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『TENET テネット』

2020年09月22日
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あらすじ・・・
友情!努力!勝利!!


(※ 訂正・追記しました /9月22日)

(※ 以下ネタバレしています)


めちゃんこ知的な作風と圧倒的な映像美、そして偏執的ともいえるマイケル・ケイン愛で世界中の映画ファンを困惑虜にしてきた巨匠、クリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET』を観てきましたよ!
いやぁ、知的だった知的だった! 
なにせ開始数分で「エントロピーの減少が・・・」とか言い始めますからね! 
エントロピーですよエントロピー! 今までの人生においてなんど聞いたことがあるだろうかエントロピー!
知的度合いでいったら『インターステラー』でさんざんわたしをけむに巻いた、「ぼくがかんがえたさいきょうにちてきな高次元エンディング」を超えたかもしれません。
思い出すなぁ、映画館で観た時のあの衝撃。
TARSくん:「時間も物理的な次元や空間をも超えられることが可能になったブラックホールの一丁目三番地で、五次元の中に三次元の子ども部屋を再現してくれた高次元くんたちの協力のもと、事象の地平線で観測された量子データをモールス信号に変換し地上に伝えるんだ!!」
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でもね、あの時も「仕組みは結局よくわからんけど、親子の愛が深かったおかげで再会も出来たし人類も救われたからまぁよかったんじゃね!」とうまいことけむに巻かれ、その上感動の涙すら流してしまったわけですから、きっと今回もすんなり飲み込めるはず!
ノーラン先生!ごっつあんです!!

・・・と思ったんですけど、まぁ入んなかったですよね。 
しょっぱなのエントロピーでくじけ、その後も核融合の逆噴射とか反粒子とか陽電子とかが完全にのどに詰まり、結局わかった分量とわからない分量でいったら圧倒的に後者のまま鑑賞を終えてしまった。
このままでいいのか? 設定についていけないせいで映像もよく味わえないままごちそうさましてしまっていいのか?
と、いうことで迷うことなく二周目突入。
いいんですよ。 そのために今日仕事休みにしたんだから。
で、わかりました。 いや、もちろん全部は飲み込めてないけど、おいしくいただきました。
主人公とその相棒に込められた、ノーラン先生の濃厚なアレをね!!

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(※映画を観終わってからこの画を見るとそこはかとなくキュンキュンしますね)

舞台はキエフ。 
今まさにコンサートが始まろうとしていたオペラハウスを占拠するテロ集団と、まるでその襲撃を知っていたかのようにバッチリのタイミングで劇場を取り囲む特殊部隊の攻防から物語はスタートします。
特殊部隊に違和感なく混ざり込む、数人のアメリカ人工作員。 
その中のひとり・名もなき男は仲間らしき男性と合流し、男性が入手したプルトニウムの回収に着手しますが、観客を守ろうとしたことから周囲の特殊部隊員から偽者であると見抜かれてしまい、頭に銃口をつきつけられます。
万事休すと思ったその瞬間、目の前で時間が巻き戻され、どこからか現れた黒ずくめの男性の発砲で命を救われる名もなき男。
お礼をする暇もなく立ち去る黒ずくめの男。 そのかばんには、幸福の五円玉(のような)お守りがぶら下がっていたのでした・・・。
それはさておき、やっと劇場から脱出した名もなき男。 
しかしプルトニウムだと思っていたものは得体のしれない機械で、合流場所にいた白いバンの中には見知らぬ男たち。
男たちは、なにがしかの情報を聞き出そうと名もなき男とその仲間を拷問しますが、ハードな訓練を受けていた名もなき男は迷うことなく自決用のカプセルを服毒。
遠のく意識の中、名もなき男の顔に映し出される「TENET」の文字。
そう、タイトルです。

と、このオープニングのシークエンスがすさまじくおもしろい! 
突入・脱出・銃撃・爆破・拷問からの主人公死亡までが、息もつかせぬ怒涛のスピードで描かれて、なおかつ合間に時間の逆行までお見舞いしてくれるんですからサービス過多で酸欠になりますって。 もうこれぜったいおもしろいやつですって。

目覚めた主人公を待っていたのは、また別くちの謎の男。 この映画、謎の男率が異常に高いです。
主人公からして「名もなき男」ですからね。
CIAの工作員っぽさは匂わされているものの、モノホンのCIAなのかいわゆる「CIAの方から来ました」案件であるのか、どういう経緯でこの仕事についているのか、家族はいるのか、目標としているものはあるのか、仕事のモチベーションはなんなのか、すべてが謎のままです。
で、謎の男から「秘密を守るため自決するとはあっぱれ!」と、うれしいようなうれしくないようなほめられ方をした名もなき男は、先の作戦において唯一のテスト合格者であったことを告げられ、「世間的には死んだことになってるから世界を救う手伝いをしてほしい」と誘われます。
っていうか、キエフのアレ、テストだったの? 仲間全滅しちゃったけど、テストで済まされちゃうの? 
それとも結果的にテストになっちゃったっていうアレ? そこんとこ、まあまあ重要な気がします・・・!

