ブログパーツ

『アジョシ』

2012年02月29日
アジョシ1_convert_20120220225333

(※ もちろんそんなお話じゃないですよ!)

あらすじ・・・

質屋のおじさんの名前はチャ・テシク。 そして隣に住む少女の名前はソミ。 ごく過酷な生活を送る少女とおじさんは内に抱える苦しみをいつしか共有し、ごく親密なおつきあいをしていました。 でもただひとつ特筆すべきなのは、おじさんは暗殺を専門とした元特殊部隊員だったのです!

・ アジョシ!かっこいいよアジョシ! 明日からオレもアジョシになる!ドニーさんと週替わりでアジョシになる!(以前ドニーさんになる宣言をしていたので隔週にします)

・ 絶賛育児放棄中のジャンキーかあちゃんに心傷つきながらも、たくましく生きてきた少女・ソミちゃんの薄幸そうなへの字口よ! 今最も「目の下の隈」が似合う12歳児ですね!

・ そんなソミちゃんの隣人で、質屋にいるのがおかしいくらい男前なおじさん(=アジョシ)・テシクは、数年前まで「国家に命ぜられた正当な殺し」を生業にしていたのですが、その代償として愛する家族を失ってしまった事から隠遁生活を送っていたのでした。

・ 足りないものを埋めあうかのように、家族ごっこに興じるおじさんと少女ですが、ある日、欲にかられたかあちゃんがマフィアのヤクを横取りしたことから血で血を洗う抗争に巻き込まれてしまい、組織に拉致された少女を救う為、おじさんは封印していた「殺人マシーン」としての本能をよみがえらせる・・・・という、まぁ要するに『グロリア』みたいな『レオン』みたいなお話だった訳ですよ。

・ で、お話自体は暖簾をくぐって「おやじーいつものヤツねー」と言えば「あいよー」と出される生中と鶏皮のポン酢あえの如き安定感あふれる内容だったのですが、製作者はそんなトコロに突っ込まれるのは百も承知で、ひたすらひとつの事に全精力を傾けていたのではないでしょうか。 そう、アジョシのかっこよさに。

・ どのシーンのどのカットを切り出そうと、余裕で小粋なポストカードになるのではないかと思うほど絵になるおじさんの面構え。 深い哀しみを湛えた節目がちな瞳、その淵に暗い影を落とす長い睫。 千々に乱れた前髪と、ストイックに絞り込まれたしなやかな体躯。 しかもスーツ。 日本語でいうトコロの背広ですよ奥さん。 わかっておる。アジョシの関係者の「わかっておる度」はそらおそろしいほどじゃわい・・・!

・正直言って、巷でうわさの「韓流イケメン」には全く興味が沸かず、むしろ「この程度でいいんなら各学区内に2人くらい居るんじゃね?」としか思えないアガサですが、このアジョシにはシャッポを脱いだね! ウォンビンすげえ!ウォンビンビンビンじゃんか!

・ 言いたかっただけです。すみません。

・ どれくらいかっこよかったかというと、例えばおじさんが机の上のお茶碗を足で押して落っことすシーンがあったのですが、ここでビンビンはおもむろに靴を脱いで靴下状態のつま先でお茶碗をグイグイするのです。靴下オンザ食卓ですよ。トラディショナルなおじさんなら訴訟沙汰ですよ。 しかしビンビンの靴下は湿り気どころかなんの異臭すら感じさせない。 むしろ、どことなくフローラルな香りすら(脳内で)漂わせる事に成功。漂ってないのに。 おいかあさん!かっこいいは正義だな!

