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『ホテル・ルワンダ』

2007年05月29日
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この憎悪はどこから湧き出てくるのでしょうか。

“人が人を殺したくなる” という感情。
その感情の根源は、何なのでしょう。

「愛する人の命を理不尽に奪われた。」
「死んでしまいたい程の苦痛を与えられた。」

様々な理由から悲しみが湧き、悲しみから怒りが生まれ、怒りが憎悪に変わる。
その過程ならば、まだ理解出来るかもしれません。

でもそれが、 “気にくわないから” 、ただそれだけの理由だったなら・・・。 

1994年、アフリカ・ルワンダ。
長年に渡り確執を続けていた多数民族・フツと、少数民族ツチとの間で、和平条約が締結されました。
しかし、その矢先、フツ族出身の現職大統領が暗殺され、その犯人はツチ族だとの情報がばら撒かれます。
フツ族の過激思想派は、ラジオで市民を扇動。
一斉蜂起したフツ族は、目の上のたんこぶだったツチ族の一斉粛清にかかるのでした。

ベルギー資本の高級ホテルで支配人を任されていたフツ族のポールは、ツチ族の妻タチアナと子供たちを助ける為、また、彼を頼って集まって来た多くのツチ族を助ける為、あらゆる手段を使ってフツ族の虐殺の手から逃れようとしますが・・・。


その昔、アフリカのルワンダという国で仲良く暮していた一つの民族が、欧米人の勝手な都合から3分割されました。
その中でも優越をはっきり付けられていた(貧しい)フツ族は、(裕福な)ツチ族に対して深く根深い差別意識を抱いていました。
そしてその不条理な怒りは、大統領の暗殺をきっかけに、民族淘汰の血塗られた道を突き進むのでした。

長年の確執・・・。
言われのない差別・・・。
理由は色々あるのでしょうが、私にはそれは「気にくわない」と言う一言にしか思えません。
「俺たちの土地に侵入してきたから気にくわない」
「俺たちより偉そうだから気にくわない」

昔々、聖書の時代から、「気にくわない」だけで殺し合う事件は後を絶ちませんし、国を挙げての殺し合いもいまだに起きているのが現実です。
私はそんな事件を見聞きするたびに思うのです。
「俺たちの土地って何?」 と。

肌が何色だろうと、背が高かろうと低かろうと、目が細かろうと大きかろうと、私たちはみんな同じ“人間”なのです。
どんなに(アナタが)イヤだろうと、その事実は変わらない。
「俺たちが先に住んでいた土地だから、お前ら入って来るな!」と言われても、私たちに出て行く先などないのです。
出て行った先にも違う国があり、その先にもまた違う国があり、そのどれもから拒絶されても、最終的にこの星から出て行く事など出来ないのです。
残念ながら。
同じ星の土地を分け合って生きているからには、それなりに譲歩し、判り合って生きてゆくしかないのに、相も変わらず人間は主張し、排除しようとするばかり。

人間は昔も今もこれから先も、「気にくわない」からと殺し合い、奪い合う生き物でしかいられないのでしょうか?
そんな哀しい生き物なのでしょうか?
ホントに?
本当に??

この作品で描かれる、同じ人間同士の容赦ない大虐殺は、とても正気の沙汰とは思えませんし、実際、当事者の人々は狂気の間に立っていたのでしょう。
自分たちと何ら見分けの付かない、同じ人間を、躊躇なくなぶり殺しにし、その遺体を道端に放置する。
どんな仕打ちを受けたら、そこまでの残酷な行為が出来ると言うのでしょうか。
どんな憎悪があれば、人間をそこまでの行為に駆り出すことが出来るのでしょうか。

判りません。
判らないけど、それらは現実に起こっている行為なのです。

ずっと観たかったこの作品をやっと鑑賞出来ましたが、観ている間中、私は自分が責められているような気持ちでいっぱいでした。
そこに映し出された光景は、人間の愚かさ、醜さ、浅はかさ等、目を背けたくなる現実ばかりだったからです。
自分さえよければいい人間。
簡単に扇動される人間。
「命を奪う」という事に慣れてしまう人間。
心の中で、相手の人間にランク付けをしてしまう人間。

多くのツチ族をホテルに匿い保護していた、フツ族のポールでさえ、廊下やロビーの固い床で赤ちゃんと添い寝する母を尻目に、自分たちの家族は柔らかいベッドでひとときの休息を得ていました。
それは、自分の「支配人」と言う地位に、優越感を感じていたからなのではないでしょうか。
ベルギーにあるホテルの本社から、間接的に見放され、自分もまた特別な存在ではなく、ただの「その他大勢のアフリカ人」だと思い知らされるポールでしたが、結局ポールとその家族は無事ベルギーに亡命出来たそうです。
そこに、人間のランク付けは確実に存在しています。
そして、その事に人間は慣れていってしまうのです。