重要視していたのはわたしだけだったのか、名もなき男は世界を救うミッションへの参加をすんなり決意。
ノルウェイにある謎の組織の研究所で、時間の逆行について説明を受けます。
研究員いわく、ある日未来から様々なブツが届けられるようになった。 
その中には銃弾を多数撃ち込まれた壁や、なんの機械だったのかよくわからないパーツなどがあり、解析の結果、先の世界は「冷戦」状態にあり、最終的に人類を待ち受けているのは絶滅というシナリオだというのです。
もちろん、そんなシナリオ受け入れるわけにはいかないし、未来人にも過去を変えたがっている良識人がいる。
送りつけられているブツは、その手助けのためであろう。 
なにせ普通のブツではありませんから。 
時間を逆行できるブツですから。 なんで出来るの?じゃないんですよ。できるからできるんですよ。未来人なめんなよ。

名もなき男は、手はじめに未来からきた銃弾の素材を確認。 
原材料の産地がインドであることを割り出し、インド在住の超大物武器商人・サンジェイ・シンへの接触をはかります。
まずはインドで協力者を手配し、落ち合ったエージェント・ニールと作戦会議。
警備の厳重な高層マンションへの侵入方法は、なんと76メートルを一気に上昇する逆バンジーに決定です。 そりゃトム(クルーズ)も気に入るはずだわ!!

(※これはぜったいやりたくなったに違いない顔)(※オレならブルジュ・ハリファのてっぺんまで逆バンジーしたるわっていう顔)

一瞬で家宅侵入を成し遂げた二人に明かされる衝撃の事実。
なんとサンジェイ・シンはただのお飾りで、真の武器商人はその妻のプリヤだったのです! うん、すまん、衝撃でもなかった。
プリヤから銃弾の取引先としてロシアの超大物武器商人・セイターの名前を聞き出す二人。
次なるターゲットはセイターの妻・キャットです。
どうしてセイターに直行ではなく妻をおとしにかかるのかというと、妻は絵画の鑑定人をしており、浮気相手が作った贋作を自らの店でオークションにかけ、武器商人の夫に競り落とされて脅しのネタに使われているからです。 
え? わかりにくい? 
妻には弱みがあるでしょ? その弱みを解決してあげると持ち掛ければ、言うこと聞いてくれるじゃないですか。
え? どんなこと頼むのって?
夫に紹介してもらうんですよ!
いやそれ直行でよくね?

いいですか、ここのくだりをまわりくどいとかわかりにくいとかでとらえてはいけません。
なぜなら一番の理由は「絵画にくわしい大物英国紳士としてマイケル・ケインを出したかった」もしくは「今回マイケル・ケインを使えそうなのがここぐらいしかなかった」、それに尽きるからです。 ノーラン先生は認めないでしょうけど、ぼくにはわかります。
だって別れ際、名もなき男に「そのスーツは安物だから大物に会う時はもっといいスーツを仕立てなさい」ってブラックカードをスッと出すんですよ! 英国紳士+スーツ+仕立てときたらアレしかないじゃないですか!

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(※マナー・メイクス・メン!!!)

せっかくマイケル・ケインが渡してくれたものの、その後の展開に特に大きく役をなさないゴヤの絵画のことはさっさと忘れ、キャットとの交渉を終えた二人。
まずはセイターが競り落としてオスロ空港のフリーポート(非課税の美術品管理倉庫)に預けているであろう贋作を、空港の火災騒ぎに乗じて盗み出す作戦のスタートです。
ときにみなさんは「火災騒ぎ」と聞いて、どれぐらいの騒ぎを想像するでしょうか。
火災報知器をしばらく鳴らせるくらいのボヤ騒ぎ?
まさかノーラン先生が貴重なIMAX 70mmフィルムをボヤ騒ぎ程度のために使用するとでも?
もちろんそんなはずありません。
壊すために作る、燃やすために買い取るなど、もはやノーラン先生にとっては日常茶飯事。
映画芸術とはこういうことをいうのです! とくとごらんあれ! ハリボテでもない、デジタルでもない、これがモノホンのボーイング747だ!!!
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(※札束の暴力)