・ まじめな話、ただ男前なだけではなく「本当に足が速そう」だったり「本当に強そう」に見えたのも素晴らしかったと思いますよ。 走る時のフォームや接近戦の時のちょっとした身のこなしがきちんとしている為、おじさんの特殊なプロフィールにも説得力が感じられるのですよね。 こういうのって、一番軽んじてはいけない部分(日本の映画ではちょいちょいおざなりにされますが)だと思います。

・ ナイフを使っての格闘の時も、脇の下や脚の付け根といった「そこ切ったら本気でアカン」箇所を狙って攻めており、おじさんが今までの人生でいかに多くの人を殺してきたか(人殺しに慣れているか)が感じられて薄ら寒い気持ちになれました。 だが、そこがいい。

・ おじさんがここまで完璧すぎると、お話の中で浮いてしまいそうなものなのですが、本作は敵チームにもビックリするほどゲスい悪役が用意されており、クスリの密売から臓器売買まで幅広く手がけるマンソク兄弟のふてぶてしさには唾をぺっぺとしたくなりましたし、そんなマンソク兄弟に雇われたベトナム人用心棒の「清く正しい強敵っぷり」には二度目のシャッポを脱いだ次第です。

・ このベトナム人用心棒とおじさんの魂と魂が触れ合う瞬間がたまらんかったよね!アレがね!みんなにもわかるよね!

・ 特に用心棒の方は「初めての恋か!」っていうくらい動揺しちゃってましたからね!もうさーなんつーのかなー、用心棒くんの心臓のドキドキがこっちにまで伝わってくる感じ? 最後のアレなんかもね、きっとおじさんに気づいて貰いたかったんだよね。気づいて欲しい気持ちと、ライバル(と書いてトモ)として最後まで正面から向き合いたいというね、だから敢えて非情な振る舞いに出ずにはいられないという複雑な用心棒ごころ・・わかった!わかったからみなまで言うな!
Thanayong-Wongtrakul-Man-from-Nowhere_convert_20120226130454.jpg
(※ 色んな意味で す ば ら し い と思 い ま す !)

・ 今回もとことん役に立たない韓国警察24時!

・ いくら「自分が守れなかったもの」の代用としてピッタリマッチした少女だったとは言え、所詮は赤の他人。 かわいそうな孤児を引き取ってエバーアフターな結末を迎えるのではなく、スタートラインまで送り届けたらきちんと背中を押す。たとえそればお互いにとって寂しい結末でも。  そんな、「大人としてあるべき姿」を保ったままのエンディングも胸に沁みましたね。  一緒に暮らせばお互い楽しいとは思うのですが、長い目で見れば、自分の生い立ちを受けとめ自分自身の足で立たせることが一番大事なのだ、と。「隣のおじさん」として正しい態度だったのではないかと思いました。

・ というわけで、超おもしろかったです! あー去年大画面で観たかった!

 
     ♪♪どちらのバナーでもどうぞご遠慮なく♪♪ →   にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

『ドラゴン・タトゥーの女』

2012年02月20日
the-girl-with-the-dragon-tattoo_convert_20120219160428.jpg


最高にインパクトの強い予告編で耳にして以来、なにかにつけてアガサの脳裏で鳴り響きまくっていた「移民の歌」をバックに、真っ暗闇の中ひとりの女性が真っ黒な液体を身にまとっているオープニング・シークエンスで、まず胸を鷲づかまれました。
その液体はコールタールのようにドロドロとしていて、女性の体の表面は黒いスチールでコーティングされたかのように硬い。
一瞬、いのちを持たないマネキンなのかと思いきや、彼女のまぶたが時折微かに震える。
不快で、おどろおどろしくて、苦しみに満ち満ちたような真っ暗な世界。
キーボード、ワイヤー、コード、火のついたマッチといったキーワードが現れては消え、男性の体と溶け合っては引き裂かれ、押さえつけられては這い出し、そして、真っ赤に燃え盛る不死鳥が翼を大きく広げ、混乱の中から蕾が開くように一人の女性が生まれ出るトコロで終わるこのタイトルバックに、背筋がぞくぞくしてしまいました。
一体これから何が始まるのだろうか。
このおぞましい世界から生まれでたヒロインは、どんな女性なのだろうか。
そして、その想像は期待は予想を上回る勢いで現実のものとなりました。
史上もっとも脆く、もっとも強靭なヒロイン・リスベットの誕生です。

