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『シンデレラ』

2015年05月15日
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『シンデレラ』に対する極めて局地的な街の声
・ いじわるなおかあさんがじつはむかしおうさまにせなかのはねをとられてたってはなしなのかとおもったらちがった。(いもうとちゃん・10歳)
・ おねえさんたちが足を切り落とされるやつかと思ったらちがった。(ちびっこ・13歳)
・ お供の蜥蜴が結構本格的にトカゲトカゲしてて思てたのとちがった。(おかあさん・42歳)

・ ドレスがきれい!!(いもうとちゃん・ちびっこ・おかあさん)


あらすじ・・・
シンデレラことエラが森で知り合った男の人とお城で結婚します。



【ディズニーが満を持してお届けする最新実写作品 『シンデレラ』 のここがすごい!】



■ 政治的にただしい!
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昔の作品を現代の価値観で作り直すことのよき面といえばこれですよね。
当時は仕方なかったというか疑問をはさむ余地すらなかったのでしょうが、小間使いから来賓客まで見渡す限り白人だらけだった登場人物が今回は一新。
王子がもっとも信頼を置く忠臣を演ずるノンソー・アノジーさんをはじめ、お城の内外を問わず様々な場所で様々な人種を確認することができます。
街の広場に集まる群衆の中にアジア人の姿もちらほら見かけましたので、時代背景とか史実うんぬんでいうとあまり正しくないのかもしれませんが、そこはそれ。ほら、ファンタジーの世界ですし。
アニメ版ではただの裁縫要員だった女のネズミも、家の外に出て男のネズミと共にエラの成り上がりに一役かう、と、これまたただしい配置になっており、ぼかぁディズニーの気の配り方に感銘を受けましたね。
21世紀のディズニーは一味ちがうぜ!



■ 舞台美術がすごい!
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まさか一介のカボチャがここまで派手派手しい乗り物になろうとは誰が予想しただろうか! これアレでしょ、お香焚くやつでしょ!ベルサイユ宮殿とかにあるやつ!
このように、小物ひとつとっても、出来れば手にとってみたい、無理ならせめて間近で見てみたいと思わずにはいられない、煌びやかさの結晶のような美しいものばかりなのですが、それらが飾られている上物がまたすごい!
主な舞台となる、エラの実家と王子の実家のふたつの建物の壮麗なことといったらもうね・・・。
実際にセットを建てたという大広間や王宮の外観の作り込み方なんて尋常じゃないですよ。 昔の人が見たら本物のお城だって思いますよ。現代のわたしも思いましたよ。
あと、ドレスね! シンデレラのドレスはもちろんのこと、ケイト様演じる継母のファッションがえげつないぐらいかっこいい!
通りすがりの町民からお城の衛兵まで、衣装が絢爛すぎて眩暈がします!ここはまさしく夢の国やで・・!

誰もが知っているおとぎ話の実写化となると、みんなが既に頭の中で完成させてしまっているイメージをどこまで壊せるかというのが大きなハードルになると思うのですが、この圧倒的すぎる舞台美術を前には光の速さで頭を垂れるしかないでしょうね。
なんだろうなぁ。お金の掛け方ひとつでここまで出来ちゃうものなのかなぁ。ディズニーおそるべし・・・!



■ 出来レースっぷりがひどい!
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アニメ版と違い、本作でのエラ(シンデレラ)と王子はお互いの身分を打ち明ける前の段階で一度出会っているのですよね。
で、王様から隣国の姫君との結婚を急かされた王子は、舞踏会に国中の独身女性を全員招待すれば、必然的にエラもお城に来てくれるだろうと踏んだ。
身分の違いすぎるいち国民との結婚だから認められないかもだけれど、エラ本人を王様に紹介できさえすれば、すっげえ美人だし、性格も超よさそうだし、きっと気に入ってくれるだろう、と。
もし来てくれなければ、悲しいけれどそれもまた運命と思って縁談を受け入れよう、と。
つまり、どっちに転んでも一般独身女性には一縷の望みもない訳ですよ!おいおいおい!完全に出来レースじゃねえか!
王子は謝れ! そうとは知らず、「ワンチャンあるかもやで!」ってなけなしの貯金をはたいてドレスをこしらえてお城に馳せ参じた全独身女性に謝れ! っていうか、森で出会ったんだからだいたいの住所わかってんだろ! チャチャっと調べて即座に求婚に行けよ!
たとえつらいときも 信じていれば 夢は叶うもの・・・!(※ただしエラに限る)



■ フェアリーゴッドマザーがパルパティーン!
パルパチーン

さてはきさま・・・シスの暗黒卿だな!



■ ブランコに乗せたエラを背後から押すことによって極めて自然に胸元を覗き込むという王子の狡猾な罠がすごい!
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このあとブランコをブンブン振ったため、ガラスの靴が脱げてしまうのですが、それを王子がすかさず拾い、エラに履かせるくだりのフランス書院っぷりがこれまたすごいです。
王子「ほうら、こうすれば・・」
エラ「(ため息)」
王子「フフ・・入ったね・・・」
エラ「(上気した肌)」
ちょっとディズニーさん!これ子どもも観てるんですよ!