普通に盗み出せなかったのだろうか。

フリーポート内になぜか設置してあった回転ドア。 
ガラスに隔てられたその部屋で、ふたりは時間を逆行してきたであろう謎の男と格闘することになりますが、結局男には逃げられ、回転ドアがあった理由もわからないまま空港をあとにします。 すんのかよ。
ある程度倉庫内も燃えたっぽかったので、キャットには「贋作のことはもう片付いたから安心してくんろ」と報告。
段取りをつけてもらい、ベトナムのリゾート地でついにセイターとご対面です。
しかし、セイターはキャットの知り合いを自称する名もなき男に敵意をむき出しにし、挨拶もそこそこに「このあと裏庭でおまえの喉を掻っ捌いて切り取ったキンタマを詰め込んでやる」と先制パンチ。 
「一度でいいから見てみたい、おまえが喉からキンタマをつかみ出そうともがくトコ」とダメ押しの強いラインまでお見舞いしてくるセイター。
やはりロシアの武器商人ともなると悪口の純度が高いですね。 
初対面の人に目の前でこんなこと言われたら、意味が分からな過ぎて大声で泣いてしまう。泣いてしまうわ。
そして、こんなことまで言われたのに家の中を嗅ぎまわっていて、セイターがなにがしかのブツを受け取る現場をのぞき見してしまった名もなき男。 
案の定ブチアガるセイターをなんとかいなし、翌日キャットと三人でヨット遊びに興じることとなるのですが、今度はキャットが航海中日頃の恨みからブチアガってしまい、セイターを海へ突き落とします。
あわや殺人。 しかし、それも無理はありません。
セイターは映画史上に残ると言っていい、最低最悪のモラハラ自己中夫だったからです・・・!!

ということで、まあまあ細かく書いてきましたが、この調子でいくと読むのがいやになる長さ確定なので、ここからは要点だけをまとめていきます。
今回、名もなき男とニールが成功することを期待されていた「人類滅亡回避」というミッション。
その首謀者はこの夫セイター。 ロシアの武器商人にして時間の逆行を駆使し財を成した男。
生きるためプルトニウムを拾い集めるという悲惨な青年期、たまたま見つけた(あるいは見出された)時間逆行の鍵・アナグラムによって未来人とのコネクションに成功し、巨万の富を手に入れると同時に社会の暗部を知り尽くしてしまったセイターは、この世の中に絶望していた。
増えすぎた人口、破壊される自然環境、そして手の施しようのなくなった自らのすい臓がん。
独占欲という檻の中に閉じ込めた妻から向けられる憎しみの視線にも、もう耐えられない。
最近の映画で人類を滅亡(もしくは半減)させようとする悪役は、判で押したように「人口爆発!環境汚染!わるいのはニンゲン!」と言い始めますし、セイターもまさにそのタイプなのですが、この妻に対する異様な執着心はある意味実際にいそう過ぎてゾッとしましたね。
愛しているから独り占めしたい、って、ノロケの一環としても使われそうな文言ですが、これ完全にダメなやつですからね。
自分だけのものにしたい、すなわち、妻が自由に生きることは認めない。
仕事をしてもいいけど自分が認める分だけ。 
なにかにつけて首根っこ押さえるような言動で縛り付ける。
子どもとオレとどっちが大事なんだ!って怒る。
人を人として扱わない典型的なモラハラ人間、めっちゃいるじゃないですかその辺に。
今回、セイターは精神的・物理的の両方から暴力をふるい、キャットをがんじがらめにしているトコロが非常に凶悪ですし、正直、「死期が近いから地球のみんなを道連れにして自殺をはかる」という動機以上にタチがわるいのではないでしょうか。
キャットがそんなセイターとの関係を断ち切ろうと、一度目の失敗、二度目の躊躇を経て三度目に引き金を引いた瞬間は、暴力的でありながら解放感も否定できない、すばらしいシーンだったと思います。
ついに手に入れた自由とともに海に飛び込むキャットと、その姿を見つめる過去(まだ囚われたまま)のキャット。
いやぁ、うつくしかったですね。

そして、うつくしかったといえばそう、主人公とニールの友情のまあうつくしかったことといったらね!