しかし、リスベットはヒロインと呼ぶにはあまりに「かわいそう」な女性で、背中に刻んだドラゴンのタトゥーでは弾き飛ばしきれない程の「災い」が、常に彼女の上に降り注ぎます。
もっと活躍してほしい! 
もっと男どもをズタボロに引き裂いてほしい!
そう願うものの、リスベットの怒りの原動力となっているのは“「男」に対する復讐心”だということがビシビシと伝わってくるだけに、心のもやがスカっと晴れる事はないのです。
リスベットをここまで「強く」してしまった過去が、どれほど過酷だったかを思うと。

スウェーデンの大富豪一族の過去に関して調査以来を受けたジャーナリスト・ミカエルを、ハード面からもソフト面からもサポートする事となったスーパーハカー・リスベットの活躍を描いた本作は、世界中で大ベストセラーとなったミステリー小説3部作の第1作目。
40年前に起こった少女失踪事件を洗いなおすことにより、一族の忌むべき黒歴史が明らかとなってゆく・・・!のですが、一番肝心なリスベットの過去や、今回芽生えて潰えた想いのその先という、非常に気になる箇所は残されたままなのですよね。 いや、3部作なのでしょうがないのですけどね。 正直わしゃ黒歴史のことよりもリスベットのことの方が気がかりなんスよね。 
いやだって、犯人探しだー!なんつって言ってるそばからステラン・スカルスガルドさんが出てきた日にはねぇ。 「あー・・・アハハ・・」って思っちゃいますって。
スカルスさんが最後までいい人で終わる訳がない!!
(※ネタバレなので反転しています)

本国スウェ-デンでは既にトリロジーとして映画化されていますので、是非今回のリメイク版の方も、同じキャスト&スタッフで引き続き製作して頂きたいものです。
アガサはこれ、大傑作だと思います。


- 追記 -(※ 以下ネタバレ含む)

・ スウェーデンといえばリンドグレーン。 『長くつ下のピッピ』『やかまし村の子どもたち』といった児童文学の傑作を数多く送り出した偉人で、アガサなんかはもうセリフの中に「クローネ」が出てくるだけで「よし!」と意味も無く興奮してしまう訳なのですが、なんと今回はもうひとつ気になるセリフが!
主人公のジャーナリスト、ミカエルの名前が「ブルムクヴィスト」になっているではないですか! なんということでしょう!

・ スウェーデンでブルムクヴィストといえば『名探偵カッレくん』じゃないですか。 アガサの小学校時代のバイブルですよ!カッレ、アンデス、エーヴァ・ロッタですよ! (←かなり興奮している) 

・ で、鑑賞後ネットで本作について色々見ていると、どうも本当にミカエルのモデルはカッレくんだったようで、原作にはそのようなくだりもあるそうなのですね。 マジかー!やっぱリンドグレンさんは偉大なんだなぁ!!(リスベットのモデルはピッピなのだそうです)

・ なるほど、確かに推察力が鋭くて正義感が強くて女性に対しても尊大な態度をとることなく「紳士」であるミカエルは、ホームズ先生に憧れるカッレくんの成長版と思えなくも無い事もないんだけど、自分の娘ほどの歳の仕事仲間とねんごろになったり既婚女性と大人な関係を続けたりしているトコロが若干生臭いから却下だコンニャロー!

・ 「いなくなった少女・ハリエット」とリスベットには、いくつかの共通点があると思いました。 ええとね、ます顔が似ていますよね!予告編を観た時、てっきり「実はリスベットがハリエットなのでしたー」という時間軸お構いなしのオチなのかと思いましたもん! すまんのう!頭の仕組みが単純ですまんかったのう!