ちなみに、舞踏会のシーンでも、なんだったらもう今すぐココでおっぱじめるんじゃないかというテンションで踊りまくるのですが、正直周りの人が目のやり場に困っちゃうと思うので、せんせーい!エラさんと王子くんはもうちょっと自重した方がいいと思いまーす!



■ オマージュがすごい!


「ビビディ・バビディ・ブー」や猫やネズミの名前など、アニメ版のオマージュがちらほら見受けられる本作ですが、まさか隠れた名曲である「歌えナイチンゲール」まで使ってもらえるとは・・・!
ドリゼラ&アナスタシア姉妹の大ファンであるちびっこたちも大興奮でした。
ただ、シンデレラが口ずさむだけで、ドリゼラが歌うのは別の歌だったのが残念でしたねぇ。



■ センスがすごい!
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舞台美術のすごさは書きましたが、それをどう切り取るかという画面作りが本当に素晴らしい。
どのシーンをとっても、配色といい構図といいカメラのなめまわし方といい、完璧に美しかったと思います。さすがはケネス・ブラナーさん・・・センスの鬼やで!
このケイト様とエラのツーショットなんて、このまま美術館に飾ってもなんら遜色ない・・いや、飾りたい!今すぐルーブルで特別展を企画しよう!そうしよう! わしゃ行けないけど!



■ 出来レースっぷりがやっぱりすごい!
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エラと結ばれなければ隣国の姫と結婚する、という事前の約束を力技で反故にした王子は、現場に残されたガラスの靴を国中の女性に履かせるという壮大な実験を行い、何が何でもエラを探し出すことを決意します。
が、ちょっと思い返してください。
そもそも王子は、森の中であった村娘こそがエラであるということを知っていた。
つまり、エラの住まいに関して、だいたいのあたりはついていた訳ですよね。
現に王子は部下たちがエラの家に向かう時、姿を隠してこっそり同行していました。
ほんでもって、民間人との結婚を快く思っていない大公が、継母と結託してエラの存在をスルーしようとした瞬間、「ちょっとまてコノヤロウ!」と正体を現す王子。
エラの姿を確認した時点で面通しは済んでいるので、もうガラスの靴なんて完全におまけ扱いですよ。
別に履かせなくたって本人だってわかってるし、出会って5秒で結婚するつもりなんですよ。おい!どういうことだよ!またまた出来レースじゃねえかよ!

国民ひとりひとりに靴を履かせてみるという実験に、どれぐらいの日数と経費が掛かったのか。
っていうか、自分の靴かどうかなんて本人が一番わかってるんだから、茶番以外のなにものでもないんじゃねえの。 おい王子。 しっかりしろ王子。 
何度も言うけど、そんなに好きならチャチャっとヤサ調べてガサ入れにいけよ!



■ ここは断じて通さぬ!
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ケイト様が「you shall not go to the ball!」ってババーンって見得を切るシーンで、わたしの頭の中のガンダルフがガラ様に続けとばかりに「you shall not pass!」って杖バシーンってやり始めたので、指輪ファンのみなさんも是非ご覧ください。



■ 裏シンデレラがすごい!
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昔々あるところに、ひとりの女性がいました。
彼女は優しい夫とふたりの娘に囲まれ、何不自由ない生活を送っていましたが、ある日思いもよらない不幸が彼女を襲います。
夫が突然亡くなってしまったのです。
途方に暮れつつも、なんとか女手一つで娘たちを育てる彼女。 
華麗でいて、その実冷徹なところが多い社交界において、それは決して楽なことではありませんでしたが、彼女は自らを奮い立たせ、美しさも気高さも失わないよう必死に生きていきました。

「自分と再婚して欲しい」
遠い国からきた資産家の男性からそんな申し出を受けたのは、娘たちが年頃にまで成長した頃のことでした。

初めて訪れた土地、初めて嗅ぐ空気。 男性の家で新生活を始めた彼女でしたが、都会の暮らしとはあまりにかけ離れた田舎での日々に馴染むことができません。
そして馴染めないもうひとつの理由。 
それは、男性の連れ子であるエラという少女の存在でした。
求婚しておきながら、自分に関心を示そうともしない夫。
それはそうでしょう。だって目の前にはいつも、彼の前妻にそっくりな、若く、美しく、聡明で、慈愛に満ちた愛娘がいるのだから。
彼女は自分を変えるつもりはありませんでした。 そしてまた、エラに勝てるとも思っていませんでした。
再婚前たしかに持っていたはずの自尊心を取り戻すため、邸宅に知り合いを招いて毎夜パーティに興じ、幸せではないという事実から目を背けるしかなかった彼女。背け続ける限りは幸せでいられる気がした彼女。
しかし、程なく容赦のない事実を突きつけられることとなってしまいます。
夫とエラは、いまだに亡き母のことしか想っておらず、哀しみと愛を分かち合うふたりの間には、後妻である自分の入る隙などないのだという事実を。

そんな中、問題山積の母娘たちを置いて遠方へ貿易の仕事に出かけた夫の従者から届いた知らせ。
彼女は再び夫を亡くしてしまいました。

結局夫は彼女とエラの溝を埋める努力をしようとしなかった。
彼女と娘たちには金だけを与え、エラには惜しみない愛情を注いだ夫。
残されたものは、血のつながりの無い3人とひとりの女性。
たったひとつの共通点である男性の死を哀しみ合うこともできない、あわれな同居者。