ムンバイのホテルではじめて会った時から、ニールが名もなき男に向けるまなざしはやさしかった。
そしてなぜか個人的なこともよく知っていた。
少し考えれば最初からわかることだったじゃないですか。
これ『ターミネーター』でみたことあるやつだー!! ・・・って。
ニールはカイル・リースで、彼にとって名もなき男はジョン・コナーであり、サラ・コナーでもあるんですよ!!
ターミネーターと違うところは、カイルが未来に戻ること。
破滅が避けられた地球で、自分とジョンがいつか再会できる日をたのしみにしていること。
最高じゃないですか!なんでこれターミネーターでやんなかったんだろ! あ、形はちがうけど『4』でやってたか。
まったくもう、冒頭のキエフから始まってクライマックスのスタルスク12まで、いったいニールはなんど名もなき男を助けたのだろうか。
なんど過去と現在を行き来したのだろう。 その先で待っているはずの友情の始まりを夢見て。 
今までのノーラン作品に、こんな気持ちのいいラストシーンがあったでしょうか。 あったらすまん。
謎の五円玉お守りというベタすぎる伏線も、こんなふうに回収してくれるんだったら何の文句もないっす。 ベタ、いいっすね!監督!ベタ最高!
服毒したものの薬のすり替えがありよみがえった名もなき男。
夫に撃たれ瀕死の重傷を負うも仲間の助けでよみがえったキャット。
本来のミッションでは殺されていたが現在の自分による逆行の結果よみがえったニール。
それぞれが自分や周りの力で死と生を反転させる物語は、なんかしらんけど強くてすき・・という気持ちになるし、自分の意思で飛ぶシーンもやっぱりすきです。 すきです、ノーラン先生。 
これからもどうかしている作風でよろしくおねがいします。 

というわけで、二周してみた結果、理屈がちゃんと理解できたのかどうかといったら怪しいところ満載なのですが、そこはほら、研究員のバーバラさんも適当でいいって言ってましたし、名もなき男も「そっか、直感でいいのか!」と驚きの嚥下力をみせていましたし、いいんですよ! 要は時間を逆行できる回転ドアを未来人がプレゼントしてくれたってことで! やるときゃやるんですよ未来人は!

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(※「考えないで、感じるのよ」) (※マジでそう言う)

同じフレームの中に、逆行するものと順行するものとが混在するという驚異の映像。
後ろ向きに走ってるっぽい人もいれば、逆回転させたっぽい鳥もいるんですけど、ほんとどうやって実現したんでしょうね。
脳が追い付かないほどの情報量が詰め込まれた世界は圧巻のひとこと。
一度では理解できない、いや、一度で終わらせるのはもったいないという方が適切ですね。
観るたびに点と点がつながり、見落としていた超絶技巧に酔いしれることのできる、豪華絢爛な作品でした。
あと、音がとにかくよかった! 音楽、音響ともにめちゃくちゃ打ち付けてきます。大洪水です。たまらん!

概ね理解できたふうに書きましたが、実はどうしてもわからない点がひとつありまして、逆行世界では重力以外のほとんどがわれわれの過ごしている順行世界とは逆で、酸素も肺に入っていかないので外に出るときは酸素マスクが必須という設定だったのですが、最後のスタルスク12とベトナムのヨットで同時に行われるシーン、どちらも過去(逆行世界)ですよね?
スタルスク12はみんなマスク着用だったのでいいものの、ヨットにいたキャットと沖合のマヒアさん、ノーマスクだったじゃないですか。 あのヨットの日って、最初のキエフの事件があった14日ですよね? ってことは過去ですよね? なんで息できてたんだろ?
あと、波もふつうでしたよね。じゃあ逆行世界じゃないってことなのかな?

14日にキエフの事件があって、
そのあと名もなき男とキャットが出会って、
その時ベトナムのヨットでの出来事を聞いて(キャットが見たという海に飛び込む女の話も出る)、
そのあとオスロ空港があって、
セイターを紹介されて、
タリンでカーチェイスして、
キャットが撃たれる。 (ここまでは順行)

キャットを救うためタリンのカーチェイスに戻り、(逆行)
救急車を調達するためオスロ空港まで戻り、(逆行)
ノルウェイ沖合の洋上基地で作戦会議して、(ここは一旦現在?)
14日のスタルスク12とベトナムに戻る。(再び逆行)
ということだと思って観ていたんですけど、よくわからなくなってきた・・・


で、検索していたら海外のサイトでちょうど同じこと質問している方がいました!
SPOILERS: Kat's final inversion.
逆行世界(過去)の中でもういちどドアをくぐったら反転の反転で過去にいながらもマスク不要の順行状態になるということですかね?
マイナスとマイナスをかけたらプラスになるみたいな感じなのかな?
うーん、二周じゃ無理!