外国で起きる内戦や大虐殺のニュースを見て、「酷い事が起きていたんだなぁ」 と思うのもまた、私たちが“人間のランク付け”や“命の軽視”に慣れてしまったいるという事。
恐ろしい現実からこのまま目を背けて、楽しい事だけを見ていて、その先に何があると言うのでしょうか。

いわゆる“平和ボケ”した私たちに出来る事は、まずは目を逸らさない事なのではないかと思います。
それがどんなに自分たちの恥ずべき所を抉り出すとしても。

ルワンダやソマリアやイラクや世界のあちこちで起きている殺戮や憎悪の根源は、私たちの中にも確実に流れている“人間の本質”そのものなのですから。
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『地獄の変異』

2007年05月26日
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クリーチャー対決・・・勝者→地獄の変異のエイリアン風地底人
サバイバー対決・・・勝者→ディセントの女アマゾネス
  (※どちらもアガサの独断により判定)


先日、何気なくテレビをつけたところ、『Ms.マリックVS超能力』風な番組を放送していました。
オカルト・ホラー・SF・UMA・他各種超常現象などなど、この世の怪しい物全て大好物のアガサが早速見入っていしまいましたら、何でも今回は、“中国で最強”と呼ばれる超能力おばさん相手に、マリックさんがガチで透視実験を仕掛けると言うではないですか。

・・香ばしい臭いがして来たよコレ!

かくして、マリックさんがみんなに内緒で、小さな木箱にブツを仕込んで来ました。
マリック 「この箱の中身、なーんだ?」

超能力おばさん「・・・丸い・・丸いものが見えるわ
20070526011520.jpg  ※おばさんのスケッチ (こんな感じ)

驚くマリックさん!

超能力おばさん「・・眼鏡・・判った!眼鏡だわ!
20070526011554.jpg  ※入っていた眼鏡 (こんな感じ)

・・・
・・・・
丸じゃないし!!(爆)


まぁ、アレですね。きっとマリックさんに「眼鏡入れるからね」って言われてたんでしょうね。で、“眼鏡といえば丸いカタチ”と。
そうね、あのねぇ、・・・おばちゃん、頑張れよ!

所詮これらは、テレビの中に於いての“超魔術”なり“超能力”なのであって、それが事実だなんて爪の先ほども考えてはいけないんですよね。(当然なのでしょうが)
テレビの中には裏がある。
あれは作り物の世界なのですから。

で、前置きが長くなりましたが、今回はそんな作り物の代名詞『水曜スペシャル』を激しく髣髴させる予告で、ホラーファンの心を鷲掴みにした洞窟ホラー 『地獄の変異』 の鑑賞です。(前置き、長過ぎですか?)

あらすじ・・・
1970年代、ルーマニア。
カルパチア山脈に建っていた、今は廃墟となっていたとある修道院に、荒くれ者たちが侵入していました。
彼らの目的はただ一つ。
その昔、テンプル騎士団がその修道院の地下に隠したとされるお宝を、根こそぎ頂戴しようというのです。
しかし、腕は立つけど学は無い、アホでマヌケな荒くれ者たちは、地下に侵入する為に床を爆破してしまったからさあ大変。
爆破のショックで修道院は倒壊。
一同は地下深くに閉じ込められてしまったのでした。

時は流れて30年後。
とある研究者の一団が、その修道院跡地に立っていました。
彼らの目的はただ一つ。
修道院の地下深くに流れている世界最大規模の地下水道を調査し、未知なる生物を発見しようというのです。
しかし、学はあるけど腕っ節が弱い、モヤシでヘタレな調査隊たちは、地下水道で本当に未知なる生物に出会ってしまったからさあ大変。
地底人に出会ったショックで地下水道は倒壊。
一同は地下深くに閉じ込められてしまったのでした。

果たして調査隊は無事地下水道から脱出する事が出来るのでしょうか?
そして、30年前に行方知れずになっていた、荒くれ者たちの末路とは・・・?


何をやっているのでしょうね、コイツらは。

30年前の盗賊も、30年後の学者も、後先考えずに地下に潜入して、結果自滅したんだとよ!
『地獄の変異』 とは、大雑把に言うとそんなお話でした。

地下に入る為に、床に爆弾仕掛けて建物総崩れさせた盗賊団も、到底プロの仕事とは思えずどうかと思いますが、それより何より、新しい生命体の調査の為に、最新機器を携えて洞窟入りした調査団が、いざ生命体に出会ってパニックになるって、この愉快な仲間達は、一体地底で何がしたかったのでしょうか?