・ 「実の父親による性的虐待」。 リスベットに関してははっきりは明言されませんでしたが、その事実があったことは想像に難くないと思います。 そしてハリエットとリスベットは、その父親を自らの手で葬り去る事で地獄から抜け出そうとした。 しかし双方とも、ひとつの地獄の後に待ち受けていたのはさらなる無限地獄だった。

・ ハリエットは二つ目の地獄から逃げ去る事で自由を手に入れました。 きっと、いまだに悪夢を見ない日はないでしょうが、名前と身分を捨て新たな人生を自分自身の足で歩んできた(しかも社会的に成功した)ハリエットは、とても強い女性だと思いました。

・ リスベットはというと、二つ目の地獄からはまだ抜け出せていません。 「父親に火をつける」という反社会的な行為の代償として被後見人となり(昔でいう所の禁治産者でしょうか)、見下され、虐げられ、尊厳を踏みにじられる日々です。 しかし、そんなリスベットもまた持って生まれた才能で世間と闘ってきた。 どこまでいっても「成功」とは程遠い人生かもしれない。 けれど、リスベットもまたとても強い女性なのですよね。

・ ハリエット事件の真相を日の下に曝し出すことは、リスベット自身の闘いでもあったのだろうなぁ、と思いました。 だから、その闘いに終止符を打つのはミカエルであってはならなかったのではないかでしょうか。

・ それにしても、ハリエットの父親(と兄)にせよリスベットの父親や後見人にせよ、ゲス野郎の存在が非常に胸くそ悪い映画でしたねぇ。 特にハリエットの肉親はホントにゲスい! 真性のSってこういうのを言うんだろうなぁ。 邪悪だ!邪悪すぎる!

・ 拷問時のBGMにエンヤを使うのもあくど過ぎるだろ! フィンチャーさんも相当なドSであるとオレはみた!

・ リスベットは、理不尽な苦痛を強いられるたび、自らの意思で新たな苦痛を自身に与えてきたのでしょうね。 そうする事で、痛みを支配しようとしてきたのではないでしょうか。 彼女の体に刻まれたタトゥーは、邪悪なものと闘ってきた彼女の歴史でもあるのかなぁ・・と思いました。  

・ という事は、これからもリスベットの闘いが続く限りタトゥーは増えてゆくという事なのだろうか。

・ とりあえず今回も大きな精神的痛手を被ってしまいましたし。

・ このペースで行くと、どんどん増えてっちゃいますよね・・・どんどん増えて・・ ・・どんどん・・ ・・・ドンドン・・・ 

ネコ
(※ どんどん増えたパターン)

・・・ダ メ !  ぜ っ た い !!

・ リスベットさんがこうならない為にも、続く第2部、第3部で少しでも心休まる日々が彼女に訪れる事を願いつつ、フィンチャーさん御一行の続投に期待したいと思います!

     ♪♪どちらのバナーでもどうぞご遠慮なく♪♪ →   にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

『ハチェット アフターデイズ』(シリーズ2作目)

2012年02月06日
img_628460_22138657_0_convert_20120203233209.jpg


あらすじ・・・
呪われた沼に戻ってきた荒くれ者たちのみなさんが手斧を持った殺人鬼に追い掛け回されて、ギャバーってなってブシューってなってドビャーってなります。

自身2作目の長編映画『ハチェット』で世の中のすきもの達をほくほく顔にさせたアダム・グリーン監督が、置き去り系サスペンス『フローズン』を間に挟みつつ、再びエログロホラーの世界に舞い戻った・・・!
・・ということで、前作から4年の時を経て送り出された『ザ・手斧2』を鑑賞しました。

かお3
(※ 前作のラストで絶体絶命のピンチに陥っていたヒロイン・メリーベスさんが)

かお
(※ 今回はこんな感じにリニューアル・・ お、思てたんとちゃう!!)

