何気なく座ったベンチが海抜200メートルまで浮かび上がったようなものですからね。 いや、何気なくじゃなくて自己責任ですけどね。
ちなみに一緒に乗ったいもうとちゃんは最初から最後までずっと平井堅でした。(瞳を閉じていました)

と、ここまでずっと、視界に入っていたものの敢えて話題を避け続けていたとあるブツに関して、ついに世帯主さまが口火を切りました。

「で、いつ飛ぶの?」

そう、鷲羽山ハイランドの目玉アトラクション、バンジージャンプへのいざないです。

鷲羽a_convert_20130406014010
よりにもよって頂上に設置してやんの。

園内随一の絶景ポイントにこちらえられたバンジー台。
海抜はおおよそ170メートル。
まあね、先程のターボドロップに比べれば30メートルも低いですけどね。

そっか、30メートルも低いのか!なあんだ!(←ちょっと感覚がおかしくなっている)

鷲羽c_convert_20130406014130
気づいたら命綱を装着させられていました。

以前からテレビで芸人さんがバンジージャンプに怯えている姿を見るたびに、「へっ!なさけねえな!こんなの楽勝じゃん!」と豪語していた私に、世帯主さまからここぞとばかりに浴びせられた「飛べるんだよね?」「まさか飛べない訳ないよね?」「うっそー飛べないのー?またまたー冗談ばっかりー」という言葉の銃弾。
「引くに引けないってこういう事なんだな・・・」と思った時にはバンジー台の階段を踏みしめていました。

鷲羽b_convert_20130406014109
ざっくり10階分の階段。 頂上にたどり着いた時には完全に息があがっていました。


おもてたんとちゃう!

なんかね、バンジー台ってね、地面にクッションが敷いてあるじゃないですか、当たり前ですけど。
それ目掛けてジャンプするんだと思いますよね。
そんでね、いざ台から下を見下ろしましたらね、クッション、ほとんど見えないんでやんの。
むきだしの大地へとダイブする感じなんでやんの。
聞いてない。 あと、海抜すごいから風に煽られる度がハンパないんだけど、それも聞いてない。
しかし、バンジージャンプにはルールがあり、5分以内にジャンプ出来なければ強制終了。(実際、飛ばずに退場されていた方も見かけました)
その上、事前に徴収された別料金(※1500円)は返金不可というではありませんか。 ナニソレ!MOTTAINAI!  ええい、ままよ!


心の中でブルジュ・ハリーファからダイブするトムをイメージ。

鷲羽d_convert_20130406014220
記念のTシャツをもらいました。 

高さに対する恐怖心というよりは、「この命綱ホントに切れないの・・?」という老朽化関連の不安の方が大きかったのですが、いざ飛んでみると実に気持ちよくて、ボヨーンというバウンドはちょうたのしいし、跳ねが止まってからブラーンと宙吊りになっている状態も開放感たっぷりでさいこうでした! 
Tシャツいらないから別料金もうちょっと安くしてくんろ・・・(そしたら何回も飛べるのに)


というわけで、世帯主さまの鼻を明かし得心したトコロで、ハイランドの隠れた絶叫アトラクションへと移動。
一説によると「世界で最も怖い」とされるアトラクション、「スカイサイクル」です。

鷲羽i_convert_20130406014439
これから皆さんにはこの上を自転車で走ってもらいます。

柵もない、命綱もない、転落防止ネットもない、ないないづくしのコースが設置されているのは地上約16メートル。 ビルディングにして4階建てに相当する高さだそうです。
まあね、まあね、菜箸の上にプラレールをのっけただけのようなシロモノに見えなくもない。そう、見えなくもない。
しかし、高さがどうのこうの言ったって、自転車でギコギコ漕いでいくだけの話じゃないか。
一周なんてあっという間だし、みんなちょっとオーバーに騒ぎすぎなだけなんじゃないの?

そう思っていた時期が、わたしにもありました。

鷲羽v_convert_20130410130730
マジでなんも無かった!

とりあえずね、今まの人生で「乗ったこと」を後悔したアトラクションは初めてでしたね。
自転車はペダルが重くて思うように進まないわ、時々足元でグギャンって心もとない音を発するわ、レールは細いわ、自転車の「ママチャリくっつけただけ」感はすごいわ、ホントもう風が頬をくすぐるたびに何度も「もはやこれまでか・・・!」と思いましたよ。 誰だよこれ作ろうと思った人! どうかしてるよ!

鷲羽w_convert_20130410133211
眺めだけはバツグンにいいです。

鷲羽j_convert_20130406014507
ちなみにいもうとちゃんは乗ることを拒否しました。賢明な判断だと思います。

2台の自転車がヤジロベーのようにレールに乗せられた「スカイサイクル」。
スピードも遠心力もG(重力)もありませんが、「自転車がレールから外れてガターンって傾く」白昼夢や「谷間に吸い込まれてゆく」感覚、そして「生きるか死ぬか漕ぐか」という極限状態を味わう事ができる、最狂のアトラクションなのではないでしょうか。
バンジージャンプの数倍怖かったですよ!

ということで、念願のローラコースターや高所をおなかいっぱい堪能したちびっこも、絶叫系を諦めてひたすらメリーゴーランドに乗っていたいもうとちゃんも、サンバ隊のちちをじっとりと眺めた世帯主さまも大満足の、とてもたのしい一日でした。

鷲羽山ハイランドは年中無休。午前9時~午後7時まで絶賛営業中です。(平日は午前10時~午後5時。GWや長期休暇シーズンは延長営業あり)
盛りだくさんなアトラクション類は、大人2500円・子ども2000円ポッキリで全て乗り放題。(※バンジージャンプやお化け屋敷など、一部別料金)
もちろん、田舎なので駐車場は無料ですよ!田舎ばんざい!
岡山近郊にお住まいの皆さん、はたまた命懸けのスカイサイクルにチャレンジしてみたい方、おすすめですよ!



― おまけ ―

鷲羽m_convert_20130406014611
いわゆるひとつのお化け屋敷。 別料金(ハイランド入場者は300円)が必要です。 生身の人間による驚かしを排除し、フルオートメーション化に成功したスリラーハウス。 館内に設置されたマジックミラーから、とびきりユニークなハリボテが人感センサーの指示により姿を浮かび上がらせます。 ただし、センサーが若干ポンコツなので、反応するのは基本的に「お客さんが通り過ぎた後」になります。 安心設計だね!

鷲羽n_convert_20130406014631
バイキング方式のレストランも完備。 フォントが映画のアレとまるっきり一緒なのですが、著作権の問題とかだいじょうぶなのでしょうか・・・

     ♪♪どちらのバナーでもどうぞご遠慮なく♪♪ →   にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

 | HOME | 

※当ブログで使用しているイラスト等の著作権は、全てはアガサにありますので、転載、二次加工、再配布の際は一言ご連絡下さいませ。