彼女にとってエラは、もはや家族ではありませんでした。 いや、最初から家族ではなかったのかもしれません。
生活してゆくために利用するだけの存在。 
水をくむ桶のような、スープをすくう匙のような、暖炉にくべる薪のような存在、それがエラ。
彼女はそう思おうとしたのです。
これ以上自分を憐れまないために。
しかし、どれだけ意地悪な仕打ちをしようと、エラは微笑みを絶やさず反抗的な態度などおくびにも出しません。
エラが彼女に親切にするたび、エラが彼女の娘たちを思いやるたび、彼女の心はズタズタに切り刻まれるのでした。
エラが高潔であればあるほど、彼女の醜さが彼女自身を苛んでゆく。
わかっている。わかっているけれどやめるわけにはいかない。
エラを否定しなければ、彼女は、自分と、自分の娘たちを受け入れられなかったのです。
せめてエラが彼女を憎んでくれたなら。
口汚くいじわるな継母を罵ってくれたなら。
自分と同じ人間だと思えたなら、彼女は救われたかもしれません。

これ以上ないほど理想的な結婚相手を見つけ、家を出ることを決めたエラから彼女に告げられたのは、「あなたを許す」という言葉でした。
勇気と優しさにあふれる天使のようなエラは、永遠に手の届かないところへ行ってしまいました。

最後まで謀略と非情さという心の鎧を脱ぐことが出来なかった彼女の名はトレメイン夫人。
彼女はその後国を追われ、いつまでもいつまでもつらい日々を送ったのでした。

要 約 す る と 親 父 が ク ズ 。



■ おまけ!


・ 同時上映された 『アナと雪の女王/エルサのサプライズ』 も、こじんまりとまとまっていてとても面白かったです。 おたかさん(松たか子さん)バージョンばかり観ていたので、久しぶりにイディナ・メンゼルさんの歌声を聴いたらめちゃくちゃ艶っぽくてソウルフルで、「エ・・ルサ・・?」ってなってしまいました。

・ 長編映画の時からそうでしたけども、エルサとアナの姉妹は「どちらが姉でどちらが妹」という縛りがなく、無性にお互いを支え合っているトコロがいいですよね。 「姉妹」という役割の押し付けはよくないヨー。

・ 『シンデレラ』ですが、アニメ版からストーリーを大きく変えることはなく、でも説教臭くならない程度にキャラクターの背景の補強もしてあって、大人から子どもまで楽しめるバランスのいい作品だなぁと思いました。

・ それにしても、結婚初日から再婚相手の連れ子が実子の悪口を言っているのに、注意もせず聞かないフリするなんて父ちゃんはどうかしてるぜ!

・ ケイト様が本当の母親になろうと思っていたのかどうかわかりませんが、それでもいちおう「家族」として一緒暮らしているエラから、ことあるごとに「義理のお母さま」、すなわち「わたしとあなたは他人ですよ」という扱いを受けるのは、決していい気持ちではなかったのではないかなぁ。 いきなり「ママ」って呼ばれても戸惑うかもだけども。 っていうかホント父ちゃんが彼女たちに何のフォローもしてなかった感すごい。 何のための再婚なんだ・・・。

・ 「エラが謎のプリンセスだということを隠す魔法」がケイト様に効かなかったのは、それだけケイト様が常日頃からエラの一挙手一投足に過敏に反応していたということなのでしょうかね。 パーティ帰りで興奮している娘たちにクスクス笑いをもらすエラ・・・ こいつなんで含み笑いしてるんだ・・・ ・・もしかして・・・もしかしたら・・・ (屋根裏部屋の床下収納を探りあてて)はいダウトォ!!!

・ なんかもうね、この瞬間のケイト様を想像しただけで胸が痛いですよね。 きっと嬉しかったんだと思いますよ。 「ああ・・シンデレラも悪巧みするんだ!」って。「私たちに隠れて王子を転がすなんていい度量してんな!」って。 やっと自分と同じ土俵に立ってくれたんですから、「じゃあこっちもシビアに行かせてもらいまっせ!」ってさぞかしテンションもあがったことでしょう。 ところがシンデレラはあくまで純愛を主張して、交渉にも乗ってこない。 「ならば権力でねじ伏せてくんのか?やってみろコノヤロー!」と腹をくくっていたら「あなたを許します」宣言ですよ。 完膚無きまでの敗北ですよ。 かわいそう!ケイト様かわいそう!!

