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『LOGAN/ローガン』

2017年06月10日
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(※ 以下、『LOGAN』のネタバレはもとより、流れ弾的に『マトリックス レボリューションズ』のネタバレも含んでしまっていますので、そういうのが気にならない方のみご覧ください)



あらすじ・・・突然知らされた娘の存在に戸惑うおとうさんが、おじいちゃんと娘と三世代でアメリカを縦断します。

ああ!!つらい!!! なんだこれもうやだ!ああつらい!!!

公開前からヒュー・ジャックマンさんの「これで終わるよ!有終の美をかざるよ!!」という発言をイヤというほど見てきましたし、予告編からも本気の程は十二分に伝わってきてはいましたが。
いましたが、まさかここまで容赦ないとは思わなんだ。
観終わった瞬間、私の頬を流れていたのは感動の涙ではなく哀しみの涙。
脳裏を駆け巡っていたのは、『マトリックス レボリューションズ』でトリニティが針山となり、ネオが王蟲にランランラランランラされるナウシカと化していたクライマックスシーン。
ここまで観てきてこれかよ。
何度も危機に瀕しながらも、希望の欠片を握りしめながら未来を切り開いてきた結果がこれかよ。
あのかっこよかったヒーローたちが、こんなあっけなく死ぬのかよ。
わかりますよ、あのね、世代交代ですよね、それはわかる。
愛するものを失い続け、子を持つ喜びを知ることが出来なかったウルヴァリンが最期に感じた愛情。わかる、わかるけども。
やりたいこともやっていることもわかるけれど、わたしにはあまりにつらい幕引きだったのですよ。
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(※ こういう画像を見て心の平静を取り戻さないとやってられないレベル)

思えば本作は、とにかく冒頭から死の匂いがふんぷんと立ち込めている、とても不穏な物語でした。
画面を覆っているのは冷たい色彩と土埃の匂い。
諸事情から回復力を失っているローガンことウルヴァリンは、国境に近い町で高級ハイヤーの運転手として生計を立て、家に帰ると痴呆を患っているおじいちゃんの世話。
薬代は高騰し、おじいちゃんが時々起こす発作のせいで周りのものは疲弊。
何が楽しみで生きているのか、何のために生きているのか。
いちおう、おじいちゃんと誰にも迷惑がかからない場所で余生を過ごす、という目標は持っているけれど、今の生活レベルだと到底叶いそうにない。
とにかく、まだ死んでいないから生きる。そんな毎日。
避けることのできない結末として、常に「死」という文字がめざわりなネオンサインのようにチラついているローガンの日々。
つらい。 すでにつらい。

そして映画をご覧の方はとっくにご承知でしょうが、このおじいちゃんが他ならぬプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアというつらさ倍増計画。

いや、もちろんチャールズのつらさは今に始まったことではありません。
過去のつらみを簡単にまとめてみても、
『X-メン』では一服盛られて人事不省になり、
『X-MEN2』では思考をのっとられて人事不省になり、
『ファイナル ディシジョン』では教え子にボコられ霧散し、
『ファースト・ジェネレーション』では女にうつつを抜けして友人の信頼を失い、
『フューチャー&パスト』ではやさぐれてジャンキーとなり、
『アポカリプス』ではご長寿ミュータントに髪の毛をむしられる。
と、このようにつらみ全開だったのですから。
充分使えないハゲつらみの多い人生だった。

しかし、今回のチャールズは過去の不幸をひとまとめにしても敵わないほどのしんどさなのですよ。
もうろくじいさんと化して、己の強大すぎる力をコントロールすることもできず、ただ時々暴走しては周囲の人々を殺してまわるしかない怪物のような存在。
才能と呼ばれていた力は呪いに変わり、チャールズが人生をかけて守ってきた学園すら破滅させてしまった。
その中には、ジーンやサイクロップスもいたのかもしれない。
それがどれだけしんどいことか・・・!
そりゃ自ら記憶に蓋をし、もうろくじいさんとして空想の世界に逃避したくもなりますって!

しかし、古びた貯水タンクに閉じ込められたチャールズは、セレブロのようなその空間 - 経年劣化により開いた無数の穴から、星のようにちいさい光が差し込む空間 - の中で、皮肉にも再びテレパスとしての能力をよみがえらせます。
そしてそこからが、引き返せない命のリレーの始まりでもあったのでした。

時には仕事のため、時には正義のため、あまりに多くの命を奪ってきたローガンは、自分が「あったかいおふとんの中で死ねる」などとは思ってもおらず、「愛する人たちに見守られて」なんて言わずもがなで、みっともなく、美しくなく、映画史に残っていくような長ゼリフを残すでもなく、無様に死んでゆくのが最もふさわしい最期だと、思っていたのではないでしょうか。
ローガン、すなわち彼を演じてきたヒュー・ジャックマンさん自身が。

今までのローガンと同じように庇護が必要なものを全力で守り、今までのローガン以上に哀しい眼で敵を見つめ、今までのローガンとは異なり命をがりがりと削って闘う姿は、17年に渡り「ウルヴァリン」というヒーローに魂を吹き込んできたヒュー・ジャックマンさんから、同じく「ローガン」という悲運なミュータントを見守り続けてきたファンへの贈り物だったのではないかと思いましたし、だからこそわたしは、つらすぎたあの最期をせめて、おおよそ2世紀もの間その能力ゆえに周囲の思うように酷使されてきた「ジェームズ・ハウレット」にやっと訪れた安らかな眠り、だったのだと受け止めるべきなのだろうな、と思いました。
思うようにしたいです。
そうしないと、ホントにつらいから。
っていうか、まだホントは受け入れられていないんですよ! あのですね、わたし的にはもう一回帰ってきてくれてもぜんぜん問題ないですよ! いいじゃないですか!『デッドプール2』辺りにシレっとカメオ出演しちゃえば!! だいじょうぶ、だれも怒らないって!