「会いたいとは言ってたけど、ホントに会えるとは思わなかった」
とは、文通相手に嘘の写真を渡していた事がバレた人の常套句ですが、この調査隊たちも、本当に未知の生物に出会った時の対処法を何も用意していなかった所を見ると、「実際は未知の生物なんていやしない」と高を括っていたモノと思われます。
地球最大規模かつ前人未到の洞窟に挑戦するからには、地底人の一人や二人想定しなくてどうすんだ?
と、壮大に喝を入れてやりたい衝動が抑えきれませんね。

そして、その地底人に対しても、黙っていられないポイントが・・・。
実は、地底人たちの正体は“30年前に消息を絶った盗賊団”のなれの果て。
前向きに捉えるならば、“突然変異”と呼ばれる状態だったのです。
しかし、地底に30年住んでたからって、未知の寄生生物に取り憑かれたからって、人に羽が生えるなんて・・・ねぇ・・。

責任者ちょっと表でろ。

郷に入りては郷に従えとばかりに、自らの生態系を変えた盗賊団は、頭蓋骨変形エイリアンばりの下顎ヴェロキラプトル並の鉤詰めコウモリちっくな羽へと堂々リニューアル。
・・・いくらなんでも変化しすぎじゃのう・・・。

さて、そんな地底人の魔の手から逃れつつ、調査隊は地上への抜け道を探すのですが、なんと肝心のリーダーが物語序盤で早くも寄生生物に憑かれてしまいます。
そこがこの作品を、ただの“水曜スペシャル”から“世界ふしぎ発見!”クラスへと格上げしている点で、調査隊を悩ませるのは「(山海塾に毛の生えたような)地底人大騒動」だけではなく、その地底人に変異しつつあるリーダなのです。
メンバー内で一番経験も知識もあるリーダーが、よりにもよって半地底人。
目つきも怪しいが、言ってる事はもっときな臭い。
そんなリーダーを、あなたは信じますか?信じませんか?

と言う、究極の選択を迫られる隊員たち。
信じる事で、リーダーの殆ど身内みたいな地底人の食卓に並べられたらどうする?
でも、信じない事で地下水道から抜け出る事が出来ず、まんまと地底人に捕獲されたら?

・・・ん? どっちみち地底人の蛋白源になっちゃうのか。
なんだ、ヤキモキして損したよ!(←鬼畜な発言)

疑心暗鬼で団結力を失った隊員たちは、例の如く内輪もめ&仲間割れ。
そんな醜い人間性の大露見大会を尻目に、着々と地底人化してゆくリーダーですが、実はどこまで行っても大きく変形はしません。
若干色白になるのと、瞳孔が星型になるのと、あとは驚異的なジャンプ力を得るくらいですので、意外とこのまま下界に出ても違和感無くやって行けるような気がしてなりません。

・・と、思っていたらなんと、辛くも洞窟からの脱出に成功した女性科学者が、実はリーダーと同じく寄生生物に取り憑かれており、まんまと下界に逃げ込むと言うすっとこどっこいな大オチが、観客を待ち受けていたのでした。

だったらリーダーも、下界に出してやりゃぁいいじゃん。

それと、結局主人公であるリーダーの弟は、何の活躍をするでもなく兄であるリーダーにおんぶに抱っこだったのですが、その点はどうにもならなかったのでしょうか。
半分地底人になりつつも理性を死守してくれたリーダー・・・。
そのリーダーにくっ付いていたお陰で、下界に出ることが出来た主人公・・・。
こんな使えない主人公を観たのは、初めてです

『ディセント』 の女アマゾネスの爪の垢を、4トントラックで送りつけてやりたい衝動が抑えきれない初夏の午後でした。
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『カタクリ家の幸福』

2007年05月24日
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大傑作と出逢ってしまいました

いつも、アガサの脱線レビューにお付き合い頂き、どうもありがとうございます。
そして、コメントまでも残して下さる皆様、ホントありがとうございます。
さらに、アガサにとっておきの映画をお奨めくださった方々、スーパーありがとうございます。(“超”と言いたい)

で、皆様のそんなお奨め作品を、行きつけのレンタル屋で探して見てはいるのですが、これがなかなか見つからないんですね。
サントラ魂 様がお奨め下さった、『デッドリー・フレンド』『片腕サイボーグ』『SFバイオノイド』『アクエリアス』。
フレコ 様がお奨め下さった『ヘルハウス』『血の祝祭日』。
ストレイト 様がお奨め下さった『アメリカン・ゴシック』
ゆうかパパ 様がお奨め下さった『アンデッド』『マニトゥ』。
あと、kurosuiさん のレビューを読んで、レンタルを決意した『MAY-メイ-』。

