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『メッセージ』

2017年05月22日
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あらすじ・・・
ある日とつぜん、“それ”は現れた。
地球上の12の都市、その上空に佇む“それ”。
どこからやってきたのか、なんのためにやってきたのか、どのようにしてやってきたのか、なにひとつわからない。理解できない。
希望と怖れと焦りから、世界中が混乱を極める中、一人の言語学者に白羽の矢が立てられる。
“それ”の目的は、世界の破滅なのか、それとも救済なのか・・・。




(※ 以下ネタバレしていますので、鑑賞前には読まないでいただけるとありがたいです。 ほんとうにすばらしい作品なので。)




・ 冒頭、カメラは暗い天井から静かな湖を抱く大きなピクチャーウィンドウへと視点を移し、「あなたの物語は、この日はじまったと思っていた」というセリフが流れます。 その後映し出されるのは、生まれて間もない赤ちゃんのちいさな手をそっと握り、いとおしそうに見つめる母の姿。 

・ 赤ちゃんはあどけない幼児になり、幼児は屈託なく笑う女の子になり、女の子は思春期らしさを身につけたとがった眼差しの少女になり、そして少女は、髪がごっそりと抜け落ちた痛ましい姿でベッドに横たわる若い女性になり、彼女のそばには「もどってきて」と滂沱の涙を流す母の姿。 もうダメでした。 わたしにはこれだけで、もう、つらすぎてダメでした。

・ わたしとわたしの娘の事情をここにこまごまと書く必要はありません。 ありませんが、書ききれないほどのことが今までにあったことは事実で、冒頭のシーンは非常にリアルな痛みとしてわたしの心を締め付けましたし、自分と娘との十数年がフラッシュバックして、嗚咽が漏れるほど泣いてしまいました。 幸いなことに娘は命をうしなわず今まで生きてこられました。 でも、そうではなかったかもしれないのです。 わたしよりもずっと早く、旅立ってしまっていたかもしれないのです。 

・ 物語は、この「母」とおぼしき女性が政府の命を受け、数学者の男性と共に未知なる生命体とのコンタクトを任されるという、ありそでなさそな展開へと歩を進めていきます。 まだ哀しみから癒えていないのか、生命体の繰る表意文字を分析していても、ふとした瞬間娘の声や気配を感じてしまう女性。 蛸のような生命体の姿は、娘が作っていた粘土細工を思い起こさせ、書類をめくる音は娘に読み聞かせた絵本の記憶をよみがえらせる。 いつでもどこでも、女性の中には娘との愛情に満ちた数十年があり、その美しい日々が突然奪われた哀しみがあるのです。 もちろんそうでしょう。 時間は慈悲深く、同時に残酷なものだから。

・ しかし謎の生命体とのコンタクトが重ねられるとともに、徐々にこの女性の現実と幻の境はあいまいになってゆきます。 いや、あいまいであることが明らかにされてゆきます。 わたしが女性の記憶だと思っていたものは、女性にとって「どうして何度も何度も見てしまうのかわからない夢」であり、現実をさえぎるように飛び込んでくる強烈かつ身に覚えのないイメージであった。 「この子はだれ・・?」 女性が口にした瞬間、わたしはこの作品に仕掛けられた驚きの事実に気づき、はっと息をのみました。

・ 本作はSFで、哲学的で、スーパー頭のいい言語学者が人類と宇宙人を救う話です。 ちょっとやそっとの頭の良さじゃないですよ。 だって、言語学者がいるのはアメリカだけじゃないはずなのに、アメリカ以外の国はちっとも研究が前進しない感じですからね。 

・ 宇宙船があらわれた世界12か国で、それぞれの映え抜き言語学者やなんかすごい博士とかが解読に躍起になる。 そりゃもう総力戦ですよ。 すげえ寝ずに解析してたはずなんですよ。 それなのに全然宇宙人との会話が進まない。 挙句、ひとつの国が「もうええ!まどろっこしいことなんてやってられへん!戦争や!撃ち落としたったらええんや!!」ってなった途端、あっという間に右にならえなんですよ。 お粗末すぎて話になんないですよ。

・ アメリカにスーパー頭がいい言語学者がいたおかげで、無事生命体の言語も習得し、なんだったらそれが意味する宇宙の真理みたいなものにも気づき、最終的には時間という概念にとらわれず、現在過去未来から必要な時に必要な情報をピックアップしてしまう能力をゲットし、見事宇宙戦争を回避させてくれてよかった。 地球上にひとりだけでもスーパー頭がいい人がいてよかった。 マジであぶないとこだった。

・ 正直いうとわたしは、「3000年後に自分たち(宇宙人)を襲う危機を地球人に救ってもらうには、今現在紛争だ金融だ資源の奪い合いだでくだらない争いを繰り返す地球人をひとつにまとておく必要があるので、あえて12の都市に分散して現れ、変な意地を捨て一致団結しないと解けないような謎をばらまき、代表としてスーパー頭のいい誰かに理解させる」という宇宙人のウルトラ先読み大作戦が納得できるようでできなくてですね。

・ 時間を超越している宇宙人的には、将来絶対に理解する人が出てくることがわかっているからこそ実行したのでしょうけど、万が一理解されずに中国のリーダーが好戦的なままだったら地球終わってたんじゃね?なんてことをついつい考えてしまったんですよね。 もうちょっと簡潔なやつなかったの? 「武器を使え」とか言われたら、そりゃ「はあ?」ってなるじゃん! 「武器?ははーん、ひょっとして未来を読む力のことですか?」ってなかなかならないと思うよ!

・ なので、SF的な部分はいいです。 原作も読んでいないので、細かいところは理解できていないと思いますし。 ただ、「宇宙人」という存在を使って描きたかったのは、未知の言語・種族・考え方を理解しようとする主人公の姿だったのだろうと思った。 わからないものを力でねじ伏せようというのではなく、言葉で、共感で寄り添おうということは、人間だけに与えられた能力そのものなのではないか。 かなしいかな、近年すっかり失くしてしまいつつある能力だけれど、本来わたしたちはそれを持っているはずだ、と。 そう理解しました。

・ それよりもわたしが圧倒的に打ちのめされたのは、先にも書いた「愛するものをうしなう」ということ。 想像したくもないその悲劇がいつか間違いなく訪れるのだと、もしもあらかじめわかっていたら、ということなんですよね。

・ 冒頭のシーンは、主人公が見た未来の自分。 生命体との遭遇と理解によって得た力は世界を救うと同時に、彼女の瞳にこれから経験するであろう悲劇的な現実を突きつけてしまう。 人生で最も大切な存在の誕生。 そして早すぎる別れ。 つらいなら、選ばなくてもいい。 素晴らしい日々と耐えがたい程の苦痛が一緒に訪れるとわかっていながら、あえてそれを選ぶ必要はない。 さあ、どうする? あなたなら、どうする?

・ いつか離れ離れになる日がくるとわかっているなら、一緒の時を過ごさない方がいいのか? 自分よりも先に旅立ってしまうぐらいなら、いっそ出会わない方がいいのか? 喜びの代償として哀しみに耐えなければならないのなら、なんの喜びもない人生を送る方がマシなのか? わからない。 わたしにはわかりません。 だって、現実の世界では将来のことなど知りようはないから。 

・ ただ、もしも主人公のように、未来を知ってしまったとしたら。 心の底から愛する人が、自分よりも大切な存在が先立ってゆくのを見守るしかないとわかってしまったら。 それでもわたしは、愛することをやめられはしないだろうと思うのです。 何が起きてどんな別れがまっていようと、いつだって今この時を生きるしかない。 今目の前にいる人に愛をそそぐしかない。

・ 主人公もまた、先で待っている苦しみを知りつつ、パートナーとなる男性の愛を受け入れ、子どもをもうけることを決意します。 うしなう哀しみよりも、愛する喜びを選んだのだろう、と思いました。 それがどれだけつらい選択だったか、けれど、どれだけ尊い決断だったか。 主人公の凛とした眼差しに涙がとまりませんでした。 

・ 主人公を演じたエイミー・アダムスさんがほんとうにすばらしく、ありえない設定の役にこれほどの説得力を与えるとは・・・と唸らされました。 すべての仕草、言葉、目線が力をもっている。 「あなたの物語」を「わたしたちの物語」に感じさせてしまう。 彼女を支える数学者役のジェレミー・レナーさんも知的で包容力があってすてきでした。 だからこそ余計に、彼らが回避できない苦しみを思うとつらくてしかたありませんでした。 いつか彼女の元に戻って欲しいと思うけれど、それは難しい未来なのだろうか。

・ 暖かい色と静かな色を使い分けた映像も見事でした。 宇宙船の造形がお菓子のばかうけに似ていると話題でしたが、なんつうか、本作の静かな哀しみと「ばかうけ」という字面があまりにかけ離れていて、わたしにはいまいちピンときませんでした。 角のないモノリスですよね、あれね。

・ 未来が見える能力は現実にないのでアレですが、情報というものはほんとうに厄介で、一度知ってしまうと無視するのは非常に困難なものでして。 真偽のほどはさておかれ、耳に入った瞬間からその人を支配してしまう。 本作で爆薬を仕掛けた兵士もそうでしたが、「そうかもしれない」は予防接種にもなりうるし、猛毒にもなりうるのだなぁ、とあらためて感じました。 






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『パッセンジャー』

2017年04月18日
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(※ 以下、いきなりネタバレしています)






あらすじ・・・
クリス・プラットが宇宙で死にます。


・ と、いうわけで『パッセンジャー』を観てきたのですけども、なんつうかすごい映画でしたよね。

・ ドラマの舞台は、地球を離れ別の星への移住を決意した5000人もの人々を乗せた宇宙船・アヴァロン号。 ある日その船に隕石のかけらがぶつかり、メインコンピューターがぶっ壊れるところから物語はスタートするのですが、とにかく恐ろしくテンポのいい本作ゆえ、誰がどう起きるんだろうなんてまどろっこしい前フリは一切省かれ、開始後3秒(※個人的体感)でクリス・プラットの冬眠装置が解除されてしまいます。

・ 120年間冬眠したまま惑星間移動するはずだったのに、たった30年しか眠らせてもらえなかったクリス・プラット。 最先端人工知能が試算してくれた結果、到着まで残す年数は90年。わかっとるわ。最先端じゃなくても小学生でも引き算できるわ。

・ この時点で既に館内で寿命をまっとうすること大決定です。 クリス・プラットかわいそう。 その後やらかす行動を思うとかわいそう心が激減するけど、まだこの時点ではじゅうぶんかわいそう。