・ 要約すると親父がクズ。

・ ケイト様はエラのそばにいるべきではなかったのだと思うので、縁を切られて正解だったのではないでしょうか。 この後は、ステラン・スカルスガルドさん演じる安定のクズキャラ・大公さまと一緒に、どこか別の国で悪巧みしながら幸せに暮らしていただきたいものです。もちろん、ありのままのトレメイン夫人として。





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『ビフォア・ミッドナイト』 (シリーズ3作目)

2014年10月13日
前作の感想  『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』 (1作目)
          『ビフォア・サンセット』 (2作目)


ミッドナイト

■今回のセリーヌさん
ジュリー3_convert_20141010233429
熟れたてフレッシュ!キュア・デルピー指数・・・8
育児疲れ指数・・・9
躁鬱指数   ・・・9
聞き上手指数・・・1

■今回のジェシーさん
イーサン3_convert_20141010233416
大物指数     ・・・8
枯れメン指数  ・・・9
息子大好き指数・・・10
Mっ気指数   ・・・100
ばかチ〇コ指数・・・10

■今回のかわいそうな人
「セリーヌさんとジェシーさんに久しぶりの夫婦水入らずな時間をプレゼントするためオシャレなリゾートホテルを予約してあげたのに、キレモードに入ったセリーヌさんから使えないゴミクズ呼ばわれしてしまう友人夫婦」

■今回の観光地
「ギリシャ」

あらすじ・・・
パリでの運命の再会から9年後、かわいい双子も授かり、セリーヌと仲睦まじい生活を送っていたジェシーが、元妻とのいさかいやアメリカで離れて暮らす息子に対する想いから激しい口論となり、険悪な雰囲気の中深夜のホテルで殺伐とした数時間を一緒に過ごします。

・ わしはこんなセリーヌとジェシー、みとうはなかった!

・ 含みを持たせた前作のラスト、その続きもばっちり小説に書いていたジェシー。 どうやら運転手さんは完全放置で帰国を取りやめ、そのあとセリーヌさんと滅茶苦茶〇〇〇〇したそうです。 そんな生臭い話、聞きとうはなかった!

・ 若い頃熱病に浮かされたように夢中になっていた恋も、年月や生活環境の変化でいかようにも変わるもの。 というわけで、ご多分に漏れず本シリーズのカップルも最近いささかギクシャクしている模様。

・ とはいえ、とげとげしいのはもっぱらセリーヌさんの方で、ジェシーさんは出会った当初とほぼ同じ情熱でセリーヌさんの乳に吸い付きます。

・ そう、今回なんとシリーズ初のおっぱいが登場! 40歳という年齢に見合った、とことん重力に従順なおっぱいです!わかるわー垂れるほど乳ないけどわかるわー

・ それはさておき、とにかく本作はおっぱい以外の部分もリアリティ重視で突き進もうとしたのか、大辞林の「略奪愛のなれの果て」の項に載っていそうな激しい責任のなすり合いが展開されます。 もうやめて!マジでしんどいからやめて!

・ ジェシーの元妻に親の仇のごとく憎まれているセリーヌさん。 それもそのはず、どうやら過去に一度ガチンコ対決しているようなのですが、なんでそこ勝てると思ったの? 我が強いの? 元来のSっ気が火を噴いたの?

・ で、ジェシーさんは許してもらえているかと言うと、もちろんそんなことはないわけで、息子の親権を持つ元妻とまともに話も出来ない有り様。 じゃあ弁護士を通せばいいじゃんって言っても、その弁護士ともそりが合わないので息子を引き取ることについての交渉は一向に進みません。 どっちかが・・っていうか、ここはジェシーさんがひたすら頭を下げるしかないんじゃないのか。 大人になれ!ジェシー!

・ 【続報】自称・永遠の少年なのでなりません。

・ 本当は息子と一緒に暮らしたいジェシーさん。 そのためにはアメリカへ移り住まなければならない。 一方セリーヌさんはというとフランスで大きな仕事を抱えている。 まだ幼い双子だっていきなりアメリカになど連れて行けない。 どこまで行っても折衷案が見出せないふたり。

・ 結果、盛大なケンカの幕が切って落とされるに至るのですが、「感情的になり、なんでもかんでも被害者意識まる出しでキレまくる」セリーヌさんと、「理論的に話しているようで、実は具体的な代替案を全く出さずやる気元気いわきだけで乗り切ろうとしている」ジェシーさんの会話がうまくかみ合うわけもなく、こんなもん映画で見せられてもしんどいわ・・・とげんなりしてしまうような痴話げんかが延々繰り広げられることに。

・ もともとがフランスとアメリカという文化も価値観も全く異なる土地に住んでいたふたりで、しかもジェシーの方はアメリカに息子を残していることもわかった上で始めた共同生活なのだから、のちのち揉めるであろうことも想像は出来た筈なのに、どうして「絶対にゆずれない闘いがここにある・・・!」みたいな戦闘態勢なのか、セリーヌよ。 もうちょっと歩み寄ろうよ。 あと、もうちょっと人の話聞こうよ。

・ ジェシーもさぁ、セリーヌのことがどうしても忘れられず、再会を期待して小説に書く程だったんなら、身近な女性を簡単に孕ませないようにしようよ!  このばかチ〇コ!