失恋のショックを「地獄の沼ツアー」で紛らわそうとした青年が(中略)ミンチにされるという、なんのひねりも無い超オモシロスラッシャーだった『ハチェット』。
今回の続編は、4年ぶりのお目見えだというのになんと前作終了直後という設定でスタート。
ただし、ヒロインの中の人は大人の事情で別のチャンネーにリニューアルされているという、違和感があるようなないような幕開けとなっております。 いや、実を言うと前作のチャンネーの顔はすっかり忘れてしまっていたので、違和感なかったです! ごめん、正直ごめん!

本シリーズの何がすばらしいといって、「出し惜しまない」点が最高に好ましいとアガサは思うのですよね。
脱ぎ要員のチェンネーはあっけらかんとちちを放り出す。
殺され要員のみなさんは趣向を凝らした(かつアリエない)方法で切り刻まれる。
殺人鬼である怪人ビクターは、オリジナリティ溢れる怪奇フェイスをモロ出しで走り回る。
細かい事は気にしない。
よってらっしゃいみてらっしゃい精神に満ち溢れた、ペラい内容。 それが本作の魅力であり、見所であると思うのですよ。
今回もそこいらへんの「出し惜しまなさ加減」はバッチリ健在で、本編が始まって一番最初に映し出されるのは、なんとビクターの超おっかない素顔。 
そりゃもう画面いっぱいにドバーンって。
惜しまないにも程があるわ!というくらいに。
いくら続編だとは言え、他のホラーならば「メインである殺人鬼」のご面相はここぞという時まで温存すると思うのですよ。 
しかし、本作は全く惜しまない。 なんと気持ちの良い連中だろう!

その後、ビクターとヒロインとのちょっとした格闘から、物語はタイトルバックすら出すさないまま一気に核心へと雪崩込み、ヒロインを助けた沼の近所に住むおじさんの口から、「怪人ビクター誕生に一役買っていた悪ガキは、実はヒロインのお父さんだった」という衝撃の事実がさっくり告げられたり、そのおじさんがビクターの急襲に遭ったり、腸を引っ張り出されて「オーエス!オーエス!」風に弄ばれた挙句に首を腸で絞められたり、腸パワーでちぎれた首が宙高く舞い上がったりという頭が悪いにも程があるオモシロ映像が映し出されたトコロでオープニングクレジット。
まさに息もつかせぬ魅せっぷり! 憎いね!日本一!!(※洋画ですケドも)

ただ、今回はこの抜群なオープニングから後半再び沼に戻りてんやわんやするまでの間、結構な時間を費やして「ドラマパート」が描かれておりまして、
「ヒロインの父は、どんな風にビクター誕生に関わったのか」
ですとか
「そもそもビクターのおうちはどんなご家庭だったのか」
みたいな逸話が、ぼくらの頼れる兄貴ことトニー・トッドさんによって涙ながらに語られるのですが、このくだりがホントにもうどうにもならない程退屈極まりなかったのですよね。
前作の時点で、ある程度の「出生の秘密」は説明されておりましたし、よしんば前作のおさらい的な意味合いなのだったとしても尺使いすぎだろ。
やたらと感極まってすすり泣くばかりのヒロインとトニトド兄貴を観ていたアガサの脳裏には、以前アダルト向けビデオについて
「ドラマ部分なんか正直いらんねん!そんなもん全部早送りしたんねん!」
と男らしく語っていた時の世帯主さまの凛とした眼差しが浮かんでいたのでした。 わかる!わかるわーなんとなく!(違うわい!って言われるかもしれないケドも)

新事実として紹介されたポーカスホーカス的ないわゆるひとつの「呪い」要素も・・ まぁ・・設定に説得力を持たせたかったのかもしれませんが、あってもなくてもいいですよね・・ ビクターくんが無駄に不死身なトコ、オレらそんなに気にしてないヨ!
もしかしたら、前回はカメオ程度だったトニトド兄貴をメインキャラクターにする為の工夫だったのかもしれませんが、とりあえずもう次からは新事実なんていらないので、サクッと本題に入ってもらえたらなぁ・・と。