・ で、技術者でもあるクリス・プラットは、なんとかもう一度冬眠ポッドに入ろうとしたり、乗組員たちを起こそうと奮闘するのですが、事故やエラーをまったく想定せずに作られたとしか思えない最先端ポンコツ船・アヴァロン号相手には、何をやっても糠に釘もしくは暖簾に腕押し。 万策尽きたクリス・プラット、ついには広大な宇宙に身を投じることで、人生から退場することをも考えてしまいます。 

・ わたしたちもね、ひとりぼっちだなぁ、と感じる瞬間って、決して少なくないと思うんですよね。 もしくは、一人でも生きて行ける、と言い切ってしまう瞬間。

・ 寄り添う人がいなくても、趣味に没頭していれば生きて行ける。 友達がいなくても、好きなことに打ち込んでいればそれだけで幸せ。 ほかになにもいらない。 

・ でも、もしかしたらそれは、ひとりのつもりでも実際はひとりではないから、耐えられているのかもしれないなぁ、と。 話し相手がいなくても、自分が生きている世界にはだれかがいる。 直接触れたり接したりしていなくても、そこここに人の気配を感じる。感じられる。 だってここはたくさんの人が生きるひとつの星だから。

・ そうではなくて、もしも本当に、自分以外だれ一人いない、生き物一匹いない世界だったとしたら、コンピューターしか存在しない世界だったとしたら、そんな中においても「ひとりで生きて行ける」と言い切れるのだろうか。 

・ わたしには無理だと思うのです。 ひとりでいるのはすきだけど、わたしがすきなのは、あくまで「自分で選んだ孤独」という状態だから。 

・ クリス・プラットみたいな状況に放り込まれたとしたら、と考えただけでおそろしいし、ホント耐えられない。 ああ、かわいそう。 早く起きてしまったのはクリス・プラットのせいではないというのに。 まぁ、追い込まれた結果彼がしでかしたことを思い起こすだけでお釣りがくるぐらい酷い展開があるのでかわいそうとか言ってられないんですけど、まだギリかわいそう。

・ すんでのところで死を思いとどまったクリス・プラット。 彼の目に映ったのは、この世のものとは思えないほど美しい女性の姿でした。 

・ 冬眠ポッドの中で120年(残り90年)の眠りにつく美女の名前はオーロラ。 調べてみると美しいだけはなく、知性も教養も申し分ない完璧超人だったことから、クリス・プラットは彼女の存在を勝手に生きるよすがとし、新たな生活を始めるようになります。

・ しかし、当然のことながら、ひとりぼっち生活を続けるクリス・プラットが理想の美女を見ているだけで満足できる期間なんてたかが知れており、悩みに悩んだ結果悪魔的所業を行ってしまったクリス・プラット。 そう、オーロラを勝手に冬眠ポッドから目覚めさせてしまったのです。 彼女が選んだ未来を勝手に書き換えたクリス・プラット。 過ごせるはずだった人生を自分の都合で奪い取ったクリス・プラット。 返せ!さっき浮かんだオレの「かわいそう」を返せ!おまえみたいなやつは、頭部をバールのようなもので殴られてしまえ!!そして宇宙で死ね!!

・ オーロラの人生を変えてしまったという事実をひたすらに隠し、「不運なふたり」としてアヴァロン号での共同生活を始めるクリス・プラットとオーロラ(ジェニファー・ローレンス)。 機械トラブルでたまたま起きてしまったのだと思っているオーロラは、自分より一年も早く目覚めてしまい孤独をこらえて生きてきたクリス・プラットを尊敬するようになり、尊敬はいつしか愛へと変わるのでしたが別の意味で目を覚ませジェニファー・ローレンス!機会をトラブらせたのはそいつだぞ!甘いマスクと「自分、不器用スから・・」みたいなシャイな笑顔に騙されるな!はやく!はやくバールのようなものをおみまいしておやんなさい!!

・ 予告を観た時には、ふつうにふたりともが事故で目覚めてしまうのだと思っていたわたしにとって、この非情な展開は本当に衝撃でした。 先に目覚めたクリス・プラットが、ジェニファー・ローレンスを道連れにするかどうかで迷いに迷いまくっている間中、「たのむから思いとどまってくれ・・!」と願わずにはいられませんでしたし、なんだかんだ言ったってまさかやらかしはしないだろうと思いましたし、いざ工具を携えてジェニファー・ローレンスの冬眠ポッドの横に膝をついた時ですら、きっとこの瞬間に別の隕石がぶつかるのだろうと信じていました。 いや、信じたかった。 だって、あまりに酷い行為だから。

・ のちに事実を知ったジェニファー・ローレンスも、「人生に対する殺人だ」、と責めていましたが当然ですよね。 自分で「よし、明日死ぬぞ」と決めるのと、他人に「おまえは明日死ぬ」と言われるのでは大違いですし。 たとえ「人は遅かれ早かれ必ず死ぬ」ということに違いはなかったとしても。 

・ と、いうことで、よくこんな酷なストーリーを思いついたなぁとビックリしながら観ていたのですが、実はわたしはドン引きすると同時に、この作品をべらぼうにおもしろいと感じていたのですよね。 

・ クリス・プラットの宇宙ひとりぼっち生活から、ジェニファー・ローレンスとの格差カップルいちゃいちゃ天国になり、そこからまた一気に緊迫感あふれる密室ホラーのような空気になったかと思うと、今度はサバイバルSFアクションのごとくスピーディな展開に。 バランスとアンバランス、心地よさと不快感、美しさと醜悪さが見事に混ざりあい、心のどこかにしっくりしない何かを抱えたまま最後まで突っ走ってしまう、この強引さ。 これは彼らの選択が正しいかどうかにジャッジを下す映画ではない。 彼らの数奇な運命を観ながら、「人生」というものについて考える映画だったのかもしれないなぁ、と思ったのです。

・ そもそも、アヴァロン号に乗り込むこと・惑星移住するという契約書にサインした時点で、彼らの人生は終わっていたのではないでしょうか。 だって、片道120年ですよ。 いわゆる「自分が一緒に生まれてきた時代」の移り変わりを見ることは叶わないわけじゃないですか。 往復240年かけて生まれ故郷に戻ったとしても、そこには「自分が居た時代」の痕跡など、もうないのですから。 仮に移住が成功していたとしても、それは彼らが一度「その時代の中で死んだ」のちに、別の時代で得た「別の人生」なのではないでしょうか。 

・ 人生って、時代を生きることでもあるんじゃないかとわたしは思います。 自分がたまたま生まれてきたこの時の流れの中で、自分という人間を構成した文化、価値観を共にした仲間、守ってくれた人、守りたい人、その始まりと終わりをつなぐのが、人生なのではないかと。

・ 家族や友人たちを捨て、アヴァロン号に乗り込んだジェニファー・ローレンスは、地球における自分の人生に見切りをつけたのですよね。 このままここにいても自分は生きていると言えない。 だから地球での人生をいったん終わらせ、過去から来た人間として未来に関わろうとした。 そこでなら、生きていられると思った。 

・ ところが、孤独のあまりあたまがおかしくなってしまったイケメンに目をつけられてしまったが為に、ジェニファー・ローレンスが思い描いていた人生設計は無残に破壊されてしまう。 彼女がもともと持っていた「地球で何不自由なく一生を終える」運命と、大枚をはたいて入手した「未来の世界でタイムトラベラー的なかっこいい人生を送る」運命は消え去り、手元に残されたのは「クズをバールのようなもので殴殺したのち、ひとりぼっちで死ぬまで生きる」運命か「むかつくクズをシカトしつつ広いようで狭い宇宙船の中死ぬまで生きる」運命か、もしくは「クズを赦していっしょに死ぬまで生きる」運命だけです。 自分で書いてみてアレだけどなかなかどうしてひどい選択肢だな。 やっぱり一回バールのようなもので殴っとこうぜ!なぁ、ジェニファー!

・ その後、ひとりの人物が(今度はホントに)偶然に目覚めてしまったことから、答えが出せないジェニファー・ローレンスと、彼女に対する罪悪感により孤独死を覚悟したクリス・プラットの運命は大きく動き出すことに。 その人物とは、甲板長のローレンス・フィッシュバーンです。 

・ 船長ではないものの、いちおうアヴァロン号の責任者のひとりであるフィッシュバーンは、先の二人よりももっと悲惨な目覚め方をしたせいで起床後まもなく死期を迎えてしまうのですが、いかにも年長の責任者らしい重大なふたつのことを残してゆきます。 若いもんへの小粋なアドバイスと、全アクセス権が与えられたIDパスです。

・ アドバイスはさておき、IDパスは死活問題だからよかったねー!! マジでこれなかったら全員死んでたからねー! 甲板長は結果的に長い人生、このタイミングでふたりにこれを渡すために歩んできたってことなんだなぁ・・・と思うと切なさが限界値突破するけど、人間の役割なんてそんなもんっていういか、脇役ってそんなもんっていうか、アンディ・ガルシア(※)に比べれば全然マシな気がするのでここはひとつドンマイってことにしときましょうかね!

・ アドバイスもね、ジェニファー・ローレンスにとっては重要だったのですよね。 クリス・プラットを赦せるはずがない。 答えなんて出しようがない。 でもあと90年間宇宙船にいるという現実も変えられない、という中、ジェニファー・ローレンスはすでに、うっすらと覚悟を決めていたのかもしれない。 

・ どうせどこかでいつか死ぬなら、いま生きているこの瞬間をすこしでもマシにしよう、と。 一生自分のテリトリーの中にこもり適当な人とつきあって死んでゆくのと、知ることのなかった世界でめちゃくちゃ波長の合う人とつきあって死んでゆくのでは、どちらがマシな人生だろうか。 彼との出会いは、たしかに自分が送るはずの人生では起こりえなかったけれど、それが起きたということにはなんらかの意味があるのではないか。

・ ジェニファー・ローレンスの中のたったひとつのわだかまり、スルーできない点は「勝手に起こされた」という点だった。 実際、それを知るまでは、宇宙船でのたったふたりきりの一生も悪くないと思い始めていたのだし。 赦せるきっかけがあれば・・・・当事者以外の目線からの一言があれば・・・ そんな時フィッシュバーンからかけられた言葉。 ありふれた言葉でしたが、ジェニファー・ローレンスにとっては十分だったのかなぁと思いました。

・ ジェニファー・ローレンスは、自分の身に起きた「目覚めるはずではなかったのに無理やりに起こされてしまった」という事実を受け入れることは出来なかった。 そこはやはりもう、どうしても無理だった。 

・ しかし、「何の落ち度もないのに、新天地で自分の技術を生かせると信じていたのに、誰かに必要とされる人生を夢見ていたのに、不幸な事故で起こされてしまい、孤独のままに死んでゆくことを宣告された」クリス・プラットの現実を受け入れたのではないでしょうか。 彼の現実を受け入れたから、彼とともに死ぬまで生きることを選んだ。 自分を必要とする彼と、彼を必要とする自分とで、今いる場所を一生過ごすのにいくぶん「マシ」な場所へと変えることを決めた。 そして次へとつないでゆくことを。

・ 彼女の決断はとても難しいことですし、この作品を観て最後まで「ないわー」という方も多いと思います。 それもまたひとつの選択ですよね。 わたしはアリだと思いました。 ロマンティックには程遠い、エグいハッピーエンドでしたが、そんないびつさもこの作品の魅力だと思いましたし、他人を赦したり、他人の運命を受け入れちゃうという壮大さがすごいなぁと思いました。 あと、しのごの言わせない勢いのエネルギー炉の暴走とか、宇宙こえーとか、把手がメチャあちいとか、木を植えるのはいいけど土どっから持ってきたんだよとか、アーサーかわいいとか、そういうのもよかったです。 ホント、ゾッとしたりホッとしたり忙しい映画でした!おもしろかった!