・ 結局、かわいそうなのは子どもなんですよね。 略奪愛でも初恋でも何でも結構ですけど、大人の都合に振り回されて、父親と母親がいがみ合ったり憎み合ったりするもんだから板挟みにもなって、自然と気をつかうようになってしまう子どもの気持ちも考えてあげて欲しいもんですよ。 

・ ジェシーさんはとにかく一度、小学生みたいに好きだのキライだのと言ってないで、元妻の弁護士さんと真面目に話し合う方がいいのではないしょうか。 それと、息子さんの本当の気持ちもね、確認しないといけませんよね。 どうして毎回息子さんは、父ではなくセリーヌさんに電話をかけてくるのか。 秘密の打ち明け話も、セリーヌさんだけに聞かせたのか。 「息子には父親が必要なんだ」って言っているけど、ただ単にジェシーさんが息子を都合よく可愛がりたいだけなのではないのか。 そこんとこ見つめなおした方がいいと思いますよ。

・ とまぁ、散々悪しざまに書いてきましたが、今回は本シリーズを完結させるつもりだったのか、1作目のエピソードをうまく伏線のように活かしている部分がありまして、そこはとてもよかったと思いますねぇ。

・ 1作目。 列車で一目ぼれしたセリーヌさんに、ウィーンでの途中下車を持ち掛けたジェシーさん。 彼は彼女に「これは未来から現在へのタイムトラベルなんだ」と語りかけました。

・ 「10年、20年後、きみは結婚しているだろう。しかし結婚生活はかつての情熱を失い、きみは夫を責めたてながら、過去に出会ったぼくのことを思い出す。 もしもあの時、夫ではなく、ぼくと結婚していたら・・・。 そして、未来からやってきたきみは今日ぼくと列車を降り、何も間違っていなかったと安心するんだ。 だってぼくも、きみの夫と同じ退屈な男だから。 きみはほっと胸をなでおろし、きみの夫に満足する。どうだい?」

・ 18年後のこの日、ジェシーさんと結ばれたものの情熱を失いかけ、激しく彼を責めたてていたセリーヌさんの前に、再び未来から現在へのタイムトラベラーが現れます。 ただし今回旅してきたのはジェシーさん。 彼はセリーヌさんに「82歳になったきみからのメッセージを届けに来た」と語りかけます。

・ 「こんにちは、セリーヌ。お元気ですか? わたしはとても幸せな人生を過ごしてきました。 今日この若者をあなたのもとへ送り出したのは、彼を救ってほしいからです。 彼はさまざまな困難と闘い続けてきました。 そして今、最愛の人を苦しめ、自分も苦しんでいます。 彼を救えるのはあなただけです。」

・ ウィーンで過ごした男性は、ちっとも退屈な男ではなかった。 だから彼女は、苦難を覚悟してでも彼と歩む道を選んだ。 そしてそれは、間違いではない筈。 たとえどんな人と一緒になろうと、全てうまくいくなんてありえないし、若い頃と変わらぬ情熱を持ち続けることも不可能に近い。 でも、自分がそう願えば、そうあろうと努力すれば、消えてしまうことはない。 ウィーンで迎えた朝が永遠であるように。

・ 夫婦なんて所詮他人同士。 意見が分かれることもあるし、八つ当たりしたくなることもあります。 時には本気で我慢ならないことも。 でも、愛はいつだって完璧ではないけれど、お互いを失いたくないという揺るぎない想いさえあれば、本物の愛へと育てて行けるのかもしれないなぁ、と思いました。 でこぼこだらけの未熟な愛でもいいじゃない。 長い時間をかけて熟成してゆけばいいじゃない。 

・ ジェシーさん渾身の説得にセリーヌさんが落ち着きとウォーンの朝を取り戻し、ひとつの困難を乗り越え歩み寄ろうとするラストシーンは、そこに至るまでの「ジェシーはさっさと別れた方がいいんじゃねえの!」というネガティブ思考を吹き飛ばしてくれる、とても心和むシーンでした。  ごめんセリーヌさん!観ている間100回ぐらい「めんどくせー女だな!」って画面に向かって毒づいちゃったけど、ごめん! 

・ で、実は本作には見事に超熟した夫婦のエピソードなんかも盛り込まれていますので、ホント死角のない映画なんですよね! 連れ合いに先立たれたご老人のありがたいお話を伏して聞け!

・ 友人夫婦の「酸いも甘いも」な距離感もすてきでした。 ジェシーさんとセリーヌさんはまだ到達できていない、絶妙なコンビネーション。 皮肉ったり愚痴を言っていても、どこか温かさがこもっている理想の間柄。 リンクレイター監督の中には、さらに9年後のふたりを描く構想もあるとのことですが、果たしてジェシーさんとセリーヌさんはこの高みに到達することができるのか・・・! 待て次号・・!!

・ ま、ぼくの予想ですと9年後は別れてると思いますけどね!(なぜなら我が強いから)(それに別れていないとドラマティックにならないし)

・ ところで、セリーヌさんの罵倒芸の中で一番エッジが効いていたのは、「いっつもいっつもバカの一つ覚えみたいに同じ〇〇〇〇ばっかりしやがって・・・ワンパタなんだよ!」という、全男性号泣必至なセリフだったのですが、その後彼女を説得する際ジェシーさんが、「キミの人生観が変わる程イイ〇〇〇〇をお届けします」と豪語していたトコロがものすごく気になりました。  だいじょうぶかジェシー。 何をお見舞いするつもりなのかジェシー。  自ら設けたそのハードルを越えて行け、ジェシー!