・・・もうねぇ、全滅なんですよ。
向かいのホームも路地裏の窓も、こんなトコにいるはずもないのに探しましたよ。
でも、
見つからないんですよ。。・゚・(*ノД`*)・゚・。

(ちなみに、以前に 水鳥の巣 様がお奨め下さった『ドラキュラ二世』は、youtubeにてただ今1/3程度鑑賞中です)

今でも、レンタル屋に行くたびに「ひょっとして見落としていたかも」と、再度チェックしているのですが、やはりどれも無いんですね。
・・・なんだか、国家レベルの嫌がらせの様な気がしてきました。

100%他力本願発言で申し訳ないのですが、上記の作品に関する有力情報(あそこのネットレンタルにはあったよ・・等)をお持ちの方、是非コメント欄でヒソヒソっと教えて下さいませ。
その他、「このホラーを観逃しちゃぁいないかぃ?」「このホラーは最強ですぜ」と言ったお奨め情報をお持ちの方も、よろしかったら是非お寄せ下さいませ。(もちろん非ホラーでも

と言う事で、そんな国家的陰謀の最中、アガサがいつもお世話になっている 蔵六さま のブログで教えて頂いた『カタクリ家の幸福』をめでたくも鑑賞出来ましたので、そのレビューをば・・・。

あらすじ・・・
大きな道路が出来るから、繁盛する事間違いなし!」と言う将来の華々しい展望と共に、辺鄙な山奥でペンションを始めたカタクリ家。
家族を愛するバカ真面目な父、父を心から愛する朗らかな母、男気溢れる祖父、コブ付き出戻りの姉、前科者でニートの弟、ブサイクな孫の5人は、来る日も来る日も、来ない客の為にペンションを磨き上げる日々でした。

ある日、そんな閑古鳥だらけのペンションに初めての客が訪れます。
しかしその客は、陰気な事この上なしでいかにも訳ありの中年男。
それでも念願のお客様を向かえ、浮き足立つカタクリ家の面々でしたが、朝になっても客は起きる気配がありません。
そこで客室を覗いてみると、なんとそこには
客室の鍵に付けてあるキーホルダーを持参したナイフで削って尖らせ、そのキーホルダーを自分の首にぶっ刺して
自殺をした客の姿が・・・。
ナイフ持ってんなら、どうしてそれで刺さないんだよ!
という、弟の正しいツッコミも虚しく、一気に奈落の底に突き落とされるカタクリ家。
しかし、前向きな父はくじけませんでした。
「人生を懸けたペンションで、自殺者が出るなんて許せない・・・!
そうだ、捨てよう!
こっそり山に埋めちゃおう!!」
ナイスアイディアに沸いた父・母・祖父は、反対する弟を尻目に、中年男の死体を裏山に埋めてしまうのでした。

無事、危機を脱出した(?)一家でしたが、それ以来カタクリ家のペンションを訪れる客は、何故か次々と死体と化して行き、裏山の死体もどんどん増えて行ってしまいます。
一方、そんなカタクリ家の秘密とは裏腹に、ついにペンション脇の道路建設予定が現実のモノとなる事に。
工事が始まる前に死体、どかさなきゃ!
いや、その前に、
死体、どこに埋めたっけなぁ・・・。


ピンチに陥ってアップアップのカタクリ家。
しかしまだその先には想像を絶するような史上最大の危機が、彼らを待ち受けていたのです。


とにかくまず最初に謝りたい。
三池崇史監督に、こんかぎり謝りたいです。
ナメててごめんなさい。
もうしませんから許して下さい。(何を?)

『着信アリ』『ゼブラーマン』が余りにアレな出来(あくまでアガサの主観です)だったので、「世界に名だたる三池崇史たぁこんなもんかい」なんて舐めきっていました。
ホントの崇史を知らずに、勝手な事言ってゴメンね。
あたし、崇史の事誤解してたみたい・・・。

どこを切っても、ど変態。
変態の金太郎飴状態それが三池崇史と言うものなんですね。

映画の初っ端から始まる、可愛げのないクレイアニメによる食物連鎖。
そのシーンだけで、“人生のなんたるか”という諸行無常を全て表現しきってしまいます。
その後は、頭のネジがゆるんだようなカタクリ家の一面による、能天気なミュージカルのオンパレード。
家族が揉めたらミュージカル。
客が死んだらミュージカル。
警察が来てもミュージカル。
事あるごとにミュージカル&ミュージカル&スペクタクル&ミュージカル。
昔聴いた様な、昭和心を刺激しまくるナンバーの数々と妙ちくりんなダンスシーンは、最初は失笑モノでしたが徐々にハマってしまい、最後には大爆笑。
そして観終わる頃には口ずさむように・・・