X-MENを初めて劇場で観た17年前から今日まで、大いに心躍らせた日々や、大いにずっこけた日々、扱いの雑さに「ファイナル・ディシジョンふざけんなこのやろう」と憤った日々や、今度はどんなウルヴァリンが観られるんだろうと期待に胸膨らませた日々。
たくさんのよろこびをありがとう、ヒュー・ジャックマンさん。
カメオ出演すらなくなるだなんて寂し過ぎるけど、息子として父をおくり、父として娘におくられた本作を、わたしはこれからも愛し続けます。

とりあえず、心の平静を保つため今から、おにいちゃんと爪たててワッホワッホ駆け回る『X-MEN ZERO』観てきますけどね!!(※やっぱり受け入れられていない)


- おまけ -

・ ウルヴァリン最終作だっていうのにストライカーすら出ないというね! ダム湖に沈んだのは別の時間軸だから、まだ生きてんじゃないの? 出そうよストライカー!出してあげてよ! あいつなんだかんだ言ってウルヴァリンだいすきなんだからさぁ!

・ 遺伝子組み換え食品でミュータントを無能化していくという、過去の敵が思いつきそうで思いつかなかった手法がすごい! 地味過ぎてプロフェッサーも気づかなかったという! まぁ、逆にいままでプロフェッサーが敵の悪巧みに気づいた例があったのかって言われてもパッと思いつきませんけどね!

・ 「ミュータントを遺伝子組み換え食品でコントロールして生物兵器にしよう!」 → 「コントロールしすぎて能力なくなっちゃった!」 → 「ミュータントの遺伝子を使って子どもを作ろう!」 → 「子どもなだけに、ぜんぜん言うこと聞かなかった!」 → 「言うこと聞くように、大人のミュータントのコピー作ろう!」 → 「大人なだけにキレたら手が付けられない!」 だいじょうぶなのかこのプロジェクト・・・ホントにだいじょうぶなのか・・・

・ 全編通してつらい展開が多い作品でしたが、知り合った家族と食卓を囲むシーンは本当に救われましたね! ごはんの後、チャールズを抱きかかえてベッドに運ぶローガンと、それをじっと見つめるローラもよかった! おじいちゃんを気遣う父の姿から色んなものを感じ取った娘。 殺戮の人生を送ってきたローガンの手は血にまみれているけれど、その背中は間違ってはいないんですよ!

・ R15+だった所以、わたしにとっては「生首が飛び四肢が飛び散る展開が」、というよりも、「子どもを使ってここまでやるか」という印象の方がつよかったです! 「人殺しは一生人殺し。相手が悪人かどうかは関係ない」というセリフがあった上でアレですからね! とはいえ、終盤ミュータントキッズたちがみんなで悪い大人をとっちめるくだりは純粋にワクワクしちゃいましたけどね! 

・ チャールズの悔恨の涙と告白を受け止めたのが、ローガンではなくローガンの凶悪な部分だけを抽出させたようなX‐24だったトコがつらすぎた! すごくいい映画だったんですけど、もうあのくだりだけはどうしても耐えられない! なんでチャールズにそんなひどい仕打ちしちゃうの?! 監督は鬼なの?! ローガンとチャールズはまともな死に方させてもらえない運命なの?!

・ 重ねて言うようですけど、ほんとにね、わかるんですよ、わかる。やりたいこともやっていることもわかるんですけど、やっぱりね、息子のように愛したウルヴァリンの偽物に刺されて死んで、そのへんの水辺に埋められちゃったチャールズや、衰えるだけ衰えてズタボロになった挙句自分の偽物に殺されて、そのへんの水辺に埋められちゃったローガンがつらいんです。 

・ そのへんの水辺なんかじゃない、ふたりで乗るはずだった船と海を表しているものなんでしょうけど、世界を救うため、違ったもの同士を結びつけるためずっと闘ってきたヒーローが、誰に知られることもなくどこかの山中に埋められているという現実が、架空の物語であるにも関わらず、ものすごくわたしの心を締め付けるのです。 ふたりのお墓は、もう誰に花を手向けられることもないんですよ。 年月が経ち、たまたま通りがかった人が草が生え吹いた石積みを見て、「なんだこれ」って言うぐらいしかないのかなぁと、勝手に想像して、また泣いてしまうわたしです。

・ ローガンがチャールズに代わり指導者として子どもたちを導く、そんな未来も観てみたかったんです。 葉巻をくゆらせながら、子どもたちの成長をおだやかに見守る、そんな結末も観てみたかった。 キレイすぎかもしれませんが、わたしはそんな光景を願わずにはいられなかったのです。

・ ああなんかもうやっぱりつらい!!!(おしまい!)




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