・ 土のこと書きましたけども、ホント最後のアレ、繁殖とか増殖とかしすぎじゃないですかね。 繊細な機器とか設備とかじゃないの? 根っこが伸びたらどうなるの? アスファルト突き破ってでてくるド根性大根みたいになっちゃうんじゃないの?

・ あと、やっぱりどう考えてもアヴァロン号を送り出し移住計画をおすすめしているホームステッド社のうさん臭さね!!

・ 移動中の船内から、本社があるであろう地球に送ったメールが届くまでに10数年て!送受信合わせたら70年弱ですってよ奥さん!誰に、何を聞けっちゅうねん!!それもう送った瞬間ダイイングメッセージになっとるやないか!!本社のやつもはなから読む気ないだろ!

・ わたしなんかはね、そもそもその移住計画自体ホントに成功してんのか?って思っちゃいますよね。 だって、往復240年かかるんですよ? 何年前から惑星を改造して居住に最適なよう開発して、実際人類が移住し始めている設定なのかわかりませんけど、ちゃんとそれ確認とれてるの? あっちで無事に暮らせてるって、衣食住整ってるって、証拠あるの? 最初に行って帰ってきた人から、話聞いてる?

・ 「着いたー?」って確認するまでに最短でなんぼほどかかるんだっていう話ですよ? こういっちゃなんですけど、送り出すだけ送り出して宇宙船どっかで爆発するようにしててもバレっこないじゃないですか。 で、移動と移住のために超高額な費用を先に回収しとけば、半分以上はまる儲けとかね。 そういや、劇中「ホームステッド社の資産が銀河的額」みたいなセリフ、ありましたよね。 謀ったな! ホームステッド社め!謀りよったな!!

・ 一切の機械トラブルを想定していない人工知能とか、なんかもう考えれば考えるほどにホームステッド社がヤバい会社なんじゃないかという不安がこみ上げてこないですか? 宇宙を120年も飛んでたら、隕石ぐらい当たるだろ。 なんで船員交代で冬眠させずに全員一気に寝させてんねん。 のんきな会社か。 ちょっと!まじめにやってよ社長!!(誰が社長か知らんけども)

・ とまぁね、言いたいことは山のようにありますが、アンディ・ガルシア(※)のことを思えばだいたいのことはマシなんじゃないかと思えるようになりますので、本作におけるアンディ・ガルシアの存在はマジで貴重ですよ! ということをお伝えして、今回の感想はおしまいにしたいと思います。 



(※)オスカーノミネーション俳優アンディ・ガルシアの雑すぎる扱いが拝めるのは『パッセンジャー』だけ!

  


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『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』

2016年12月17日
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あらすじ・・・
反乱同盟軍の精鋭部隊ローグ・ワンが帝国軍の最終兵器「デス・スター」の設計図を手に入れます。


【「すきなものだけでいいです」管理人・アガサ氏による涙の謝罪会見 一問一答】

先日、 『スター・ウォーズ』 シリーズの外伝として公開された 『ローグ・ワン』 を鑑賞したばかりのブログ管理人・アガサ氏が、興奮冷めやらぬままに自らの誤認識について緊急会見を行った。

会見での一問一答は以下の通り。




「このたびは私事のことで、このような場を設けさせて頂き、大変恐縮致しております。 また、日ごろからブログを見て下さっている皆さまには、平素より格別なお引き立てを賜り有り難く厚くお礼申し上げたいと思います。」

--今回謝罪したいということだが、そもそも何についての謝罪なのか

「 『ローグ・ワン』 に対して勝手に抱いていた浅はかな想像を深く恥じ入っての謝罪でございます。」

-- 『ローグ・ワン』 についてどのようなイメージを抱いていたのか

「まずは、「どうせ過去の遺産で食ってくアレでしょ」という思い込みでございます。 本作が「スター・ウォーズ外伝」である、ということや、事前に見聞きしていた「ダース・ベイダーが出るらしい」という情報から、わたくしの中に「まあねーそこいらへんのキャラ出されたら、たいがいの事は許せちゃうもんねーなんかもうありがたやーってなっちゃうもんねー」とお馴染みのキャラクターやイベントを散りばめて、おっさんやおばさんをホイホイ釣っちゃおうというアレだと決めつけていた部分があったと思います。」

--実際にはどうだったのか

「たしかにお馴染みのあれやこれやは出てきました。 しかし、それは冷静に考えれば至極当然のこと。 なぜなら本作は、エピソード3とエピソード4の間を埋める正当な「外伝」。 個人的には未だに違和感が拭えきれていないエピソード1のキンピカ宇宙船(ナブー・ロイヤル・スターシップ)ではなく、愛すべきガタピシ号(スターファイター群)が活躍していた時期の物語なのですから。 マシンも、ドロイドも、パイロットも、そして帝国軍のえらい人もみんな出るべくして出ているだけのことなのです。 安易なホイホイ装置ではないのです。」

--ダース・ベイダーについてはどうか

「ベイダー卿に関しても、まったく非の打ちどころのないゲスト出演っぷりでした。 出るタイミングも出ていた量も言う事なし。 存在感をアピールしつつ、本作においてスポットをあてられるべきはどこなのかを充分にわきまえた引き際。 ポスターで絶妙に見切れていたことが全力で納得できる出演内容でした。」

--昨年 『フォースの覚醒』 を観たあと、こっそり家族に「アレだぜ、あいつらハンソロ出しときゃいいと思ってんだぜアレ」と洩らしていたようだが・・

「たしかにそういったようなことがあったかもしれませんが、あいにく記憶にはございませんが、しかし、もしあったとすればわたくしの不徳の致すところでございます。 あと、ハンソロはともかく本作のベイダー卿は絶妙だったことを重ねてお伝えしたいと思います。」

--ストーリーに関してはどうか

「ストーリーに関しても、大きな誤認識といいますか、思い込みがあったことをお詫び申し上げたいと思います。 エピソード1~3が作られると知った時、また、実際鑑賞した時に抱いた「まあなーアナキンがベイダー卿になることはわかってたもんなー」というわずかなガッカリ感。 それをいまだに引きずっていたことが主な原因でございます。」

--つまりどういうことか

「設計図が最終的に反乱軍の手に渡ることは、みなさんご承知だと思います。 そういうことです。」

--もう少し詳しい説明を

「なんだかんだいって、孤高の女戦士がアウトローな仲間たちのリーダーになって、華麗に設計図を盗み出すんだよな、ぐらいに思っていました。 いまは深く反省しております。 たしかに大まかに言えばそのようなストーリーでした。 しかし、しかしその裏にまさか、あそこまで深いドラマがあったとは・・・」

(ここでしばらく涙がとまらなくなる氏)

--深いドラマとは

「デス・スターの設計図が反乱軍に手に渡るまでには、名もなき戦士たちの活躍があった。 それが今までのわたしの認識でした。 しかし、そうではない。 そうではないのです。

(再び号泣)

彼らは誰ひとりとして、「名もなき」などではない。 ひとりひとりに立派な名前があり、守りたい大義があり、ゆずれない誇りがあり、愛するものがいる。 本作を観たことで、過去のシリーズ、中でも、原点であり傑作としても名高いエピソード4が、より一層すばらしい作品だと思えるようになってしまった。 誤解を恐れず申すならば、 『ローグ・ワン』 はある意味本家を超えてきた、と言っても過言ではないのです。」

--ある意味、とは

「もちろん、 『スター・ウォーズ』 シリーズはどれも大好きですし、最高におもしろい作品です。 いままでもこれからも、わたしにとっては大切な宝物。 そして、今回 『ローグ・ワン』 も同じように、わたしに欠かせない作品になった、ということです。 わたしにとっても、きっと 『スター・ウォーズ』 という壮大なサーガにとっても。」

--もう少し具体的に言えないか

「すみません・・・ 本当にそれだけは・・・ ただ、小さい頃「デス・スター弱えーーーー なんでミサイル撃ち込まれたぐらいでぶっこわれるのーー超弱えーーー」とエピソード4を観て笑っていた自分を叱ってやりたい気持ちです・・ デス・スターがあんなにすぐぶっこわれていた理由・・ それはな・・・ それはなぁ・・・っ!」

(激しく嗚咽し始める氏)

--他に謝罪したいことは

「ドニーさんの役名がなかなか覚えられなくて、職場の同僚に「ほら、あの、おしゃれモデルが愛用してるスーパーフードみたいな・・」って言ったことを心からお詫び申し上げたいと思います。 それチアシードな。」


--ドニー・イェン氏に関しては他にも心配していたことがあったそうだが

「そうですね、これも勝手な心配でしかなかったのですが、わたくしの中には過去にドニーさんが出演されていた 『ブレイド2』 の記憶というものが、今でも鮮明に刻み込まれておりまして、ハリウッド出演を喜ぶと同時に、スノーマンのアレを繰り返して欲しくない、というかまたあんな扱いだったらどうしよう、というようなノー・モア・スノーマン的な感情が抑えきれなかったのだと思います。 もちろん、すべて杞憂でございました。 あらためてお詫び申し上げます。」