グロテスクな中年の魅力の沢田研ニ。
日本版キャスリーン・ターナーの名を確実なモノにした松坂慶子。
パンツ丸出しでの大車輪にまで挑戦した西田尚美。
切れのあるダンスでせっかくの男前が台無しの武田真治。
ブサイク過ぎる子役の宮崎瑶希ちゃん。
そして、共演者から一人浮いていながら、いつの間にか画面をピリっと引き締めて、尚且つ言動がいちいち面白い丹波哲郎。

どの方も立派な社会人でありながら、どうしてここまで自分を捨て切った演技が出来るのでしょうか。
「家族が泣くかもなぁ・・」とか、思わなかったのでしょうか(特にジュリー)。
自らのキャリアに終止符を打ちかねないリスキーな役柄を、必要以上の情熱を以って大熱演したカタクリ家の方々・・・。

・・あんたら、・・・ステキすぎるぜ・・!!

口から魂が抜け出てしまった、丹波哲郎のシーンを思い出すだけで、この先軽い試練なら越えられそうな気がします。
日本映画界は、惜しい人物を亡くしていたんですね・・。(今さらですが)

観ているうちに、なんだか自分の頭の中から何かが溶け出してゆくような、そんな危険なユルさに満ちている本作。
限りなくキワモノ寄りのキャスティングながら、出演者の本気度が実に心地よく、その上「人生って素晴らしい! 家族って素晴らしい!」と吹き込んでくれる、とても贅沢な作品でした。

やっと、三池崇史監督の本来の姿が観られて、そしてそれがこんなに素晴らしくって、アガサは幸せ者です。
これはもう、他の作品も観ないと・・・!
でも、この作品の元ネタである韓国映画『クワイエット・ファミリー』も実に気になりますねぇ。
あぁ・・ どれから行こうかしら・・

最後に、「ミュージカルコメディと呼ぶにはエゲツナさ過ぎる死に顔の皆さん」を観て、『妖怪大戦争』に於いて「子供ターゲット映画のクセに大人気なくエグイ面相の妖怪」を多数登場させていた点に大いに納得出来ました事を、わたくしごとながらご報告させて頂いて、今回のレビューはこれにて終了です。
ご清聴ありがとうございました。
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『リーピング』

2007年05月22日
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で、ヘビはどうなったんですか?


ディカプリオ主演の『ブラッド・ダイアモンド』が不入りで上映切り上げの為、間に合わせで急遽公開決定となった(らしい)オカルト映画、『リーピング』を観て参りました。
で、この『リーピング』なのですが、アメリカ・ホラーにありがちな“キリスト教ありき”の作品で、尚且つ“十災(in出エジプト記)ありき”でしたので、今回はまずその“十災”をご紹介した上で、あらすじ行ってみたいと思います。
優しいなぁ・・・。
地球に優しい、環境に優しい。
安心安全設計の『すきなものだけでいいです』のレビューは、非キリスト圏に優しい10年保障付き! (←若干意味不明)

災いその1・・・・川が血に染まるのだぁっ!
災いその2・カエル・・・空からわんさかカエルが降って来るのだぁっ!
災いその3・ぶよ・・・蚊みたいな奴だが、刺されると蚊の1000倍腫れるのだぁっ!
ホントなのだぁっ!
(経験者は語る)
災いその4・あぶ・・・ハエのようなハチのような、なんかちっこい虫が大繁殖するのだぁっ!
災いその5・疫病・・・牛や羊の足腰が立たなくなって、クニャクニャになってしまうのだぁっ!
って、それって牛骨粉のアレじゃ・・モゴモゴ
災いその6・ハイパーにきび・・・30代過ぎた女性にとって、それらはにきびでは無く吹き出物と呼ばれる宿命にあるのだぁっ!
災いその7・雹と雷・・・漢字が紛らわしいのだぁっ!
災いその8・いなご・・・アガサの父君はその昔、佃煮にして食べていたらしいのだぁっ!
ちなみに赤とんぼも、煎じて飲んでいたのだぁっ!
風邪には赤とんぼ、これ常識。
(アガサは飲んだ事ありません。念の為)
災いその9・暗闇・・・雰囲気作りにはまず灯りを消さなくちゃね、ハニー。
災いその10・初子死すべし・・・全国各地の長男と長女の方々には、残念なお知らせ。