本題に入ってからの展開は切り株描写満載の安心設計となっておりまして、「いかにオモシロく殺されるか」に全力投球するおっさんたちの勇姿に舌つづみを打ったり、トロマ色豊かなビクターくんの造形に胸を熱くするなどして、たっぷり楽しむことができましたよ。
超長いチェーンソーで2人同時に縦割りしたら睾丸がプラーンとか、テーブルに頭をつけて後頭部を蹴っ飛ばしたら顔の上半分だけがテーブルの上をツルルーとか、せっかく「ドラマ部分」で描かれた登場人物のキャラ設定がまるで活かされない殺戮シーンがとても味わい深かったのですが、なかでも「上半身だけになったトニトド兄貴の背骨を持ってエイヤーと引っ張る」シーンは本当にひどい!(もちろんいい意味で)
普通ね、背骨を引っ張ったら、骨だけがぶっこ抜けると思いますよね。 なんだったら、背骨に頭蓋骨がついた状態でスポーンってなるのかなぁ・・くらいの想像をね、するじゃないですか普通。(ホラー愛好者にとっての“普通”)
ところがグリーン監督がしでかしたのは、薄皮だけ残して中身が全部すっぽ抜けるという超大技! 黒人のトニトド兄貴があら不思議!ツルリとした白人に大変身! バーカ!おまえバーカ!!(←グリーン監督に対する最大の賛辞)

ロバート・イングランド、トニー・トッド、ケイン・ホッダーというホラーの三大イコンが顔を揃えた前作に引き続き、今回は『チャイルド・プレイ』のトム・ホランド監督が顔出しで後方支援。 
超有名ホラーサイト「ホラーSHOX [呪]」さんの記事によりますと、トロマの祖ロイド・カウフマンさんや『ワナオトコ』のマーカス・ダンスタン監督もカメオ出演されているとの事です。
なんというかね、『ホステル2』にルッジェロ・デオダート監督がホクホク顔で出ていた時みたいな、和気あいあいとした感じがいいですよね。 
きっとグリーン監督もみんなに愛されているんだろうなぁ。
あのね、ホラーを愛する人って、意外といい人が多いんですよ。ホントだよ。

ちょっとしたヒネリが楽しいクライマックスの展開や、ブチギレヒロインによる大暴走も小気味いいばかりで、ますますグリーン監督の事がだいすきになってしまったアガサだったのでした。
一応製作が予定されている第三弾も大いに期待して待ちたいと思います!


参考記事
映画|ハチェット アフターデイズ|Hatchet 2 :: ホラーSHOX [呪] 映画|ハチェット アフターデイズ|Hatchet 2 :: ホラーSHOX [呪]  ←超くわしくてべらぼうに面白いレビューです!おすすめ!

     ♪♪どちらのバナーでもどうぞご遠慮なく♪♪ →   にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

『超・悪人』

2012年02月01日
超悪人_convert_20120125233108

あらすじ・・・
おい、これを見ているおまえ。これは滅多にお目にかかれへん貴重な映像やからな、しっかり見とけよ。
オレは女が大好きや。 そして、好きになったらもう、どうにもできん。気持ちを抑えられへんねん。
オレは惚れた女の家に入り、その女をズボる。
これはな、いうたらオレの愛情表現や。
ホンマはオレも、好きになった女と仲良くエッチしたいだけやねん。
せやけど時々、女はオレの気持ちを踏みにじる。 暴れてみたり、なんやったら大声出したりする。 これはあってはならない裏切り行為や。
そんな時はしょーがないから、愛用のハンマーで女の脳天を一発。
ポーン。 
ショブって終了や。
まあな。 こんなオレを「悪人」と罵る女もおるわ。 ええやんか。「悪人」。グっとくるわ。
オレは稀代の「悪人」や。 愛を求める狩人や。