※ 以下追記

実はこの感想を書いたあとも、どうも頭のなかがスッキリせず悶々としておりまして。
キャットがマスクをつけていなかったくだりじゃないですよ。 
あそこはもう、「反転ドアをくぐったら逆行の世界に入るけど、その中でもう一度回転ドアをくぐったら体は順行モードになるので普通に生活できる」ということで飲み込みました。
そんな都合のいい話あるかぁ?! と思ったら負けなので、オレ、飲み込んだ。 
じゃなくて、飲み込みきれない事案はひとつ。
死体ですよ、死体。 檻の内側に転がっていた死体。
もちろん、五円玉お守りを持っていたのでこの死体はニールであることはわかっているのですが、いまひとつ時間の流れだったりテネット設定を理解しきれていなかった(※「いいんだよ、こまけえことは」精神で見て見ぬフリをしたともいう)わたしは、ニールが死んでいたのがどの段階だったのかわかっていなかったのですよね。

で、すべてのミッションを終えて三分割したアナグラムを名もなき男に預けたニールが「すばらしい友情の終わりだ」と告げるシーンも、「ああ、このニールとはお別れなんだなぁ」ぐらいにしか思っていなかったのです。 
だって、この世界にはもう一人のニールがいるわけですし。
この数年後に、名もなき男は自分を救うことになるニールに出会う。 
その頃、このニールはどこで何をしているんだろうなぁ・・・ 自分同志が出会っちゃったらマズいから、どっかでこっそり名もなき男を見守ってるのかなぁ・・・ ウフフ…アハハ…  なあんてのんきに信じ込んでいたのですよ!いや、欺瞞はよそう!そう思いたかった!どこかで生きていると思いたかったんだよ!オレは!!!

本来のミッションでは、他のテネット隊員と共に逆行しつつ施設潜入してあの檻までたどり着いたはずのニールが、名もなき男が生き埋めになる可能性に気づき、急遽回転ドアをくぐりなおして順行モードに転じ、車のワイヤーで名もなき男と隊長を助けた。
このくだりで、死んだはずのニールは死を回避して名もなき男と生き延びたと思っちゃったんです。
だって、ここで死んでしまっていたら、この先名もなき男が出会うはずのニールまで消えてしまうじゃないですか。
過去のニールが消えた時点で未来のニールも消滅するじゃん。 そういうもんじゃん。 祖父殺しのパラドックスじゃん。いいじゃんいいじゃんスゲーじゃん。
ほんで思わずつぶやいちゃいました。 じゃあ最終的に名もなき男を助けてくれた、あの死体のニールはどこからきたの?と。


そのあと、リプライをくださった方との会話や自問自答の末、やっと現実を受け入れたわたし。
わかった。 悪あがきはもうやめよう。 認めようじゃないか、ニールは名もなき男と別れたあと再び回転ドアをくぐり、本来自分が向かうはずだった檻の中で生涯を終えるのだと・・・。
ノーランてめえなんつうオチつけやがったんだよ(※自主規制)するぞこのやろう


名もなき男目線で物語を観ていたので、彼の人生に出てくるニールとそのタイミングに悶々としていたのですが、この物語は名もなき男がニールの人生に追いつく話だったのですね。
この数年後、テネット部隊を率いることになった名もなき男は、とある困難なミッションでニールと出会い、友情をはぐくむ。
それはニールが終えた友情。 名もなき男にとっては初めての友情。
のちにニールが亡くなる道に、名もなき男の道が重なる瞬間。 
その瞬間の前フリがこの映画だったのか。
わかった、飲み込んだ。 今度こそ飲み込んだ。
ただね、飲み込んだうえで言わせてもらいますけど、そこまでわかった上でそんな残酷な運命受け入れるかな?名もなき男は。

間違ってたらごめんやけど、結局回転ドアって何度でもくぐっていいんですよね?
ニールがやったように展開にあわせて直前でくぐり直したり、セイターがやってたように都合のいい分だけ逆行したりしてもいいんですよね?
だったら、これまでのニールの献身を知り、友情を知り、のちに自分が下すであろう無情な指令まで知った名もなき男が、「でも起こることは起こるからしゃーない」って受け入れます? オレはそうは思わんね!!

映画本編が終わり、最後に映し出されるワーナーのロゴは逆行を示す青でした。
オープニングは順行の赤。
わたしはこれを、「もっかい映画観直してね!」の逆行ではなく、名もなき男がニールを救うための逆行、その始まりだと思いたい。
あいつならやってくれる。 
ニールを救ったうえで世界も救うような、エクストリーム逆行をひねりだすはず。
そうじゃないんだったとしたらやはりノーランを(※自主規制)するしか

がんばれ名もなき男!(とノーラン監督) 




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