 


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『ビフォア・サンセット』 (シリーズ2作目)

2014年10月12日


前作の感想 『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』


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■今回のセリーヌさん
ジュリー2_convert_20141010233404
熟成指数       ・・・6
地球を守りたい指数・・・10
聞き上手指数    ・・・8
躁鬱指数       ・・・7

■今回のジェシーさん
イーサン2_convert_20141010233349
大物指数     ・・・7
枯れメン指数  ・・・7
初めて行った彼女の家でくつろぎすぎ指数・・・10
ばかチ〇コ指数・・・9

■今回のかわいそうな人
「ジェシーさんを空港に送り届けるという任務を果たそうとするも見事に忠誠心を踏みにじられた運転手さん」

■今回の観光地
「パリ」

あらすじ・・・
駅での別れから9年後、二人の思い出を描いた小説が大ベストセラーとなったジェシーが、サイン会の為赴いたパリでセリーヌと運命の再会を果たし、帰国の途に就くまでの数時間を一緒に過ごします。

・ 前作のラストに交わした約束は、やはりお流れになっていた・・・これもまた行きずりの恋の宿命よ・・・

・ と思ったら、ジェシーさんはきちんと駅で待機していたことが判明。 一方のセリーヌさんも、駅に向かおうとしていた矢先に大好きな祖母が急死したため駆けつけることが出来なかったという、メロドラマの王道をゆく裏事情を抱えていたことが明らかとなります。

・ つまり、双方とも相手への気持ちが冷めていたわけではなかった、と。 はい、ここ大事ですよー。テストに出ますよー。

・ しかし、9年の歳月はあまりに大きかった。 ジェシーさんは大学の同級生とできちゃった結婚をし、今では4歳児の父。 セリーヌさんもいくつかの恋愛を経て現在は戦場カメラマンと遠距離恋愛中。

・ というわけで、お互い節度を保った会話を繰り広げるしかないため、話の内容はもっぱら意識の高い環境問題や、互いの人生観に終始。 ごめん、その話長くなる?

・ いやだって、「東欧で暮らしたら物欲が消えて精神的に満たされたの」って言ってた次のシーンでは「やっぱり消費活動も必要よね」とか言っちゃってて、なんつうの?一貫性に欠けるって言うの?買い物したいんかしたくないんかどっちやねん! ・・って言いたくなりますよね。 あと、「環境汚染で何百万の人が亡くなって・・」とか言いながら吸う煙草は美味しいかい?とかさぁ・・・ いやね、これぼく思うんですけど、たぶん本人たちも本題が気になりすぎて、あんまり考えずに喋ってると見たよ。

・ で、少ない滞在時間も終わりに近づいた頃、やっとこさ本題に入る気になったのか、堰が切れたように恨みつらみをぶつけはじめるセリーヌさん。 「なんで誰もわたしにプロポ-ズしてくれないのよ!」「なんで先に結婚なんかしたのよ!」「子どもがおるってどういうことやねん!」「あんたがプライベートなことを小説に書いたせいでわしの人生ムチャクチャやないか!」

・ 前半はともかく後半は超正論。

・ 約束を守って駅に来ていたジェシーさんを裏切り者扱いするセリーヌさんに、ヤバい匂いを感じたわたしでしたが、当のジェシーさんはというと元来のMっ気が刺激されたのか、もはや崇拝者に近いような眼差しでセリーヌさんを眺めています。 危険!この恋危険!

・ 前作のウィーンに関しても、「体の関係を結んだ」と主張するジェシーさんに、「いいや寸止めだった」と言い張っていたセリーヌさんが、後半突然「ホントは二回やったよね。あたし、覚えてたけど覚えていないふりしてたの・・・ 女って、そういうものなのよ・・・」とわけのわからないぶっちゃけトークを始めるトコとかさぁ、「そういうもんじゃねえだろ!」ってつっこもうよ・・・ジェシー・・・なんぼなんでも飲み込みよすぎだろ・・・おまえはウワバミか・・・

・ 互いの気持ちは9年前から少しも変わってなどいなかった。 ならば意思確認が済めばすることはひとつ。 そう、今のパートナーに対する愚痴大会です。 「妻には最初から愛情などもっていなかった」「あなた以外の誰とも恋愛したくないから滅多に会えない戦場カメラマンを選んだ」 ええどええど~!言えば言うほど泥沼確定や~!

・ そして、搭乗時間が迫っている中、セリーヌさんを自宅玄関まで送り届けようと申し出るジェシーさん。 古今東西、幾千もの男女が交わしてきた「玄関まで」という約束が、本当に玄関先で終わったことなどあるのだろうか。いや、ない。

・ というわけで、セリーヌさんの自宅にあがりこんだジェシーさんは、「ここおまえんちかよ!」という錯覚に見舞われるほどのくつろぎっぷりを披露。 セリーヌさんもセリーヌさんで、まったく帰す気ゼロなおもてなし攻撃を開始。 「超ムーディな雰囲気の中見つめ合うふたり」というクリフハンガーなエンディングでフィニッシュです!  わしゃもうどうなっても知らんぞ~!!