--ドニー・イェン氏の出演は成功だったのか

「成功も何も、めちゃくちゃ需要な役割でしたし、めちゃくちゃいい役割でしたし、ドニーさんだったからこそ、チアルート・イムウェはここまですばらしい人物になったのではないでしょうか。 ドニーさんさいこう! ドニーさん超さいこう!! これはもう、ちょっとしたドニーさん祭りですよ!わっしょいわっしょい!!!」

--殺陣はどのくらい魅せていたのか

「それ聞きますか?! それ聞いちゃいますか?!!! ドニーさんの役どころは盲目の修道僧なんですよね! ほんで、ジェダイの騎士なき時代においても、一途にフォースを信じているピュアな守護者なんです! プリプリでピュアピュア! 宇宙に咲く最強の華、ピュア・ドニー!!」

--ドニー・イェン氏のファンに対してひとこと

「僭越ではありますがわたくしからひとこと申し上げさせて頂けるならば、本作でドニーさんは名実ともに「宇宙最強」の座を手に入れたのではないでしょうか。 まさか幼いころからだいすきだった 『スター・ウォーズ』 の世界と、大人になってからだいすきになったドニーさんがひとつに結ばれる日が来ようとは・・・ 感無量でございます。 あと、本作を観たあとは、ドニーさんの真似をして「I'm one with the Force, and the Force is with me.」とつぶやきながら横断歩道を渡りたくなること請け合いだと思いますが、くれぐれも青信号もしくは周りでベイズばりにサポートしてくれる人を確保しておかれますよう、お願い申し上げます。 赤信号や信号機のない車道では試されませんよう、お気を付けください。」

--危険行為を助長するつもりなのか

「わたくしならば、真似とはいえ薄目を開けておくぞ、とだけお伝えしたいと思います。 本気でやったらダメ、ぜったい。」

--他の出演俳優に関してはどうか

「その点に関しましても、心から申し訳なく、深くお詫びいたしたいと思います。 ポスターを見て「華が無くね・・?」とか思ってすみませんでした。 K-2SOに対しても「これ浦沢直樹のマンガに出たやつじゃね・・?」と浅はかな感想を抱いてしまったこと、お詫びの言葉もございません。」

--具体的にはどのマンガか

「大変申し訳ありませんが、お答え出来かねます。 記憶があいまいなので・・・ たぶんなんかロボットのやつだと思います。」

--浦沢直樹とスターウォーズ、どちらが先だと

「それはもう、申し上げるまでもございません。 すべてはわたくしの不徳のいたすところと、猛省しております。 そもそも、見た目のことなど関係なく、K-2SOというキャラクターはぶっちぎりの文句なしでございました。 キュートでシニカルで気は優しくて力もち。  これは本作だけではなく、 『スター・ウォーズ』 シリーズに共通していることですが、わたしたちがお互いを理解しようとし、信頼しようとすれば、異種族、異生物間だけではなく、ドロイドと生き物との間においても友情は成立する。 それはとても尊いことである、と、心から痛感させられました。」

(思い出したように滂沱の涙を流し始める氏)

--今後 『ローグ・ワン』 を観直す予定はあるのか

「本当は初回を観たあと、そのまま二回目に突入するつもりでしたが、諸般の事情により断念いたしました。 もちろん、また日をあらためて鑑賞したいと思っております。 お金と時間の許す限り。」

--最後に何かあれば

「 『ローグ・ワン』 は、 『スター・ウォーズ』 を観た事がある方だけではなく一本も観た事のない方でも、決死の密使アクションとしても親子・友情のドラマとしても充分おたのしみ頂けます。 そして、前後のエピソードをご存じの方にとっては、驚きと納得に満ちた2時間14分になることでしょう。 ただただ息をのみ、ただただ総毛立ち、ただただ落涙するばかりの傑作。 最高オブ最高。 数十年後、「自分は 『ローグ・ワン』 を劇場で観た」、と誇りに思えるような逸品だと、わたくしは思います。 どうぞ、お気軽に劇場へ足をお運びくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。」







- 以下ネタバレを含む追記 -

・ 冒頭、惑星ラ・ムーに住む元帝国軍科学者ゲイレンのもとをクレニック長官が訪れるシーンの残酷なまでの美しさ。 もう、この時点でわたしは完全に『ローグ・ワン』に心を奪われてしまいました。 今までの『スター・ウォーズ』では観た事のないようなクールなオープニング。 これはやべえぞ・・ 

・ そのあとはずっと「わー」ってなったり「クスッ」となったり、おいおい泣いたりの繰り返しでしたよね。 ぜんぜん無駄なシーンないんですもん。 「あれ?」と思ったシーンも見事に回収されてゆくし、またその回収が超納得&号泣。

・ そりゃそうなんですよね。 ずいぶん長い間、反乱軍はいいやつ、帝国軍はわるいやつ、みたいな小学生並みの認識でいましたけど、反乱軍がいい人揃いの清廉潔白な正義の戦士なわけはないんです。 だってこれは戦争なのだから。 華々しく戦闘機で攻撃に向かうパイロットたちがいる一方で、相手の裏をかくため汚い手をも使わざるを得なかったスパイもいた。 もちろん、彼らは喜んで汚れ仕事を引き受けていたのではありません。 しかし、全ては「平和」のため、と心を殺して任務に当たっていた。 罪悪感に押しつぶされそうになっても、胸の奥を疑念の影が覆いそうになっても、その手を血で汚し続けた。

・ 生まれた頃から戦争状態の中反乱軍に拾われ、他に行く場所も生きるすべも知らなかったキャシアン。 彼と同じように「大義」のため生きてきた戦士たちの葛藤と生き様にショックを受けると同時に、これが戦争なんだ、とあらためて思いました。 

・ ジンもまた、幼い頃両親を失って以来、過激な革命の戦士に育てられてきた女性で、それがどれだけ異様な状況だったかということは彼女の高すぎる戦闘能力からもよくわかりました。 相手の攻撃に当たり前のように反応するジン。 戦わずしては生き延びれなかったであろう彼女の十数年間の壮絶さに心が痛みます。

・ 一緒に逃げるはずだった母親に見捨てられ(きっとゲイレンを置いてジンと一緒に逃げる手はずだったのでしょうが、ギリギリで娘だけを逃がし、自分は夫のもとに行ったライラ。 それは夫婦愛かもしれませんが、ジンにしてみれば捨てられたも同然なのではないでしょうか)、父とも生き別れとなり、育ての親であるソウからも置き去りにされたジン。 最初、デス・スターという銀河にとって危険な兵器の存在を知らされたとき見せた彼女の無関心さが、そんな生い立ちにあることは言うまでもないですよね。  なんでもうちょっとまともな保護者を用意しなかったのかライラよ・・・ よりにもよって革命家とかさぁ・・・ レイアはよかったね、まあまあまともな養父母でね。 まぁ、最終的にはレジスタンスの将軍になっちゃいますけどね。

・ 道義よりも任務を優先してきたキャシアン。 自分が生きることだけを優先してきたジン。 そんなふたりがそれぞれに抱えてきた感情を知り、自分たちが信じる何かのため、誰かのために戦うことを決意する。 こんなもんね、泣くなって言われても泣きますよ。 中盤からけっこうな頻度で泣きっぱなしでしたよ。

・ もうとにかく、登場人物たちが心を開いてからの友情・愛情・大爆発がすごい! キャシアンとジン、キャシアンとK-2SO、K-2SOとジン、ドニーさんとベイズ、ボーディとキャシアン、ひとりがみんなのために、みんながひとりのために、みんながみんなのために、文字通り命を懸ける。 全員の見せ場で胸が滾り、全員の散る姿に涙がとまらない。 すげえドラマですよ! 『スター・ウォーズ』って、実はすげえドラマだったんですよ!

・ 彼らとあわせて、父ちゃん役のマッツ・ミケルセンさん(この父ちゃんがデス・スターに仕込んだ復讐がホントすごい!もう二度とエピソード4を昔と同じ気持ちで観られない!)(※もちろん褒め言葉)やクレニック長官役のベン・メンデルソーンさんなどの俳優さんたちがみんな、、21世紀に作られた『スター・ウォーズ』新作とは思えないような昭和顔だったトコロもよかったですよね・・・。 違和感ないわー エピソード4の直前に作られたって言われても全く違和感ないわー

・ ただしターキン総督、おまえはダメだ。 CG顔にもほどがある。 そっくりさん探してきて、その部分だけやり直しの刑な!

・ アクバー提督と同じモン・カラマリ出身のラダス提督が、アクバーさんとちがってイケイケドンドンでかっこよかった。

・ ドニーさんの最高具合がわたしの語彙ではどうやっても言い表せません。 いつもの棒っきれで、ストームトルーパーをばったばったと倒すだけでもたまらんのに、ライトボウでタイファイターまで撃ち落としたりするんだぜ・・・? しかも後ろ手だぜ・・・? 信じられないだろ・・見えてるみたいだろ・・・盲目なんだぜ・・・

・ ヤバそうなAT-ACT出てきたけど、ドニーさんなら棒っきれであのひょろい四足ぶっ叩いてやっつけちゃうんじゃね?と思った瞬間が、わたしにもありました。 (さすがに無理でした)

・ ドニーさんとベイズさんのやりとり、全部が1億点満点でした! 「気をつけろよ」「だいじょうぶ、お前がいるから」とかマジで!劇場でギエエエエエって叫ぶのこらえるのに必死でしたから!! ギャレスよ・・・貴様おれたちの正気を搾り取る気か・・! このブロマンスがすごい・2016!

・ もうさぁ! この際ドニーさんも誰かのパダワンにならせてあげてよ! アニーのミディ=クロリアン、ちょこっとでいいからドニーさんに分けてあげてよ! 余るほど持ってるんでしょ! っていうか、最後のくだりなんか言わば半分ジェダイになっていたも同然なんだから、死後もスケスケシースルー状態で出させてあげてよ!!!

・ ここまで希望と絶望が容赦なくさらけだされた、悲惨とも言っていいゲリラ戦を描いたからこそ、フォレスト・ウィテカーさんが演じた革命家ソウ・ゲレラという人物のありようにも説得力が生まれるんですよね。 戦争は汚い。 戦争は非情だ。 両足を失い、友人たちを失い、呼吸器なしでは生きていけない体になったソウは、もうひとりのダース・ベイダーだったのかもしれません。 

・ 「敵」に負けないため暗黒面に落ちたソウは、もはや誰も信じることができない。 猜疑心と怒りと憎しみという、ダークサイドの必須感情を支えに、帝国軍だろうと反乱軍だろうと、前に立ちはだかるものはすべて倒そうとするソウ。 彼をふたたびライトサイドに引き戻したのは、娘のように愛していたジンの存在だった。 ジンを逃がし、すべてを受け入れたようにデス・スターの攻撃の前に立つソウの姿が、ルークに救われたアナキンに重なり、「もう少し早ければ・・」と深い悲しみがこみ上げました。 

・ 書いているうちに泣きそうになってしまったので、近いうちにおかわりしに行こうと思います。 とにかく超さいこうでした! ありがとう、ギャレス監督!ありがとう才能あふれるキャストのみなさん!そして製作スタッフの方々! The Force Will Be With Us. Always!