以上、10項目の災いを総じて“十災”と言うのだそうです。
今ひとつ災いの内容が判りにくいと思われた方は、まぁ雰囲気だけでも感じて頂ければ・・。

では、これらを踏まえた上で、あらすじ行ってみましょう・・・
聖職者だったキャサリンは、家族と一緒にスーダンで布教活動をしていました。
しかし、一年以上雨が無かったせいでイラついていた現地民は、何故かキャサリンの夫と娘を、雨乞いの生贄にチョイス。
神に仕える活動をしていた目の前で家族を失ったキャサリンは、信仰を失い、逆に、“神の成せる業”の科学的検証に情熱を燃やすようになったのでした。

そんなある日、全米各地で“神の奇跡”を暴きまくって、一部の熱心な信者からひんしゅくを買い捲っていた奇跡ハンター・キャサリンの所に、とある田舎町からオファーが届きました。
何でもその田舎町では、聖書でお馴染みの“十災”が始まろうとしていると言うのです。
渋々その町に向かったキャサリンと相棒のベンが見たものは、一面が真っ赤に染まった川。
町民たちはそれを、《災いその1・血》だと言い、てんやわんやの大騒ぎです。
科学で証明できない物は無い!」が口癖で、大槻教授並に可愛げの無いキャサリンは、その川の現象をバクテリア的なものだと想定。
相棒ベンに水の解析を依頼します。
しかし、そんなキャサリンたちをあざ笑い、後ろ指を指し、ヘソでブンブク茶を沸かして、目でピーナッツを噛むかの様に、町での怪奇現象は後を絶ちません。
《災いその2・カエル》《その3・ぶよ》《その4・あぶ》《その5・疫病》と、立て続けにあっちでもこっちでも両生類や虫や狂牛病が大繁殖です。

科学だけが頼りのキャサリンも、さすがに牛が大量死した辺りから得体の知れない恐怖が拭い去れなくなってきました。
町民たちは、そもそもの災いの始まりが“ローレンの兄ちゃんの怪死”事件からだと断定。
その上、その兄ちゃんを殺した張本人はローレンと言う少女本人に違いないと決定。
全ての災いの原因はローレンだと言う事で、「この際だからヤっちまうか?」などと過激なヒソヒソ話に花を咲かせていました。

そんな中、研究機関に依頼していた川の水の解析が終了。
なんと川の水は、100%人間の血だったのです。
そしてまた、《災いその6・ハイパーにきび》まで発生したものだから、もう町民たちの気持ちは抑えられません。
手に手にライフルを持ち、ローレンの家に押しかける町の武闘派連中。
何とかそれを食い止めたいキャサリン
その時、空から舞い降りたのは、無数のイナゴ・・・。
イナゴ少女の封印が、ついに解ける時がやって来たのです。

果たしてローレンが召還できるのはイナゴだけなのでしょうか・・・?
宣伝ポスターでローレンに巻きついていた大蛇は、いつになったら大活躍するのでしょうか・・・?
そして、ローレンの真の正体とは・・・?


ア ホ ー !

ダークキャッスル・エンタテイメントの

ど ア ホ - ! !

『蝋人形の館』『ゴシカ』『TATARI』で世界中のホラーファンの肩をスカスカすかしまくってくれた、お馴染みダークキャッスルの野朗どもに、またしてもまんまとしてやられてしまった気持ちでいっぱいです。
それと、イナゴ少女を全面に打ち出した宣伝を展開していた日本の配給会社も、ホント、いい仕事をしてくれましたよね。

「イナゴ少女、現る」

とか

「あなたのクラスにも、(イナゴ少女)いませんか?」

とか、
もう、どんだけイナゴやねん!!
と高まる期待。
で、鑑賞してみると、イナゴが出てくるのはほんの1シーン。
そこに至るまでは、キャサリンとおっさん連中が牛やらミイラやらカエルやらとご対面しながら、「細菌」だ「バクテリア」だのと、歯切れの悪い講釈を繰り返しているばかりで、なんともゆるい展開が続くのです。
肝心のイナゴ少女(ことローレン)も、中盤までは
「柱の影からチラッ」
とか
「ヒロインの悪夢の中からチラッ」
など、
もう、どんだけチラリズムやねん!!
と観客を焦らしに焦らす作戦。
可憐なイナゴ少女が、手下のイナゴを操って大活躍する映画なんだと思って観に来たら、かなり手痛い仕打ちを受ける羽目になるのではないでしょうか。