・ エンジンがかかるまで(腹の探り合い)がちょっくら長いですし、結局85分間なにをやっていたかというと、どうでもいい話をしながら焼けぼっくいにロケット燃料をぶっかけるだけの内容です。 そもそも、あれだけグっとくるラストのあとの話という時点で、わたしにはどうしても余談というか蛇足のようなものにしか感じられず、少々物足りない印象が。

・ それでも、セリーヌさんの自宅についた辺りからはトキメキ指数がぐんぐん加速し、ギターの語り引きを始めた日にはロマンティックがとまらない状態になってしまっていたので、結果オーライというか、またもやまんまとリンクレイター監督の術中にはまってしまったなぁと。  おっかあ・・・リンクレイターさんの手のひら・・あったけぇだよ・・・

・ 前作でも圧倒されましたが、今回の「どこからどこまでが一発撮りなのやらさっぱり」なシーンの数々も素晴らしかったですね。 即興劇のような自然きわまりない会話も健在。 1作目でかけられた魔法が解け、徐々に現実世界へと引き戻されてゆくふたりの今後がどうなるか、非常にたのしみです!




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『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』 (シリーズ1作目)

2014年10月11日
1995年という、わたしが人生でもっとも映画を観ていた頃に出会った『恋人までの距離(ディスタンス)』。
いまさら語る必要もないほどの、恋愛映画史に輝く珠玉の名作であるそれから9年後、登場人物たちのその後を描いた続編が作られたということは知っていましたが、なんとなく食指が動かず観そびれること9年。
なんとさらにその後を描いた3作目が作られたと聞き、居ても立ってもいられなくなったため、レンタルで新作落ちするのを待ってこの度借りてまいりました。 はいぜんぜん居てるーガッツリ立ってるー!

というわけで、久しぶりの再見となった1作目から3作目までの感想を3日連続でお届けします! あのね!ネタバレだよ!



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■今回のセリーヌさん
ジュリー1_convert_20141010233335
愛らしさ指数  ・・・10
聞き上手指数 ・・・10
躁鬱指数    ・・・2

■今回のジェシーさん
イーサン1_convert_20141010233300
イケメン指数  ・・・8
胡散臭さ指数 ・・・7
ばかチ〇コ指数・・・5

■今回のかわいそうな人
「観に来るというからお芝居のチケットを譲ってあげたのに見事に約束を反故にされた劇団員さん」

■今回の観光地
「ウィーン」

あらすじ・・・
傷心旅行の最終日に列車の中で出会ったフランス人女性・セリーヌに一目ぼれしてしまったアメリカ人男性・ジェシーが、巧みな話術で彼女を誘い、翌朝帰国の途に就くまでの一晩を一緒に過ごします。

・ これでもかというロマンティック攻撃に、わたしのライフはゼロよ!

・ 「旅先で運命の人と出会う」という奇跡を素直に受け入れられない二人が、意地を張ったり見栄を張ったり大人ぶったりしながらも否応なく惹かれあい、最終的に「6か月後に同じ駅で同じ時間に」というドラマティックすぎる約束を交わすまでの半日間が、超オシャンティなウィーンの情景と共に描かれるってんですから、もうこんなもん、うっとりするなという方が無理ですよね。

・ ニンフのように麗しいジュリー・デルピーさんの魅力が大爆発。 対するイーサン・ホークさんも、『リアリティ・バイツ』でブイブイ言わせていた最もイケイケドンドンな時期ですので、ちょっと頼りなさげだけどワイルドさも垣間見えちゃったりなんかして、「この人に誘われたら・・途中下車も・・・アリか・・・?」と思わせるに充分なのではないかと思います。というかぼくも付いていっちゃうと思います。 最悪ワンナイトスタンドでもいいじゃない!開放的になってもいいじゃない!

・ 観覧車内のキスシーンのドキドキ具合は、状態が状態なら致死量に達しかねないと思いますので、充分な休憩をとりつつご鑑賞ください。

・ とにかく、いわゆる「観光名所」ではない「ふつう」のウィーンの街並みがたまらなく詩的で美しい。 なだらかに伸びる石畳、荘厳さを纏わせた教会、名もなき路地裏。 そこにさまざまな民族の文化もちりばめられ、ふたりはまるでおとぎ話に迷い込んだよう。  そりゃ恋もはかどるわ! あーあ!オレもシタールの調べにのせてイケメンと踊ってみてえなぁ!

・ 盛り上がったふたりはそのまま公園でコトに及んでしまうのですが、具体的なコトは描かず、翌朝のデルピ-さんの重ね着具合だけで状況を説明するトコなんかとってもスマートですよね。 うん。 開放的なふたりに幸あれ!

・ ネットも携帯電話も、ましてやスマホやスカイプなんぞもなかった時代ならではの、いとしくて恋しくて心細いラストに悶絶必至! でも、自宅の電話番号ぐらいは聞けたよな! ていうか聞いとけよな!

・ 一生のうち一度は行ってみたい国リストに「ウィーン」が記載されること請け合い!

・ マジ傑作です!




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『ポゼッション』

2013年03月05日
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あらすじ・・・
えっ?ホトトギス鳴かないの? じゃあ鳴かないやつはほっといて、自分の為だけに鳴いてくれるニュータイプのホトトギス、作っちゃえばいいじゃん!おまえだけの理想のホトトギスをさ!