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『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』

2016年08月12日
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あらすじ・・・
職業婦人を目指すアリスが偏見にまみれた現実の壁に直面し、精神世界をさまよいながら心を整えます。


・ 前作『アリス・イン・ワンダーランド』があまりに口に合わなさすぎて「これホントにティム・バートン監督が撮ったの・・・?オレ騙されてない・・?」と思うほどだったので、最初は見送るつもりだったのですが、予告で流れるアラン・リックマンさんの声を聞いているといてもたってもいられなくなったので、とにかく観ることにしました。 で、観ました。 まぁ、その、なんというか、「せやな・・」という感じの作品でした。

・ どのあたりが「せやな・・」だったのかに触れる前に、なぜわたしが前作をまったく気にいれなかったのかを記しておこうと思います。 「だいすきなティム・バートン監督」による深読みファンタジーの最高峰「不思議の国のアリス」という圧倒的におもしろそうな『アリス・イン・ワンダーランド』を、なぜ気にいらなかったのか。 それは「赤の女王」の描写があまりにがっかりだったからです。

・ 原作小説に登場するハートの女王の残虐さと公爵夫人の面持ちをミックスして作られたようなオリジナルキャラクター・赤の女王。 演じるのは当時バートン監督のパートナーだったヘレナ・ボナム=カーターさん。 監督のこだわりがつまった(とわたしは思っていた)赤の女王は、それはとても孤独な人でした。

・ とても大きな頭にハート型の赤い髪。 ピエロのような白い顔と幅広に塗られた青いアイシャドー。 奇抜さを絵にかいたような女王は、恐怖でアンダーランドを支配していましたが、その根底にあったのは信頼できる人間がいないことの孤独と、国民から支持されていないことからくる承認欲求と、果てしない愛情への飢えでした。

・ この時点では、「ああ、バートン監督が描くとハートの女王(赤の女王)はこうなるんだなぁ、なるほどなぁ」と腑に落ちまくっていました。 多くの人に愛されない、支持されない、拒絶しかされない、グロテクスな外見を持つ人物というのは、いかにもバートン監督らしいキャラクターだと思ったからです。 「すげえわかるわ・・たしかに凶暴だし横暴だしワンマンだけど、赤の女王はただそれだけの人物じゃないんだよな・・・」と、彼女の行く末がとても気になりました。 なんだったら、アリス以上に気になったのです。 え?マッドハッター? ああ、いたいたそんな人。

・ ところが物語のクライマックス、彼女がかわいがっていた(唯一ありのままを受け入れてくれていたゆえに彼女も心から愛していた「怪物」ジャバウォッキー)をアリスが倒すと、みなに愛され、慕われ、うっとりするほど美しい彼女の妹・白の女王が王冠を手に入れ、彼女はあっけなく王座から転落してしまいます。 プライドを打ち砕かれてもなお、勝気な表情を保とうとする赤の女王。 白の女王によって王国からの追放を宣言された彼女は、そばにいた忠臣・ハートのジャックに「あなただけは離れないわよね?わたしを愛してくれるわよね?」とすがろうとします。 しかし、打算だけで女王に仕えていたジャックは、一緒に追放されるぐらいなら、と女王にナイフを向け、殺害が失敗に終わると「いっそ殺してくれ!」と人目もはばからず喚き散らすのです。 唖然とする赤の女王。 「彼はわたしを殺そうとした・・? 殺そうとした? 殺そうとした!?」 赤の女王の最後のセリフはこれだけ。 なんの余韻もなく、めでたしめでたしとばかりにジョニーデップのかっこいいダンスがはじまって、白の女王がアリスにうんたらかんたら・・・で終了。 マジか。 赤の女王これで終わりって、マジか。 これホントにティム・バートンさんが作ったの?

・ 「赤の女王も白の女王も、なんだったらアンダーランド内の生き物すべてはアリスの深層心理を表しているにすぎない」 ええ、そうでしょう。 「これはアリスの成長物語であって、赤の女王の一代記ではない」 もちろんそうですよね。 それはわかっているんです。 わかっているんですけど、中途半端に赤の女王が抱える「生きづらさ」が描き込まれていただけに、この「悪い女は誰からも愛されないし理解もされないし追い出されて当然」みたいな終り方に呆然としてしまったのですよね。 バートン監督ならもっと赤の女王に寄り添った物語が出来ると思っていた。 勝手な期待ですし、アリスという物語にそれは必要ないのかもしれませんが。 

・ で、それを受けての今回の『時間の旅』ですよ。 

・ 前作のラストで船出を飾っていたアリスが、見事雇われ船長として活躍するところから始まり、しかし前作でこっぴどく袖にした現・雇主のヘイミッシュから解雇を告げられ、「女は事務職でもやってればいいんだよ!」と時代錯誤だけど今の日本ではまだまだそんなに珍しくないセクハラ&パワハラ発言を食らって現実逃避し、再びアンダーランドに赴き、家族に会いたくてちょっとどうかなってしまっているマッドハッターと、復讐に燃える赤の女王の過去を旅するという内容だった今回の続編。 アリスは前作同様、「キツすぎる」現実を乗り越えるため、再び自らの深層心理へ潜り込み、父を容赦なく奪っていった「時間」への憤懣やるかたない想いにケリをつけます。 ようするに、再び成長します。 幼さが残る前作とは違い、大人として、社会人としての成長です。

・ このアリスの「時は戻せないけれど過ぎていった時から学ぶことはできる」的な成長物語はもう、「そうですよねー」ぐらいなもので「よかったねー」「やったねー」てな感想しか出てこなくてですね。 いや、なんでそんなに嫌味な書き方しちゃってるの?と思われるかもしれませんが、ホントにわたしの引き出しにはそれぐらいの気持ちしか残らなかったのですよね。 「時間」を受け入れ、「時間」を尊ぶようになった。そっかそっか、よかったよかった、という。 いい話じゃないですか。 そこはいいですよ。 そこはもう、いい。

・ よくなかったのはアリス以外の部分でして。 いや、正直いうと、アリス自体にも不満はありましたよ。 一言でいうと、「人の話聞かなすぎ」。 父を奪った「時間」を快く思っていなかったとはいえ、白の女王とかうさぎとか、「仲間」の言うことは鵜呑みにして、「仲間以外」の言うことはまったく聞かない。 アリスの頭にあるのは、「時間」の動力源であるクロノスフィアをちょっとばかし拝借して大事な「仲間」を助けたい。というただそれだけ。 どんなに「クロノスフィアを勝手に使うのは危険だ」と言われても「いいじゃん、すぐ済むから」と、世界の崩壊をよそ目に我が道を突き進む。 

・ この「聞く耳持たなさ具合」も、成長前のアリスそのものだといえばまさにそうなので、いちいちイラつくのではなく、そこからどう変化していくかを観ていけばいいだけの話なんでしょうし、なんだったらこのイラつきは脚本家の思うつぼなのだとは思います。 もちろん、アリスはその後自分の身勝手さのせいでアンダーランドが危機に瀕していることに気づき、大いに反省しますし。 でも、じゃあ、前作のアリスはなんだったんだって思うじゃないですか。 あの時一度成長してたと思ったけど、そこで身につけたものは「オレの仲間だけは守る!(ドン!)」みたいな偏狭さだけだったのか?って。 総合的な判断力や統率力が必要とされる船長として、長い航海を続けてきた経験はなんだったの? 運だけだったの? 冷静な判断力じゃなく、勢いだけで乗り切ってたの?

・ 運だけだったのかなんだったのかはさておき、本題に戻りますと、「自分の仲間」と「そうじゃない敵」しかなかったアリスの価値観はマッドハッターと赤の女王の過去をめぐる旅によって徐々に崩され、「人は見えている部分だけで判断してはいけない」とか「どんなヤなやつにも、ヤなやつにならざるをえなかっただけの苦しみがあったのかも」とか、そういう広い視野を持つようになります。 「時間」に対しても、「ただ無常に過ぎ去ってゆくだけ」ではなく「無常ではあるけれど非情ではない」ことに気づいたというか、「過ぎ去ったものを嘆くより、今あるもののかけがえのなさを愛すべき」ということに気づかされたというか、まぁとにかく大人になる訳ですね。 だからいいです。 アリスの部分はいいです。 はい、じゃあここから本題に入りますよ!(まだ本題じゃなかったのか) 

・ 今日の本題はこちら! 「マッドハッターがぜんぜんマッドじゃない」!

・ まぁね、前作の時点で原作の「不思議の国のアリス」と「アリス・イン・ワンダーランド」は名前だけ借りた別物ぐらいに思っておく方がいいってことは理解していましたよ。 いちいち比べんなよ!粋じゃねえな!ぐらいなね、そういう気持ちで観なきゃダメだって。

・ しかし、ならば「マッドハッター」と名乗ってくれるな、と。 だってぜんぜんマッドじゃないんだもん。 マッドハッターどころか、まとも。 超まともなハッター。 人間味も義理も人情もあるんでやんの。 ただちょっと個性的なだけ。

・ このね、「ちょっと個性的」な子がね、わたしのすごく身近にいるだけに、マッドハッターの描写がいちいち引っかかってしまってホントもうダメでした。 「空気を読まない」「調子に乗りやすい」「感情をコントロールしづらい」「得意分野には抜群の集中力と能力を発揮する」「(本人的にはつじつまもあっているんだけど周りにしてみれば)話の脈絡に一貫性がない」etc... はいこれもうぜんぜんマッドじゃないから。 めっちゃ普通にいるから。 これをマッドなんて言われた日にゃあたまったもんじゃないから。 

・ 通称が「マッドハッター」なだけで、彼には「タラント・ハイトップ」という本当の名前があります。 だから、「マッドハッターはマッドじゃない!」なんていきり立つのは馬鹿げた反応なのかもしれません。 実際きっとそうなのでしょう。 でも、では「マッド」という名前にこだわらず、「個性的なタラント青年」として観てみれば釈然とするのか、というとこれもちょっと引っかかる点がありまして。

・ 個性が強すぎるがゆえに父親と揉め、家族を捨て、そのままひとりぼっちになってしまったタラントさん。 息子に本音を打ち明けない父親と、間をうまく取り持たない母親と、反射的な言動が抑えられない青年が迎えた哀しい選択は、思わぬ結末を迎えます。 まさしく大団円です。 息子は素直に家族を歓迎し、両親は息子に愛を伝える。 でも、結局タラントさんが抱えていた「生きづらさ」ってどうなったの? 和解したことでそれらが「治った」とでも?