では実際問題、この映画はどんな作品だったのかを、大オチを解放しつつ書いてみますと、
 信心を失った聖職者が悪を討つ (・・エクソシスト?)
 聖書の災いが実現化する (・・第七の予言?)
 悪魔の子・ローレン参上 (・・オーメン?)
 精気を吸い取られたお兄ちゃんが干からびて死亡 (・・スペース・バンパイア?)
 町ぐるみでカルト信仰 (・・ウィッカーマン?)
 怒った少女が火の玉を投下 (・・炎の少女・チャーリー?)
 主人公が悪魔の化身をご懐妊 (・・ローズマリーの赤ちゃん?)
などなど、様々なホラー・オカルト・SFのあっちゃこっちゃから、美味しいエッセンスをちょいちょい拝借しちゃいました!テヘ! と言わんばかりの、凄まじい既視感に溢れた内容でした。
最後の火の玉アタック大サービスに至っては、『炎の少女』をも越えた 『アルマゲドン』 級の火柱大放出でしたし。
で、ブルース・ウィリスはどこに出ていたんですか?
と聞きたくなるような派手な炎上シーンの果てに、神の雷による悪魔崇拝町民大虐殺。

・・・神様、制裁の度合いがちょっとエゲツないんじゃないですか・・・?

この作品のテーマは、「俺に逆らうやつは皆殺し byGOD」と言う、世にも恐ろしいキリスト教義だったのかもしれませんね。(多分違う)

とまぁ、このようにオカルト・アクション大作だった『リーピング』。
序盤の怪しげな雰囲気もなんのその。
最後は「うちら悪魔がめっちゃ好きやねん!」と言うサタン信仰に丸投げして、その上「どこのSFよ?」という程の隕石炎上で幕を下ろす、観客置き去りのビックリエンディングで、何もかも台無しにしてしまっていました。
しかし、その裏でヒロイン・キャサリンが、無残に殺されてしまった娘と悪魔の子ローレンを同一視してしまい、客観的な判断が出きず苦悩する姿は、人間の主観と言う物のあやふやさを痛感させてくれます。
周りから焚きつけられたら、直ぐ揺らいでしまう信念。
閉鎖的な田舎町で着々と深まっていた悪魔信仰は、その儚い信念の象徴のようで、“心の底から神を信じ抜く”と言うものの難しさについて考えさせられる事でしょう。

・・・まぁ、非キリスト圏にはまるっきり関係無い話ですが。

とにもかくにも、信仰がどうした悪魔がどうしたなんて考え出すと、日本人には爪の先ほども楽しくない内容だと思いますので、この際鑑賞ポイントは、ローレン役のアナソフィア・ロブの美少女っぷりに絞ってしまうのがベストな観方かと思います。
間違っても、イナゴ方面に期待をかけるのだけは止めておくべきかと・・・。
あと、例のポスターでいい感じに巻きついていたヘビは、結局出て来ませんでしたので、これもまたしかるべき所に抗議しておきたいと思います。
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『ナチョ・リブレ 覆面の神様』

2007年05月19日
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よい子のおともだちへ・・・
右上のジャック・ブラックが“石立鉄男”にしか見えない件については、触れないようにしようね!!




ご機嫌いかがですか? アガサです。
殆ど言ってもいい程ゲームをしない我が家に、ひょんな事からPSPが舞い降りました。
そのまま埋もれさせて置くには惜しい機能が満載だと伝え聞いたので、試しに『ファイナル・ファンタジー1』を購入してみたアガサ。
しかし、所詮はゲーム能力に欠けている為、いちいちパソコンを開いては攻略サイトで進路を確認しつつゲームに興じる日々・・・。
そんなアガサに世帯主さまが一言。
世 「攻略ガイド見ずにゲーム出来ないの?」
ア 「ガイド見ないと、この先どうすればいいのか判らんじゃん」
世 「・・・判らないのを自分で切り開くのがRPGなんじゃないの?」
ア 「自分で切り開いてたら、5分で行き詰るんだもん」

・・・なんと言うか、アホの子を見るような眼で見られてしまいましたね。

あがさ は あほのこ の スキルを てにいれた!