『レボリューショナリー・ロード』『ブルー・バレンタイン』『アンチクライスト』などなど、こじらせ夫婦を題材にした映画作品は数ありますが、それらの中から頭一つ抜け出しているのではないかという、最凶殺伐映画『ポゼッション』を観ましたよ。

見知らぬ土地、初めての出産、身体と心を孤独に蝕まれてゆく妻。とうに限界点は超えているのに、単身赴任中の夫にはSOSを出す事すら叶わない。
一方、妻の寂しさを「理解」していると思い込んでいる夫は、会社を退職する事で家族への愛を証明しようとする。 「ほら、いっしょにいてやるよ。それでいいんだろ、なんの文句があるんだよ」、と。
噛み合わない互いの気持ち。
崩れ始める信頼関係。 
独善的な解釈が、そこにさらに追い打ちをかける。
かくして妻は、「共鳴して(鳴いて)くれない」夫に見切りをつけ、新たなパートナーを自らの内部から生み出す事に。
愛と肉欲と粘液と鮮血が絡み合う、こじらせ界のマスターズ・カップと呼ぶに相応しい最終決戦、いざ開幕です・・・!

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(こじらせすぎて、夫の向かいにも隣にも座らず背中を合わせた角のこっち側に陣取っちゃう嫁。 ・・・隠密か!)

とにかく、本作の「こじらせ描写」は本編冒頭から既にフルスロットル状態。
「どこからか帰ってくる夫の浮かない顔と、それを大歓迎とは程遠い顔で迎える妻のギスギスっぷり」に戸惑っている所にすかさず繰り出される、「うまくいかなかったらしき夫婦の営み」シーン。
妻がマグロだったのか、はたまた夫が中折れしちゃったのか・・・ 真相の程はさて置き、サム・ニール演じる夫が吐き捨てる「おまえなんか抱く気も起こらねえよ」という最悪のセリフに画面の前のアガサの心も凍えます。 おまんはいま・・・ぜったいにいうてはならんことをいったぜよ・・・

サム・ニールの暴言を受け、干上がる寸前だった愛情が完全に枯れ尽きてしまった妻は、夫が出かけている間に子どもを連れて家出を決行。
帰宅したサム・ニールは青天の霹靂とばかりに動揺するのですが、妻目線で言わせていただけるなら「あったりまえじゃん!ばーか!おまえばーか!」ってトコでしょうかね。

その後、実は妻には間男がいた事が明らかとなり、夫としてのプライドをズタボロに引き裂かれてしまったサム・ニールは、妻に先駆けてヤンデレスイッチオン。
「みて!こんなに衰弱したオレをみて!」とばかりに、わかりやすい髭ボーボースタイルでベッドの上をゴロゴロ転がったり、建物の中をウロウロ歩き回るサム・ニール。
ところが、三週間やさぐれてみたものの、妻どころか友達すらも構ってくれません。
すると今度はあっさり気を取り直し、今度は「毅然とした態度」へとギアチェンジ。
家庭をなおざりにしていた妻から息子を取り返し、一気に立場を逆転させます。
・・ていうか、さっきまで精神科に入院してたんじゃ・・・ いいのか・・それで・・・

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(以下、嫁のターン。)

さて、ここまでは割と「青っちょろい顔をしたサム・ニールの七変化をおたのしみください」状態だったわけなのですが、いままでの遅れを取り戻さんとばかりに、以下嫁の猛反撃が始まります。
嫁を演じるのは、エキセントリックな女性を演じさせたら天下一のイザベル・アジャーニさん。
精神を病んでしまった妻の獰猛さ、脆さ、美しさを、持ち前のガッツ溢れる演技で余すことなく表現。 
あのですね、大きな声をあげて髪を振り乱して・・・みたいな「狂気」を表す「いかにも」な演技って、あるじゃないですか。
もちろん、そういうシーンもあるのですよ。 爆発的なシーンもね。
だけれど、アジャーニさんの真骨頂は、地下道でキャシィ塚本をやっているシーンでも、触手プレイで妖しく悶えているシーンでもなく、泣いているような笑っているような絶望しているような顔でじっとサム・ニール(画面のこちら側)を見つめているその姿。 その、はかなげな眼差しなのではないかと思うのですよ。
全身で救いを求めてきている事がひしひしと伝わってきて、でも、どうしてあげればいいかわからない。
もどかしさと無力感に苛まれるのは、サム・ニールだけではないのです。
この、アジャーニさんの、おそろしいまでの「人の心を手繰り寄せる力」ね! 中世だったら魔女っ子認定されるレベルですよ!おーくわばらくわばら!


ショッキングなシーンのつるべうちにもんどりうったり、なぜかくるくる回転しながら登場する謎の間男に困惑したり、すてきにおぞましい触手人間の造形にうっとりしたりと、色んな楽しみ方を堪能する事が出来る傑作だと思います。
あまりに不条理な展開に、サム・ニールさん共々観客までもが正気をガリガリ削られる可能性もありますが、要は「こじらせ夫婦のはざまで子どもが不幸になるお話」ですので、大いに心を痛めつつ、どん詰り状態に身を委ねてみればよろしいのではないでしょうか。
後味最悪ですよ!(←この場合褒め言葉)


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