・ これはタラントさん自身の問題だけはないのですよ。 なぜなら、なんだったら(わたしの中では)もっと重大な問題に直結しているから。 では聞いて頂きましょう、もっと重大な問題であり、今回の本題その2・「赤の女王が不憫すぎる」!

・ タラントさんが個性的な青年なら、赤の女王ことイラスベスさんもまた、様々な生きづらさを抱える「個性的」な少女でした。 彼女が生まれ持った中で最も困難な性質、それは「強すぎる劣等感」だったのではないでしょうか。

・ 長女として、王位継承者としての責任。 国王の期待に添えているかというプレッシャー。 贔屓目なしで見ても美しすぎる妹。 自分は誰かに必要とされているのか、という不安。 太陽のようにまばゆい妹のそばにいて、たとえ両親からあからさまに比べられていなかったとしても、イラスベスさんの中には常に、彼女の「自信」を曇らせる「劣等感」という黒い雲がむくむくとたちこめていたのではないか。 

・ 彼女に必要だったのは、「あなたのありのままを愛している」という言葉であり、受け入れてくれる人だった。 しかし、実際与えられたのは彼女の容姿に対する嘲笑と、劣等感を隠すため強くなってしまった語気が生んだ「扱いにくい子」というレッテル。

・ 前作での描写だけでも充分しんどかったのに、その根底にあったのがこんな過去だったなんて、もうマジで地獄ですよ。 やはり赤の女王は「ただそれだけ」じゃなかったんだ。 標準サイズよりも大きめの頭で生まれたがために国民から笑われ、両親からは「ちょっとめんどくさい子」と思われ、不幸な事故により負った怪我でさらに頭が大きく腫れ、人生を恨んだ少女。 それが赤の女王だったんだ。 もうやだ。 つらすぎてやだ。 なんでこんなにひどい目ばっか遭うの。 イラスベスさんは歪んだ少女なんかじゃない、歪められた少女なんじゃないか。

・ で、歪めた大きな要因として登場したのが、タラントさんだったというね。 「空気を読まない」「調子に乗りやすい」「感情をコントロールしづらい」タラントさんが、「空気を読んで」イラスベスさんの容姿に触れないようにしていた国民たちを尻目に、先頭をきって大爆笑したのだった、という。 人の容姿を笑いものにしてはいけない、ということがわからなかったタラントさん。 当たり前のことがわからなかったタラントさん。 それはそのまま、彼の人生を生きづらいものにしていたのではないでしょうか。 わからなかったのだから仕方がない。 でも、仕方ないからそのままでいいわけではないのです。

・ 「空気が読めない」子たちは、たしかに読めないがゆえに言わなくていいことを言ったり、するべきではないことをしたりして、顰蹙を買ったり周囲の人たちを傷つけたりします。 けれど彼や彼女たちは、決して人の心が理解できないわけではない。 「それを言われると傷つく人がいるよ」と教えてあげれば理解できるし、なんだったら、教える前に気づく事だって少なからずある。 わかっているのに無意識に言ってしまい、言った後で「そうだ、これは言わない方がいいことだったんだ」と気づき、自分自身が深く落ち込むことのどれだけ多いことか。

・ タラントさんは衆人環視の中でイラスベスの容姿を大笑いした。 誰か彼に「あたなは間違ったことをしてイラスベスさんを傷つけた」と教えてあげたのでしょうか。 戴冠式を台無しにしたことを責めることはあっても、ひとりの少女の心に一生消えない傷を刻んでしまったのだということをきちんと説明してあげた人はいなかったように思えました。 それが、わたしにはどうしても受け入れがたかったのですよね。

・ アリスの行動をきっかけに、アンダーランドは一度崩壊し、再び美しい時を刻み始めました。 イラスベスさんは白の女王の謝罪と愛を受け入れ、過去を許した。 タラントさんも家族と再会した。 めでたしめでたし。 いや、めでたくないだろ。 タラントさんもイラスベスさんにあの時のことを謝らなきゃダメだろ。 「マッドハッターだから」で片づけちゃダメだろ。 だって、タラントさんはきっと理解できるから。 人の気持ちがちゃんとわかる人だから。

・  結局今回も、「タラントさんがそのずば抜けた個性ゆえに理解されず、孤独を選び、でも仲間に恵まれ、家族とも和解した」という根本的なものをスルーしたままのキレイな話と、「赤の女王は自らの身勝手なふるまいゆえに王国を危機に陥れ、でもアリスが頑張り、白の女王との姉妹愛を取り戻した」という救いになってるんだかなってないだかなキレイな話しか描かれなかった。 そこが本当にガッカリでした。 イラスベスさんを純粋に慕っていたらしき「タイム」との関係も、なんだかとってつけたようなものでしかなかったしなぁ。 

・ とにかく、わたしは赤の女王にとっての救いが欲しかったのですよね。 道化師のようなメイクで覆うしかなかった彼女の怒りや哀しみや失望に手が差し伸べられ、好奇の目にさらされ続けることで刻み込まれた精神的な痛みが癒され、今のような攻撃的な感情表現では新たな痛みが生まれるだけだよ、と教えてあげて欲しかった。 描かれることのない本作以降のアンダーランドで、彼女が少しでも楽に生きられ、「タイム」からの愛情によって彼女の劣等感が解消されるといいな、と想像するばかりです。

・ と、いうわけで、アリスの成長という本来のお話しからはかなり脱線した観方しかできなかったため、わたしにとっては「成長したね。おかあさんも壁を破ったね。会社、うまくいくといいね」という当たり障りのない印象しか残りませんでしたが、映像美だけでいうとそれはそれは煌びやかで美しかったですし、なんといってもアラン・リックマンさんの声をスクリーンで聞くことが出来ましたし、豪華なゲスト出演もたのしかったので、観てよかったと思います。 

・ 最後にもうひとつだけノレなかった点を。 時計の振り子がいくつも重なってアリスの行く手を阻むシーン、あんな困難そうなミッションなのにひとつめの振り子に飛び乗ったらあとは省略って、そりゃないんじゃないの? ああいうトコこそ見せ場なんじゃないの? 凝った仕掛けを出し過ぎて全部消化しきれていない感、もうちょっとなんとかならなかったのか。 

・ あと、アンダーランドに行っている間と現実世界で意識を失っている間のアリスの状態(設定)もいまひとつわかりづらかったです。 あっちの世界の1分はこっちの世界の何分なのか。 あっちの世界で喋っていることを、こっちの世界でうわごとみたいにしゃべっていたみたいだけど、病院から逃れて二度目にあっちの世界に行っていた間のアリスはこっちの世界のどこでどうしてたんだろ。 ああ気になる。 ザルすぎるヘイミッシュ家のセキュリティ以上に気になる。 っていうかヘイミッシュ家はお金持ちなんだからもうちょっと防犯がんばれよ。 セコム、してみますか。

・ ひとつだけと言いながらふたつみっつ書いてしまったこと、大変申し訳なく思っています。 正直すまんかった。 






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『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』

2015年12月21日
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小学生の頃初めて金曜ロードショーで『新たなる希望』を観た時からスター・ウォーズがだいすきになり(以下自分語り略)


と、いうことで待ちに待った『スター・ウォーズ』の新作、しかも一番すきだった『ジェダイの復讐(帰還)』からの続編である『フォースの覚醒』を、初日の全国同時刻一斉上映回で鑑賞してきましたよ!
商魂たくましいディズニーの策略に乗っかった訳じゃなく、普通にパンフも買いましたよ!限定のやつだけど乗っかってないから!映画観たら絶対パンフ買う派なだけだから!

映画を観る前(前日の夜辺り)から、緊張なのか興奮なのか原因は定かではないものの、身体に謎のじんましんが出始めまして、上映1時間前になると目の周りにまで発疹が及び、もうどうなることかと思いました。 
映画に関するストレスでこんな症状が出たのは初めてですよね。
ストレスって言っていいのかどうかわからんけども。
なぜ「映画のせい」と言い切れるのかというと、鑑賞後はきれいさっぱりひいていたからです。 
まぁ、感極まって泣いたせいで別の意味で目が腫れてましたけどね!

ようするにね!何が言いたいかと言うと、『フォースの覚醒』さいこう!ってことですよ!


では、わたしのなかで『フォースの覚醒』のどのあたりがどんな具合にさいこうだったのか、各登場人物のご紹介と共に簡単に記しておきたいと思います。
公開直後であるにも関わらず非常に面目ないのですが、オチを含めじゃんじゃんネタバレしていきますので、鑑賞前の方は絶対にご覧にならないようお願いします。 以下、鑑賞後の方のみお進みください。


■ レイのたくましさがさいこう

辺境の星ジャクーで鉄くずを拾い日銭を稼ぐ少女レイが本作の主人公なのですが、このレイがすごくいい!
「家族を待ち続けている」という設定以外なにも明かされないのですが、いきなり新たなストーリーの鍵を握るであろうドロイドBB-8になつかれたり、そのドロイドを手助けするために出たことのなかった星(ジャクー)から飛び出す羽目になったり、エピソード4のルークそっくりで、っていうかおまえ絶対スカイウォーカー一族の関係者だろ!っていう訳アリ感満載で、われわれのハートをがっちりキャッチですよ!
で、ルークと違ってこのレイは最初から実にたくましい女性で、なにせ一人ぼっちでジャクーという貧しい&荒くれ者ぞろいの星を生き抜いてきたものですから、サバイバルスキルも交渉スキルもかなりの高レベルなのですよね。
男性から手を差し伸べられるたび、「わたしはひとりで走れるから!」とピシャリと言ってのけるその姿勢・・・いいぞ・・・口だけ勝気なんじゃなく実績に裏打ちされた言葉・・・たくましい・・・ たくましいから宅麻伸・・・!