今までやむを得ずショブった女は6人。
ズボった女は107人。
そしてオレはこれから、今までで一番惚れた女を抱きに行こうと思うてる。
丁度108回目の、愛の告白や。 
煩悩と同じ百八つやで。ちょっとおもろいやろ。
おい、これを見ているおまえ。 これは滅多にお目にかかれへん貴重な映像やろ。 どうや、108回目のズボり、気になるやろ。 
見たくないか。 
本当は見たくてたまらんのちゃうか。 
おい、どうやねん。
なあ。 おい。



とにかく強烈な映画でした。
全編通して延々と続けられる、不謹慎極まりない行為。
なかでも、冒頭に用意されている「主人公が自らの信条を具体的に説明する犯行ビデオ」は相当にエグく、それはまるで、第1ステージの頭からアルティメットクリフハンガーが登場するSASUKEの如きハードルの高さ。
クリフ_convert_20120201134610
(※ 最初からこんなの出ちゃったら 越 え ら れ る 気 が し な い !!)

「青春H」というパッケージに惹かれ、ついうっかり手にとってしまった方ですと、かなりの確率で脱落する事が予想される、この十数分の冒頭シーン。
主人公である「悪人」が一人暮らしの女性の家に上がり込み、彼女を縛り上げ、粗暴な言葉と暴力によって無理やり「強姦」を「和姦」へとすり替える様が、「悪人」自身が持つハンディカメラに収められるのですが、かくいうアガサも、あまりの惨たらしさに停止ボタンを押して、プレイヤーからDVDを取り出してしまいました。
そして、「自分はなぜ、こんな胸くその悪い映画を借りてしまったのか」「はたして自分はこのままコレを観続けるべきなのだろうか」と自問自答してしまう事小一時間。
「このままDVDを叩き割ってしまえ!」という心の声と闘いながらも、Twitterで励まして下さった方の声に背中を押されながら再びディスクをデッキに入れ、気が付けばエンドクレジットまでノンストップで食い入るように観てしまったのでした。
DVDを叩き割らなくて本当によかった。 
なにより、「ディスカスに弁償」という最悪のシナリオを辿らなくて、本当によかった。(喜ぶトコそこかァ?)

しかし正直に白状しますが、再生ボタンを押すに至るまでの間、実はアガサはネットで『超・悪人』のネタバレレビューを探してしまったのですよね。
もうね、とてもじゃないけど「この先もあんな調子で進んだらどうしよう」という恐怖に、一人では立ち向かえなかったのですよ。
よそさまのブログで見かけた「エグい冒頭から一転、想像もつかない展開をみせる」という一言で、ようやく続きを観る気になれた。
それくらい、本作の冒頭は残酷で、容赦なくて、観るに耐えないシロモノであり、そんなシロモノをなんだかんだ言いながら観てしまっている自分の罪深さにハっと気づいた時、『超・悪人』の真の恐ろしさに震える事となったのでした。
そう、なんだかんだ言って、気になってしまうのですよ。
ディスクを一旦取り出した時、「やめる」という選択肢もあった。 
でも、私はやめなかった。

本作に登場する「悪人」は、自分が107回目にやらかした強姦の映像を、とある実録犯罪系雑誌の編集部に送りつけ「インタビューを受けてやる」と申し出ます。
この時点での編集者の白石とライターのヤエコの状態は、テレビの前に座っているアガサと同じなのですよね。
明らかに凶悪な犯罪者である「悪人」を警察に通報し、挑発的なメッセージを拒絶するという選択肢もあった。
でも、しなかった。

白石監督の作品は、『ノロイ』『オカルト』『シロメ』しか観ていないのですが、前者2作品に共通する「観客をカメラマンの共犯者にしてしまう」技は今回も健在で、というか、ますます力強さを増し、有無を言わさずおぞましく自己中心的な犯罪に加担させてしまいます。
いくらでも「やめどき」がありながらも、「悪人」の話術と危険極まりない行為に魅入られたようにカメラを回し続ける編集者・白石はアガサそのものであり、「自分は見ているだけだから悪くない」という逃げ口上を笑い飛ばすように悪い方へと転がってゆく物語を、共に呆然としながらポカーンと口をあけて見守るしかありませんでした。
しかもタチの悪い事に、おもしろかったのですよね、それが。
白石もアガサも、たのしんでしまっていたのですよ。そんな不快な物語を。