とりあえず、その都度パソコンを開くのだけは、止めておこうと思いました。
攻略ページを印刷しておく事にします。(←根本的に間違っている)

さてさて、そんなにわかゲーマー気取りのアガサですが、前からとっても観たかったコメディ 『ナチョ・リブレ』 をやっと観る事が出来ましたので、軽~くレビューしてみたいと思います。

あらすじ・・・
孤児だった為、修道院で育ったイグナシオ(通称ナチョ)は、レスラーが大好きな少年でした。
修道院内の小物をちょろまかしては、自作のマントとコスチュームでレスラー気分を満喫していたナチョでしたが、「レスリング=悪」と決め付けていた修道院の手前、そのレスラー愛を封印して行かざるを得ない事に・・・。

そうして大人に成長したナチョは、修道院の食事係とし平坦な日々を過ごしていました。
しかし、修道院は常に金欠状態で、世話をしている孤児たちに新鮮な野菜を食べさせる事すら出来ません。
そんなある日、新しく赴任してきた美しいシスター。
そして、町で偶然見かけた「アマレス大会」のポスター。
ナチョの脳内方程式が、めまぐるしく計算を始めます。
(レスリング+俺=大金ガッポリ>貧乏)×シスター=ラブラブ生活

・・・やるっきゃナイト!みやすのんき)

てな訳で、野菜とお金と愛を懸けて、覆面レスラーとしての闘いに挑む事を決意したナチョ。
果たして彼は、修道院にバレずに小金を稼ぐ事が出来るのでしょうか?
そして、シスター・エンカルナシオンのハートをゲットする事が出来るのでしょうか?


あぁ・・、好きだなぁ、この映画

ジャック・ブラックの代表作、 『スクール・オブ・ロック』 。
「懐かしロック大全集」的な題材といい、落ちこぼれ集団が大成すると言う「天使にラブソングを」的な構成といい、ヒットして当然の作品だった『スクール・・・』は、多くのカポー(カップル)や映画ファンに大歓迎されました。
果てはジャック・ブラック(以下JB)のくどさ満開の変顔まで、オサレなOLさんから「可愛い」呼ばわりされると言う異常事態にまで発展した、そんな『スクール・・・』から4年。
再びJBが暑苦しい変顔で所狭しと飛び回る本作は、とっても男気溢れる快作で、とっても女性にとっての試金石となっておりました。

用意された関門は、
① JBのモサモサ感たっぷりなビジュアル。(CanCam度ゼロ)
② 舞台がメキシコの片田舎。(JJ度ゼロ)
③ 登場人物がほとんど変顔。(CLASSY.度ゼロ)
④ もっさいオヤジ連中が、四角いリングでくんずほぐれつ。(NIKITA度ゼロ)
等など、オサレ感の欠片もない、多種多様な変顔と共にまったりと繰り広げられるルチャ・リブレ(メキシコ版プロレス)。
これぇ、『スクール・オブ・ロック』に出てた人のぉ、映画だよねぇ」なんて、アレの余韻そのままで鑑賞になだれ込んだりなんかしたら、ヘタしたらそのカポーは破局ですよ。 ええ、そうですとも。
しかし、その関門を見事潜り抜ける事が出来れば、そのカポーは愛を成就する事が出来るでしょうね。 ええ、つまるところ入籍ですよ。

全国の恋と将来に悩むカポー達に贈る、愛と絆のリトマス紙。
『ナチョ・リブレ』 全国書店にて好評発売中!

・・・すみません、後半ちょっと訳が判らなくなりました。
と言うか、「カポー」が言いたかっただけなのかもしれません。
でもお陰さまで、一生分の「カポー」は言い切ったという達成感でいっぱいです!

うそです。(←お約束)

メキシコ中の変顔さんを集結させたような、キャラ立ちまくりの登場人物の皆さんと、たった一人でそれらを上回ってしまっているキング・オブ・変顔ことJBのパフォーマンスは、オサレなコメディを期待した艶女(アデージョ)には受け入れられにくいかもしれませんね。
“女性”って、「プロレス」と言うだけで拒絶反応を起す方も多い生き物ですし。
しかし、脱力感たっぷりなルチャ・シーンや、孤児院の貧乏くさい面々が織り成すちょこっとラブを観ているうちに、いつしかそれらに愛情を感じるようになると言う、不思議な魅力に満ちているのもこれ事実。
最後のルチャ・シーンで空を舞うJBの姿などは、思わず胸が熱くなる事間違いなしです。

朴訥だけど底なしに美しいメキシコの風景と、そこに散りばめられた小ネタの数々に、思う存分笑い、そして、少しの勇気を与えて貰える本作。
華麗なるハイ・ウェストのブルマーが目に眩しいJBの、ステキな唄のパフォーマンスとポニョポニョな小腹と共に、アガサの心にいつまでも輝き続ける事でしょう。

それにしても、闘う男には「生卵」と「階段」は必要不可欠なのでしょうかねぇ?
今作でも、そのダブル・アイテムがきっちり登場しており、“めっさ弱いレスラー”JBの男の花道を盛り立てておりました。

くそぅ・・・。
やっぱ階段巡りするっきゃないか・・・!
(※ロッキーに引き続いて)
と、思わずにはいられない、アガサ(闘う女)・花の30代なのでした。
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