でも、そのたくましさの裏には、幼い頃「誰か」に置き去りにされたというトラウマや、その時告げられた「いつか必ず迎えに来る」という言葉をよすがにすることでなんとか耐え抜いてきた孤独や、本当はその「いつか」がくることはないとわかっているという哀しさが常に漂っていて、もちろん、彼女一人でも生き抜いてはいけるんだろうけど、やはり彼女を温かく迎えてくれる「だれか」がいた方がいいに決まってるんだよなぁ・・・と思わずにはいられないんですよね。
で、物語終盤、そんな彼女がやっと見つけた、というか素直に受け入れられた「だれか」の存在。
なんかもう、途中から親戚のおばちゃんのような目線で見守っていたわたしなもんですから、とても嬉しかったですし、これでますます彼女はたくましくなるぞ・・・ま ち が い な い ・・・! って思いました。 
あの、ほら、フォースも覚醒したしな!

今回結局トップシークレットのままだったレイの血縁関係が明らかになるであろうエピソード8はよくれ!


■ フィンの包容力がさいこう

訳あってレイと行動を共にすることになる脱走兵フィンもまた、ひと言では語れない複雑な過去を持っておりまして、そこがとてもいい。
彼はレイが住んでいた星・ジャクーのこれまた奥まった方にあるちいさな村の出身だったのですが、幼い頃悪いやつにさらわれストームトルーパーとして生きるよう教育された。 というか、洗脳ですよね、要は。
殺しのスキルを叩きこまれ、たぶん脳みそも弄られたんじゃないでしょうか。 誰に対しても情け容赦なく銃口が向けられるよう教え込まれた。 はずだった。
しかし、よりにもよって最初の任務が彼のふるさとジャクーだったことと、そこで目の当たりにした虐殺の光景に、フィンが受けた洗脳はあっさり解けてしまいます。
ストームトルーパーになりきれなかったフィンが、その後レジスタンスとウィンウィンの関係を築き、目の前の女性(守るべきもの)に手を差し伸べるようになったのは、単なる「偶然」ではなく、彼の中に「略奪された苦しみ」と本来の性格のやさしさがあったから。
「女子ども=守ってやらなければならないもの」という騎士道精神は、もしかしたら誰かにとっては「古臭くて女性蔑視っぽい」と受け取られるものなのかもしれませんが、わたしはフィンのド真面目なトコ、とてもかっこいいと思いましたよ。
同時に、そんな固定概念がレイにサックリ却下される所も面白かったですし。
フィンの中で、「女性だから守る」ではなく「仲間(友達)だから守る」へと意識が変わっていった末に、彼の包容力がレイの心を癒すシーンはめちゃくちゃグっときました。

コメディリリーフとしても大活躍でしたし、ライトセーバーを繰る者としての可能性もやんわり感じさせたりなんかしちゃってるし、フィンがますますがっちりストーリーに絡んでくるであろうエピソード8はよくれ!


■ ポー・ダメロンのコミュ力の高さがさいこう

レジスタンスいちのパイロットだったため、レイア将軍から直々の命を受けてジャクーへ向かったポー・ダメロン。
なんかもう、名前のとっつきやすささいこう!
「ポー」もさることながら「ダメロン」ですよ! 「ダメロン」! 
「ダメおやじ」とか「デメキン」とか「メロリンQ」とか「ケロンパ」とか、いろいろな固有名詞を連想させて日本人の心にすっと馴染むこと請け合い!
あとね、物語早々に敵の手に落ちちゃうんですけど、めちゃくちゃ拷問されても割にケロっと回復して敵に軽口叩いちゃってるし、砂漠に墜ちても割にケロっと起き上がって自分のアジトに戻っちゃってるし、敵の本拠地に突入して仲間がバンバン撃ち落とされても割にケロっと気持ち立て直してピュンピューンってミサイル撃ち込んでウェーイって帰還してるし、なんかもう行く先々ですぐ打ち解けるしすぐ仲良くなるしすぐ盛り上がれるのな! コミュ力半端無いのな!

残念ながら、宇宙一のパイロットと銘打たれてる割に、今回はレイの操縦能力の方が目立っちゃってあんまりダメロンの凄さが伝わらなかったので、ダメロンがダメじゃない方のロンであることが存分に証明されるであろうエピソード8はよくれ!


■ BB-8のあざとさと天然さのギリギリをゆく可愛さがさいこう

『フォースの覚醒』が成功をおさめた(って勝手に断定しちゃいますが)要因のかなり大きなひとつであるのが、今回新たに登場したドロイトBB-8であることは火を見るよりも明らかなのではないでしょうか。
最初にデザインが出た時から、もう「やべえ」って思いましたもんね。
「なにこれやべえ。可愛い。」って。 キャラ設定とか知らないのに。
温かみのある色調にまるっこいビジュアル。 
昔読んだ「アンパンマンが子どもに人気のわけ」という記事で、「顔っぽい」「円形っぽい」「正義の味方っぽい」「暖色っぽい」という理由があげられていましたが、BB-8も完全にこれに当てはまってますよね。 やべえ。 BB-8はアンパンマンだった。 ますますやべえ。

で、いざ本編を観てみたら、これがまた見た目だけじゃないんですよ! 仕草から言葉遣いから全部かわいいんでやんの!
言葉っつっても、もちろん「ピー・・キュイーン・・ピキュキュ?キュイッピー」みたいな喃語ですよ。 
でも、過去のドロイドやウーキー同様、何を伝えているのがきちんとわかるんです。
怒ったり戸惑ったり怯えたり喜んだり、あのまるっこい体をちょこまかと動かせて、全身で喜怒哀楽を表現してくるんですよ! ええい!やめんか! たまらんだろ!
あとね、砂漠の上をコロコロ転がってくるのはわかるんですよ。 下るのも上るのもわかる。 なんとなくわかる。
でも、階段が出た時にはね、さすがにこれは無理だろって思ったんですよ。 誰かが担いであげたんだろうなーって。
そしたら、その後階段を下りるシーンがあるんでやんの。
一段づつ、「コテン・・(おっとっと・・みたいな仕草)・・コテン・・・(あわわ・・みたいな仕草)」って繰り返しながら、器用に下りてくるBB-8。
なにその滑り過ぎない仕様! なんなの! そのボディは鉄のように見えて、実は全身滑り止め加工されてるの?! ドラえもんなの?!今度はドラえもんの要素入れてくるの?! ペタンハンドなの?!!!

大先輩R2-D2とホログラム投射で初めての共同作業に臨む新人ドロイドの姿はどことなく誇らしげにも見え、そんなキャラの立ったほんわかぱっぱなBB-8ちゃんが先輩の顔を立てつつさらにあざとさを爆発させてゆくであろうエピソード8はよくれ!


■ カイロ・レンのワナビーっぷりがさいこう

ポスターや予告編で「わてが今回の暗黒面担当でっせ!」感を全面に押し出していた影の軍団チックな装いの人物こそ、帝国軍の残党であるファースト・オーダーの中心的存在であるカイロ・レンでして、彼は何を隠そう、ハン・ソロとレイアの息子さんなんですよね。
幼い頃から強いフォースを発揮していたため、その他の才能ある子ども達と共にジェダイ最後の騎士・ルーク伯父さんのもとに預けられたものの、伯父さんよりもお祖父さんの方に強くあこがれてしまい、中二病イズムをこじらせた結果、悪い大人(スノーク)に目を付けられ暗黒面へと真っ逆さま。
この経緯・・・誰かに似てる・・・そう・・・他ならぬアナキンじいちゃんやー!!
強い力を手に入れたものは、大いなる責任はもとより、その力をどう使うか、という誘惑と常に向き合わなければならない。
当然、「自分ならもっとでかいことが出来る」と、歪んだ正義心を抱いてしまうこともあるでしょう。 
彼はその途中で、「正論づくめの正義より、ちょい悪の方がかっこよくね?」となってしまったのか。 
多くのスター・ウォーズファンがルークよりも、ちょい悪いなソロやガチ悪なベイダー卿に惹かれたように・・・。

アナキンという名を捨て・ダース・ベイダーになったおじいちゃんにならい、ベンという本名を捨て、カイロ・レンを名乗り。
重傷を負い無残になってしまった体を保護するため改造されたおじいちゃんにならい、健康体だけど黒づくめの衣装をまとい。
呼吸補助装置を付けなくては息をすることもままならなくなったため特製のマスクを被っていたおじいちゃんにならい、普通に喋られるし呼吸も出来るけどフルフェイス型のマスクをかぶる。
先ほど、本作が成功した要因としてBB-8を挙げましたが、カイロ・レンの存在は本作にノレるかどうかの大きな要因であると思うのですよね。
ベイダー卿ワナビーを気取りながら、幼稚さや未熟さや駄々っ子メンタルをあけっぴろげにするカイロ・レン。
同僚から「あんまり使えない」と白い目で見られてるカイロ・レン。
部下からも「絡みづらい上司」と思われているカイロ・レン。
さらってきた捕虜からさえ「モゴモゴ言ってて何喋ってんのかわかんない」とつっこまれるカイロ・レン。
いろんな人から、恐れられるより心配されてるカイロ・レン。

そんな彼を、「うぜえええええ」と思うか「ダメなとこいっぱいで魅力的」と思うか。
そこが、本作に夢中になれるかどうかの分かれ目になるのではないか。 もちろん、それだけではないでしょうが、結構大きいポイントなのではないかと、わたしは思います。
そして、わたしはカイロ・レン、とてもすきです!
彼の不完全なところ、情緒不安定なところ、お祖父ちゃんのいい面ではなく暗い面に惹かれてしまったところ、勝手な思い込みを唯一の正しい道と勘違いして、本当は間違っているってわかっているのに勘違いしていたくて真実から目を背けるところ、どれもすごくわかる!
わかるからこそ、父親を刃で貫くしかなかった彼の選択が哀しいんですよね・・・。
そこまでしなくてはならなかったのか。
お祖父ちゃんがそんなことを望んでいるはずがないのに。

っていうか、おじいちゃん出てきてこの孫になんか言ってやれよ。 出てこられるんだからさ。

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「わしのマネしてもええことないぞ~」って言ってやってよグランパ!草葉の陰から!プリーズ!

父親殺しという、恐るべき大罪を犯し「試練」に勝ったカイロ・レンが、シスの後継者として欠かせないアイテムであるマントを羽織って元師匠のルークと対峙するであろうエピソード8はよくれ!