と、こういう風に書いてしまうと「わしゃどんだけ鬼畜な人間なんやねん!」と自己嫌悪に陥ってしまいそうなので弁解しますが、本作はアガサがネットで見かけた一文の通り、酷すぎる冒頭シーン以降一気に思いもよらない方向へと舵を切りまして。
都合の良い言い訳と思われた「オレは好きになってしまっただけなんや」という言葉は、運命の相手と出会った事で真実の心の叫びとなり、似たような孤独と哀しみを経験してきた「悪人」と「被害者」は、あっという間に恋に落ち、お互いの愛を貪り合うように口づけを交わします。
「わかる・・・わかるで・・ずっと誰からも愛されなかったんやな・・ オレもや・・ このワキガのせいでな!


バーン

もうね、なんでここでワキガなのかと。
慈しむような表情を浮かべながら懐からミョウバンを取り出す「悪人」。
それを受け取り、感動のあまり涙ぐむ「被害者女性」。
なんかもうよくわからんけど、とりあえずお邪魔しましたー!
世の中には体臭に悩んでいる方も沢山いらっしゃると思いますし、その皆さんを嘲笑する気持ちは全くないのですが、このタイミングでワキガとか言われたらもう、笑うしかなかったのですよね。白石監督はちょっとばかり卑怯だと思うの!どんな緩急のつけ方やねん!

とまぁ、ワキガの一件は若干ズルいなぁと思うものの、とにかく「悪人」の熱情と「被害者」の純情ががっちり噛み合い、巻き込まれた編集者とライターが完全におミソ状態になってしまうくだりは異常にオカシクて、彼らはどんな結末を迎えるのだろうか・・と、気になって仕方ありませんでした。
「悪人」が吐き散らす胡散臭い関西弁もとても効果的で、ありえないほど滑稽な犯罪の打ち合わせシーンに吹き出した次の瞬間、今度は心臓がキュっと締め付けられる程怖くなるという・・・。
心底おぞましい物語を、こんな風におもしろく感じる作品にしてしまう白石監督をおそろしいと感じると共に、こういう「抜き具合」(笑いどころ)を用意してくれるのは、監督の「世の中の悪人」に対する優しさなのかなぁ・・と思ってしまいました。
なんだかんだ言って鑑賞する事をやめない、アガサのような「悪人」に対してもね。

・・・うーん、でも違うかな!わかんないや!わはは!!
(ドス黒いものに惹かれてしまう人を全部まとめて笑い飛ばしているようなトコロは優しさなのかなぁ・・と思ったのですが、もしかしたらとどめの一発なのかもしれませんね。ザ・混乱!)

とにかくこわい程おもしろい映画でした。
絶対におすすめしませんが、少なくともアガサは最後まで観てよかったと思いましたし、白石監督の他の作品も全部観てみたくなってしまいましたよ!


悪人_convert_20120125233225
(※ 本作で「悪人」を演じていた宇野祥平さん。 苦しみ抜いた後野垂れ死んで欲しいと思うほど憎たらしい。 アガサは冒頭のシーン以降しばらくは顔を観るのもイヤでした。)

images_convert_20120125233205.jpg
(※ そんな宇野さんの『オカルト』での姿がこちら! うそみたいだろ!同一人物なんだぜ! 和製チャンベールの称号を君に捧ぐ!!)


     ♪♪どちらのバナーでもどうぞご遠慮なく♪♪ →   にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

 | HOME | 

※当ブログで使用しているイラスト等の著作権は、全てはアガサにありますので、転載、二次加工、再配布の際は一言ご連絡下さいませ。