■ キャプテン・ファズマの雰囲気番長っぷりがさいこう

カイロ・レンの右腕的存在で、ストームトルーパー達をキツめに指揮する鬼の隊長、キャプテン・ファズマ。
ストームトルーパーをメタリックに加工したようなビジュアルと、敵陣営における初めての女性兵士ということで、早くから注目を集めていたファズマさんですが、「どんだけ悪いことしてくれるんだろ・・」と期待に膨らんでいたわたしの胸を、いい意味でも悪い意味でも引き裂いてくれましたよね。
あのね、全然活躍しなかったんですよね。

でもね、いいんですよ! 今回の役回りが完全に雰囲気番長というか出落ち担当みたいな感じで、全然働かないわ暴虐の限りも尽くさないわ、フィンにブラスターで脅される程度で言いなりになっちゃうわ、「覚えてろよ!」って雑魚キャラ以外使わなそうなセリフ吐いちゃってるわと、散々な扱いでしたが、それでもいいんです!
ファズマさん退場時に「ダストシュート」ネタが使われてて、超おいしかったからいいんです!
あと、これだけかっこいいビジュアルのファズマさんが今回コッキリなはずないから!
こんだけかっこいいビジュアルの・・・  ・・こんだけ・・・ ビジュアル・・・・ ・・ビジュアル・・・・

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(一回コッキリの前例あったー!!!)

ファズマさんがゴミ処理室から華麗な復活を遂げ、レジスタンスにえげつない反撃を加えるエピソード8はよくれ!


■ ハックス将軍さいこう

カイロ・レンと共にファースト・オーダーを指揮するハックス将軍、すごいわしのタイプ!
神経質そうなハックス将軍、もろタイプ!
ストームトルーパーたちを前に一席ぶつ時の調子にのってる感じ、めちゃかわいいやん!
なんとオーディションをすっとばして、中の人に大抜擢されたドーナル・グリーソンさんは、ロンのお兄さん(※ハリー・ポッター)を演じていた方なんですね。 『アバウト・タイム』もめちゃくちゃよかったです! わかるわー!そりゃオーディション不要だわー!

レジスタンスの攻撃からきっと無事に逃げ出したであろうハックス将軍の新たなるハッスルが拝めるであろうエピソード8はよくれ!


■ アクバー提督さいこう

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魚っぽい顔の人がまた出てて、嬉し過ぎて咳き込みそうになりました。

アクバー提督がレイアにボロ雑巾のごとくこき使われて別の意味でレジスタンスと化するエピソード8はよくれ!

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(ちなみに懐かしのニエン・ナンさんも出てて、わたしのテンションだだ上がりでした)


■ ハン・ソロがあの頃のハン・ソロと同じハン・ソロとしていっぱい出てきてさいこう

反乱軍に協力して帝国軍をぶっ潰してから約30年。 レイアと幸せな生活を送っていたのかと思いきや、いつの間にか密輸業者に戻っていたハン・ソロが、あの頃のままの適当さを漂わせてシリーズ復帰! もうそれだけでわたしは大満足ですよ! なんだったら、予告のチューイと並んでるシーンだけでも1800円払っていいぐらいの気持ちでしたからね!たとえばの話なので払いませんけどね!

しかし、実はソロがレイアのもとを去ったのには複雑な事情があった。
そう、息子であるベン(カイロ・レン)とのなんやかんやです。
ルークに預けたベンが道を踏み外し、ルークや多くの人を傷つけて悪いツレの所へ出て行ってしまった後、ソロとレイアはいちおうの努力はしたのでしょう。 そりゃそうですよね。 しかし、ベンは戻っては来なかった。 頼みの綱のルークも、豆腐メンタルだったため失踪してしまった。
きっとレイアとソロの仲は微妙な雰囲気になってしまったのでしょう。
お互いを責めあい、自分を責めあい、いつしか一緒に居ても傷つけあうだけになってしまったのではないか。
ソロはレイアと向き合うことからもベンと向き合うころからも逃げ、古巣へ戻った。
レイアはそんなソロを恨んではいなかったと思います。 ただ、猛烈に悲しかったでしょうけどね。
現実から目を背けていたソロが取り戻した、愛するミレニアム・ファルコン号の中にいたのは、カイロ・レンと深いかかわりのあるレイとフィン。
ふたたび運命の歯車が噛みあい、ソロを乗せたファルコン号が避けてきた「家族」のもとへとハイパードライブで突っ込んでいった時、ソロが息子のためにその身を犠牲にするのは避けられないことだったのかもしれない。

今まで放っておいて突然親父ぶるな、と息子は思ったのでしょうか。
「肉親」をいう「しがらみ」を断ち切ることでしか、真の強さは手に入れられないと思ったのでしょうか。
ソロの死は、これからの物語上仕方のない悲劇だったのでしょう。
だけれども、本当に、本当につらかったです。
ソロ退場後、操縦席にチューイだけを乗せたファルコン号が出てきた時、どうしようもなくつらかった。

ベンを受け止めようと、ソロが両腕を開いた瞬間、「あ、ここでライトセーバーのスイッチ入れるんだろうな」と思いましたよ。 ほんで「グサー」ってなるんだろうな、って。 わかってたけど泣きましたよね。
「ああ、ここで30数年前から続いてきたスターウォーズは終わったんだ」、と思いました。
ブリッジからはらりと落ち、米粒みたいに小さくなってゆくソロを観ながら、「ここからが新しい神話の始まりなんだ」と。

思えば本作は、本作の約半分近くは、ソロの壮大なフラグだったような気がします。
みんなに愛されたキャラクターだから、ここで退場させなければならない。 
みんなに愛されたキャラクターだから、じっくり時間をかけてお別れさせてあげたい。

まぁ、でも今までのスター・ウォーズで行けば、森の木陰でドンジャラホイな展開もアリっちゃあアリですけどね!
フォースを持っているとか持っていないとか関係なく勢いだけでソロの霊体が木の陰からチラ見するエピソード8はよくれ!


■ レイアがめっちゃレイアでさいこう

姫なんてなまっちょろいことやってらんねえぞ! とばかりにレジスタンスのリーダーとなったレイアがいかにもレイアらしくて超レイア。
「髪切った?」とタモさんばりのボケをかますソロに「まったくしょうのない人ね・・・」と菩薩のような眼差しを向けるレイア。
アイラインくっきりめのレイア。
服装のチョイスも含め、佇まいが小学校の校長先生みたいなレイア。
ソロがあの頃のままのソロな一方、レイアは月日を重ねて沢山の責任を背負ってきた今のレイアになっていて、なんつうか、「みんなきちんと描いてあるなぁ」と思いました。

ルークはもちろん、息子であるベンとの関係がどうなってゆくのか、ソロの死をベンだけに転嫁することなく正面から受け入れることができるのか、いちおう持っていることになっているレイアのフォースが「第六感」程度の現段階以上に覚醒する日はやってくるのか、そのあたりがハッキリしそうなエピソード8はよくれ!


■ ルークがさいこう

まだじゃっかんマーク・ハミルさんのずんぐりむっくり感が抜け切れていなくても、
「弟子に裏切られる等々なんぼショックな出来事があったからつって行方をくらませるとか、おまえは惑星ダゴバで引きこもっていたちっちゃいおじいちゃんか!」ってつっこみたくなっても、
「失踪するけど自分の居場所がわかるようなヒントだけはあっちこっちに残しておくとか、おまえは元ジェダイ・マスターのヨーダか!」ってほっこりした気持ちになっても、
待ちに待った挙句、ホントに最後の1分程度しか出演してなくても、
一言もセリフなくても、
それでも
スクリーンにルークがルークとして戻ってきてくれただけでぼかぁもう充分幸せなんですよ! おかえり、ルーク!!



スター・ウォーズを愛してきたみんなが観たかったものを魅せ、スター・ウォーズを知らないみんなが思わず前のめりになるようなシンプルかつダイナミックな物語を紡ぎ、愛おしいドロイド、頼もしい主人公、待ちに待ったジェダイの騎士、眩暈がするほどかっこいい空中戦、美しいライトセーバー・ファイトを絶妙のバランスで詰め込んでくれたJ・J・エイブラムス監督には感謝しかないです。
過去の楽しかった思い出、言い方を変えれば「遺産」ともいえるウケ要素を惜しみなく使った今回のエピソード7を終え、2年後にはカイロ・レンとハックス将軍とレイとフィン(とポー?)と、あと、えっと、たぶんファズマさんといった若いみなさんを軸にしたエピソード8が待っているわけですが、次回もきっとみんなが納得出来るスター・ウォーズになるはず! J・Jを中心に、みんなまとまっていこう!(どこからの目線なんだよ)

流れで行くと、ヨーダのもとに向かったルークがそうであったように、レイがジェダイの騎士から教えを乞う「修行篇」が観られそうなのですが、なにぶん相手はいじけ虫のルークですので、逆にレイがルークをどつきまわして喝を入れる・・なんつう展開もアリなのかなぁ!って思ってます。
なんだったら、レイの方がフォース強いかもしれないし。
だって、運転したこともないファルコン号を、フォースの導きだけであれだけ乗りこなすんですよ? まだ未覚醒状態だったのに。
潜在能力どんだけやねんって話じゃないですか。

ってことで、引きこもりルークがあの謎の棒でバシバシしばかれるエピソード8はよくれ!


■ 最高指揮者スノークさいこう

「おまえはパルパティーンの生き別れの弟か!」っていうぐらい頭がニコちゃん大王なスノークさいこう。
悪いやつはみんな頭が割れるんです。そうなんです。
自分で最高指導者って名乗ってるトコもさいこう。 あと、ホログラムで必要以上にでっかく見せてるっぽいトコもさいこう。 自己顕示欲の権化さいこう。
あと、なによりさいこうなのは中の人がまたもやアンディ・サーキスさんってトコ!

もう、とにかくもうなんでもいいから、はよエピソード8くれ!!!


■ おまけ

スピンオフ小説の影響か、「ソロとレイアには双子の子どもがいる」という勝手な思い込みがちょいちょい本編の邪魔をしてしまったわたし。
カイロ・レンがまた、「女?どんな女だ?!」って声を荒げるもんだから、余計に「えっ・・レンはもう・・知ってるの・・・?」って思っちゃったり。
雪山でレイと対決した時なんか、旗色が悪くなったレンがいつ「アイム・ユア・ブラザー」って言い出すかとヒヤヒヤしてしまったではないか。 ええい・・忌々しいスピンオフ作品め・・・!(※ビリビリ)(※指先に充電中)

・・

ん・・・?

スピンオフ・・・

・・スピン・・オフ・・・?

ドニーさんが出演する、エピソード3とエピソード4の間を描いたSWスピンオフ作品『ローグ・ワン』はよくれ!!

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(※ ローグ・ワン)

ドニーさん
(※ ブレイド2)

『ブレイド2』のスノーマンみたいなことにはならないって、わたし、信じてる・・・!(そこはかとなく似ているスチールから漂う不安から目を逸らしつつ)



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